【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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9_お金と力が欲しいか?

「そういえば、これがあったな」

 

 アキがゴソゴソと何かを取り出そうとして、周りを見た。

 全員に寄るように言って、取り出したのは──

 

「ませきだー……」

 

「昨日モグラを狩ってな、換金を忘れてた」

 

 私は見慣れてるから何とも思わないけど、他の6人は見惚れていた。

 

「さ、触っても良い?」

 

「良いぞ、あんまり周りの人たちに見せないようにな」

 

 恐る恐ると皆んなの手を渡っていく魔石。

 あれ一つで、15万円とかだっけ? 

 本当に、モンスターがどれだけ危険かというのがわかる金額だ。

 みんなもそれは分かっている。

 これ一つを売り飛ばせば遊ぶ資金が増えるな、なんて考えているんだろう。

 

 私だってみんなに内緒でバイトとかしたことあるから、お金を稼ぐのが大変なことくらいは分かってる。それに、お父さん達からダンジョンの怖さを聞かされて育った。

 そこで手に入れたものは、全てが彼の功績だ。

 それを、私にくれることがある。

 なんでそんなものを渡してくるのか聞いたら、家事の代金だってさ。

 信じられないでしょ? 

 そういう事してくるんだよね。

 

「こ、これをバッグの中に無造作に?」

 

「ええ? 丁寧に扱っても値段変わらないぞ。そもそも、お前らが持ってる携帯だって値段は同じくらいだろ」

 

「そうだけど、そうじゃなくない?」

 

 盗られたらどうするのって事なんだろう。

 でも、探索者から強奪なんて、探索者じゃないと無理だからアキは心配もしてないよ。

 そもそも探索者は他人の魔石なんて興味無い。

 それでも、高価なものを見せびらかすのは良く無いとアキも分かっている。

 だから普段は外に出さない。

 

 気を遣ってくれたのだろう。

 せっかく来たのだから、面白いものを見せようと。

 あのアキが、ダンジョンの事で『忘れる』なんてあり得ない。

 

「そんなに見ても、このままじゃあ特別な何かは無いぞ」

 

 魔石は皆んなの手を渡り、各々が興味津々に見つめていた。

 そんな姿を面白そうに眺めていたアキは、それがただの換金物に過ぎないと告げた。

 

「ダンジョン、か……」

 

 ポツリとつぶやいた成川君。

 アキはニヤッと口元を歪ませた。

 

「興味出てきたか?」

 

「い、いや…………そうかも」

 

「行きたくなったら言ってくれよ、いつでも歓迎だ」

 

 二次会はカラオケ。

 アキは、何を歌うかと笑っていた。

 ……アキって歌に詳しかったっけ? 

 わざわざコインロッカーに寄って持ってきたのはギター。

 いつもは預けているらしい。

 何のつもりかと思っていたら、カラオケで歌い出したのは聞いたことも無い曲。

 随分としっかり作られた歌だった。

 元気が出てくるような、勇気をもらえるような歌。

 アニソンだってさ。

 私たちの知らない曲を聴いているんだろうと思って調べても、彼が言ったような曲は無い。

 ……というか、ギター弾けたんだ。

 一度も見たことなかったな。

 

「あー気持ちよかった!」

 

「ギター弾けたの、初めて知ったんだけど?」

 

「昔は家で、探索者になってからはダンジョンで弾いてた」

 

「何でそんなこと……」

 

「洞窟だから音が反響して良い感じに聞こえるんだ」

 

「教えてくれても良くない?」

 

「そうだな、ごめん」

 

「……はぁ」

 

「チラチラッ」

 

「……広瀬さんも弾くか?」

 

 風香が触りたそうに見ているのに気付いて、ギターを差し出した。

 

「触っていーの?」

 

「良いよ、思い入れがあるものじゃない。安物だ」

 

「ありがとー」

 

 ポロンポロンと触って、さっきアキがしていたみたいに弾こうとしたけど、当然出来るわけがない。

 楽器を弾くには、体系化された符号を覚えなければならない。

 初見の人間ができるようなものじゃない。

 

「ほえー……難しいねー」

 

 ポワポワとそんな事を言う風香を見て、アキはまた目を光らせた。

 

「やりたいなら教えるぞ」

 

「……うん、ちょっとやりたいかもー」

 

「なら、今度またカラオケでやるか」

 

「やったー」

 

 ……ちょっと待って? 

 

「2人でやるつもり?」

 

「そうだけど」

 

「……私も行く」

 

「あの……私もいきなり2人だと難しいかもですー」

 

「分かった」

 

 ギターかぁ……ピアノなら私も出来るんだけど。

 ……あ。

 

「ごめんねみんな、除け者にしてたわけじゃ……」

 

「ああ良いの良いの、何となく分かったから」

 

「え? なにが?」

 

「まあまあ」

 

「うんうん」

 

 なんなんだろう。

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