【マンガ化】焼肉スコスコスコティッシュフォールド【進行中】   作:goldMg

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97_料理は俺の仕事じゃない

「で、人の友達と2人っきりで部室にいたってわけ?」

 

「その文字起こしには悪意が多いな」

 

「事実じゃん」

 

 今日のことを話すと、野菜を切っていた顔を上げてジト目で睨みつけてきた。

 包丁から目を離すなと言いたい。

 

 ……おい、無言で振り上げるな。

 近付いてくるな、それで。

 大人しく料理してろ。

 

「襲ったりしてないんだよね」

 

「してねえよ! 信じろよ、幼馴染を!」

 

「……どーだか」

 

 人のことをなんだと思っているんだ、プンプン。

 俺ほど紳士な人間も稀だぞ。

 

「ヒロさんはバカです」

 

「なんだ?」

 

 アリサっぽい声音で、アリサっぽいことを言い出した。

 結構似ているのがムカつく。

 

「自分が何してるのか、よく分かってないんですよねえ」

 

「そんなわけないだろ」

 

 ザクザクと水気の多い野菜を切っている音。

 その中に混じって、すこし乱暴な音が……

 コマちゃんも耳を立てていて、包丁がまな板にぶつかるたびにビクッと震えている。

 

「これだから自己チューは……」

 

 なんか拗らせたやつみたいなことを言い出した。

 

「これだから自己チューは!」

 

「分かったよ、聞こえてるよ……」

 

「とにかく、風香に手ぇ出しちゃダメだからね」

 

「なんで俺が積極的に手を出す前提なんだよ……」

 

「…………いっ!」

 

「お、おい、大丈夫か」

 

 ガシャアン! と、明らかに野菜切るのと関係無い音が混じった。

 様子を見にいくと、包丁が床に落ちている。

 

 指を抑え、上半身を縮こまらせた中心から赤いものが滴っている。よく見ると、指の腹を切ってしまったようだ。

 何してんだこいつは……

 

「いたぁい……」

 

 涙目でひっついてきたので、血を洗い落とした後に絆創膏を貼った。包丁で切った程度の傷ならこれで十分だろう。

 それでも離れないので、ソファーでヘソ天をしていたコマちゃんを隅に追いやって2人で座る。膝の上に倒れ込んで、グリグリと頭を股に押し込んでくるので銀の髪を撫でた。

 大袈裟of大袈裟だけど……まあ、うん、しょうがない。可愛いからね。

 

「ケダモノ……」

 

 しかし、まさかの罵倒。

 ケダモノとは真逆だろ俺は。

 むしろ神様仏様明宏様と崇めるところじゃなかろうか。

 

「アキのせいで怪我した」

 

「んまぁっ! 聞きました奥さん! ワタクシのせいですってよ! 嫌ねえ最近の若い子は!」

 

「がるるるる……」

 

 ヘソ天でお腹丸出しだったから、つい。

 ごめんやん。

 

「アキのせいで怪我した〜!」

 

 今度はミツキがヘソ天し出した。

 足をソファから飛び出させて、背中を俺の膝に乗せて、グイーンと伸びをする。

 そのままだと頭がコマちゃんにダイレクトオンしそうなので、手で後頭部を支えた。

 

「りょーりかわってー!」

 

「お前なあ……」

 

「かわってくんなきゃやー!」

 

「…………」

 

「やーやーなの!」

 

「はいはい」

 

 これだから、女ってのはずるいぜ。

 可愛ければなんでも許されるんだからよ。

 だが、覚悟しろ。

 俺の作る料理はお肉倍プッシュだぜ。

 

「こまちゃーん、あのひとこわいねー」

 

「わん……」

 

「私たちだけじゃまんぞくできないってさ」

 

「わん……」

 

 やめめめ……みたいな顔してる。

 やっぱり犬吸いは人類の文化だな。

 

 さて、切ってる途中のお野菜は──

 

「…………」

 

 マシュマロのように柔らかくて、六角柱型の房に分かれていて、切ると汁が漏れてくる謎の食材があった。

 えーと、サポニア? 

 ほーん……さっきの音はなんだったんだよ。

 何をどうしたらこの見た目と構造からさっきの音が出るんだ。

 

「ミツキ!」

 

「なーにー」

 

「こいつはどうやって調理したら良いんだ!」

 

「えぇ?」

 

 なんだこいつは! まるでわからんぞ! 

 ……異世界の料理はまるでわからん! 

 どこが可食部だ! 

 

「もー、しょうがないなあ……私がいないと料理もできないんだから」

 

「頼んだ!」

 

「まかせんしゃい!」

 

 本当に何もできん! 

 

登場したキャラクター等の名簿的なものは必要か否か

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