Muv-Luv Alternative Manchuria 作:ビリーT
※オルタネイティヴ世界線とは異なる確率時空でのストーリーです。
※参考文献 「MUV-LUV ALTERNATIVE INTEGRAL WORKS」及び「シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち」
「(ノイズ音)ちら――、こちら山海関絶対防衛線。(ノイズ音)TAの数が多すぎて対応出来ない
!至(ノイズ音)――軍に、海軍に砲撃支援要請を――
――1994年12月30日、渤海湾遊弋中の満洲帝国海軍総旗艦、海威が受信した無線」
◇ ◇ ◇
1995年01月03日 満洲帝国 山海関近郊
北京が陥落し、そのままの勢いでBETA共は我が帝国領へ侵攻してきた。
年末に山海関へ先鋒が迫り、何とか持てる戦力の全てを動員して一時的に退けることが出来た。
しかし、根本的に対処するためには間引きを行わなければならない。
威徳大隊はBETAの間引き作戦のため、初めての出撃を行う事になった。
天候は大隊員の不安を映しているのか、どんよりした曇天。
雪もちらついてきている。
「威徳02より各機。まもなく戦場だ。諸君らにとっては初陣となる。威徳01より訓示がある、総員傾注!」
「威徳01より各機。生き延びて帰還せよ! 以上だ」
「聞いての通りだ! 我々は簡単に死ぬことは許されない。帝国の為、ひいては世界の為生き延びろ!」
各機より「了解」の返答が続く。全員無事だと良いのだが……。
◇ ◇ ◇
万里の長城の東端にあたる山海関。
かつて秦帝国の時代には北方の騎馬民族を阻む城壁として建築されたが、現在はBETAを阻む境界となった。
城壁の外側には、数多のBETAが屍をさらしている。
後方の装甲列車から降り注ぐ砲弾が重金属雲を展開して行く。
重金属雲の展開の後、渤海湾遊弋中の我が帝国艦隊からの支援砲撃が到達する。
半数以上はレーザーに
そうして空いた隙を狙って我らは、後方中央に陣取っている
「威徳02より各機。これよりBETA中央集団へ突入する。目標は中央後方に居る
初陣の我々には少々荷が重い任務だが、他に動かせる戦力は無い。
我々がやらねばならぬのだ。
第二・第三中隊が先陣を切って突入して行く。
我々第一中隊は彼等が切り開いた後に突入し、
「こちら第三中隊、威徳25! 右翼の牽制は任されたし」
「威徳13、第二中隊! 左翼は我々が担当する」
各中隊長が配置につく。どちらも
我が帝国の新兵達と違って指揮は安心できる。
射撃戦が始まった。
通信からは、新兵達の叫びが聞こえてくる。
「うわあ……! 来るな! 来るな!」
「威徳35! 冷静になれ! 落ち着いて射撃せよ!」
BETAの対処を誤った威徳35が
右脚を折られた威徳35へ、血の赤を彷彿とさせる
「助け……(ノイズ)われるのは……(ノイズ)だ!」
刹那の後、威徳35のマーカーが消失した。
さらに次々と友軍を示すマーカーが消失していく。
しかし、彼等の死は無駄では無かった。
BETA群の中央に一瞬の空白が出来る。
「今だ! 威徳02より第一中隊! 血で勝ち取った道だ! 全員アローヘッド1でBETA群へ突入。
「威徳01了解。これより突入を開始する」
私はBETA中央集団に突入し、日本帝国謹製の74式長刀を構える。
後方より射撃支援が届き、目の前の
「陛下に続け! 後れを取るな!」
威徳03――七生――も74式長刀を構え、私の背後を守る。
一刀のもとに4体の
同様に七生も数体の
しかし、他の中隊員からの射撃でほぼ8割を倒せた。
残りはあと8体くらいだろうか。
レーザーの予備照射の合図だ。斉射される前に、切り伏せねば……。
「威徳03、前方左は任せた。私は右側を始末する」
「威徳03了解。陛下、参ります!」
合図して一閃。
私も七生も、残りの
「威徳02より第一中隊各機。
……ふう、何とか任務は果たせたか。
安心すると前進に震えが走った。私は上手くやったのか?
「山海関絶対防衛線司令部より威徳大隊各機! 装甲列車の装填は完了している。これより、残党BETA群へ面制圧を実施する。至急戦域から離脱されたし。繰り返す――」
戦場を後方に見ながら、私はポイント・チャーリーへ向かう。山海関の北、我が帝国領だ。
砲兵の出番とばかりに、山海関上やその後方の引き込み線の装甲列車から大量の砲弾がBETAの残党に降り注ぐ。
この日の間引き作戦は無事に完了した。北京市より突出したBETAはほぼ全て排除されたのだ。
ポイント・チャーリーに到着。点呼を始める。
生き残りは36機中26機。初陣にしては10機の損失で済んだのは僥倖であろう。
シュミレータでは散々見たBETAでも、実戦で見るのはやはり心理的影響が強いのだ。
大半が恐慌をきたして混乱した上の戦死だった。
「威徳01より各機。死んでいった者達に敬礼!」
しばし、失われた彼等のことを思い出す。
彼等はまだ20にも満たない若者だった。未来を見る権利があったはずなのだ……。