相変わらずの駄文ではありますが、よろしくお願いします!
どうもこんにちは、アビオルグです。
お昼前に仕事やってやるぞと意気込んだけれど、まあ見事にお客さんがやってこなかった。昼以降に客がこないってどういうことなのだろうか。いや、ココは特殊なのかもしれないが、昼をすぎると多くの生命が活発になるものだ。
夜行性の輩はいざ知らず、朝の気だるさも抜けて良い感じにお腹も空き、この日やることを大まかに決め終えて活動に移る最高の時間のはずなのだけれど…
「……むむむむむ」
「アオちゃん、心配しなくても明日も明後日も仕事あるからその戸棚のお菓子取られた子供みたいな顔してカウンターに仁王立ちするのやめよう。ね?」
「やる気スイッチ謎に入ったんだなアオ……」
「アオちゃん、扱いやすそうな性格してるよね。意外と」
ナズチさんの言うとおり、私は『かうんたー』とかいうお客さんを待ったりお会計をするところで腕を組んでなんとも言えない顔をしてる。
やる気の入ったものを挫かれるのは中々に辛いものだった。楽をできたと思えば良いのだが、それでもなにかこう、なんとも言えないやりきれない感情が渦巻いている。
とりあえずリオンさんにすごく失礼なことを言われた気がするのは聞かなかったことにする。
「ほーら、片付けて明日に向けて準備しなきゃだよー。これも仕事。そのやる気を活かしてよ」
「むぐぅ、わかりました……」
そうだ、まだ今日は一日目なのだから。悲しいことに強制労働はまだ続く。ならばこの謎のやる気を活かすことは明日以降もできるはずなので私は明日にやりがいを求めて今日を終えることにした。
強制労働2日目
ものの見事に誰も来なかった。
尋常じゃないほど暇だった。暇すぎてイビルさんが『ちえのわ』とかいうパズルゲームとやらを解いてしまうほど暇だった。私も挑戦してみのだが、全くできなかった。悔しかったので今度こっそり再挑戦してみようと思う。
特別なことは本当になにもなかったのだが、リオンさんからイビルさんの故郷のほうの話をいくつか聞けたのでそっちはなかなか有意義だった。リオンさんがうまく説明できないところはアルバさんがカバーして説明していて、赤、青、赤、青、男、女、男、女と目の前で対話している人がコロコロ変わっていくのは非常に奇妙な光景だった。
その話の中で気になったのは、アルバさんから聞いた話だった。そう、確か『モガの村』という村の話だ。
「あっちに詳しくないなら、モガの村も知らないのか?」
「名前は聞いたんですけど、土砂崩れの落石に阻まれたついでに黒い残念さんにも阻まれたので…」
「海の上にある村で綺麗なものだ。タンジアへの船もあるし寄るといい。特産品も多いし楽しめる」
「魚が美味しいんだよーあそこ!」
「美味しいものは興味ありますね…海の上っていうのも気になります」
「あとあそこには武器もロクに持たずにロアルドロスを狩ってくるような豪傑漁師がいたりする」
「それから運が良ければ…悪ければかな?変わった龍に会えるかもね」
「いくの怖くなってきたんですけど」
良くも悪くも興味深かったのでタンジアの港へ行く前に寄ってみようと思う。ちょっと怖いけど。
強制労働3日目
今日は結構人が来てくれた。
内訳のほうは人間10数人、ハンター4人、竜は0だったがアイルーが数匹だ。
ただ今日はナズチさんが手癖の悪いメラルーを捕まえて奥の小部屋に連れて行った時の恐ろしさと、数時間後にメラルーの毛が真っ白になってまるで生まれ変わったかのような顔になっていた驚きが心の中を占領していた。一体あのメラルーになにがあったのだろうか。『俺は、俺は世界中の人を幸せにするために生きるニャ!』とか叫んで駆け出して行った彼の背中を私は一生忘れないだろう。主にトラウマの要素として。
他にはイビルさんが居眠りしててリオンさんにど突かれたり、寝ぼけたイビルさんにアルバさんが腕を噛まれたり、私がアルバさんとリオンさんの能力をみてみたいと言ったばかりにドンドルマが一時的に大騒ぎになったりした。
アルバさんが本気を出せば真夏の砂漠のような暑さになり、リオンさんが本気を出せば真冬の雪山のような寒さになって完璧に天変地異だった。
正直、これは封印、隔離されるわと失礼ながら思った。いや、だってこんな急激な変化に適応できる生物クマムシくらいだもの。
強制労働4日目
今日も一般人からハンターさんまで色々な人間のお客さんが来てくれて適度に忙しかった。
けれども竜のお客さんは来なかった。ナズチさんに問うとあっさりと『アオちゃんの遭遇率が頭おかしいだけだよ』と言われたので中々に辛い。まあ言われてみればこのように人の姿には誰でもなれるわけじゃないので当然だけど。
どこぞの世界ではドキドキノコを喰ったら人になっただのドキドキノコの煙を吸ったら人になっただのしてその場に居合わせたハンターとラブラブ生活をしている話も聞くが、そんな奴らを見かけたら私の自慢の尻尾で真っ二つにしてやろうと思う。私には異性の縁なんて微塵もないのだぞ。不公平ではないかこんなの。私は認めない、私を納得させたければ今まで人になってハンターや商人に会っても『狩場にいるとあぶねぇぞ』とか『町まで乗ってくかい』と声はかけられてもその先の決してない私に納得のいくような出会いをもってくることだ。
「アオ、何に対して語ってるんだお前」
「弱肉強食より理不尽な世の中に対してです」
「アオちゃんの顔が今までにないほど黒かったよ今」
実は練習しているのだが、顔に考えていることが出るこの性質は未だに直っていなかった。
だが、今回はそれすら気にならないレベルで謎の怒りに燃えていたりした。
強制労働5日目
なんだかんだで慣れてきた今日この頃。
今日は一般の人間の来訪がとても多かった。なんでも近々お祭りがあるらしく、食料品や家具、その他諸々揃ってるこの穴場を知っている人はこぞってここにやってきたというわけらしい。
この穴場を知っている人は祭の準備に強いらしい。そりゃこの謎の品揃えの良さだから当然だろうが、本当にどこから仕入れているのだろうか。この前なんてナズチさんがハンターの武器を持って『店先に並べたら見栄えいいと思って』なんて笑ってたが、それは元々誰のものなのだろうか。まさかとは思うが盗品、さらに言えばどこかのハンターをぶち殺してその亡骸から剥ぎ取ってきた物ではないかと色々暗い方向に想像したが途中で考えることをやめた。おそらくは正規のものだろうし、仮に他人のものだったとしても事後ならばもうどうにもならない。そう、この世界は弱肉強食なのだから。
「無理やり締めた感あるけどナズチさんあれ本当にどっからとってきたんですか?」
「密林でハンター3人ぶっ殺してねー」
「聞くんじゃなかった…」
「冗談だよ。知り合いから古くなった素材を貰ってその素材で注文してたのだよぉ。戦闘嫌いだしねぇ」
「あ、なんだビックリしましたよ…」
かなり安心した。これで本当に盗品だったらあの武器使ったら呪われそうだ。まあハンターは先人の亡骸を防具にするような罰当たりもいるのだから大丈夫かもしれないが。
「むしろ秘薬やらなんやらのほうが血が染み付いてて…たまに夜にカタカタと…ね?」
「いやまさかそんな」
ま、まさかそんな。盗んだとしてもきっと殺すまでしてないはずだ。ナズチさん、良い人だし。大丈夫な……
カタ…カタカタ…
「う、うわぁぁぁぁぁあああ!!」
「ほ、ほらね!?たまにこんなことが起こるから意外と怖くてさ……」
(あいつめっちゃびっくりしてるな…)
(良い反応だね!アオちゃん慌ててる慌ててる)
(いやー、リオンもイビルちゃんも上手くやってくれたなぁ)
3人の悪巧みだったと私は知ることもなく、この日の夜は結局寝ることができなかった。
そして強制労働6日目。
昼過ぎまでいつも通りに仕事をこなしていたのだが、人の出入りが落ち着いた頃にやってきたお客さんに私は、いや、私とイビルさんは戦慄した。
「こんにちは。」
「いらっしゃ……あ、あなたは……まさか……」
「ん、どうしたアオ………な……」
今日はもしかしたら、お仕事始まってから初の修羅場かもしれません。
来客は誰だったのか……って二人の反応的にわかりそうな気もしますが、次回をお楽しみにしてくださる方がいると嬉しいです。