ONE PIECE RESTART   作:ウェイブロック

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ウタ

ある島――

 

 その島に家が建てられてて、そこである女性が住んでいた。

 その女性の名はウタ。

 かつて世界の歌姫にして大海賊〝赤髪のシャンクス〟の娘である。

 彼女は父シャンクス達赤髪海賊団とのすれ違いにより複雑な人生を送ってきた。

 その末に自身の暴走が収まり、静かに最期を迎えた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かと思われた。

 

 

 

 だが、彼女は奇跡的に生き延びていた。

 暴走の代償として自身の肉体が半分ぐらい機能できなくなっているが……とにかく彼女は生きていたのだ。

 凄まじき感情の嵐を経てきた為か、何か真っ白に燃え尽きたかのようなウタは誰にも知られにくい島で静かに暮らしていた。

 そんな彼女にまでも〝巨大な戦い〟の影響が及んでいた。

 

 

 

「…ルフィ……!」

 

 自身にとっての大切な幼なじみであるルフィの敗北――死を知らされたウタは衝撃を受け、涙を流した。

 

「…それに…シャンクスと皆まで…」

 

 続いて赤髪海賊団の末路まで知らされたウタは目から光を失ってしまった。

 

「…私は…ここで一体何してたんだ……?」

 

 大好きな人々が苦しんでいる間にもぼんやりとしていた自身をウタは攻め続けた。

 

 攻めて――

 

 攻めて――

 

 命が尽きるその瞬間までウタは自身を攻め続けた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!!?」

 

 ハッとするウタは目の前のものに目を見開く。

 それは――

 

 自身の人生を変えるきっかけ――「Tot Musica」の楽譜だった。

 その楽譜とはエレジアでの事件以来、姿は愚か影も見ていなかった。

 それが久しく目の前に姿を現しているのに動揺したウタだが、ふと自身の姿に視線を移すと――

 縮んでいた――子供の姿になっていた。

 混乱しながら周りを見回すと、見覚えのある景色――そう歌の魔王「トットムジカ」に滅ぼされる前のエレジアだった。

 そこでウタは思案する。

 

「もしかして過去に戻った?」

 

 過去――それも悲劇が起こる以前、まさに自身が「Tot Musica」の楽譜を歌おうとする直前だったのだ。

 そう結論づけるウタは冷や汗が出て、手に持つ楽譜をすぐ手放つ。

 

「危なっ!!?」

 

 床に落ちた楽譜を見るウタは息を切らせてしまう。

 何かがどうなってるのか分からないが、少なくともせっかく自身が悲劇を引き起こす以前に戻れたのにまた悲劇を引き起こすなんて冗談ではなかった。悲劇を引き起こさない為に楽譜を歌わないようにしなければならない――

 

「あれ?」

 

「(もしかしてこれってチャンスじゃ……)」

 

 そうなのだ、過去に戻れたという事は――

 

「(今なら――ルフィを支えて―あの戦いの結果を変えられる!)」

 

 エレジアでの悲劇を引き起こさないのはもちろん、ルフィを支えながら〝巨大な戦い〟の結果を変えられるチャンスなのだ。

 

「(それならば、ぼんやりしてられな――!)」

 

 そう考えているウタはふと床の楽譜に目を落とす。

 「トットムジカ」の正体が歌を愛する人々の寂しい・認めてほしい・見つけてほしいといった誰もが持つ負の感情の集合体であるのを知っているウタはそれをほっとけられず――拾った。

 

「(…多分あなたはここで捨てても再び私の前に姿を現し続けていくのだろうね……それなら――)私の旅に同行してみる?」

 

 ウタのその言語に物言わない筈の楽譜はしかし、心なしか符号が微かに光り輝いている――気がした。

 それを受けてウタは微笑む。

 

「どうせなら――歌の魔王の心さえも癒やす世界の歌姫になってやろうじゃないか!」

 

 ウタはそう意気込む。

 

 

 

〝前〟では歌の魔王「トットムジカ」に滅ぼされた音楽の島エレジアは〝今〟では平穏無事に赤髪海賊団の出港を見送った――

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