大富豪になったけど周囲から狙われてます 作:見た目は大人、中身も大人
「もうめんどいからスキル全部持って行っていいよ」
その言葉が俺が転生する前に最後に聞いた言葉だ。そう、俺は転生者だ。
転生前の俺はFateに登場するスキル“黄金律”を見るたびに思っていた。これさえあれば金持ちになれる、と。まぁ、探せば他の作品でもそれらしいものはあったかもしれないがこれが一番わかりやすかった。
そんなわけで俺は転生するならこの“黄金律”をもっていきたいと考えていた。そんな風に考えていたせいか俺は流行りの異世界トラックを受けて神様に転生させてもらえる事になった。
「何が欲しい?」
「Fateの“黄金律”のスキルで!」
「んー。それ以外には? 5個くらい選んでいいよ」
そんな感じでいくつか言ったのだが最終的に最初の言葉になったわけだ。どうも俺を転生させてくれた神様はめんどくさがりだったようでFateの複雑なスキルを調べるのがだるかったらしい。結果、俺はFateの膨大なスキルを入手できたというわけだ。
とはいっても大半のスキルは使う事はないだろう。そもそもFateのスキルは戦闘用の物ばかりで役に立たないだろうからな。しかも中には狂化のようなやばいスキルまである。絶対に使う事はないだろう。ちなみに、スキルは全てオンオフ切り替えるようになっている。使わないとオフのままで置けばいいから楽ではあるな。
そんなわけで現代に転生した俺は転生特有の神童ムーヴを学生の頃は行い大学生になると本格的に動き出した。先ずは“黄金律”の力を試すべく宝くじを買ったのだがこれがもう凄いのなんの。その気になれば一生遊んで暮らせるだけの金が手に入りそうになった。
続いてそれらをもとに“直感”と“黄金律”を組み合わせて競馬や競輪、競艇をやってみたがこちらも大当たり。大金を手に入れる事が出来た。この間僅か一月だ。ひと月で成金となった俺だが名目上でも職が欲しいものだ。ギャンブラーが職なんてあまり良い印象は持たれないからな。なので会社を設立してみる事にした。内容としてはIT関連やゲームなどの遊び全般だ。運が良いのか俺が成人した時はパソコンが普及し始めたばかりの頃だ。携帯やスマホ、更に動画投稿サイトを先取りすれば利益を得る事も出来る。アニメだってそうだ。実際に作った人には申し訳ないがこちらで作れば予め売れる作品を扱う事が出来る。
まぁ、夢は大きいがそこまで行くには十何年、それこそ二十何年の歳月が必要不可欠だ。気長に待つしかないだろう。なので最初はIT一本に絞ってやっていく。
そうして始めた会社は当然ながら直ぐに軌道に乗った。パソコンが普及し、それ関連の仕事が大量に発生していたからそれらに乗れば簡単だった。僅か1年で社員は50人にまで増え、そこそこ名が知られるようになった。だが、俺の会社の大躍進はここからだった。俺は試しに“カリスマ”や“軍師の指揮”と言ったスキルを発動してみた結果、社員が目に見えて調子が良くなり、やる気がアップ。成果を見る見る出すようになった。どうやら仕事も戦闘と考えられているようだ。
社員全員の能力が向上したことで会社は更に成長を遂げた。そして、俺が26歳の頃には会社は社員数百人を抱える一流企業へと成長を遂げていたのだ。僅か数年で一流企業になったことでテレビの取材が組まれたりもしたがここらへんで俺は社長業を譲り、会長となった。何故かはわからないが常時発動している“直感”がまだまだいけると言っていたのだ。
なので俺は兼ねてからの予定通りゲーム会社やアニメ会社を作った。資金源は“黄金律”で困る事はなく、常に万全の状態で始める事が出来ていた。まぁ、少し恨まれそうな事をして大金を得たこともあったが問題ないだろう。少なくとも警察に捕まるような事はしていない。
これらの会社は2020年以降の人気作品を基本的に扱っている。技術の心配はない。俺の最初の会社が全面的にバックアップしたからな。ちなみにこれらは型月グループと呼んでいる。まぁ、名前の由来は言う必要もないだろう。
とはいえこの時点では2000年程度の時代だ。質の良いグラフィックを最初から作り上げるのは違和感があるためにこの時代に合わせたものにしている。流石にうちの会社でも20年以上先の技術を先取りは難しかったからな。
だが、その一方で動画投稿サイト“スマイル”を開設した。これはユー〇ューブや〇コ〇コ動画よりも数年早く出来たためにあっという間に利用者が増えていった。アカウントさえ作ればだれでも投稿できるというのが刺さったようだ。ちなみにここから得られる利益は0。むしろ維持費でマイナスだが将来的に考えれば必要経費だ。どうせ金はいくらでも手に入れる事が出来るのだから。
そしてここら辺から俺はお金を使った遊びをするようになった。とはいっても慎ましいものでキャバクラに行ったり高級店で食事をしたりだな。ゲームとかアニメに関しては自分がやりたいものはほぼ全て自社製品が作っている為に態々買う事もなく手に入ってしまうためにお金はかからない。ああ、しいて言うなら豪邸を建てた事だろう。
三階建ての豪華な屋敷で、エレベーター付きの洋館だ。これだけの屋敷を手に入れたがその大半は趣味部屋だ。ゲームや玩具を置き、そこで遊んでいる。それとこれだけの屋敷を維持管理する信頼でき、能力もある執事やメイドを雇っている。雇うからには徹底的に管理してもらうがその分待遇はよくしている。金をケチる必要はないんだからな。
そうして、俺が30歳になるころには日本を代表し、世界にまで知れ渡る型月グループ会長として俺は君臨していた。僅か10年程度の時間で俺は億万長者となっていたのだ。
まさに順風満帆。人生イージーモードと喜んでいたのだがそれも直ぐに崩れ去ることとなった。
人生山あり谷ありとはまさにいったものだ。
最高の人生だった分、最悪の結末がやってくるのはある意味では当然なのだろう。
俺が30歳の誕生日を迎えた時、親孝行も兼ねて訪れた旅行先で
「あれれ~? おかしいぞ~?」
「(おかしいのはお前の方だ!)」
殺人現場にて、平然とウロチョロする、青いジャケットを羽織り、赤い蝶ネクタイをつけた小さな名探偵に。
そしてこの日から、俺はこれまでの人生の歩みのツケを急速に払わされることになるとは全く想定していなかったのだった。