大富豪になったけど周囲から狙われてます   作:見た目は大人、中身も大人

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展開が急すぎたような……。取り合えずコナン君と再会します


第四話「事件に遭遇」

「会長。ポストにこんな手紙が入っておりました」

「んあ?」

 

 美女に体を洗ってもらい、温泉旅館並みの施設で極楽気分を味わった事で熟睡出来た俺は早朝から中村に変な手紙を渡された。差出人は個人的に金を貸している中田というやつからで、金を用意できたから受け取りに来てほしいというものだった。

 

「ちっ。呼び出しかよ」

「いかがなされますか?」

「……仕方ない。向かってやるさ。あいつは借りる側なのに妙にプライドが高い所があるんだよなぁ」

 

 そんな中田に金を貸し、こうして出向いてやろうとしているのは簡単だ。俺の高校時代の同級生だからだ。当時からプライドが高かった中田は何かにつけてこちらに絡んできていた。とはいえそれは真っ当なライバル心からであり、俺も多少は好意を抱いていた。いつも強引でイラっとさせられることは多かったがな。

 そんな中田と再会したのは半年前の事だ。なんでも実家が借金を作って離散したらしく、職も失い金に困っていたらしい。なのでいくらか金を貸したのだがその時もあいつが住んでいる部屋だったなぁ。……ほんとなんで金なんて貸したんだろう。

 

「車を出しますか?」

「いや、ここからあいつの家までは30分くらいだし運動がてら歩いていくさ」

 

 まぁ、実際は“直感”スキルが何故か歩けと言ってきているからだがな。流石に1時間を超えるようなら考えたがこのくらいならな。だが、“危機感知”に反応がないのは俺には危険がないのか、それともまだ危険ではないだけなのか。まぁ、そのうち分かるっしょ。

 

「んー! 今日は良い天気だ」

 

 天気予報め。何が「明日は曇天のじめじめとした日となるでしょう」だ。全然そんなことないじゃないか。別に雨が降っても問題はないが“直感”で天気も当てちゃうか? いや、別にそんなことで使う必要もないか。

 

 

 

 

 

 

「中田ー。来たぞー」

 

 30分かけて中田が住むアパートに来たわけだが返事がない。ふむ? おかしいな。手紙には今日は一日中家にいるという話だったが……。

 

「いないのか? ……お? 開いてる……」

 

 試しにドアノブをひねれば鍵がかかっておらず、簡単に開いてしまった。これは、どう考えてもおかしい。“直感”スキルを使うまでもない。これは明らかにおかしい。だが“危機感知”にいまだ反応はない。つまり俺の命に関わるようなことはないという事だ。

 

「……」

 

 どうするべきか。何時までもここにいるのは不味いがだからと言って部屋に入るのも……。いや、ここは入ってみよう。“直感”もそういっている。

 

「中田……?」

 

 部屋の中は特に怪しい物はない。普通の家だ。玄関には靴が一足のみ。少なくとも中田は部屋にいる? 部屋は入って直ぐがダイニングで奥がリビングとなっている。俺は自然と喉を鳴らしながらリビングの扉を開けた。

 

「中田……っ!? 中田!」

 

 そして、俺はリビングに置かれたソファの上で、胸にナイフを突き刺して死んでいる中田を目撃したのだ。あまりの出来事に一瞬思考が停止する。……が、“沈着冷静”の効果で直ぐに冷静さを取り戻した。深呼吸をする必要もないくらいに俺はあっという間にこの状況に対し、冷静に考えられる思考能力を取り戻した。

 

「とにかく、警察に連絡だな……」

 

 俺は最近普及し始めたばかりの携帯電話で警察に通報する。こういう時、現場は荒らさないで保存する事が最善だという事は分かっている。だからそうして……。

 

「あれ? なんでこの部屋だけドアがあいてんだ?」

「ああ! 駄目ですよ元太君! 勝手に入っちゃ!」

「元太君!」

 

 ……。

 

「? おじさんどうかしたの?」

「す、すみません! 勝手に入ってきちゃって……」

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……。

 

 ……ああ、なるほどね。とりあえず。

 

「勝手に部屋に入るな!」

「ひっ! ご、ごめんなさーい!!!」

 

 ほんと、死神君もとい江戸川コナン君は事件がある場所にはどこにでもいるんだな。俺は改めてこの世界が名探偵コナンの世界であると目の前の江戸川コナンと愉快な少年探偵団を見てそう思うのだった。

 

 

 

 

 

「亡くなられたのはフリーターの中田文雄30歳。死因は胸を刺されての失血死です」

「ふむ」

 

 その後、警察が到着し、現場検証が始まったのだが俺の目の前には警察側の主要人物である目暮警部と高木刑事がいる。佐藤刑事はいないようだから俺が知っているメンバー勢ぞろいというわけにはいかなかったようだな。

 

「んで? 第一発見者が……」

「俺だ」

 

 現場検証が一通り済んだためか俺の方に話が振られたために素直に名乗り出る。こういう時、警察に敵対的な対応をするのはそれだけで心証が悪くなる。よほどの事でもない限り素直に従っておくのが吉だ。

 

「ん? どっかで見た顔だが……」

「ああ、彼は型月グループの創設者である小澤亮さんです。中田文雄さんとは高校生の同級生との事です」

「おお! あの型月グループの! 道理で見たことがあるわけですな!」

 

 やはりこういう時に知名度は便利だ。それだけ印象が良くなる。普通の世界なら有名税と鬱陶しく思うかもしれないがこの世界なら別だ。

 

「それでは小澤さん。申し訳ありませんが発見当時の様子を教えてもらますか?」

「勿論です。今日、私が起床すると秘書から中田からの手紙がポストに入っていたと言われ、確認したら貸した金を全額返済したいから来てくれと書いてあったんです。なのでここまで来たのですがインターフォンを鳴らしても応答がなく、ドアノブを回してみれば開いたので悪いとは思いましたが中に入ったら……」

「中田さんが死んでいたと?」

「はい。私もまさかこんなことになるとは思わず……」

 

 ここまでの話で特に嘘はついていない。強いて言うなら“直感”スキルに従い行動したという事を言っていないだけだ。

 

「あれ? 小澤さんって有名人なのにボディガードとか連れていないの?」

 

 そんな時だった、後ろの方から幼い声が聞こえてきたのは。後ろを振り返ればそこにいたのは先ほど追い出したはずのコナン君一味。どうやら事件と聞いて勝手に入ってきたようだ。そしてどうやらコナン君はいつものように話を聞きに回っているのだろう。

 ……が。

 

「は? なんでガキにそんなことを言わないといけないんだ?」

「え?」

「それにお前らは部外者だ。子供がいるような場所じゃねぇよ」

 

 そういって俺はしっしと手で追い払うジェスチャーをする。確かにコナン君がいないと解決しない事件が多々あっただろう。だからと言って何から何まで関わってこようとするのはいただけないな。俺は詮索されるのが嫌いだからな。

 

「ま、まぁ落ち着いてください小澤さん。彼らも発見時には近くにいたので色々と話を聞いているのですよ」

「……そうですか。別に構いませんよ」

 

 とはいえあくまで気に食わないってだけで積極的に追い払おうとはしない。流石にそれをやったら印象は悪いだろうからな。どういうわけかこの世界の警察は部外者を平気で現場に入れてくるからな。

 さて、そんなこんなで捜査が進み、犯人らしき人物が3人程浮上してきた。

 1人目がこの部屋、202号室の隣、201号室に住む金木良子28歳。専業主婦をしているらしく、事件当時はずっと部屋にいたという。

 2人目が203号室の古田利通45歳。漫画家で警察が来るまでずっと部屋にいたという。

 最後が1階下の102号室に住む石和拓真21歳だ。大学生で今日は講義がないために部屋にいたという。

 何故この三人が犯人なのかというと中田の部屋は玄関のドア以外全てがカギがかかっており、加えて、アパートはこの4人しか入居者がおらず、アパートの目の前にはコンビニがあって出入りは確認されていないようだ。側面と裏側は人が出入り出来るような場所ではなく、侵入は困難。そうなればこの3人が犯人として候補に挙がったというわけだ。

 

「死亡推定時刻は8時から9時の間。だが全員部屋にいたとアリバイはなしか……」

「警部、中田さんを刺したナイフは深々と胸に刺さっています。金木さんには犯行は難しいのでは?」

「だが念のためだ」

 

 ふむ。つまり3人ともアリバイはなく、犯人候補だがどうしようもないというわけだな。となると、動機だが……。こういう場合、全員に動機があるんだよなぁ。

 

「ほう? では前々から苦情を言われていたと?」

「はい。日中、私が掃除機をかけているといきなり部屋の壁を叩いてきて怒鳴ったり、玄関でインターフォンを何度も押して叫んでいたりしていました」

「それは古田さんも同じだと?」

「はい。たまに会うと辛気臭い、部屋を出ていけ。気分が下がると罵倒されていました。それに、お前の漫画なんてつまらないと出版社に持ち込む予定の原稿を踏みつけられたことも……!」

「……で? 石和さんも?」

「あ、ああ。真上なのをいいことにドスドスと動き回っている事もあってうるさかったよ。それに、何度かガキがこんなところに住んでんじゃねぇ! と怒鳴られたことだってあったし。正直、もう少ししたら引っ越そうかと思ってたところだよ」

 

 ハハハ。どうやら中田はプライドが原因でクレーマーとなってしまっていたようだな。少なくとも俺と接していた時はそんな雰囲気はなかったのにな。

 

「ふむ。困ったことになったな」

「ええ。全員に動機があり犯人でもおかしくはないが全員にアリバイがないために誰が犯人なのかわからない」

「いつもの難事件とは真逆だな」

 

 そう、今回の事件は普段よく見るような全員にアリバイがあり、殺人は不可能という状況ではなく、誰もが犯人になりうる為に誰がやったのか分からないという逆のパターンだ。

 

「鑑識さん。何か指紋は出ましたか?」

「いえ。残念ながら。ですが、リビングの所だけいくつか指紋が消えている個所があります。恐らく、手袋をした手で触ったためかと」

「つまり犯人は最初から指紋を残さずに殺害するつもりだったわけか」

「あの……」

 

 その時、古田がおずおずと手を挙げた。

 

「実は昨日の昼頃中田さんの部屋で誰かと争っているのを聞きました」

「なんだって!? で? 相手は!」

「い、いえ残念ながら相手までは……。中田さんがずっと大声で何かをわめいていた事しか……。金木さんは聞いていないですか?」

「はい。それなら聞きました。ですが、中田さんが叫んでいる事しか……」

「そうですか……」

 

 ふむふむ。順調にパーツは集まってきているな。ほらコナン君。君の好きな推理に必要な素材は少しずつそろってきているぞ。頑張って解いてみるんだ。

 ちなみに、俺は犯人が誰かわかっている。とはいっても“直感”によるものだから伝えることは出来ないがな。まぁ、コナン君が名探偵ならこのくらい平気で解くだろう。俺はそれを高見の見物とさせてもらおうかな。別に中田に貸した金が回収できなくても何の損害もないしな。今はこちらの方が面白そうだからな。

 

「なぁ! こいつが犯人じゃないのか!」

 

 と、コナン君一味のデブが俺を指さすまでは。

 

「あ?」

「だってこいつがだいいちはっけんしゃ? なんだろ? ならこいつが怪しいじゃんか!」

「そうです! その通りですよ元太君! つまり、話はこうです! 小澤さんはお金を受け取りに来たけど中田さんはそれが出来ずに待ってほしいと頼み込み、口論になってとっさにナイフで中田さんを刺したんです!」

「そして慌てた小澤さんが第一発見者の振りをして自分の潔白を証明したのよ!」

「……」

 

 ……本当にこのガキどもは。

 

「あ、あのね君たち? 小澤さんは見ての通り返り血なんて浴びてないし両隣でそんな口論を聞いていないんだよ? それに小澤さんが来た時間と通報した時間から殺害は困難なんだよ?」

 

 高木刑事が突っ込み所をついてくるがガキどもはまだ不服そうだ。どうやら、こいつらは俺をそんなに犯人にしたいらしい。まぁ、確かにそういわれれば怪しいのかもしれないがせめて矛盾していない推理をしてほしいものだ。

 

「す、すいません小澤さん。子供たちが……」

「……別にいいですよ。子供なら時には無神経に人の事を悪く言うものです。特に、こいつらのような探偵ごっこで探偵にでもなった気でいるガキどもはね」

「は、ははは……」

 

 俺の言葉に怒りを感じたのか愛想笑いを浮かべる高木刑事。そして俺をにらみつけてくるガキども。こうして、警察関係者とは良好な関係を築く一方でコナン君側の主要メンバーとの仲は悪化する事となったのだった。

 




本当は色々と証拠品が見つかったり、コナン君が何時ものムーヴで確証を得ていくようにしたかったのですが書いているうちに諦めました。自分にトリックを考えるのは無理だと分からされました。
黒の組織との対面は次回です(その予定)
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