どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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気分転換。息抜きのようなもの。
時系列とかあんまり考えてない。
できればドーム前に新居に引っ越してきた星野家は、新居に住み出して一ヶ月近くは経ってると思ってほしい。


あとメインの方読んでくれている人ありがと愛してる。


どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。

この世の中に神様がいるかもしれない……なんてくだらないことを思ったのは学生の頃だっただろうか?

そんなことを思いながらビールを煽る。

……うまい。

今日はお金も入ったし、今月の俺は頑張った。

そのご褒美に俺は普段よりいいビールを買って飲んでいる。

 

「まーまーもう一杯」

 

「……ありがとう」

 

「いーのいーの。おっとっと!」

 

……綺麗に注ぐなぁこの子は。

グラスに注がれたビールの見事な黄金比に少し見惚れる。もう缶ビールを何本開けただろうか?四より先は覚えてない。だがまだまだ飲めてしまうのはビールが美味いというのと、この素晴らしいビールの黄金比を見て楽しみたいのもあるのかもしれない。

 

「ほら、ツマミもあるぞ」

 

「……助かる」

 

……良いツマミをだしてくれるなぁこの子は。

……いや、うまいな……昔から思うが……こいつ酒飲んでないだろうな?

焼いた枝豆なんか柚子胡椒風味。

刺身もあるし……おい、このソーセージ俺がこの間貰った良いやつだろ?まったく……うっま。え?アヒージョもあるの?ガーリックトースト付き?お前は俺を喜ばせる天才か?

欲しい?食え食え。

 

「あー、うまい」

 

俺は昔から良く食べる。

酒を覚えてからはその食欲も増したと思う。

体調管理や体重管理が大変ではあるが、苦しいそれを止めるとブクブク肥るからなぁ。身体を動かす仕事でもないし、自分の時間も調整したら取れる。その間にジムにもこまめに通ってたりと……はぁ、面倒だ本当に。……ビールがうまい。

 

「ねぇ、お兄ちゃん」

 

「なぁ、兄さん」

 

「……なんだ?」

 

紅と蒼の宝石のような瞳が俺を見つめる。

はぁ……またこれだな。何度繰り返しても俺の答えは決まっているというのに……。

 

「そろそろ良い頃合いだと思うんだよね」

 

「あぁ、そろそろ兄さんもいい歳だし」

 

「……」

 

「「うちの母を貰ってください」」

 

「やだ出直せ」

 

「はぁあああ!?出直せ!?」

 

「うちの母さんに何の不満があるんだ」

 

「まったく……何度も言っているだろうに」

 

まったくこの子達は……。

……はぁ、先程までの献身的な様子は何処へ行ったのだろうか?

何故か俺の家に侵入しており、晩酌の相手をしてくれるのは隣人の子供達。

まず……先程までとは違い、荒々しくビールを注ぐのは星野瑠美衣。

あーあー、泡だらけじゃねぇかよ……良いビールなんだぞ?これ。あ、こら、次々開けようとするな。まだ飲んでる最中だ。飲めるけどやめなさい。

……俺のツマミを食いだしたのは星野愛久愛海。

お前は酒に手を伸ばそうとするな。俺の目の前で飲もうとするな阿呆め……飲むなら俺の目の前以外にしろ。……いや、マジで成人までは飲むなよ?お前の母親泣くぞ?面倒なんだからマジでやめろよ?

 

「まったく……どうしてこうなるかねぇ?」

 

本当に、神様がいるならクソ喰らえだな。

なんて思いながら俺は昔を思い出すことにした。

あれは……そう。遡れば十年ほど前だろうか?

 

 

 

隣の部屋に人が引っ越してきた。

挨拶に来た奴は柄が悪そうではあるが、どことなく苦労人の気配を感じる。もう一人はあまり見たことがないと思うぐらいには美しかった。

俺は思った。

 

【クソ厄介なやつだこれ】

 

訳ありというやつ。

大体どんな家族構成?親子?そんな雰囲気ではない。ならなに?厄介ごとでしかないだろう?

高校生の俺はそんな厄介そうなのが隣に住むということに正直面倒だということを感じてしまった。だが同時に近所付き合いなんてのをしなければ良いと思いなおし、すぐにそんな考えは放り投げた。

幸いそれなりに良いマンションだということもあり掃除なんかは管理会社がやってくれるし、組合のようなものもない。たまーに会えば会釈だけしておけば良い。なんて思っていた。

 

「あー……えっと」

 

「ども」

 

……子供がいた。それも二人。

ある日エレベーターに乗ろうとした時だった。

どこかに行った帰りだったのだろうか?

時刻は平日の昼前。本来なら学校に行っているはずの俺はサボりで帰宅。柄が悪そうな男と美少女は生まれて数年ほどの赤子を抱いていた。

……ふぅ、なるほどなるほど。頼むから、何も言わないでくれ。そんな俺の願い。

 

「隣の人だよね?」

 

話しかけないでくれ頼むから。

 

「あ、はい」

 

「改めて挨拶させてね。星野アイです。こっちはアクアマリンとルビー」

 

「あ、はい」

 

「おいコラ!お前いきなり何言って!!それにそっちがルビーでこっちがアクアだ!」

 

「あれぇ?」

 

「……」

 

やめてぇ!!!

俺の平穏な一人暮らしに爆弾を放り込まないで!!

……そう。俺は一人暮らしなのだ。

母親は早くに亡くした。愛人を作っていた父親は金だけはあるらしく、高校生になればこの家と生活費だけ寄越して後は放置。俺はこの快適ライフを満喫するために高校はそこそこにして文字を書くお仕事を細々としている。

幸いある程度の才能はあったのか、振り込まれる生活費にはほとんど手をつけなくても生活はできるほどに稼ぎはある。

ただでさえ自分が厄ネタだと自覚しているのだ。

平穏に過ごすためにも関わらないでほしいというもの。

ここはさっさと逃げるのが一番だと判断。

 

「あ、俺はこれで。では……」

 

「あ、ちょっ!待ってくれ!!」

 

「え?……あ、はい」

 

柄が悪い男に呼び止められた。

 

「その、なんだ。こいつの事……知ってるか?」

 

「いや全く」

 

即答である。

いくら美少女と言っても自意識過剰だろうそれは。

 

「本当に?本当だな?」

 

しつこい奴だなぁ……知らんと言っている。

たぶん俺はこの時、心底嫌そうな顔をしたのだろう。

何故か安心そうに胸を撫で下ろした男。そしてもう一つを見た俺はさっさと自分の家へと戻る。

 

「…………」

 

まるで星のように輝いた瞳。

俺はそれに見つめられた時、怖気が走るような気分だった。何というか、まるで……。

 

「珍獣を見た」

 

なんてそんな目。

ドクンドクンと脈打つ心臓が気持ち悪い。

……これからはできるだけ会わないように心がけながら外出をしよう。

 

 

 

そんな俺の願いは何処へやら?

ある日俺が外に出た時、通路の先から見慣れない怪しい男が歩いてくる。

……なんだ?アイツ……。花束なんか持って。

すれ違う瞬間、やけに緊張しているのか異様なまでに視線を向けられた気がする。

エレベーターホールにつき下に向かうためにボタンを押した。

 

「白い薔薇ねぇ」

 

職業柄、様々な知識を覚える。

白の薔薇の花言葉は何だっただろうか?

 

「純潔、無邪気」

 

あとはブライダルローズなんか呼ばれていたか?

ならイメージ的にはおめでたい日なんかが合うだろうか?

 

「十本……だったか?」

 

何だっただろう?完璧とか何かだったよな?

完璧ねぇ……俺とは程遠い言葉だなぁ。

 

「後は……花の状態にも意味があったよなぁ」

 

そこまで考えているとエレベーターが到着した。

確か……つぼみだと恋をするには早い。

枯れていると生涯を誓う。

折れていると……純潔を失う。

 

「死を望む」

 

身体が動いた。

嫌な予感だった。

恐る恐る……移動をする。

俺は自分の部屋の方を見るために通路へと顔を覗かせた。やけに呼吸が早そうな怪しい人物が、やけに嫌な雰囲気を纏いながら俺の部屋より一個手前の部屋のインターホンを押す。

そりゃそうだ。この階には少し前まで俺しか住んでいなかった。ならばアイツは俺の部屋の隣に住む人物に用がある。

 

「ッッッ!!!」

 

息を呑んだ。

隣人の部屋の扉が開き、軽く会話をした姿がやけにスローに見える。

俺、こんなに走れたんだな……。最近は学校もサボり気味で、体育なんて出ていないし運動とか全然なのに……。

キラリと光る鋭い刃物。

それはそっと、隣人の腹部へと向かおうとしていた。

ドンッという衝撃。鈍い痛み。頭が痛い。

続いて鋭い痛みが手に走る。

ドロリと掌を伝う嫌な感触。

遠くなる意識の中で見えるもの。

俺より少し先に倒れて動けない男と、二本の棒。

あぁ、あれくらいの長さの栄養食は毎日のように食ってるなぁ。あれ、締切間近になってる時とか物凄く助かるんだよなぁ……いや、指やんけ。

悲鳴を聞きながら、俺の意識は無くなった。

 

 

 

気がつけば病院にいた。

起きた時医者に説明を受けた。

あの気を失う前に見た指は俺のものだったらしい。現に今……俺の右手にあった筈の人差し指と中指がない。

仕事どうしよう?ペンも握れない。

まず考えた事はそれだった。

次に警察が来た。

隣人はストーカーに襲われたらしい。

俺が偶然助けたこともあり、無事で怪我もないそうだ。それは良かった。中指を立てたい気持ちになったがあいにく俺の指はなかった。ふぁーw wきゅー。

続いてと言っては遅すぎるが父親が来た。

高校卒業次第親子の縁を切ると言われた。

それまでは生活費は出してくれるし、今の家もくれるらしいし実に太っ腹である。ただパッパ?俺留年するかもだからもう一年学費出してね。ハート。

 

「この度は、本当に申し訳なかった」

 

柄の悪い人が来た。

開口一番に謝られた。

綺麗に菓子折りまで持ってきて挨拶に来たが、あいにくと指がないのでお菓子が開けにくい。誰か開けてくれ美味そうだから食べたい。

責任は取るとか慰謝料がどうとか言っているが、正直今はそこまで考えることはできない。俺もこんなテンション……割といつも通りであるが……今日のことで疲れているのだ。

 

「あの、今日は帰ってもらえませんか?」

 

思わず口から出たのはそんな言葉。

対応ミスったなぁと思ったが、意外とすんなり帰ってくれるらしい。帰り際にできる事はするから何でも言ってくれと言われたのでテレビカードを買ってきてもらいその日は帰ってもらった。

重い身体を起こしてテレビをつけると、どのニュース番組もアイドルグループの一人がストーカーに襲われかけたこと、そしてそれに伴ってドーム公演が延期になったことが報道されている。

 

「いや、こいつ隣人やんけ」

 

映像で流れるアイドルたちが歌い踊る姿。

そのドセンターには見覚えしかない顔。

どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。




大人のみんなはビール何本飲める?
俺はいつも500を4本はいく。その後にチューハイやハイボール飲んで日本酒で締める。
強い強いと言われるが、周りが強すぎてまったく強いと思えない。なんでなんや?
バクバク食いながら飲んだらあんまり酔わなくない?
子供のみんなは大人になってから飲むんだぞ?俺との約束な。
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