どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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愛とは?

B小町にMEMちょも加わり、私がママのようなトップアイドルを目指す物語が幕を開けた。

これからが大変だとは思うけれど、MEMちょの加入のおかげで私たちの知名度もそれなりに高い位置からスタートすることができている。

あ、ちなみにカナお兄ちゃんは何とかスランプを脱出した。それというのもママがキれたのだ。

 

『彼方くん?そろそろ本気で元に戻ってくれないと私も怒るよ?そんなキスぐらいで狼狽え続けられるこっちの身にもなってね?』

 

もはや理不尽。

逆ギレである。

 

『あ、はい』

 

『もう大丈夫だよね?ね!?』

 

『はい!!!!』

 

カナお兄ちゃん可哀想に……。

 

「そんで、兄が恋愛する番組ってどんな気持ちで見てたん?」

 

そう言ってくるのはみなみちゃん。

今は学校で休み時間中。みなみちゃんはお兄ちゃんが出ていた今ガチにハマっていたようで、こうして色々と話をしてたりするのだ。

 

「超複雑。キスシーンとか流れてたらたぶんもっと変な気分になってたと思う」

 

「やっぱり?」

 

なんて話をしていると不知火さんがやって来た。

 

「今ガチの話?」

 

「あ、うん。不知火さんも知ってるの?」

 

「一応知り合いが出てるわけだし、それに」

 

「「それに?」」

 

「イケメンと美女だらけで目の保養だった」

 

あ、この子面白い子だ!!

 

「本当に目に良かった……たぶん視力も良くなったと思う」

 

本当に面白い子だ!!

トップスターの一人だし、近寄りがたいって思ってたけど一気に親近感湧いて来たなこれ。

 

「後黒川あかねさん。あの人を見れたのは本当に良かった」

 

「黒川さん?」

 

「あぁ、あの炎上した?」

 

お兄ちゃんとくっつく可能性が一番高かった人だよね。たしか、炎上して本当に大変だったみたいだけど、カナお兄ちゃんも少し手を貸したんだよね。

 

「うん。あの人が最後にやった演技って、絶対にオパールさんの入れ知恵だから」

 

え?わかるんだ。

 

「オパールって、あの作家の?」

 

「そう。あの人が書いた小説に出てくる人物にそっくりだったし、たぶんあの人が助けたんじゃないかな?」

 

「へー。不知火さん本まで読んで勉強してんねんなぁ」

 

カナお兄ちゃんって結構短期間に色々出すのに。

不知火さんすごい忙しそうなのに本を読む時間も取ってるんだなぁ。

 

「……」

 

「…………」

 

「……ん?な、なにかな?」

 

不知火さんにじっと見られる。

何かしただろうか?

 

「ねぇ、もしかしてオパールさんのこと知ってる?」

 

「へ!?」

 

何かそんな雰囲気が出ていたのだろうか?

えぇ!?なんでぇ!?

 

「なんか自慢げな顔だったから知ってるのかなって」

 

「あー、えっと、その」

 

「知ってる?」

 

ずいっと近づく不知火フリルの顔。

え、可愛い。さすがトップスター。

って!そんな人の顔が私のすぐそこに!!

 

「近所のお兄ちゃんです!!」

 

「……えぇ!?」

 

あー、言っちゃったぁ〜……

というか不知火さんもそんな声出すんだ。

 

 

 

スランプを脱したオレは無敵だった。

そう思えるほど頭の中で物語が溢れて仕方ない。

全部書き出していかないとパンクしてしまうと思える程で、頭が熱でクラクラしてくる。

 

「あっはっは!!!」

 

「彼方くんが壊れた……!」

 

壊れたとは失礼な。

これも全てアイさんのおかげである。

 

「あぁ!!!」

 

「ひぇっ!!」

 

「メモ!メモメモメモ!!」

 

ダメだ。

パソコン叩くだけでは追いつかない。

メモにアイデアを書き殴る。……よし!

 

「ちょっ!彼方くんストップストップ!血!鼻血出てるよ!!」

 

「え?鼻血?……なんじゃこりゃあ!!」

 

ボッタボタと鼻血が出ている。

ティ!ティッシュ!

とりあえず服で鼻を押さえつつティッシュを探す。オロオロとしているとアイさんがタオルを持って来て俺の鼻に当ててくれた。その際、俺が逃げないようにか後ろから羽交締めのようにしながら捕まえられてしまった。

 

「はぁ、ちょっとだけ落ち着こうか」

 

「はい……」

 

「ちょっと興奮しすぎだよ。鼻血出るって相当だし」

 

「……ごめんなさい」

 

……落ち着く。

さっきまでのは異常だったとすぐにわかるほどだ。

ドクンドクンと伝わるアイさんの心音のおかげなのだろうか?この状況、普段なら大騒ぎしてしまうのだが、今は頭がぼーっとしているせいでそんな気も起きない。

 

「アイさん。心音早くなってないです?」

 

「好きな人に密着したら緊張もするでしょ?まだ付き合ってもらってもないんだからドキドキもするよ」

 

「……そっすか」

 

「あ、彼方くんも早くなってるね」

 

「うるせぇです」

 

……はぁ、ちょっとだけ緊張してしまった。

考えてみれば、アイさんとこうして引っ付くのは初めてなのかもしれない。なのに落ち着いてるあたり、俺も彼女のことがそれなりに好きなのだろうか?

 

「アイさん」

 

「なーに?」

 

「人を愛するってどんな感じなんですか?」

 

「…………え?」

 

「いや、その。俺、母親からの愛とか、子供が向ける愛とかは分かるんですけど……」

 

「……まって、本気で嫌な予感する」

 

「異性愛って、わからんのよね」

 

「うっっっそでしょ????」

 

いやマジで。

だからこの感情が愛なのかもわからない。

下手したらアイさんに対して母性愛のようなものを感じ取り、落ち着いているのかもしれないと思ったら……俺は彼女の思いに安易に返事できないのだ。

 

「あ、アレだけ物語で恋愛物とかも書いてるのに!?」

 

「あれは、こんな風に書いたらウケるなぁとか……イメージ部分が大きくて、だから自分がどうこうってなると……わからないんですよね」

 

「…………」

 

「…………」

 

あ、嫌な予感。

だって!仕方なくない!?俺がちゃんと愛を向けてもらえたなって実感したのって母親だけだよ!?

それに、アクアやルビーなんかは子供が俺に向けてくれるものだろうって思ってたし、アイさんのも母と変わらないようなものって最近まで思ってたし!!

 

「そりゃ、私のアピールに気づいてても返事しないわけだ……」

 

「ごめんなさい」

 

「……もぉおおお!彼方くんのバカァ!!」

 

「ぐえっ!!!しまってる!!苦し!うぇ!!」

 

ギュッと抱きしめられていたような腕が首に移動した。そのまま力の限り締められる。

いくら身長が小さくて可愛いアイさんであっても、適度な運動をしていたり、母としての力だったりでそれなりに力は強い。

だから締められると結構苦しい。

あの、ごめんなさい!お願いだから許して!!

 

 

 

私は激怒した。

必ずかの鈍感野郎の凝り固まったク……おクソな考えを除かねばならぬと決意した。私には奴の考えなんてわからぬ。私は元アイドルである。彼のお陰で愛を知り、家族の為に生きて来た。けれども最近、絢瀬彼方の事を愛する為に人一倍努力していた。もはや手段は選ばない。

そう、コイツに愛を教える為に手段は選ばぬ。

 

「と、いうわけで食べていい?」

 

「何を??????」

 

「彼方くん」

 

「何言ってんですか?????」

 

「大丈夫大丈夫!!まだアクアもルビーも帰ってこないし!!ほら、一応経験もあるし任せて任せて。いやー、何年ぶりだろ?」

 

「な、なんかやだ!!そんな感じで来られるのなんかやだ!!やめて!アクアー!ルビー!助けてぇええ!!!」

 

あっはっはっ!!!

逃さないよ??

 

「ヒェッ」

 

私の方を見上げた彼方くんが固まった。

何をそんな、蛇に睨まれたカエルのようになっているのだろうか?もっとこう、天使の愛を授かる時のような気持ちになってほしいな?

 

「ただい…………邪魔した」

 

「待って!!アクア待って!!助けてぇ!!!」

 

こらこら彼方くん。

暴れたら服脱げないからね?

アクア、流石に子供に見られるのは恥ずかしいから家に帰ってて。

 

「アクアダメだよ?絶対に手を出さないでね!?」

 

「……いや、ごめん母さん。実の母が家族の恩人襲ってるのはやっぱり見過ごせないって……」

 

「あぁ!!もうアクアぁ!!」

 

彼方くんから引き離されてしまった。

あ、顔真っ赤で可愛い。あと鼻血も止まってて良かった。

 

「母さん。流石に何やってんだよ」

 

「だってぇ……」

 

こんな事になるとは思わないじゃん?

でも良く考えてみれば仕方ないのかもしれない。

人付き合い自体があんまりなかった彼方くん。お母さんからは愛してもらっていたらしいけど、父親からはあんな扱いされてるし、その父も愛人を複数人囲っているらしい。この人格が形成されたのなんて彼方くんのお母さんが起こした奇跡だろう。

そんな彼方くんが心のどこかで父のようになりたくないと思い、恋愛を遠ざけて空想上のものとして物語にしていたとしても……おかしくないのか?わからないけど。

 

「ごめんね彼方くん。急に襲って」

 

「いえ、落ち着いてくれて良かったです」

 

だからこそ言っておかないといけない。

 

「ねぇ、彼方くん」

 

「なんでしょう?」

 

「私、彼方くんの事、愛してるからね?」

 

「……ひゃい」

 

「ゆっくりでもいいから、私の想いを知っていってほしいな」

 

「……ど、努力、します」

 

アクアに羽交締めされながらの不恰好な告白。

だけどもこの人にはドンドン言葉にして伝えていくべきだろう。幸いなことに、頭で理解して咀嚼するのは早い人だ。そう時間もかからないうちに、私の愛を理解してくれると信じている。

 

「愛してるよ彼方くん」

 

「もう、やめてぇ……」

 

「ふふふ。可愛いなぁ」

 

真っ赤な顔を両手で隠し始めた。

そうそう。ドンドン飲み込んでね?

大好きなビールを飲むみたいにいっぱいいっぱい飲んでると、そのうちこれが愛なのかな?って理解できるからね。大丈夫大丈夫。ずっと私が囁いてあげるからね?

 

「ふふふふふ」

 

「俺がいる事忘れてないかな?この人達」

 

忘れてないよ。

ごめんねアクア。あとでちゃんと理由説明するからね。そしたら私の行動の理由もちゃんと理解してくれると思うし。

あぁ、ヤバイなぁ。

この世界で今、唯一私だけが彼方くんの状態を知ってて、愛を囁けるって考えるとちょっとゾクゾクして来ちゃったなぁ。

覚悟してね?彼方くん。




そんなわけで愛を真に理解していない彼方くんでした。
無駄に作家チート携えてるせいでこんな感じかな?ってだけでも世間にウケてしまってた。
それもあって拗れに拗れて……それを知ってしまったアイさんでした。
いや、ごめんて。正直JIFまだやる事ないんだって。
復讐ってのがなくなってるんだもん。書きにくくてしょうがねぇ。
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