どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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まだ一位やんかありがとう。
明日から更新頻度下がります。
さて、お競馬お競馬〜。


スタートライン

アイさんからの愛してる発言からどれだけ経っただろうか?正直最近のアイさんには前よりも振り回されているからかこの数日間の記憶があやふやである。

ある時は。

 

『んぅ……ん?』

 

『おはよう彼方くん』

 

『うぇえ!?おはようございます!!』

 

俺の義指をつけていない右手を慈しむように触っていたアイさんに起こされたり。

またある時は。

 

『あの、近くないですか?』

 

『そうかな?』

 

『ソファ、横めっちゃ空いてるんですが……』

 

『好きな人のそばにいたいってだけだよ?これぐらい許してくれるでしょう?』

 

テレビを見ているだけなのにくっつくように座って来て、俺の手や足を楽しそうに軽く触って来たりとか。

またまたある時は。

 

『ふふーん』

 

『あの、アイさん?』

 

『さぁ、彼方くん。布団、温めておきましたよ』

 

『アクアー!ルビー!この人持って帰ってぇ〜!!』

 

俺のベッドに先に入っていたりとか……。

おはようからおやすみまで、暇さえあればそばにいようとしてくれる。……正直、悪い気はしないのだ。異性間での愛だの恋だのはまだ分からないが、それでもこれを心地よく思っている自分がいるのも事実。

アイさんは最近俺に。

 

『彼方くんならすぐに愛を理解するよ』

 

って言ってくれる。

このスキンシップが嫌と思えずにいると言うことは、たぶん時間の問題なんだろう。というか、あの人に愛を囁かれてまともでいれる人間なんて居るのだろうか?どれだけ愛を知らなくても、それ以上の愛をぶつけて理解させようとしてくるんだぞ?

 

「はぁ、眠い……」

 

……最近、こんなことばっかり考えているせいで寝不足だ。暇さえあればあの人のことが頭のどこかにあるのを自覚する。

そう時が立たないうちに分からされるんだろう。

誰もが羨むような状況……あの誰をも魅了した魔性の魅力を持つ人、それが俺だけのために全力を尽くす?俺如きでは太刀打ちもできんて……。

 

「あ、もう時間だ」

 

これから新作の取材があるのだ。

最近は本を出すだけでニュース番組の紹介コーナーに呼ばれたりするんだから本当に忙しい。メディアに出なければ良かったと後悔する。

でももっと後悔することになるとは、この時はまだ思っていなかった。

 

 

 

「「いぇーい」」

 

「ありがとうございますオパール先生!」

 

「いえいえ、このくらい」

 

俺を取材するのはアイさんだった。

なーにしてんのこの人!!!

てかイェイじゃねぇのよ!!

俺の顔モザイク入るからいいけどさ!?というかモザイク入らないと俺もアイさんの人気ポーズしてるんだよ!?お茶の間大惨事だよ!!!

 

「それで、今回のお話はどんなものなんでしょうか?」

 

「一夏の青春……ですかね。大人の方は誰もが一度は経験したかもしれないこと、子供たちはこれから経験するかもしれないこと。それを考えながら書きました」

 

「なるほど。またドラマや映画になりそうですね」

 

「そうなってくれるとありがたいですね。本からは入りづらいって人も一定数はいますし、映像から興味を持ってもらえるのも嬉しいものですから」

 

なんて俺の作品についてしばらく話す。

そして話題は移っていき、俺の日常生活なんかの質問が飛んでくる。

 

「ではそうですね。ここはこれからいきましょうか」

 

アイさんがフリップボードのシールをめくる。

そのフリップボードにはオパール先生への質問三選!とデカデカと書かれてあった。

 

「まずこちら!先生の食生活は?忙しい先生が普段どんなお食事をされているか、気になる人は結構いるらしいですよ?」

 

「あー、これですか」

 

「おや?何か答えにくい感じですか?」

 

「あぁ、いえ。そうですね……」

 

別に言っても問題ねぇか。

アイさんが隣に住んでるってバレてるわけでもねぇし。……というか、この人今回自分がくること黙ってたんだよなぁ……仕返ししてやろう。

 

「昔は栄養補助食品ばっかりでした。でもそれをある日隣人に知られてしまって」

 

「ほうほう。それで?」

 

「それからはその隣人の家族と一緒にご飯を食べさせていただいてます。本当に料理上手で毎日美味しいご飯をいただけて幸せですね」

 

「なるほど!でもそれって結構珍しいのでは?」

 

「かもしれません。何年もお世話になりっぱなしで……本当にいい人達と知り合えて幸せ者です」

 

おい、口角上がりそうだぞ?放送事故寸前ですよ〜仕事してくださーい。

さて、次の質問行ってください。

 

「じゃあ先生はすごい幸せ者ってわけですね。……で、では次の質問!!」

 

ペラリと捲られた先。

そこに書いてあったのは。

 

「先生の結婚願望について」

 

「……あー、なるほどなるほど」

 

これたしか、担当の人が打ち合わせしたんだよなぁ?そう思い担当をチラリと見る。

目を逸らすなおい!!!!!

 

「先生は独身なんですよね?結婚とかは考えてないんですか?」

 

「そう、ですね。今の所は〜……秘密でもいいですか?」

 

「えぇ〜。みなさん知りたいと思いますよ?」

 

「あ、あはは……じゃあ、そうですね。家族を大事にしてくれる人なら、嬉しいです。みんなでずっと笑顔でいられたら夢のようですから」

 

「あー確かに家庭を大事にしてくれる人って理想ですよねぇ。憧れます」

 

こっちを見るなこっちを!!

俺がどれだけ内心焦りながら言ってると……ッハ!!!嘘つけば良かったんだ!!!!

目の前に嘘のスペシャリストいたのに全く思いつかなかった!!!!

そんな俺を察してか、やっと気がついたなと言わんばかりに視線を向けてくるアイさん。もっと早く言ってよ!!!取材始まる前にこっそり言ってよ!!

 

「では最後の質問!!先生の最近の趣味は?」

 

「あぁ、これですか」

 

これは実際に最近している……と言うか見ている動画がある。だからさっきよりも簡単に答えれるな。

 

「お?何かあるんですか?」

 

「趣味、というか。最近よくB小町の動画は見てますね。ほら、アイさんの事務所で新しく襲名したアイドルの」

 

「私の可愛い可愛い後輩たちですね!いやぁ、知っててくれたなんて感激です」

 

「彼女達の頑張りを見ていると、こっちも頑張ろうと思えていいんですよね」

 

「わかります!あ、ちなみに私の過去の動画とかって見てくれてたりします?」

 

「あぁはい。何度か見た事ありますよ」

 

その後もしばらく話、新作の発表を改めてしてからこのコーナーは締められる。

さて、おいこら担当待てや。逃げるなよ?そこから動くなよ?俺、家から担当の顔を思い出してクッションを殴る用プラスチックバット二十八代目持って来てやるからな?

というかお前、最近結婚したからか幸せ太りしやがって。なーにが結婚はいいぞ?だ。その腹叩いて引き締めてやる。

 

 

 

それからまた時間は流れる。

ここ数日の間に、B小町の面々は成長しているらしい。なんか、アクアが被り物しながら頑張って指導しているらしいのだが……写真を見せてもらったのだが……アイさん爆笑しすぎだからね?

それにしてもルビーは頑張っている。

小さい頃からずっとアイさんのようなアイドルになるんだと言っていたが、やっとスタートラインに立ったのだ。これから先をこんな特等席で見れるなんて……感動ものだ。

 

「何黄昏てるの?」

 

「ん?アイさん?」

 

ベランダで一人黄昏ていたのだが、アイさんがやって来た。もう担当の顔を思い出してクッションを殴る用プラスチックバット二十九代の素振りはいいのだろうか?

まぁ、それは置いておいて。

今は家にルビーもアクアも居ないし……一応警戒してんですよ?なんの気持ちも固まってないのに前みたいに襲われると……。

 

「もー、距離取らないでよ。この間は私が悪かったから。ね?」

 

「まぁ、はい」

 

とりあえずは許してやろう。

だからと言って必要以上にひっつかれ

 

「んふふ〜」

 

「近いですって」

 

「これぐらいはいいじゃん」

 

「はぁ……」

 

肩がピッタリとつく位置。

それなりに広いベランダなのにこんなにくっつかなくてもいいでしょう?ほらほら、万が一撮られたらいけませんし、置いてる椅子にでも座りますよ。

アイさんを促して椅子に座る。

 

「腕まで組まなくても……」

 

「ゆっくり慣らしていかないといけないからねぇ。ほら、もう顔真っ赤ってほど緊張はしてないでしょう?」

 

「毎日のように密着されると流石にね。それにほら、美人は三日で飽きる「何?」なんでもないですごめんなさい」

 

こっっわ!!!

恥ずかしさのあまりおちょくるんじゃなかった。

なんとか誤魔化してアイさんを宥める。

まったくこいつはみたいな目で見られるが、なんとかおさめてくれてよかった。

 

「アクアはこの間の今ガチでそれなりに仕事も増えてるし、将来やりたいこともあるのか勉強も頑張ってる」

 

「そうですね」

 

「ルビーもこれからアイドルとしての物語が始まるし……あー、どうしよ。こんなに泣きそうになるのは歳とったからかなぁ?」

 

「大きくなりましたもんね」

 

「もう高校生だもんね」

 

思えば反抗期とかもなく本当にいい子のままだな。

一度だけこの家族を救ったとはいえ、この何年もの間ずっと一緒にいてくれて感謝しかない。こんな俺を慕ってくれるのは本当に嬉しいのだ。

 

「ねぇアイさん」

 

「ん?どうかした?」

 

「ずっと一緒にいてくれてありがとうございます」

 

「……ンフフ〜。まったく彼方くんは私を喜ばせる天才だなぁ〜」

 

なんか一気にご機嫌になっている。

さっきまでしみじみと泣きそうだったのに。

そんなアイさんは、いよっし!と気合を入れて立ち上がり俺の方へと振り向いた。

思わず俺は彼女を見上げる形となる。

 

「そんな彼方くんにはビールをあげよう。ちょっと待っててね」

 

そう言って笑顔になるアイさん。

そんな彼女の背景には珍しく星が見えており、それと相待ってまるで一枚の絵のようで。

 

「綺麗ですね」

 

「へぇあ!?も、もぉー!おつまみも用意するね!」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

なんか得した。

しばらくするとアイさんが簡単なおつまみと一緒にキンキンに冷えたビールを持って来てくれる。

二人でビールをコップに注ぎ合い、乾杯。

 

「じゃあ頑張ってるルビーとB小町に」

 

「あと、なんか色々と裏で頑張ってるアクアにも」

 

「乾杯ってことで」

 

「かんぱーい」

 

ごくりと飲むビールはやはり美味い。

……もう少しでJIFだ。ルビーの晴れ姿を見るためにも、さっさと仕事を終わらせて見に行ける時間は作るとしよう。……急に仕事とか入れて来たら担当ぶちのめす。




ルビー達入れるつもりが出て来なかった……。
アイさんが着実に距離詰めて来てるなって。
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