どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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お久しぶりです。
最近忙しくて全然書く暇がありませんでした。ごめんなさい。
この話もちょっと書いては何日も書けない……なんて日が続いてました。
正直めちゃくちゃしんどかった。
彼方とちょっとは関わりがある人たちの思いなんてのも少し書いてます。
上手く書けてるといいなぁ。無理だろうなぁ自信全然ないわ。


開幕

アクアと一緒にゲロを吐き、アイさんにクッソいじめられた日から少し経った。

あの日から俺の日常はいつもより少しだけ変化している。例えば金田一さんからの要請があればアクアや他の役者と一緒に役について知る為に色々としたりとか…………ん?あれ?

俺ってアビ子さんよりも稽古場にいるんじゃない?

……なんで?

 

「ほんと……スペシャルサンクス枠みたいなのがあったら、俺も入れて欲しいもんだよな」

 

そう思ってしまう程度にはよく稽古場に出ている。

はぁ……。まぁ家に引きこもってる日々よりは健康だと思うけどね。

でも最近は本当に自分の仕事よりも東京ブレイドにかかりきりだ。俺、でしゃばりすぎじゃない?と発言しても「はいはい黙ってようねー」と、ねじ伏せられるし……。

だからこんな事になるのだろう。

 

「最近お兄ちゃんの帰りが遅い。だけど今日!その謎も解ける!」

 

隣には妙にやる気を出しているルビー。

だがしかしアクアが遅くなっている理由は、感情演技のために俺の世界に入ったあと、五反田監督の家に行ってるからだ。

ちゃんとルビーにはアクアは稽古が忙しいんだよと何度も言ってるけど聞かない。日付が変わる頃に帰ってくるのも全部稽古だと言っても無駄なのだ。

そんな感じで兄が心配で仕方ないだけのブラコンルビーちゃんは現在進行形で元気に暴走中。

 

「友達は?連れてくるんじゃなかったの?」

 

「あー、なんか急に仕事入っちゃったみたいで……」

 

「あらら。それは仕方ないね」

 

とりあえずおいでおいでと中に案内する。

もちろん金田一さんには許可を取っているし、問題は……アクアは知らないという事。でもその辺の心配はない!

なぜなら今日の稽古自体は終わっているし、アクアは有馬さんと一緒に五反田監督の元へと向かっている。

つまりルビーは無駄足である。

 

「楽しみだなぁ」

 

ごめんよルビー。アクアいないの。

でもこれもいい経験になるでしょう?

普通ならこんな事はほとんどないのだし、今回はこれから俺がルビーを使うとこがあるかもしれないと言う理由で特別に許可してもらっているのだ。

もちろんルビーには邪魔にならないように静かにしている事は約束してもらってるし大丈夫。

とはいえ、俺もそろそろアクアがいないことを言っておかなければならない。騒ぎ出しそうだし。

 

「あ、言い忘れてたけどアクアはいないからね?」

 

「……えぇ!?なんでぇ!?」

 

「ほらほら、演技の勉強になるんだからね。こんなことほとんどないから勉強しようねー」

 

「お兄ちゃんいないのに!?」

 

はいはい。

とりあえずいい経験にはなるから見てけ見てけ。

君はいつか……俺の小説の登場人物の一人になるのだから。

 

 

 

なんてことがあってから時間が流れた。

あの後ルビーをナンパしようとしてきた鴨志田くんをルビーの後ろからじっと見つめたり、ちょっと心配になるぐらい警戒心がないルビーの教育をどうするかアイさんと一緒に相談したり……いや待てよ?どうして俺がルビーの教育方針に口を出しているのだろうか?

他にも有馬さんとあかねさんがバチバチとライバル視し合っていたり……君たち実は仲良いよねぇ?

後アクアが昔、有馬さんを殺してやろうと思ったことがあるって聞いた時はこいつマジか?と驚いたものだ。

 

「だ、大丈夫?」

 

「へ?え?」

 

「彼方くん?寝てる?大丈夫?」

 

「寝てます寝てます」

 

「……」

 

「最近編み出したんですけどね!薄眼でぼーっとしてると寝れるんですよ」

 

「何言ってるんだろうこの子……って!違う違う!少しだけ寝よ?ね?」

 

関係者席に座っている俺に声をかけてくれるのはアイさん。あ、ちなみに席の並びは左からミヤコさんルビー、アイさんに俺で斉藤さん。なんで俺、苺プロに囲まれてるんだろうか?

 

「彼方くんは最近仕事しすぎ。このあとは少しは休んでほしいなぁ。あ、ミヤコさんその膝掛け貸して」

 

アイさんの言葉を聞いてミヤコさんの方からサッと回ってくる暖かそうな膝掛け。そして連携するように斉藤さんから回ってくるアイマスク。一応コーヒー有るけどどうする?なんて相談する星野親子。至れり尽くせりじゃない?

 

「……ありがとう、ございます」

 

「ん。開幕する頃に起こすからしっかり寝てね」

 

「……はい」

 

確かに疲れはあるし、このまま寝てしまいたい気持ちもある。けれど寝れるわけがないでしょう?

完全部外者のはずである俺がここまで頑張ったのだ。報酬として最高の舞台を見せてもらえると思うと……興奮してくるぐらい。

だが好意はしっかりと受け入れて少しだけ体を休める。少しだけザワザワとしている客の声。

みんなこの時を楽しみにしてくれていたんだと実感できるこの瞬間は、俺たちだけが味わえる最高の時間。それを聞いていると急にあたりの声が静まる。

 

「ありがとうございました」

 

アイマスクを取り膝掛けを返す。

察した通りに会場は暗転しており舞台が始まる。

さぁ、開演だ。

 

 

 

準備はしてきた。

覚悟も決まっている。

足りない僕の才能を補う為に使えるものは全て使ってきた。兄さんの特殊能力みたいな力を使って、兄さんがいなければ訪れていた最悪。考えられる全ての可能性。

 

「本当に……なんなんだよあれ……」

 

使い方次第では……いや、考えるのはやめておこう。兄さんの世界……交友関係とかが狭くて本当によかった。

……はぁ、考えが逸れた。

大切な人を失う喪失感。

そばに居てくれる幸せ。

兄さんが言った通り、この世界は奇跡でできているのだと思える程度にはあらゆるものを見た。そのおかげで今の感情を手に入れられた。

 

「……アイ……ルビー」

 

考えると吐き気がひどい。

 

「ありがとう兄さん」

 

貰ったもの全部引き出して演じ切ってみせる。

忙しい身であれだけ頑張ってくれたのだ。俺ができる全てを捻り出してでもいい舞台にする。

それが俺ができる唯一の恩返しだから。

 

「……そういえば、初めてかもしれないな」

 

ここまで必死になったのはいつぶりだろうか?

兄さんが泣いてしまった日、全力を尽くすから応えてくれと言われた。その日から役者に対しての意識が少しだけ変化した気がする。

ルビーのように母さんみたいになりたいなんて目標は僕にはなかった。色々なきっかけがあって、なんとなく続けていた役者としての日々。

 

「……今だけは全力で頑張るのもいいのかもな」

 

奇跡が起こって得た第二の人生。

前世での事は今も残り続けているし、これから先考えなければならない事は山のようにある。

それでも、今この瞬間だけは……。

 

「兄さんの頑張りに応えたい」

 

今だけはそう思えたのだ。

 

 

 

鞘姫を演じるにあたって、私は少しだけ苦労した。

原作との違いが目立ってしまい、どう演じればいいんだろうかと、常にそれを考えていたけれど彼方さんが現れてくれた。

あぁ、もう安心できると思えた瞬間だったなぁ。

 

「本当にすごいなぁ彼方さん」

 

私の恩人。

私を救ってくれた人。

私の役者としての実力を更に上げてくれた人。

私なんかでは返せないほどの恩があって、彼方さんの力になれるのならなんだってしたいと思えるほどには感謝をしている。

 

「今日は見にきてくれてるんだもんね」

 

頑張らないと。

……大切な人として隣には立てないけれど、それでも役者としてはあの人の一番になりたいのだ。

その為に私の全てを出しきって鞘姫を演じきる。

 

「あぁ、本当に彼方さんがきてくれてよかった」

 

詳しいことは知らないけれど、それでもあの人が来てからかなちゃんの演技が少し変わった気がする。

たぶん過去に何かしたんだろうなぁ。

 

「本当に楽しみ」

 

本気でやろうね。

私もアクアくんも全力でやるから。

かなちゃんだろうと姫川さんだろうと、全力でぶつかってこないと……。

 

「私たちが食べちゃうから」

 

楽しもうねかなちゃん。

 

 

 

『もう少し周りと上手くやらねぇと、この業界長くやれねぇぞ』

 

五反田監督に言われた言葉。

この言葉のおかげで、この業界で私は消えずに今までやってこれた。

天才子役と言われ続けたが、天才ではないと自覚できた。何もかもを全部飲み込んで、周りに合わせて……生き残る術を身につけた。

それでいいと、思っていた。

 

『思いっきりやってくださいね』

 

オパール先生に言われた言葉。

どれだけの救いになっただろうか?

あの瞬間は流されて元気にはい!なんて答えてしまったけれど、それからすぐに困惑した。できないと思った。だって、それをしてきたから私は消えそうになって……。

 

「負けられないわよね」

 

周りに合わせる術は覚えた。

培ってきた演技力もある。

才能なんてなくて、人よりもちょっとだけ演技が上手いだけの私。

はは。笑えてくるわね。

 

「オパール先生に認められてるのが気に食わない」

 

黒川あかね。

その場所がどれほど特別なのかもっと自覚してほしい。アクアは……まぁ弟のようにしてもらってるから仕方ないけれど。

 

「今はまだだけど、これから先……」

 

オパールの右腕のようになる。

あの人の作品に出る黒川あかねは今後もっと認知されていく。誰もが知るような役者になる。

本当に気に食わない。

 

「だからこの際、すこーしだけでも覚えてもらわないとね」

 

黒川あかね。

不知火フリル。

アイ。

オパール作品に出てくる中に私、有馬かなも。

だからこそ。

 

「負けられない」

 

見てなさい天才。

この私がその場所を掻っ攫ってやるんだから。

 

 

 

暗い場内。

大きなBGMとナレーション。

派手な演出とアクア達……いや、東京ブレイドの登場人物達の紹介。

ついに始まるんだ。

この瞬間をどれだけ待ち望んだだろうか?

俺が書いた作品ではないけれど、作者である鮫島アビ子、舞台の上のみんな、製作陣のみんな。そんな人達に負けない程度には俺も強い思いを持っているのだ。

 

「頑張れ、みんな」

 

全てが報われる為に、全部を出し切ってね。




なんかこう……ぐだぐだでごめん。
東京ブレイド編についてはサッと終えるつもりです。
彼方は観客として観ているし仕方ないよね。
まぁ全部すっ飛ばすのは勿体無いのでちょっとは書きますが……。
またちょっと間隔が開くと思いますが……。ごめんね!!

さてと。
明日と明後日はお競馬してきまーす!!!秋華賞楽しみでーす!!
賭けしてないで書けってな。おクソ!!
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