どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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アホほどの負けだよ!!!!
くそぉ!明日秋華賞行ってくるから取り返してくるよ!!!!

まぁそれはいいや。
今回は推しの子最終回であったPVで思ったこと話したいなぁと。
ああああ!!ルビーちゃん!ダンス上手!って!あああ!!そんな!そんな階段で踊らないで!転げ落ちたらどうするの!?俺ちゃん心配だよ!?大丈夫!?落ち葉払った!?落ち葉トラップ怖いからね!?ちょっと箒借りてこようか!?
なんか自分が投稿している小説のせいで父性的なの芽生えてしまう。
ガチ目に娘見てます感出てるの何?


舞台の上で

東京ブレイドの物語が始まった。

主人公を務める姫川さんはすごく楽しそうにしているように思える。少しだけ力が入っているように見えるつるぎ役である有馬さんの手綱をうまく握っている。

 

「あの子うまいよね」

 

「こら。こそこそ話さないでくださいね」

 

こしょこしょと話しかけてくるアイさん。

……なんでこの人変な顔してるの?ただ小さな声で話さないといけないから接近して話しかけた……あぁ、なるほど。

 

「彼方くん。も、もうちょっとだけ……ふぅ」

 

もう少し話したそうなアイさんだったが俺の向こう側にいる人。斉藤さんを見て諦めたらしい。まるで私何もしてないですよ〜とばかりに知らん顔である。遅いと思う。

 

『ウチは剣主の一人つるぎ様だ!その盟刀を捨てて逃げるか私と戦うか選びな!』

 

……にしても有馬さん。

昔から思ってた事だけど生き生きしたいい演技してくれるよなぁ。前アクアが出演した吉祥寺さんの物語である今日あまでの演技は少し心配だったけれど最終回のシーンはとてもよかったよな。

うっわ。ワイヤーアクションすっげぇ。何度見ても思うけど俺じゃ絶対にできない。実際すごい動きで拍手が巻き起こる。

 

『お前が王になった時、俺のポジションは将軍な!』

 

メルトくんも成長した。

誰よりも努力をした一人。あ!もちろんアクアも頑張ったよ!?だから変な電波受信して俺の方を見ないでアイさん!!

と、とにかく!見せ場!期待してるよ!!

場面は進み、鴨志田朔夜が演じる匁とキザミの戦闘シーン。鴨志田くんは元々舞台で活躍している子だし、今回出演するみんなから一目置かれていた存在。

 

『負けねぇぞこらぁあああ!!!』

 

そうだよな。

頑張れ。今、君が一番見てもらいたい人が見てくれてるんだから。

 

 

 

あの日、いきなり声をかけられた。

 

「頑張ってるね」

 

「え?あ、は、はい」

 

「はい。これどーぞ」

 

声をかけてきた相手を見て少し驚く。

相手は今や誰もが知っている天才作家オパール……えっと、確か名前は。

 

「ありがとう、ございます。絢瀬さん」

 

「気にしなくてもいいよ」

 

スポーツドリンクをもらった。

よくわからないけどどうも監督から必要な人材としてここに来てくれているらしい。そんでアクアや黒川と一緒にいることが多い人だからあんまり関わりがなかったんだけど。

 

「上手くなってきてるね」

 

「ど、ども」

 

「今日あまの頃とは大違いだ」

 

「ぶほぉ!!!」

 

「だ、大丈夫?」

 

「ゲホッ!ゲホッゲホッ!は、はい……!」

 

咽せた。

い、いきなり何!?てか知ってるのか!?

どうしたの急に?なんて言いたげな顔でこっちを見てくる絢瀬さん。くっそ、俺はそれどころじゃねぇのに……!

 

「知ってるんですか?」

 

「そりゃもちろん。知り合いの先生の作品だったし、知ってる子達も出てたからね。あの棒読みには笑ったよ」

 

「うぐぅ……」

 

こ、この人遠慮ってのないのか!?

俺が下手なのは事実だけどさ。言われると落ち込むんだが。そんな俺の雰囲気を察したのだろうか?

絢瀬さんは優しい声で話しかけてくれる。

 

「見ててわかったけど、メルトくんは体力もあるし努力もできる」

 

「あ、あざっす」

 

「下手なのは仕方ない。努力を続けるしかない」

 

「……っす」

 

この後の言葉。そしてこの人の特別な力。

そのおかげで。

 

「だから少しだけ、俺とイメージトレーニングでもしない?」

 

この人がいたから。

 

「イメージトレーニング?」

 

「そそ。キャラへの理解を深めるっていうか、メルトくんがキザミになるというか。まぁ言うよりやる方がいいよね。じゃあ、やろうか」

 

「え?は!?」

 

有無を言わせぬとばかりに手を取られる。

驚いて絢瀬さんの顔を見た瞬間だった。

 

「今から貴方は……」

 

虹色に輝いたように見えた瞳に吸い込まれたのだ。

 

 

 

『おぅれは!誰にも負けねぇ!!!』

 

おおお!

さっきの曲芸じみたものも、今の君の人々を引き込む演技も……全て君が努力してきたからできるものだ。どうだい?この瞬間は快感だろう?

キザミの感情。

溢れ出る悔しさ。負けないと言う気持ち。

それが俺たち、観客にまで伝わる。

君は終わってから感じてくれるのかな?

見にきてくれた人たちが喜んでくれるのを実感できて、帰ってからもこれを忘れないだろうという確信……努力が報われる瞬間を。

本当に嬉しいだろう?楽しいだろう?

拍手を送る。周りの人に少し迷惑かも?と思うぐらいに少しだけ強めに手を叩くとピリピリと少し痺れるのを感じた。

 

「傷だらけの手だったよな」

 

大きな拍手に紛れるように呟いた。

あぁ、本当に。

君のように必死になれる人間は大好きだ。

 

「見ていて飽きないからなぁ」

 

「ん?彼方くん何か言った?」

 

「何もないですよ。ほら、しー」

 

「……彼方くんの独り言のせいなのに」

 

ごめんなさいね。

 

 

 

場面は進む。

刀鬼……アクア。

鞘姫……あかねさん。

二人の出番が始まる。

アビ子さん驚くだろうなぁ。

元々のセリフを大幅にカットして動きでの表現。

リテイクをしたアビ子さんは不安だろうか?だけど安心してほしい。あかねさんは、俺が最も信頼している役者の一人。

 

『ならば刀を抜きましょう』

 

静かに刀を構える鞘姫。

 

『合戦です』

 

短いセリフでも人々を引き込む。

黒川あかねは本当に役者として天才だと思える。

いつもはあんなに大人しいいい子なのに役に入り込むだけでこんなに変わるんだよなぁ。

 

「将来が楽しイッタぁ!」

 

「しー」

 

あんたが抓ったんでしょうがアイさん!!

というか静かにしてたのにいきなりの痛みで少しだけ大きな声を出してしまったじゃんか!あだっ!

斉藤さんに軽く小突かれてしまった。

おいこら、何くすくす笑ってんだオメェ。

向こうにいるミヤコさんとルビーも呆れた目を向けないで。いや、ほんと、ごめんなさいミヤコさん。

一番の常識人にそんな目で見られると心が痛い。

何故か少しだけ悲しい気分になってしまったが騒いだのは俺。大人しく続きに集中するとしよう。

 

 

 

ねぇ、かなちゃん。知ってる?

 

「あんたが鞘姫ね!……混血?」

 

「貴方も混血は純血に劣ると思っているのですか?」

 

私が今、どんな気持ちでここに立っているのか。

かなちゃんにはわからないよね?

……貴方のおかげで、私は今ここにいるの。

昔ね……貴方に憧れたの。大好きだったの。

可愛くて、お芝居上手で、大人が相手でもハキハキとお喋りが出来てて……私とは全然違うと思ってたの。

かなちゃんみたいになりたくて、たくさん頑張って。貴方に近づくために、それを目標に。

本当に大好きだったの。

……あの日までは……。

 

『私はアンタみたいなのが一番嫌い』

 

アレは、ショックだったなぁ。

今はわかってるけど、大人の世界の大人の事情。そんなものに潰されそうだったんだよね。

しんどそうで、辛そうな表情で演技なんてどうでもいいと言い放った貴方。泣きそうになりながら言った貴方の姿がずっと頭の中に残っていて……。

どうしてだろう?どうしてそんなことを言うのだろう?……私、わからないからたくさん勉強したよ。

少しは大人になった今なら、かなちゃんの言ったこと分かるよ。怖かったよね?寂しかったよね?自分を見て欲しくて、必要とされたかったよね?

星は一人じゃ輝けない……だっけ?

誰かに教えてもらったんだよね?

だから周りに合わせて、周りが求める仕事をこなして、みんなと一緒に生きていこうと思ったんだよね?

 

【そんなの駄目に決まってるでしょう?】

 

見たよ?彼方さんの物語に出た貴方を。

戻ってきてくれた!あの太陽みたいに輝く貴方が!私の大好きなかなちゃんが!!!

そう思った。

でも何?それからすぐに元に戻ったよね?

考え直したの?夢を見ていたとでも思ったの?

そんな貴方じゃ彼方さんの物語には相応しくない。

あの人に見てもらえたのに、声をかけてもらったのに何も分からなかったの?

それは駄目。駄目だよかなちゃん。

あの時の言葉をそっくりそのまま返してあげる。

私は、貴方みたいなのが一番嫌い。

もっと周りを食べちゃうような演技をしてよ。

もっと身勝手でかっこいい演技をしてよ。

もっと、もっと。

じゃないと足りない。全然足りない。

 

「フッ!」

 

今の私はできるよ?

だから、魅せてあげる。

周りを食べちゃうような演技を。

だから私に追いついてよ。周りに合わせるような演技をやめて、もっと身勝手な……あの頃のような演技をしてよ。

私、ずっとずっと、貴方と一緒に演るのを楽しみにしてたの。何年も何年もずっと。

けどできないなら……。

前のように輝けないのなら……!

私はもう、貴方を置いていく。

 

 

 

あかねさんは流石だなぁ。

有馬さんと刀をぶつけ合うたびに目を惹かれていく。主役、巨星の証。アイさんのように輝く瞳。

作品を作るにあたって様々な人たちの力がいる。

メルトくんのように努力をする人。

有馬さんのように周りを見て合わせられる人。

姫川さんのような熱い演技をする人。

どれもこれも大事で必要なのはわかっている。

けれど、もっと。

太陽のように輝く巨星たちがぶつかり合ってできるものが一番面白くて、俺はそれが大好きなのだ。

下手したら全てをぶち壊してしまうほどの輝きがお互いを高め合いながら進化していくのを見るのが楽しいのだ。その危うさを、俺が特等席で見れるのというのが楽しいのだ。

オパールとしての面が強く出るのを自覚する。

まったく……どうしようもない人間だなぁと自覚するよ。

だって今も、こう思っているのだから。

あかねさんがさらに成長するのなら、有馬さんは潰れてもいいなんて。




メルトくん好きなんです。
そんなメルトくんはしれっと彼方の世界へ落としました。

あとあかねちゃん。
この世界では彼方と出会ったことで原作よりも考え方とかが少しだけ変わってます。
かなちゃんのことは好きだけど、今のかなちゃんならもう知りません状態です。

ついでに彼方。
普段の彼方は優しい人ですが、オパールとしての面は結構冷たいところがあります。
自身が必要と感じる人間が成長するためなら犠牲があっても仕方ない。
だって自分の作品を完成させるために必要なんだから。
今回はアビ子の作品ではありますが一緒に作品を作る立場に立ってしまったのでオパール面が顔を出してます。
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