どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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超かぐや姫めっちゃ良かったです。
大好き。


俺たちって意外と単純

東京ブレイドの舞台は大人気らしい。

初日に見に行って以来行けてない俺には、その程度の情報しか知らない。けれど作家仲間の間での噂や、ネットの反応なんかも見ていて悪くないから事実なのだろう。はー、俺もなぁ。アクアのさらに成長した姿、見たいんだけどなぁ!!

 

「腹減った〜」

 

「ダメです。後四十分間集中してください」

 

「ケチクセェ」

 

「うるさい早よやれ」

 

缶詰状態です。

最近遊びすぎた事もあり、久々に締め切りギリギリ。担当と一緒にホテルの一室にぶち込まれてしまっている。……あ、遊びといえば、最近アクアの帰りが遅いとアイさんから連絡きてたな。役者たちってパワフルだから飲み会とか食事会とかに顔出してるのだろう。

アイさんもそれがわかっているからあまり口うるさく言うことはないらしいが、アクアの分のご飯を作れないことは少し寂しいらしい。

っと、こんなことを考えながらパソコンに文字を打ち込んでいるとそれなりに時間が経っていた。

 

「ねー。もう夜の九時じゃん?流石に何か食べさせて欲しいんですが」

 

「……まぁ、俺も腹減りましたし……行きますか」

 

「よっし!」

 

「はぁ……嫁のご飯が食べたい」

 

うるさい。さっさとファミレス行きますよ。

……はぁ、俺もアイさんのご飯食べたい。今日は魚の塩焼きに豚汁とルビーから写真付きでメールがあったことを思い出す。……いいなぁ、俺もそのご飯食べたい。

 

「何食います?」

 

「あのファミレスハンバーグしか美味くないからそれ」

 

「偏食ですねぇ」

 

「家ではもっとちゃんとしたの食ってます!!」

 

「……まぁ、昔はもっとこう、目を離したら倒れそうなぐらいでしたしね。色々な意味で成長したなぁ」

 

「その親目線やめてね?」

 

「ここまで長期で担当する事もなぁ。俺初めてだったし」

 

「……いや、ほんと、助かってます」

 

「いやいや、出世できたのも結婚できたのも先生のおかげさ。……結婚はいいぞ?」

 

「は?飯奢れ」

 

「はいはい」

 

まぁたまにはこの人とのご飯もいいのかな?という事にしておこう。どこか兄のような、父のようなこの人と久々に食べた晩御飯だった。

そんな気分で寝て、起きた翌朝。

 

『アクアが朝帰りしました』

 

「は?」

 

どうやらうちの弟に反抗期が来たようです。

 

 

 

とりあえず本格的に反抗期が来たアクアを見たいところではあるが、俺もお仕事をしないと飯を食えないのだ。だからこそアイさんにメールだけ返しておき、お仕事に集中。

集中しすぎてそれから何日間ホテルにいたか分からない。だがこれで!

たんッとキーボードを叩いて椅子にグデっと凭れ掛かる。手だけをなんとか動かしてスマホを手に取る……二日ぐらいかかったかな?でもこれで……。

 

「よし……終わりぃ……」

 

「お疲れ様でした」

 

後半はもう爆速で書いたと思う。

早くアクアをいじりたいがためにオパール能力全開とは自分でもどうかと思うが……まぁ気にしないでおこう。

そんなことを考えつつ、いつものように俺は風呂も後回しにしてベッドの上に倒れ込む。

 

「あー、また。まぁ仕方ないですけど……ホテルは後一日だけこのまま取ってあるので、ゆっくりと休んでから気をつけて帰ってくださいね」

 

「はーい……」

 

集中した代償で一気に脱力感と眠気がやってくる。俺はそれに逆らうわけでもなく、身を任せようとするがスマホがメールを受信した。

 

『ルビーまで……助けて彼方くん……』

 

え〜……星野家はここ数日の間に何があったんだ……?ルビーも反抗期?双子だからってそんなタイミングまで似なくても……。

 

「あ、と、で、き……あー、無理」

 

後で聞くと書くのすら面倒になるぐらいしんどい。

俺も歳だなと思いながら送信ボタンを押して眠りにつくのだった。

 

 

 

さて、ホテルで一日眠りある程度体力を回復させて帰宅。俺の目の前にはなんか穏やかな表情で舞台中のピリピリとした雰囲気が消えたアクア。そして何故か土下座しかけてるルビーの姿があった。

あの、アクアさん?

なんか君、こう、浄化魔法とか浴びたの?

それとルビー……いや、もういいか。アイさん手を離していいんじゃない?もう満足するようにさせたらいいと思う。

 

「あー、反抗期を速攻で終わらせてしまったアクアは放っておいて」

 

「おい。誰が反抗期だよ」

 

「ルビー?なんで土下座しようとしてるの?」

 

「歌詞書いて!」

 

「話が見えんぞ?」

 

「あーもう……ルビー?流石にそれは無理だって言ってるのに……」

 

とりあえず冷たいとは思うが一度無視を決め込み、アイさんから話を聞いてみる事にした。

えっと……どうやら、ルビーは自分達B小町のオリジナル楽曲で困っているらしい。

一応みやこさんたち事務所側は、過去にアイさん時代のB小町のでお世話になっていたヒムラさんとやらに書いてもらうように依頼をしているらしいが……。

 

「締め切りを過ぎてもおりてこないと……」

 

あー、その手の話はお腹が痛くなる。

俺はギリギリはあれど破ったことは無い……はず……いやまぁねぇ?俺としてもたまにはやってみたいなぁ!!って血迷う時があるが、それでもその後のことを考えたら……お腹痛い。絶対チクチク言われるんだ。こんなルビーみたいなやつにブツブツチクチク言われるんだ……それは嫌すぎる。

 

「……なんか、変なこと考えてない?」

 

「ないない」

 

ルビー、たまに鋭くなるのやめてくれない?

ドキッとしちゃうから。あ、ちなみに歌詞とか無理だからね?音楽とかあんまり詳しくないし、やってみたとしても初めて書く相手がルビーってのは……うん。色々と俺自身の問題って形で無理だ。

 

「まぁそれに、あんまり共感できんのよね……」

 

ボソリと呟く。

おそらくだけど、そのヒムラって人は燃え尽きつつあるのだと思う。作家仲間というには少し疎遠ではあるが、書きたいものが見つからなくなり消えていく人は確かにいる。

いつまでも物語が溢れる俺には分からない。

お前とは違うと言われたこともある。

……まぁ、そうなのだろう。

俺にはオパールという、もう一人の自分のような存在がいる。自分自身の過去や、様々なことから産まれたコイツは、俺に生きるための力を与えてくれているが……もし居なければ、俺はとっくにこの世にいない。それ程までに、俺は自分の命をかけてこの世界にいるのだ。

若い頃、少しのきっかけも、違和感も、日常で感じるありとあらゆることを壊れかけるまで吸収していた日々は、今となっては思い出したくないほどにしんどかったものだ。

 

「……」

 

俺は、いつか筆を置く時が来るだろうか?

たぶん、本当に何かを……今の自分にある全てをかけて書きたいと、これのために生きていたと思える物語に出会えた時、俺は燃え尽きるのかもしれない。

とまぁ、俺のことは置いておこう。

今は俺ができるアドバイスをしてやるべきだ。

 

「まぁ、アレだ。俺たちは割と単純な思考で生きているんだよな」

 

「え?何急に?」

 

「兄さんは単純だろ?今更何言ってんだ?」

 

「彼方くんのそんなところが可愛いんだよ?」

 

「外野うるさいでーす」

 

コホンと咳払い。

改めてルビーを見つめて考える。

アイさんに似てルックスは抜群。おバカな面は確かにあるが、それも愛嬌となる。アイドルに対する情熱もすごい。そんな君からの……誰かからの声は意外とバカにならない力があるのだ。

 

「どんな歌が歌いたい?」

 

「え?」

 

「アイさん時代のB小町のような曲?ならその憧れの人の曲を作ったヒムラさんは凄い人じゃん」

 

「うん」

 

「そんな人に、ルビーはどんな歌を作ってほしい?って、まぁ、ああだこうだって言い出すと方向性が固定されるか?作曲はわからんからなぁ。……なら、別の方向か?うーん」

 

「か、カナお兄ちゃん?」

 

「ルビーは……」

 

どうしてアイドルになりたいの?

それを言葉にすれば、多分簡単に火がつくよ。

それが確信できるほどにルビーの様な子からの言葉の力はすごいのだ。

 

「本当に?そんなことでいいの?」

 

「うん。一回みやこさんにお願いして連絡とってみな」

 

「わかった!すぐしてくる!!」

 

バタバタと忙しなく玄関に向かって走る姿を見送る。いや、うん。事故しない様にね?

にしても……。

 

「……眩しいなぁ」

 

この子がルビーの宝石のように、これから輝いていく未来を想像しながら、俺はそう言ってみるのだった。




超かぐや姫めっちゃ良かった……。
書きたい……でも時間ない……。
というか色んな意味で書けない。
めっちゃ良かった。もう一回……何回も見よ。
大好き。
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