どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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わーい!
コロナ陽性でーす!!
仕事休みまーす!!!有給あんまりないでーす!!
くそぉおおおおおお!!!!!!!

コロナの検査中に書き上げたので少しだけ短いです。
お会計行ってきます。


宝石達の会話

「なんで来るのかなぁ」

 

朝っぱらからなるインターホン。

最近多いなぁなんて思いつつ扉を開ける。

 

「おはよう彼方さん」

 

「おはようアクアくん。……今日も?」

 

「うん。お邪魔します」

 

「……はーい。どうぞ」

 

癖が治るかもとか言ったがこれはため息も吐きたくなる。なんで毎日の様にうちに来るの?アクアくん……。

この間、俺が星野家にお邪魔してちょっとやらかしてしまった事はもう大いに後悔済みである。ホンマに何やってんだと……。あの後はやっと泣き止んだ星野家に一言言ってから逃げる様に部屋を出た。

まぁ、俺も色々と思うところはあったのだ。

 

「はいこれ、今日から三日分」

 

そう言ってアクアくんはリュックを下ろし、中身をテーブルの上へと並べていく。

……いや、まぁ、うん。ありがたいんだけどねぇ。

 

「これはハンバーグ、これはポテトサラダ、これにスープでも買ってつけてって言ってたよ。あと」

 

「待って待って」

 

「なに?」

 

「いや、なに?じゃないでしょう?」

 

毎日来て俺の部屋にある本を読み漁るところまでは許そう。だがしかし、こんなに何日分ものご飯を頂くわけにはいかないのだ。

 

「隣で栄養失調になってたらもう住めないからって言ってたけど?」

 

「うぐぐ……」

 

ニヤニヤしながら言う姿が想像できる。うぐぐ。

いや!俺だって栄養食ばかりではないのだ。

ちゃんとしたものもしっかりと食べている。

 

「ピザやハンバーガー、その他諸々のファストフードは栄養偏るからね?はい、この話終了。えっと次は」

 

この子ときたら……!

まるで大人の様な事を言ってくれちゃって!君も好きだろう?ファストフード!ほら!冷蔵庫にチキンあるよ!!食うか!?

 

「アイのご飯が一番美味しい」

 

「ええ子かな?」

 

「最近は特に頑張っているからね。料理の腕も日々上達してるんだよ」

 

そんな風に言われると俺が抵抗するのを諦めるのをこの子は覚えているのだ。全く、本当は君いくつ?

訝しげな目でアクアくんを見つめているとほぼ同時のタイミングで玄関がガチャガチャとうるさくなった。

 

「お兄ちゃん忘れ物!!これも持っていかないと!」

 

バンっ!とリビングの扉を開けて侵入してきたのはルビーちゃん。その手にはパックのご飯が握られている。あ、君もそっち側なのね?

……何故か半強制的に作られた合鍵を存分に活用してるなぁルビーちゃんは……。

 

「カナお兄ちゃん!今日も遊ぼう!」

 

「うーん。なんでこうなった?」

 

ニッコニコのルビーちゃん。

まるで目に入っていないかの様に本を読み出すアクアくん。

……本当にどうしてこうなった?

さぁ、思い出すために少し前……いや、数週間前に遡ろう。

 

 

 

ある日、久々に登校した学校から家に帰ると、扉の前に保冷バッグが置いてあった。え?いやいや、玄関でのイベントは俺のトラウマを刺激するのだが?今ホラーテイストの文章を書いているから尚更怖くなる。

 

「ん?」

 

保冷バッグに紙が貼り付けてあった。

 

『温めて食べてね。星野』

 

隣人からだ。

前にやらかしてからは一切会ってはいないし、こんな風に何かを置かれるなんて今までなかった。ちょっとだけ怖いが家に持ち帰り、中を確かめる。

 

「……わぁ……!」

 

嬉しい声が漏れ出てしまった。

保冷バッグの中身はタッパーに入った肉じゃがだった。形が不揃いでちょっと不恰好だったり、煮すぎたのか煮崩れを起こしてはいるが……すごく美味しそう。

 

「……最近まともなもの食ってねぇな」

 

ついつい楽なものに頼ってしまう。

指で摘んで食えるものや、フォークやスプーンで食えるもの。まだまだこの手には慣れないせいでそんなのばかりになってくる。

楽なレトルト食品や麺類。正直皿洗いも面倒だし……かと言って少しの量の洗い物を食洗機にぶち込むのは勿体無い。したがって出来合いものや持ち帰りなんかばっかりだ。

 

「スプーンで食えそうだな」

 

煮崩れを起こしているお陰で少し小さくなった野菜達。これを食べるには箸で食うよりもスプーンの方が良さそうに見える。

思い立ったらすぐ行動。

 

「これ、そのままいけるよな?……大丈夫そう」

 

タッパーを電子レンジにぶち込み温めスタート。

ごはん……ないなぁ。冷凍もしてないしパックもない。今から炊飯なんて待てない。

久しぶりのまともな食事を前に我慢なんてできなかった。

 

「いただきます」

 

湯気がたった肉じゃがを口に含む。

……すこし……いや、けっこう味付けが濃い目かな?俺と一緒で料理に慣れていないのがわかる。だけど食事でこんなに暖かい気持ちになるのは……本当に久しぶりだった。

 

「美味しいなぁ」

 

たぶん、多くの人はあまり美味しくないというかもしれない。けれど、精一杯作ったのがわかるしやさしい気持ちになれる。

 

「ちゃんと洗って返さないとな」

 

ペロリと平らげてしまった。

煮汁まで飲み干してキッチンへと向かう。

さて、こうやってプラスチック製品なら安心して洗えるというもの。スポンジを手に取り洗い物を始める俺だった。

 

 

 

あの後、乾いたタッパーを詰めた保冷バッグを星野家の玄関前に置いた。もちろんご馳走様でした。美味しかったです。とメモを残して。

するとどうだろう?

 

「毎週手作りご飯が食える様になってしまった」

 

「健康的でいいじゃん」

 

「ルビーちゃん?お蕎麦美味しい?」

 

「美味しい!」

 

「そっかー」

 

時間は昼時。

星野さんが作ったご飯を食べようと思ったのだが、それをこの子達は拒否。なんでも母のご飯は家に帰ったら食べられる。それはお前のだって事らしい。

そんなわけで急遽出前で蕎麦を頼んだのだ。

 

「鴨南蛮うまぁ」

 

「左手でも上手に食べれる様になってきたね」

 

「母さんと一緒で進歩してるんだな」

 

「……ありがとう。でもなんか恥ずかしいからやめて」

 

左手でフォークを持って蕎麦を食べる。

確かに最近は辺り一面に食べ物の水滴を飛ばしたり、落としたりとしなくはなったが……改めて言われると恥ずかしい。でもありがとうね。

 

「……ねぇ、カナお兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「それ、本当に食べれるの?」

 

「食べれるよ?四玉ぐらい普通でしょう?」

 

「「絶対違う」」

 

そうだろうか?

いつも文章が頭の中で浮かんでは消えてを繰り返すと腹が減って仕方ないのだ。常に脳が働いてるって訳ではないが、常に何か考えているからなぁ。こんなこともあるのでしょう。

 

「運動した方がいいよ?」

 

「標準体重だから問題ない」

 

「そう言う問題でもないけどね」

 

「うーんこの子達は……」

 

口が回るなぁ。

さて、蕎麦も食い終えたし仕事に戻りますかね。

 

「じゃあ俺は仕事してるから、何かあったら呼んでね」

 

「うん。わかった」

 

「了解」

 

自分の部屋に入り、パソコンを立ち上げる。

うーんっと、この間はここまで書いたし……ここからは……うん。こうしようかな。

 

「ねぇお兄ちゃん。それ面白い?」

 

「あぁ、彼方さんの小説は面白いぞ」

 

「えぇ〜文字ばっかりで眠くならない?」

 

「ならない。ほら、ルビーは漫画でも読んでたらいいだろ?」

 

「それもそうだね。じゃあこの前の続きは〜……カナお兄ちゃん!これの五巻ってないの?」

 

「ないねぇ。それまだ四巻までだから」

 

「そっか残念。なら今日はこっちかなぁ」

 

……なんで着いてくるのだろう?

まぁ、別に部屋に一緒にいられて集中が切れる訳でもないけどさ。ベッド、綺麗に整えててよかった。

アクアくんは静かに俺の本を……恥ずかしいな。人が自分の書いた本を読んでるのを間近で見ると……まぁ、俺の本を大人しく読んでいる。

ルビーちゃんはまだ小説はしんどいのか、漫画を中心に読んでいて、たまに絵本なんかも読んでいる。このぐらいの子に合ってると言えば合っている。

アクアくん?それ結構難しいと思うんだけど?

 

「ねぇ彼方さん」

 

「んー?」

 

「彼方さんの書くジャンルって何?色々ありすぎてわからないんだけど」

 

「んー。まぁ書けるものは書くってスタイルかなぁ」

 

恋愛、青春、家族ドラマ。

オカルトに冒険。王道ファンタジーのライトノベルまで思いついたものはなんでも書く。

 

「オパールって七色に光るんだよね。思い出の品って事もあって名乗ってるけど、まるで書いた人が変わった様になんでも書くって思いも込めて名乗ってるんだ」

 

一人でオパールの様に輝ける様に。

まぁ今となってはカッコつけすぎだと思ってしまうし、恥ずかしかったりするのだが……。

 

「オパール……」

 

「これだよね」

 

ルビーちゃんとアクアくんが俺を挟む様に両隣、俺がいる机へとやってくる。俺はそんな二人が微笑ましく感じながら、机に置いたオパールを二人に見えやすい様に手元へと寄せた。

 

「母さんがくれたものなんだ。俺の宝物」

 

興味深そうに石を見る二人。

そういえば君たちの名前も宝石だったね。

ルビー。

情熱、良縁、勝利。

アクアマリン。

沈着、勇敢、聡明。

初めてこの名前を聞いた時は物凄いキラキラネームだなぁなんて思ったが、考えてみるとこの子達にあっている気がしてくる。

 

「な、なに?」

 

「どうしたの?カナお兄ちゃん」

 

「なんでもないよ」

 

そっと二人の頭を撫でてみる。

……まぁ、隣人としては近すぎる気がしてくるが、こんな関係も悪いものではないだろう。この家にこの子達がやってこなくなる日までは相手してもらうのもいいかもしれない。

なんて、少しだけ思ってしまった。




仕事が休み……つまりはわかるな?
そう。いっぱい寝れる。
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