どうやら、俺の隣人はアイドルだったらしい。   作:クウト

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今日はこれで最後です。


人差し指

さて、俺は今珍しく休みを取って外出中である。

ただ問題が発生しているのである。

 

「……スマホ何処だ?」

 

あれぇ?

俺カバンに入れたよなぁ?

思い出してみよう。えっと、確か……カバンの中に数日分の着替えとパソコンとコード。あと一応トラベルセットとスマホと充電器。あと財布も入れた。

んで出る前に心配になって荷物をひっくり返して着替えとパソコンとコード。トラベルセットを確認して、タクシーからの電話が来て急いで出て……。

 

「あ、財布は握りしめたけど、スマホ玄関に置きっぱなしかも……」

 

やってしまった。

まぁ休みだし連絡も来ないだろう。

数日間で用事も終わるし問題ねぇな。

さてと、向かいますかね。

 

 

 

「たっだいまー!」

 

「ただいま」

 

私とお兄ちゃんはカナお兄ちゃんの家へと帰ってきた。もう既に第二の実家の様なこの場所は、暇さえあれば遊びに来ている。……なんか静かだなぁ。

 

「出かけてるのかな?」

 

「さぁ?何も言ってなかったけど」

 

「って、こんなところにスマホが」

 

全くおっちょこちょいだなぁ。

あんまり外に出ないインドアな人だからかスマホとかを携帯しない所があるカナお兄ちゃん。コンビニにでも行ってるのかなぁ?昔よく食べてた栄養補助食品が食べたくなる時があるって言ってたまにふらっと出かけたりするし。

あとお酒の味を覚えてからはそれを求めて外に出る事もある。ちょっとだけ飲ませてもらおうと思ったけど子供のビールで我慢しなさいと怒られたっけ。子供扱いするなとも思ったけどアレはアレで美味しかったな。

 

「そのうち帰ってくるだろ。それより課題終わらせろよ」

 

「手伝ってお兄ちゃん」

 

「いやだ」

 

「えぇ!?」

 

私とお兄ちゃんはリビングへと移動していつもの定位置に座る。お兄ちゃんは自分のクッションの上、私はカナお兄ちゃんの座椅子に座ったら。

そこから一時間もかけずにお兄ちゃんはさっさと課題を終わらせてしまった。……むぅ、アイドルになる私にこれって必要なのかなぁ?でもママも勉強はしておけって言うし……はぁ。

 

「……終わったぁ……」

 

やっとの思いで課題を終わらせる。

中学生になってから勉強の難しさが上がって大変だ。でもそれも楽しいと感じる自分もいる。

……って、あれ?

カナお兄ちゃん遅くない?

 

「ねぇ、お兄ちゃん」

 

「……あぁ、遅いな」

 

「だよね」

 

何かあったのだろうか?

仕事ではないと思う。しばらく休みって言ってたし……事故とかに巻き込まれてないといいけど……。

心配でソワソワとしてしまうがスマホも忘れているし待つしかない。まったく!帰ってきたら説教確定だね。

 

「なんか飲み物あったかな?」

 

私たち専用の冷蔵庫を開ける。

あれ?こんなにジュースとか入れてたっけ?

入れた覚えのないジュースが結構入っていた。もしやと思い冷凍庫の方も開けてみる。

 

「アイスもいっぱい」

 

「兄さんが買ってきたのか?」

 

「……毎日食べ飲みしても数日分ぐらいはあるよね?」

 

「……」

 

「黙んないでよ!」

 

なんか不穏な雰囲気出しながら黙らないでほしいなぁ!!こっちは割と本気で心配してるんだからね!?

一緒に買い物に行って補充しようって言ってたのにどうしてもう入ってるんだろ?

少し嫌な予感がした。

それから数時間後。

 

「ただいま〜」

 

ママが帰ってきた。

今更だけど、私達ってカナお兄ちゃんの家に入り浸ってるよなぁ。……いやいや!おかしいのはわかってるけどね!?この、なんていうか、居心地がいいのだ。優しい気分になれると言うか、包み込んでくれる何かがあると言うか……言葉にするのは難しい。って!そうじゃない!!

 

「ママァ!」

 

「わっ!ど、どうしたの?ルビー」

 

「カナお兄ちゃんが帰ってこない!夕方からずっとだよ!?何か聞いてない?」

 

「え?何も聞いてないけど……仕事休みだったよね?電話」

 

「スマホ置いてっちゃった」

 

「……あちゃー……。待つしかないねぇ」

 

「でも!」

 

私が焦っていると、ママは私を抱きしめながら優しく撫でてくれる。……安心する。

 

「大丈夫。たぶん彼方くんはいつものやらかし属性発揮してるだけだよ。ちゃんと帰ってくるから安心してて。ね?」

 

「……うん」

 

だけど、そんな私たちを置いてカナお兄ちゃんは次の日も帰ってこなかった。

 

 

 

「す、スゲェー!!」

 

ポンッと弾ける様に飛んでいく人差し指。

俺はそれを見て大興奮である。

 

「はっはっは」

 

俺は今、自分の人差し指と中指を作るために義手などを手がける会社にお邪魔していた。

なぜかというとルビーの為だ。

ふとした瞬間に俺の指を見て暗くなるあの子を放っておくことができない。あの時の事件で断面がガタガタになって飛んでしまった指。繋げる事もできなくてそのままにしてしまっていたが、俺もある程度忙しい時期を乗り越えたしこうしてお邪魔してみることにしたのだ。

 

「まぁスタンダードな指でいいんですけどね」

 

「この機能あっても使えないしねぇ」

 

「確かに」

 

俺としては面白いけどね。

指が飛ぶところをルビーに見せたらめちゃくちゃ泣きそうで……ボツですこれ。

とりあえずスタンダードな義指を作ってもらうことにした俺だった。

 

 

 

「……不味いかもしれない」

 

「……何か言った?お兄ちゃん……」

 

「いや……」

 

「アクア〜……今日はもう何もしたくないです……」

 

不味いかもじゃない。

普通に不味い。

アイとルビーがかつてないほどに落ち込んでいるし、なんかこう……黒いオーラが溢れかえっている。アイなんて仕事に支障が出ると判断されて体調不良で数日休むってことにされたぐらいだ。

ルビーも学校に行っても落ち込んでいて友達に心配されているようだし……兄さん、早く帰ってきてくれないと不味いぞこれ。

 

「なぁ、アクア。お前は何も聞いてねぇのか?」

 

「聞いてない」

 

壱護さんもこの状況には頭を抱えている。

アイのスケジュール管理が大変になっているんだろう。心中お察しである。

 

「はぁ、いい子なんだけど抜けてる所があるのよね。それがいいところでもあるんだけど」

 

「兄さんだから仕方ない。出かけ慣れてないから」

 

ミヤコさんと一緒にため息。

もういい大人なのだからこんな事で心配させるなと言ってやりたい。だがスマホは今もルビーの手の中。あ、アイの方に行った。

 

「公衆電話からでもいいから自分のスマホにかけてくれるといいんだが……」

 

「兄さんがすると思う?」

 

「しないわねぇ」

 

「くっそ。あの天才作家はこれだから!!」

 

そう言ってやらないでほしい。

何度も言うがその辺が抜けてるのだ。

そんな兄さんだからこそ聖人君子の様な性格でいられるのだからと考えると、責めるに責めきれない……。厄介な兄である。

 

 

 

義指の発注も終わって適当に町を見回って、十分にこの旅行を楽しんで帰宅する日。

だがなぜだろう?足取りが重い気がするのは……。

 

「俺の何かがヤバいと言っている気がする」

 

エレベーターに乗り自分の部屋がある階に到着。

通路に出るとゾワリと久々の感覚。

時刻は夕方の十八時過ぎ。……俺の部屋の前に人がしゃがんでいる。それは不穏なオーラを纏っている様に見えて、それを感じた瞬間に背中に汗が吹き出す。早くなりそうな呼吸を整えて一歩を踏み出す。

……思ったより大きな音が出てしまった。

そのせいで向こうも俺に気がついた。

 

「彼方、くん?」

 

星野さんだった。

いや、まぁわかってたけどさ。

そんなに不穏なオーラを纏っていたらどう反応すればいいかわからなかった。一瞬だけトラウマを刺激されたし……。

 

「彼方くん!!」

 

「え?ちょっ!うげぇあ!!」

 

突進された。

え?えぇ!?なんでぇ!?

一言文句を言ってやろうと思ったが、震えながら俺を抱きしめる星野さんをみるとそんな気もなくなった。

なので、その……。

 

「とりあえず部屋に入りませんか?」

 

こくりと頷く星野さんを連れて、俺は俺の部屋へと戻ることにした。さらに待ち構えているものがいるとも知らずに……。

 

 

 

「カナお兄ちゃんのバカァ!!!」

 

「うぎゃあ!!あた!痛いよルビー!」

 

担当の顔を思い出してクッションを殴るの専用プラスチックバット十六代目が火を吹いた。

ルビーさん!折れる折れる!折れ……!

 

「あ、折れちゃった……。バカァ!!」

 

投げるな!!

星野さんに当てない様に守りながらルビーの仕置きを受ける俺。背中が痛いよ。

うぅ……みんな酷い。

 

「兄さん」

 

「あ、アクアぁ」

 

「一度マジで反省してくれ」

 

「アクア!?」

 

ガチトーンである。

ちょっとだけ震えた。

その後も何処に行っていただの、スマホは持ち歩かないと意味がないだの、どれだけ心配したか考えろだの、もっと私と遊べだの、高校入学祝いはあれが欲しいだの、そろそろ私の名前で呼べだの色々と文句を受けた。

……いやあの、最後の方自分の願望じゃない?

そして今。

 

「寝ちゃったんだけど」

 

「そのうち持って帰るから、暫くはそのままで居させてあげてくれ」

 

「まぁうん。別にいいけどさ」

 

俺の膝を二人で使って寝てしまったルビーと星……アイさん。いやぁ、こんなに怒られるとは思ってなかった。

 

「それで、何処に行ってたんだ?」

 

「うーん。秘密」

 

「秘密って……これだけ心配かけたのにか?」

 

「まぁたまには俺もサプライズがしたいんだよ」

 

「……はぁ、まぁ暫くはちゃんと相手してやってくれ」

 

「あぁ、もちろん。アクアも何かあれば言ってくれよな」

 

「……そう言うところだよな」

 

「ん?何が?」

 

「なんでもない。そのままでいてくれ」

 

何言ってるんだろうこの子は。

これはもしや……。

 

「っは!!し、思春期?」

 

「……」

 

ゴミを見る目で見られた。

……なんでぇ!?

 

 

 

なんて事もあったなぁ。

昔のことを思い出しながらビールをもう一口飲む。

 

「カナお兄ちゃんはいっつもそれ!そうやってママのことずっと放置し続けるんだ!」

 

「釣った魚に餌もやらないとか……呆れる」

 

「散々な言いようじゃない君たち?」

 

どうしてここまで言われるのだろう?

……まぁ、うん。長い間一緒にいるし、多少は好意を持ってくれているのもわかっている。けれど相手は芸能界を代表する様な人だぞ?俺が相手なんてそんなそんな。

 

「「……」」

 

「なんだよ」

 

「「はぁ……」」

 

「なんだよ!!」

 

さすが双子ですね!息もピッタリで微笑ましいよ!

なんて騒いでいると玄関の方が騒がしい。

 

「たっだいま〜!!」

 

「おかえりママ!」

 

「おかえり母さん」

 

「おかえりなさい。ちょうどよかった。この子達連れて帰ってください」

 

「えぇ!?せっかく帰ってきたのにいきなり帰らされるの!?」

 

まるで自分の家から出て行けと言われたとばかりの表情だ。……あれ?俺がおかしいの?

 

「またルビーとアクアに弄られてるんでしょ?」

 

「まぁ、はい」

 

「弄ってないもん!」

 

「荷物もらうよ」

 

「ありがと〜アクア。はー疲れた疲れた」

 

普通に居座ろうとするじゃん……。

そんな俺の雰囲気を察したのだろうか?アイさんはニヤリとした表情でこちらに話しかける。

 

「今日は新作ができたお祝いにいいビールも買ってきたよ」

 

「流石アイさんです。仕方ない、もてなしてやるからそこに座ってください」

 

「はーい」

 

俺の言葉にアイさんは返事をする。

アイさんは俺の対面にあるアイさん専用のクッションへと移動を開始。ちなみに俺がアイさんに指示をする際、右の人差し指で差していた。




一応、最初考えていた終わりがここです。
一話の冒頭部分に繋がって終わる。なかった指もルビーの為を思って義指を作りました。
そんで最後はアイさんにそこ座れと指差して終わり。
メインの息抜きのつもりでしたし、そこまでしか考えてませんでした。
こんなにたくさんの人が読んでくれるとは思ってなかったので。それに日刊ランキング二位とかになっちゃうし……ありがとね!!
ここから先は気分次第で更新していこうかなぁ。と思います。
伝えたい事はまだまだあったけどとりあえずこの辺でって事にしておきましょう。
それではまた。
あ、メインの方も良ければ読んでみてね!!
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