【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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第84話「それが聞いてよオタク君。さっきナンパにあったんだけどさ」

 日曜の朝。

 オタク君は駅構内にある、大きな金時計に向かっていた。

 前に優愛とした『美容院に行く』という約束のため、駅の金時計で待ち合わせとしているからである。 

 

 金時計の周りには、同じように待ち合わせをしている人たちで溢れている。

 キョロキョロと優愛を探すオタク君。

 

「おーい、オタク君」

 

 オタク君が声のする方向を見ると、優愛が手を振っていた。

 少し小走りで優愛の元へ向かうオタク君。

 

「皆もう来ていたんですね」

 

 優愛だけでなく、リコと委員長も既に待ち合わせ場所にいた。

 ニコニコと笑顔の優愛とは対照的に、リコは不機嫌そうな顔をしている。   

 そんな二人に挟まれ、委員長が困っている様子である。

 何があったかあまり聞きたくないオタク君だが、三者三様に聞いてくれと言わんばかりにオタク君を見ている。

 

「何かあったんですか?」

 

 こんな気まずい空気のまま行くわけにもいかず、聞く事にしたオタク君。

 

「それが聞いてよオタク君。さっきナンパにあったんだけどさ」

 

「ナンパですか」

 

 ゲラゲラと笑いながら話し始める優愛。

 ギャルの優愛はもちろんとして、リコも委員長も部類としては美少女である。

 ならばナンパされても何も不思議ではない。

 

「それで相手がリコの事『妹さん?』とか言ってきたんだけど」

 

「はい」

 

「リコが私達と同い年と知った瞬間に、めっちゃ食いついて来た男がいてさ」

 

 リコが幼く見えたからこそ食いついた。ようはそっちの趣味の人なのだろう。

 普段なら小柄な彼女でも、そこまで幼く見られる事はない。

 だが今日は可愛い系の格好をしている。髪型もサイドテールである。

 

 別に狙ったわけではない。

 元は天然パーマな髪質をストレートパーマをかけて真っ直ぐにしていたのだが、伸びた部分は当然カールしてしまう。

 カールした部分をヘアピンで誤魔化せるところは誤魔化しているが、それでも誤魔化しきれない部分を仕方なく結んでサイドテールにしている。

 服装は髪型に合わせて、明るい感じにしたのだろう。

 その結果、背伸びした幼子みたいな感じになってしまったのである。

 

 なおも笑いながら話す優愛に対し、リコはますます不機嫌な顔でオタク君を睨みつける。

 聞いて欲しそうな顔をしておいて、聞いたら聞いたで不機嫌になるのは流石に理不尽である。

 

「どーせアタシは見た目がガキだよ」

 

 そう言ってそっぽを向くリコ。

 

「そんな事ないって」

 

「可愛くて素敵だと思う」

 

 流石にちょっとからかい過ぎたと思ったのか、フォローをし始める優愛。

 委員長も一緒になってフォローするが、焼け石に水である。

 

「普段のリコさんも良いけど、今日の格好は可愛くて良いと思いますよ」

 

 子供っぽいという意味じゃなくてと付け足すオタク君。

 優愛と委員長に言われても仏頂面だったリコが、オタク君に褒められると少しだけ態度が軟化した。

 相変わらず不機嫌そうな顔をしているリコだが、髪を弄ったりしているのは照れている証拠だろう。 

 

 リコの反応を見て、優愛と委員長がオタク君にアイコンタクトを送る。

 察しの良いオタク君は、優愛と委員長の視線とその意味にすぐに気付く。

 

「美容院が終わったら、今度可愛い感じのメイクしてみませんか?」

 

「子供っぽく見えるのはなぁ……まぁ、小田倉がどうしてもって言うなら、やっても良いけどさ」

 

 不機嫌だった顔が、口を尖らし顔を赤らめた乙女の顔に変わっていく。

 チョロインである。

 

「はい、どうしてもです」

 

「そこまでいうなら、まぁ……」

 

 リコの機嫌が直り、どういった感じのメイクや服装が良いかリコと相談をしながら調べ始めるオタク君。

 オタク君のスマホをリコが覗き込み、どういうのが良いのか仲良く話す。

 

 そんな様子を、優愛と委員長が少々不機嫌そうに見つめる。

 リコの機嫌を直したら直したで不機嫌になるのは流石に理不尽である。

 

「オタク君、私も可愛い系の格好してみたいけど、どういうのが似合うかな?」

 

「今日は美容院に行くので、普段よりオシャレしてみたの」

 

 無理やりオタク君とリコの会話に割り込む優愛と委員長。

 何故彼女達が唐突に話に割り込んだか、オタク君は気付かない。

 察しは良いが鈍感なので。 

 

 無自覚モテ男の「そういえば、美容院の時間は大丈夫ですか?」の一言により、何とか片が付いたようだ。

 優愛を先導に、オタク君たちは美容院へと向かって行った。

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