【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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閑話「類は友を呼ぶ」

 五月も中盤に差し掛かったころ、新一年生たちは体験入部を終え、それぞれ部活に所属していた。

 運動部も文化部も関係なしに、あちこちから新入部員の自己紹介の声が聞こえてくる。

 初々しい挨拶から体育会系バリバリの挨拶まで多種多様である。

 

 だが、どの挨拶も終わった後には拍手が起こる。

 そんなワイワイした空気の中で第二文芸部はというと。

 

「一年A組の下木芹っす。宜しくお願いしますっす!」

 

「ほう、確か小田倉殿の相方でござるよな」

 

「らしいですな。となると入部テストが必要ですな!」

 

 いきなり荒れていた。

 部室に入り、挨拶をしたらいきなり知らない先輩二人に入部テストと言われためちゃ美。当然、困惑である。

 入部テストなんて聞いていないと言わんばかりにオタク君を見るめちゃ美だが、オタク君も顔を横にブンブンと振り知らないアピール。

 

「なんだよ入部テストって」

 

「入部するためのテストでござるよ。テスト内容は勿論」

 

「ぶっ飛ばしファイターズですぞ」

 

 不穏な笑みを浮かべながら、懐からピタゴラと呼ばれる携帯ゲーム機を取り出すチョバムとエンジン。

 そんな二人を見て呆れるオタク君。優愛やリコ、委員長も同じく呆れたように見ている。

 

「お前らなんで学校にピタゴラ持ってきてるんだよ!」

 

「それは勿論」

 

「入部テストのため」

 

 まるで事前に打ち合わせしていたようなチョバムとエンジンの喋り方に、ちょっとだけイラっとするオタク君。

 

「めちゃ美、この二人は別に相手しなくて良いから……」

 

 ため息を吐きながらめちゃ美に振り返るが。

 

「こちらも抜かねば無作法というものっす!」

 

 チョバムやエンジンと同じく携帯ゲーム機を取り出すめちゃ美。

 そうだった、コイツはどちらかというとこの二人(チョバムとエンジン)寄りの人間だったと思いながら、オタク君は更に深いため息を吐いた。

 もう勝手にしてくれと呆れるオタク君をよそに、盛り上がる三人。

 ノリに全くついて行けない優愛たちは、もはや蚊帳の外である。

 

「まずは拙者が相手してやるでござるよ。レディ相手なので、ちゃんと手加減するでござるよ」

 

 チョバム、本人はジェントルマンのつもりだが発言があまりに紳士的でない。

 チョバムの発言に、優愛たちも「うわぁ」と言わんばかりに半眼で。

 

「うわぁ……」

 

 あっ、言った。

 うわぁと口にしながら半眼でチョバムを見ている。

 本人はノリで言った入部テストが本当に行われる事になって、ちょっとはしゃいでいるせいでその事に全く気付いていない。

 

 こうして入部テスト『ぶっ飛ばしファイターズ』が始まった。

 ぶっ飛ばしファイターズとは、最大四人まで同時対戦が出来る対戦型アクションゲームである。

 ステージによってギミックが異なり、キャラの特性やアイテムで戦うバトルロイヤル形式のゲームなのだが。

 

「拙者はドッグ&バードを使うでござる。ルールは時間五分アイテム無しシンプルステージ三本先取でござる」

 

 ゲームのルールはランダム要素が一切ない状態でタイマンを行い、画面端に相手を飛ばしたら一本というシンプル且つ力量差で試合が決まるルールである。

 チョバムが選んだのは犬と鳥がセットのテクニカルタイプのキャラである。

 

「良いっすよ。こっちは風の御曹司で行くっす」

 

 そして、めちゃ美が選んだのは風の御曹司。パワータイプのキャラである。

 

(やはり女の子でござるな、分かりやすいパワーキャラを選んだでござる。拙者のテクニックで驚かせてやるでござるよ)

 

 にやけ顔のチョバム、考えが完全に顔に出ている。

 普段はあまり良いところを見せられないので、ここでゲームのテクを見せびらかし良いところを見せようという魂胆である。

 先ほどから悪い言動しか見せていないが。

 

 ファイトの合図で対戦が始まる。

 

「あっ、えっ!?」

 

 驚きの声を上げるチョバム。画面を見ていたエンジンも同じ反応である。

 開始三秒でチョバムのキャラが画面端まで吹き飛ばされたのだ。

 

「い、今のはちょっと油断しただけで」

 

「うおりゃあああああああああっす!!!」

 

 声を荒げ、必死にレバースティックを下入力を連打するめちゃ美。

 それに合わせ、めちゃ美のキャラが素早くしゃがんでは立ってを繰り返す。

 全ての格闘ゲームに共通する挑発行為の一つ。屈伸煽りである。

 

「うぉい! 何煽ってるでござるか!!」

 

「隙ありっす!」

 

 顔を真っ赤にして、めちゃ美に文句を言うチョバム。

 その一瞬の隙をついて、連続技を華麗に決め瞬く間に二本先取である。

 

「ちょっ、待つでござる! とりあえず屈伸煽りやめろでござ、(※)シャゲダンするなでござる!!」

 

(※)シャゲダン=右左を素早く入力し続ける煽り行為。

 何が起きているのか分からないが、チョバムの反応が面白く笑ってしまう優愛。

 

「なんかゲームのキャラがちょこちょこ動いてるの可愛くてウケル!」

 

「やってる事は可愛くないんだよなぁ……」

 

 頬をピクつかせるオタク君。

 その表情は、あーあ、やっちまったである。

 めちゃ美はどんなゲームでもそれなりに上手いのはオタク君は知っていた。

 そして、煽られたり舐められたりすると何倍にもして返すタイプという事も。

 

 僅か十秒も立たずに二本先取しためちゃ美のキャラが、今度は戦わずにステージ上を駆け抜けている。

 それをチョバムのキャラも追いかけるが、追いつけず、少し離れる度に屈伸煽りシャゲダンを決めている。

 

「いやー、運よく時間切れの判定勝ちだったっす」

 

「小田倉殿、今コイツ煽ったでござる!」

 

 顔を真っ赤にしながら抗議をするチョバム。

 確かにめちゃ美の煽りプレイは大分アレだが、元はと言えばチョバムの発言が原因。

 完全に自業自得である。

 

「もう一回でござる! せ、拙者本気じゃなかったでござるし! ってかこんなクソキャラ使えないでござるし!」

 

 そしてこのたいらくである。

 良いところを見せるはずが、チョバム株はストップ安を超えてなおも下落している。

 

「良いっすよ」

 

 対してめちゃ美株は上昇である。

 そして迎えた二回戦目。

 

「チョバム、切り札は大会で禁止されてるキャラだぞ!」

 

「これは入部テストでござるぅ~、禁止とかないでござるぅ~」

 

 あまりの強さに、大会では使用が禁止されているキャラである切り札を選ぶチョバム。

 スピード、パワーのどちらも高い上に、技が見切りづらいというトリッキーな性能まで持ち合わせている最強キャラである。

 大会では使えず、ネット対戦で使えば相手や観戦してる人達から批判が飛んでくるのは必須のキャラ。

 そんなキャラを選ぶ辺り、もう完全になり振り構ってられない状態である。

 

「別に良いっすよ」

 

 だが、そんなチョバムの行為にも、気にしないと笑うめちゃ美。男前である。色黒ギャルのJKだが。

 そしてめちゃ美が選んだのは、先程チョバムが使っていたドッグ&バードである。

 試合が始まる前からめちゃ美の煽りが始まっていた。 

 

 ここまで意地もプライドも投げ捨てたチョバムだが、あっという間にフルボッコにされ、残ったのは虚しさだけだった。

 その後エンジンも負け、こうしてめちゃ美は入部テストを文句なしの合格で第2文芸部へ入部を果たしたのだった。

 ちなみにエンジンとは普通に対戦をしていた。煽られたり舐めたりさえしなければめちゃ美は普通に対戦するので。

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