【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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第12話「えっ、オタク君脱いだら凄くない!? ヤバッ!」

『明日プールに行かない? 無料券3枚貰ったからさ』

 

『良いじゃん。行きたい行きたい! オタク君は?』

 

『良いですよ。それでは駅で集合しましょうか』

 

 ゴールデンウィークの真っ只中。

 オタク君達はプールに来ていた。暖かくなってきたとは言え、まだプールに入るには寒い。

 なので、来ているのは当然温水プールである。

 

 ここは県内でも最大の温水プールで、普通のプールは勿論の事。

 波の出るプール、流水プール、更には100M以上のスライダーまで設置されている。

 夏になれば屋外プールも使えるのだが、今の時期は屋内のみだ。それでも十分すぎる程の広さがあるが。

 

 早速水着に着替えた優愛とリコ。

 優愛は上下白のフリルビキニに、スカートの付いた水着を。

 リコは黒のベアトップビキニに、黒のショートパンツの水着を着ている。

 

「あれ、オタク君まだ着替えてないのかな」

 

 更衣室出口の辺りで周りをキョロキョロと見渡す優愛。

 お互い着替え終わったらここで待ち合わせを決めている。どうやらオタク君はまだ着替えが終わっていないようだ。

 

「今日はお姉さんと一緒に来たの?」

 

「俺達も丁度二人で暇してたんだよね。良かったらどう?」

 

 そんな彼女たちを男連中がほっとくわけもない。

 早速二人組のチャラそうな男達が声をかけて来た。

 色黒に金髪の二人組で、歳は大学生くらいのチャラ男だ。

 

「同級生だっつうの」

 

 不愛想に答えるリコだが、男たちは笑顔を崩さない。

 

(おい、どっちにするよ)

 

(小さい子も同い年っていうと最低でも高校生だろ。俺そっち行くわ)

 

(マジかよ、見た目犯罪な気がするぞ。まぁお前がそれで良いなら俺はもう一人の子行くから)

 

 男同士腕を組み、こっそりと聞こえないように小声で会話をしているつもりだろうが丸聞こえである。

 当然そんな会話を聞けば、リコの機嫌が悪くなっていく。

 

「悪いけど、待ち合わせしてるから消えてくんない?」

 

「そんな邪険にしないでよ。もしかして待ち合わせって女の子? じゃあその子もいれて一緒に遊ぼうよ」

 

「うざっ」

 

「まぁまぁ、ほら一緒に遊べば楽しくなるって」

 

 なおも馴れ馴れしく近づいてくるチャラ男。

 いい加減プールの監視員を呼びに行こう。優愛がそう思った時だった。

 

「お待たせしました。あれ、知り合いですか?」

 

 オタク君、やっと登場である。

 

「あっ? 何だテメェ?」

 

 優愛達には何を言われてもニコニコしてるチャラ男だが、男相手には一々気を使う必要が無い。

 明らかに敵意むき出しでオタク君を睨みつける、が。

 

「……あっ、ツレの方でしたか。ちょっと声をかけただけなので」

 

「それじゃ、すみませーん」

 

 オタク君を見て、一目散に逃げだした。

 彼らがオタク君にビビってしまうのも無理もない、水着姿になったオタク君はムキムキだったからだ。

 細マッチョなんて相手じゃないようなマッチョだ。

 普段は制服を着ているから、わからないだけで。

 

「えっと、今の人達は?」

 

「ただのナンパだ、気にすんな。ってか小田倉その筋肉なんだよ!?」

 

「えっ、オタク君脱いだら凄くない!? ヤバッ!」

 

 先ほどのナンパに対し不機嫌になっていたリコ。オタク君が来たら腹いせに文句の一つでも言うつもりだったがその考えは飛んでいた。

 ボディビルダー程ではないが、一目見て分かる程のマッチョだ。

 

 というのも、オタク君はアニメの影響を受けやすい。

 かつて筋トレを題材にしたアニメが流行った時に、影響を受けそれ以来ずっと筋トレを続けてきたのだ。

 ツ●ッターで「筋肉は良いぞ」等と毎日呟き、筋トレ成果を報告してるくらいだ。

  

 今回はプールで水着、つまり筋肉を披露する機会が出来た。

 オタク君は着替えてから更衣室の鏡の前で筋肉を仕上げていた。それ故に更衣室から出てくるのが遅くなったのだ。

 

「ねぇねぇオタク君。触っても良い?」

 

「良いですよ」

 

 優愛がオタク君の胸を触ると、それに合わせて筋肉をピクピクさせる。

 テンションが上がった優愛が、オタク君の身体を触るたびに、その部分に力を入れて動かしていく。

 

「リコさん、ちょっと僕の腕にぶら下がってみてください」

 

「こ、こうか?」

 

 まさかと思いながらオタク君の腕に捕まるリコ。

 

「おおっ、うわっ、すげーすげー!!!」

 

 腕にぶら下がったリコをそのまま持ち上げて、上下に動き、更には回ってみたりする。

 

「小田倉、もっと回れるか!?」

 

「勿論です」

 

「うおっ、あははははは。すげー!」

 

 普段なら子ども扱いされると怒るリコだが、思わず楽しくなり凄い凄いと言いながら無邪気に笑っている。

 そんな様子をちびっ子たちが羨ましそうに見る。ちびっ子たちのお父さん達はこの後どんなおねだりが来るか想像し、自分の腰と相談を始めている。

 

「オタク君オタク君、私も!」

 

 そう言って腕にぶら下がろうとする優愛だが、足が地面についてしまう。

 

「……」

 

「……」

 

 優愛とリコの間に沈黙が走った。

 リコがニヤっと優愛を見た。普段は身長が低い事をなじられたりする分、今回は身長が低い事で優位に立ったと言わんばかりに。

 

「むぅ!」

 

「そ、それじゃあ行きましょうか」

 

 不穏な空気を感じ取ったオタク君が、話題を変えるためにプールへ向かって歩き出そうとする。

 

「小田倉。このまま動けるか?」

 

「ええ、このくらいなら余裕ですよ」

 

 腕を上下しながらあるき出すオタク君。

 不意に背中に衝撃を感じた。

 

「えいっ!」

 

「うおっ!?」

 

 オタク君の背中に、優愛が飛び乗って来たのだ。

 驚きの声を上げるオタク君だが、突然のしかかられたというのに微動だにしていない。ナイス筋肉である。

 

「じゃあ私も運んでって」

 

「えっ、優愛さん、その」

 

 胸が当たっている。そう言おうとするオタク君だが、優愛は分かってると言わんばかりに小悪魔のような笑顔を向けている。

 多分何を言っても退いてくれないだろう。諦めてそのまま二人を抱え歩き始めるオタク君。

 あまりの異様な姿に、周りの注目を集めながらプールへと入って行った。

 オタク君が筋肉を披露しながら、なんだかんだ楽しく遊んだ3人だった。

 

 ちなみに優愛とリコには最初のナンパ以来、誰も声をかけてきてはいない。

 それなりにモテる彼女たちは、既に学校で何回も告白されているくらいだ。

 

 そんな彼女たちが何故ナンパに遭わないか?

 ヤベェ筋肉の男連れだからである。オタク君、図らずも男らしくボディガードの役割を遂行していた。

 

 ちなみにモテるのは彼女達だけではない。

 

「あの~、ちょっと良いですか?」

 

「はい。どうしました?」

 

「その~、筋肉触らせてもらっても良いですか?」

 

 優愛達と少し離れた隙に、オタク君は逆ナンされていた。

 おっとりとした年上の女性で、オタク君の筋肉を恍惚の表情で見ている。いわゆる筋肉フェチという奴だろう。

 若くてムキムキの男の子が一人で居るのだ、そっちの界隈の人にとっては声をかけない選択肢はないだろう。

 

「おーい小田倉、何してんだ?」

 

「オタク君の知り合い?」

 

「あっ、お友達と一緒でしたか~、失礼しました~」

 

 女性はそそくさと逃げるようにその場を離れた。

 

「いえ、筋肉が珍しいから触りたかっただけみたいです。ところで二人ともなんで僕の腕にしがみついてるんですか?」

 

「別に?」

 

「何となく?」

 

 オタク君が彼女達へのナンパを妨害するように、彼女達もまた、オタク君へのナンパを妨害していた。

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