【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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閑話「教師達がみてる」

 優愛、リコ、そして委員長とオタク君。

 それぞれが思い思いの夜を過ごすキャンプ場。

 

 そんなロマンチックな夜を過ごすのは、なにもオタク君たちだけではない。

 オタク君たちの通う学校、秋華高校は異性交遊に関しても、やはり緩い。

 本人たちが納得し、一線を越えないのなら特に何か言われたりはしない。

 なので、キャンプ場ではカップルたちが集うのは当然である。

 

「星空、綺麗だね」

 

「お前の方が綺麗だよ」

 

「はいはい、またそんな適当な事言って」

 

 男子生徒の歯の浮くようなキザなセリフに、女生徒が笑う。

 女生徒が笑っているが、男子生徒は気まずそうに頬を掻きながら苦笑いである。

 

「本当か、確かめてみるか?」

 

 良い雰囲気になり、見つめ合うカップル。

 そして、カップルでいちゃつけば、それを冷やかす者も自然と出てくる。

 

「ヒューヒュー!」

 

「お二人さん熱いね!」

 

 今まさにキスをしようとしていたカップル。

 だが二人組の男に冷やかされ、飛びのくように距離を取った。 

 

「コラー、お前達なにやっとるか!」

 

 なおも冷やかす二人組。するとどこからともなく怒鳴り声が聞こえる。

 怒鳴り声の主は怒ってますと言わんばかりに片手をあげているが、辺り一面真っ暗闇。

 カップルからも冷やかしている二人組からも声の主はよく見えない。

 

「やばい、増田先生だ」

 

「逃げろー」

 

 だというのに、冷やかしていた二人組は声の主が増田先生と気づき、冷やかすのをやめて逃げ出した。

 一旦立ち止まり、ため息を吐く増田先生。

 

「全く……立川先生と沼津先生には困らされたものだ」

 

 昼間はオタク君たちと滝に打たれ、今はジャージ姿の、見るからに体育教師の増田先生。

 彼がやれやれと肩を落とすと、また少し離れた場所から「ヒューヒュー」と冷やかす声が聞こえ始める。

 その声を聞き、また「コラー」と言いながら、冷やかしている二人組こと立川先生と沼津先生を追いかけ始める。

 

 スーツ姿の中年の立川先生。

 白衣姿に眼鏡をかけ、教師にしてはまだ若く見える沼津先生。

 彼らが生徒を冷やかしてるのは、決してライフワークでも趣味でもない。

 生徒たちへの注意のようなものである。

 

 いくら交際が自由とはいえ、一線を越えてしまった場合は教師として対応せざる得なくなる。

 そして、その後に挙げられる対策は分かりきっている。校則による男女交際の禁止である。

 なので、一線を越えないように見張る必要がある。

 

 だが、教師が目を光らせて見回れば、せっかくの雰囲気がぶち壊しになってしまう。

 自由な校風のおかげで生徒といい関係を保てている教師としては、教え子たちには良い思い出を作って欲しい。

 なので、雰囲気を壊さずに、巡回してますよと生徒にアピールするために、このような冷やかし巡回が教師たちの間で伝統化しているのだ。

 気を使っているつもりだろうが、十分雰囲気はぶち壊している。

 

 ぶち壊してはいるが、生徒たちからはウケは良い。

 部の後輩や先輩に「今年はこんな冷やかし方だった」という話のネタになるからである。

 

 立川先生と沼津先生が生徒たちを冷やかしながらキャンプ場を回る。

 その表情は、ちょっとだけ楽しそうである。

 

 一通り巡回し、これ以上の邪魔をしないように、教師用のテントに戻ろうとした時であった。

 

「あれ、あそこにもカップルがいますね。やっちゃいますか?」

 

 目ざとくカップルを見つけた立川が、ウキウキ声で増田と沼津に話しかける。

 それを沼津が肩に手を置き、首を横に振り制止する。

 

「あれは天体観測をしてるだけですよ。ほら、道具も本格的に準備してますし」

 

「ただ天体観測をしているだけなら冷やかしたら悪いですよ」

 

 それなら仕方がないと諦める立川。

 自分たちのテントへ戻っていく教師三人。

 彼らが冷やかすのをやめた相手は、もちろんオタク君と委員長である。

 天体観測のおかげで良い雰囲気をぶち壊されずに済んだようだ。最終的にはぶち壊される事になるが。

 

 テントに戻った教師たちが、誰と誰が付き合っていたのか等とネタにしながら、ワイワイと語り始める。

 いくつになっても他人の色恋沙汰を見るのは楽しいものなのだろう。

 そんな風に話していると、唐突に沼津が真顔になる。

 

「彼らは若いからこの先も色々あるだろうけど、出来ればこのまま交際が続いてくれると良いですね」

 

 もし結婚するような事があれば、恩師として呼ばれてみたいものですね。などと続けて呟く。

 そんな沼津の発言に、増田がニヤニヤし始め、立川は気まずそうに目を逸らす。

 そこまで分かりやすい反応に、沼津が気づかないわけもなく。

 

「どうかしたんですか?」

 

「沼津先生、聞いてくださいよ」

 

「もう、増田先生その話何度目ですか」

 

 恥ずかしがって増田を止めに入る立川。

 だが、立川が手を伸ばすと、まるで魔法のようにくるりと体が一回転し、増田にヘッドロックをかけられた形で制圧されてしまう。

 

「実は立川先生は、私の教え子でね。ここで私が冷やかした事もあるんですよ」

 

「ほうほう!」

 

「それで、その時立川先生と一緒に冷やかされた女子が、今の奥さんなんですよ」

 

「おぉ、ヒューヒュー! 熱いね!」

 

「もう、やめてくださいよぉ」

 

 教師用のテントから笑い声が漏れる。

 この時の会話が生徒の耳に入り、後日立川が生徒たちから冷やかされたのは言うまでもない。




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