【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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第32話「べ、別に、変な所触ったりしないなら気にしないから」

「へぇ、リコさんはお兄ちゃんと同じ学校なんだ」

 

「うん。クラスは違うけどね」

 

 そのまま一緒にシャワーを浴びる事になったリコと希真理。

 希真理の予想では、兄は学校でオタクな部活に入り、周りからもオタクと思われているだろうと思っていたが、割と違っていた。

 リコの話を聞く限りでは、普通の生活だ。第2文芸部とやらで隠れオタクをしている以外は、一般人に擬態しているように思えた。

 

「お兄ちゃんって友達いるんですか?」

 

「そうだな。共通の友達で優愛ってのが居るよ」

 

「どんな人なんです?」

 

「なんつうか、ギャルでブラとか見える格好してる奴だな」

 

 酷い言い方ではあるが、あながち間違っていない。

 

「お兄ちゃんにそんな友達が居るんですか!?」

 

 リコがお兄ちゃんの友達という事は、希真理は何となく納得出来た。

 お兄ちゃんはオタクだから、ロリ体型のこの子が気に入ってるんだろうという理由だが。

 逆に優愛と友達という事には疑問を持っていた。全くタイプが逆なので。

 

 オタク君。妹からの評価は割と散々である。

 

「良かったら今度そのお友達も連れて来てください。お話してみたいです」

 

「うん。良いよ」

 

 2人はシャワーを浴び、脱衣所に出た。

 流石にお兄ちゃんの服より私の服の方が良いでしょという希真理の言葉に甘え、服を借りるリコ。

 

「それじゃあ私は部屋に戻るから。お兄ちゃんが変な事しそうになったら大声で叫んでね」

 

「ありがと」

 

 オタク君もシャワーを浴び、部屋に戻って来た。

 部屋には妹の服を着たリコが、本棚を見てどの本が良いか悩んでいた。

 

「お待たせしました」

 

「いや、待ってないよ。そういや小田倉のお勧めの本って何かあるか?」

 

「そうですね。リコさんはどういう系が読みたいとかありますか?」

 

「そうだな。コスプレする事考えるなら、小さい女の子が主人公と一緒に戦ったり、日常を過ごしたりじゃないか?」

 

「あっ、それなら」

 

 完全にコスプレの事を忘れていたオタク君。

 思わず「あっ」と言いながらも、リコのリクエストに答えられる内容の本を選んでいく。

 

「これとか、どうでしょうか」

 

「うん。ありがとう……ってどうしたんだニヤニヤして」

 

「あぁ、すみません。なんか妹の服着てるリコさん見てると、妹がまだ僕になついてた頃を思い出しまして」

 

 まだリコくらいの身長の頃は「お兄ちゃんお兄ちゃん」と言ってベタベタしていた妹。

 今はそんな面影もない。たまにおやつを作る時に寄ってくるくらいだ。 

 妹の服を着ているリコを見ると、まだ妹がなついていた頃を思い出してしまうのだろう。

 

「ふーん。そうか」

 

「あはは。ちょっと失礼でしたね」

 

 ちょっと所の話ではない。

 顔を合わせづらくなり、テーブルの前であぐらをかいて座るオタク君。

 そんなオタク君の膝の上に、リコが座った。

 

「ま、まぁなんだ。本も借りてシャワーまで借りてるんだ。ちょっとくらいは妹の代わりにしても良いぞ」

 

「えっ」

 

 流石に妹でもそこまで甘えて来た事は無い。

 思わず足を崩すが、リコは気にした様子が無い。

 

「べ、別に、変な所触ったりしないなら気にしないから」

 

(これは頭をなでて良い、というかなでて欲しいという事なのだろうか?)

 

 気にせず漫画を読み始めたリコの頭を、軽く撫でるオタク君。

 もしここで妹が部屋に乱入して来たらどう言い訳しようか。

 そんな事を考えながらも、リコの頭を撫で続けるのであった。

 

 結局妹が乱入してくる事は無く、夕方になった。

 洗濯にかけていたリコの服も、十分に乾いている。

 

「悪いね、お世話になった」

 

 リコの左手には紙袋が、オタク君がお勧めした本が何冊か入っている。

 

「いえいえ。そうだ、駅まで送りますよ」

 

「別に良いよ。また汗をかいたらシャワー浴びた意味ないだろ」

 

「でも……」

 

「良いって。それじゃあな」

 

 強引にオタク君が駅まで送るという提案を断り、家を出た。

 しばらく歩き、一旦立ち止まり振り返る。

 

「……ついて来てないな」

 

 オタク君がついて来ていないのを確認してから、リコは深く息をついた。

 自分の胸に手を当てると、物凄い速さで心臓が鼓動しているのを感じた。

 

「まともに顔を見れるわけないだろ。ばか」

 

 自分でも大胆だと思う行動を取ったとリコは思う。

 ほんのちょっと、からかうつもりだったんだ。そう自分に言い聞かせる。

 

(退かそうとせずに、頭を撫でた小田倉が悪いんだ!)

 

 そんな風に必死に自分への言い訳をしながら、帰路に着くリコ。

 家に帰ったリコは、母親に熱中症を疑われるくらい顔が赤くなっていた。

 

(そうか、この胸のドキドキは熱中症だな。涼しくして早く寝よう)

 

 クーラーを最低の温度まで下げ、額に熱さまシートを張り布団に潜り込むリコ。

 

(今日は熱中症だからドキドキしたんだ。次は体調が万全な時にやって、平気な所を見せてやろう。そうだ。次こそは平気なんだ)

 

 自分への言い訳をしながら、次はいつオタク君の膝の上に座るかを計画するリコだった。

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