【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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第34話「オタク君この後、文化祭見て回る予定ある?」

 夏休みが終わり、始業式の後に文化祭準備期間を得て、ついに文化祭である。

 休日開催という事もあり、外からも人が来る。

 

 校門を抜けるとグラウンドでは、保護者会や地域のメンバーによる出し物の「冥土喫茶」や、迷子などの対策本部が建てられている。

 他にも一部教師が出し物に参加していたりする。どうやらグラウンドは大人による出し物の場所になっているようだ。

 

 そしてグラウンドを抜け校舎へ。普段は校舎に入る場合上靴(上履き)に履き替えないといけないのだが、この日だけは土足OKになっている。

 校舎では、どこのクラスもカラフルな飾りつけをしており、廊下にも色々な飾りつけをされている。文字通りお祭りである。

 

 体育館ではライブをやっているのか、ギターの音が漏れ出ている。

 そんな音漏れをさせて大丈夫か不安になるが、そもそも校舎の屋上では吹奏楽部が体育館の音漏れなんて比ではないレベルで演奏している。

 きっと近隣住人には事前に説明をしてあるのだろう。迷惑云々はともかくとして、とても青春的である。

 

 部活練も校舎に負けじと様々な趣向を凝らしている。

 その中で、第2文芸部はというと、そこそこ人気が有った。

 第2文芸部を見に行くのは大体が30-40代で、先●者を見ては口々に「懐かしいですね」と言って古のインターネットを語り合っている。

 

 どこも人気(ひとけ)で溢れる中、行列が出来る程の人気があるクラスがあった。

 オタク君のクラスである。

 

 老若男女問わず大人気アニメの格好をしている上に、貸衣装まであるのだから当然といえば当然だ。

 鬼まんじゅうを買えば貸衣装、もしくは衣装を着た生徒と撮影が出来るという触れ込みのおかげで行列の終わりが見えない状態になっている。

 

「おーい、浅井。まだ奥に人が居るなら列の整理に人材送るけど?」

 

「そうだね。樽井、少しの間俺が持たせるから、池安とかに手伝ってくれと言いに行って来てくれ」

 

「了解」

 

 樽井は急いでクラスへ戻り、池安他メンバーを連れて列の整理を始める。

 しかし、これだけの人数が居たら、貸衣装は夕方になっても終わらないだろう。

 クラスからこっそり列の様子を伺う委員長。そろそろ文句を言う客も出てくる頃だ。

 

「小田倉君、貸衣装増やすために誰かの衣装で増やします?」

 

「大丈夫だよ委員長。もうちょっとだけ待ってて」

 

 振り向きもせず、オタク君が返事をする。

 どうやらメイクを施している最中のようだ。 

 

「よし、完成。山崎、これでどうだ?」

 

 鏡を見せるオタク君。

 鏡には鬼殺の刃に出てくる、柱そっくりにメイクをされた山崎が居た。

 以前コスプレ祭りで、オタク君が山崎にされた頼まれごとである。

 

「すげぇ、小田倉マジ完璧じゃん。俺柱じゃん!」

 

 鏡の中の自分に興奮する山崎。

 彼が見たコスプレと遜色のないレベルのメイクをオタク君に施してもらったのだ。

 

「これで貸衣装を選ばず、コスプレした山崎と撮影を選ぶ人が増えると思うから、分散させれるはず」

 

 行ってこいと背中を押された山崎が廊下に出ると、歓声が上がる。

 目の前には本物と見間違うほどに再現度が高いコスプレした山崎が出て来たからだ。

 

「俺と記念撮影をしたい者はこっちの列に並ぶが良い」

 

 山崎の一言で、列が一気に分散された。

 貸衣装では着る、撮影、脱ぐといった行動でどうしても時間がかかってしまっていた。

 だが、コスプレをした山崎の撮影は撮影したら終わりなのでかなりの時間を短縮された。

 

 おかげで列の進みは何倍も速くなったが、鬼まんじゅうの補充が間に合わなくなってきたようだ。

 生徒たちが作っては渡してを繰り返している。とはいえ元々作り置きもあったおかげで、何とかなってはいるようだ。

 

「おっす小田倉、交代時間になったから戻って来たぞ」

 

「あれ、秋葉と青塚。もうそんな時間?」

 

「あぁ、忙しくて時間も分からなかったか。ほんと大盛況だよな」 

 

 そう言って列を見て苦笑するのは、秋葉と呼ばれた少年と青塚と呼ばれた少年だ。

 以前オタク君と遠足の班を組んだ2人組である。  

 

「俺達が交代するから、小田倉と鳴海さんは文化祭楽しんでこい」

 

「分かった。じゃあ後は頼むよ」

 

 オタク君が秋葉、青塚とハイタッチをしてクラスから出ていく。

 廊下で列を整理している優愛に、オタク君が声をかける。

 

「優愛さん、交代の時間ですよ」

 

「マジで? 時間過ぎるの早くない!?」

 

「マジです」

 

「そっか。そうだ、オタク君この後、文化祭見て回る予定ある?」

 

「一応第2文芸部に顔を出して、リコさんのクラスの展示を見ようかなって考えてたくらいです」

 

「おっ、私と一緒じゃん。それなら一緒に回ろうよ」

 

「良いですよ。お昼どうします?」

 

「それじゃあ先に冥土喫茶行かない? ってか、おじちゃんおばちゃんが給仕してるから冥土って名前ヤバくない? ウケる!」

 

「まぁ、確かにヤバいですね」

 

 本人たちが納得して付けた名前なら良いが、他人が勝手に付けているなら大問題になりそうな店名である。

 

「リコは交代の時間までまだあるから、先に食べに行こうか」

 

「そうですね」

 

 他のクラスの呼び込みを避けたりしながら、グラウンドで食事をするオタク君と優愛。

 この後どうするか、他のクラスでこんな事していたなどの話題で盛り上がる2人。

 文化祭はまだ始まったばかりである。

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