【完結】ギャルに優しいオタク君   作:138ネコ

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第47話「それなら大丈夫だって。体調管理はちゃんとしてるから」 

 12月。

 11月はまだ暑い日はあったものの、12月になれば流石に冷え込んでくる。

 この日は朝から冷え込み、誰もが冬服を着て寒さ対策をしている。

 

 そんな中、オタク君のクラスで薄着の者が居た。

 優愛である。

 

 席に座ったオタク君の近くで、村田姉妹と談笑している優愛。

 

 他の生徒たちは長袖のブレザーを着ているというのに、優愛は袖が無いタイプのセーターを着ている。

 一応学校指定の長袖カッターシャツを着てはいるが、ボタンはいくつも開け広げられ、胸元とヘソが露出している。 

 

 ここまでくれば、当然スカートも短い。

 その姿は、冬場で雪が降っても半そで半ズボンの小学生に通ずる物を感じる。 

 

「おやおや~、小田倉君さっきから優愛見てるけど、どうしたの?」

 

「あ、いえ。優愛さん、その恰好で寒くないのかなと思って」

 

 あえて誰も優愛に尋ねなかった事を、オタク君が尋ねた。

 そんなオタク君の言葉に、優愛が笑いながら答える。

 

「そんなの、寒いに決まってんじゃん」

 

「ですよね」

 

 じゃあ、なんでそんな恰好をしてるんだと言わんばかりのオタク君。

 クラスメイトも内心そう思っている。

 

 オタク君達の学校は各教室冷暖房が完備されている。

 とはいえ、それでも薄着でいるのは寒い。

 外に出れば、更に寒くなる。

 

「寒いなら、ちゃんと服を着た方が良いですよ」

 

 オタク君。アドバイスが意味深である。

 ちゃんと着るとは、薄着の事を指しているのか、露出の多さを指しているのか。

 多分前者であるだろうが。

 

「だってさ、ブレザー来たら可愛くなくない?」

 

「ブレザーはブレザーで可愛いと思いますけど……」

 

 オタク君の言葉に、一部の男子が頷く。

 制服の素晴らしさを分かる者達だろう。 

 

 夏服の半そでシャツも良いが、ブレザーはブレザーで(おもむき)がある。

 どうやら優愛にはそれが分からないようだ。

 

「せっかくオシャレしたいからこの学校に入ったのに、寒いからって厚着したら勿体なくない?」

 

 優愛のその言葉に村田(姉)も同意のようだ。

 

「優愛、その気持ちわかる!」

 

 優愛と違い、冬服をちゃんと着ていた村田(姉)だが、バサッとブレザーを脱ぎ、自分の椅子にかけて、優愛と同じようにシャツのボタンを外していく。

 

「ブレザーも最初は可愛いと思ったんだけどさ、やっぱ体型隠れるから可愛さが微妙に感じるんだよね」

 

「そうそう。スタイルが隠れちゃうんだよね」

 

 優愛と村田(姉)の言葉に、一部の女子が俯く。

 それはスタイルの良い者が得られる特権だからである。

 

 優愛と村田(姉)のスタイルはかなり良い方だ。

 それ故に、他の女子から共感は得られないようだ。

 

「オタク君は、ブレザー着てた方が可愛いと思う?」

 

「それは……」

 

 優愛の為を思うならブレザーのが可愛いと言うべきだろう。

 しかしオタク君、目線は優愛の胸元やお腹に行ったり来たりである。

 

 返答に詰まるオタク君。

 そんなオタク君をからかうように、村田(姉)が前かがみをする。

 

「小田倉君。私もブレザーよりこっちのが良いよね?」

 

 そう言ってにやにやしながら、オタク君に胸元を強調している。

 最近は優愛やリコのおかげで女性耐性を持ち始めたオタク君だが、優愛やリコ以外にそういう行動を取られるのは慣れないようだ。

 

 思わず赤面して俯いてしまうオタク君。俯きながらも目線は村田(姉)の胸元を行ったり来たりしている。 

 オタク君の反応に、村田(姉)は少し顔を赤らめ胸元を手で隠す。

 

「あはは、冗談だって」

 

 村田(姉)

 目立ちたがり屋で見栄っ張りだが、本当はシャイというめんどくさい性格である。

 

 なおも、オタク君に詰め寄ろうとする優愛。

 しかし、タイムアップのようだ。キンコーンカーンコーンと予鈴の音が鳴り響く。

 

「もう少ししたら先生が来るから、自分の席に戻りましょう」

 

「ちぇー」

 

「それと、寒いですから風邪ひきますよ」

 

「それなら大丈夫だって。体調管理はちゃんとしてるから」 

 

 体調管理をちゃんとしているなら、冬服を着るべきなのでは?

 のどまで出かかった言葉を飲み込むオタク君。多分、今の優愛に言っても聞かないだろう。

 

 本人が大丈夫と言うのなら、大丈夫なのだろう。

 

 

 翌日。朝のST。

 予鈴と同時にアロハシャツを着た担任、通称アロハティーチャーが教室に入ってきた。

 号令をかけた後に、彼はクラスの空席を見てから朝のHRを始めた。

 

「あー、今日は鳴海と村田が風邪をひいて休みだ。最近は冷えてきたから、ちゃんと暖かい格好をするように」 

 

「優愛さん、体調管理出来てないじゃないですか」

 

 思わず小声でツッコミを入れるオタク君。

 どうせなら、担任の格好にもツッコミを入れて欲しい所である。

 

 机の影に隠れて、こっそり携帯を操作するオタク君。

 担任の視線を気にしながら、ラ●ンで優愛にメッセージを送っている。

 

『風邪大丈夫ですか?』

 

『マジしんどい。死にそう』 

 

 いつもならメッセージを送ると大量のメッセージが返ってくるのだが、今日はその一通だけだ。

 優愛の様子が気になるオタク君だが、あいにく授業中だ。

 

「……帰りにお見舞いに行くかな」

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