続きの投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
即、改善いたします。
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私の名前はステパン・アレクサンドロヴィチ・ノヴィコフ。つい最近皇帝の近衛兵として入隊した者だ。
私は幼い頃から体を動かすことだけは得意で、陸軍に入隊して以来抜群の能力を示したことで、近衛兵として配属されたのだ。
さて、そんな私だが近衛兵となってからはや半年、思いがけず私は皇太子殿下の世界旅行で護衛の人物として任命されたのだ。
なんでも上官が私の能力を大きく評価してくださったことらしい。ありがたいことだ。
しかし、こんな私が皇太子殿下の護衛役となるとは………他にも経験豊富な人間がいるとはいえ、緊張する…。
だがその一方で世界旅行という壮大な旅は私の好奇心を刺激している。生まれてこの方ロシアから出たことのない私にとって未知の世界だ…。
果たして何が待っているのだろう。
向こうの女はどんなのがいるのかなあ。ひとつ向こうの女とも寝てみたいもんだが…おっと…イカンイカン護衛役として節度を守らんと…。
それはそれとして今宮中ではあることで大騒ぎになっている。
宮中で一際異様な存在であったラスプーチンが突如失踪したのである。
なんでも捜索を進めても、まるで初めからそこに存在しなかったように綺麗に痕跡がなくなっているのである。
なんとも不気味だ…皇帝陛下、皇后陛下に寵愛されていた人物なだけあってより一層何かあるようにしか感じられない。
噂ではオフラーナが彼のことを邪魔に思って消したとかいう話も出ているし、奴はドイツのスパイだったという話も出ている。
だがいずれも噂や推測にすぎす、真相はなんであるかはわからない…。
私はあの人物のことは正直よく思っていなかった。皇帝陛下、皇后陛下の寵臣……はっきりいえば君側の奸であると思っていた。
だが彼のことをよく慕っていた…アレクセイ皇太子を見ると…その感情よりも哀れみの感情が浮かんできた。彼を臣下としていた皇太子殿下は彼のことが心配で心配でならないようだ。
この間も…
「グリゴリーはまだ見つからないの?!」
と、皇帝陛下に報告に来ていたオフラーナの連中に言っていたもんだ。
あの山師が心配で心配でならない彼は夜にひっそりと泣いているようで、この間も宮殿を巡回中に皇太子殿下の部屋からすすり声が聞こえた。
殿下は少なくとも自分が臣下だと思っている人間のことを大事に大事に思っているお方なのだとしみじみ思った。そして、そんなにまでする皇太子殿下に哀れみと同情の気持ちが浮かぶ一方で、かの寵臣がなぜ消えたのかということをますます疑問に思うのであった。
1912年 1月30日
ああ、明日なのか。世界旅行の日は。
結局あの人は見つからなかった…。
父上…今どうしてるんですか?ねぇ?
突然姿を消して…
あぁっ、どうしてこうも父上と離れ離れにならなければならないのかっ……
もし、父上をこうも離れ離れにしたものが捕まったならば…私自身が罰を下してやりたい…
あぁ…夜がふけるにつれて焦燥感とこの鬱屈とした感情はますます強い物となってくる…
父上…父上…なぜ…なぜ…わたしのもとから消えたのです…?
くそっ……
天はなぜこうまでささやかな幸せを奪うのか…?!
これが…これが…これが私の運命だというのか…?!
二度の人生で二度も大切な人が理不尽に目の前を去っていくのをただ見つめるしかないのかっ…?!
だとしたら…
…………………
…………………いやだっ。
もう嫌だっ!
もう…もう…
沢山だっ!!!
「アリョーシャ…」
か細い少女の声が聞こえた。
少年はハッとした
どうしてここにいるんだ?
ナーシャ…
……………アリョーシャ…
……………ナーシャ…
なんの音もしなかった。あたりにはただ二人の息の音聞こえるだけである。
「…ナーシャ…どうしてここに…?」
「アリョーシャ…あなたのことが心配で心配でならないの…。」
「……グリゴリーのことで?」
「そう…あなたの落ち込み具合がひどいもんだから…。」
「あぁそうさ…あの人は父上と同じくらい…私のことに親身になってくれる人だったんだ…!あの人からたくさんのことを教えてもらった…!あの人のお陰で今があるようなもんだ…。私にとっては…第二の親のようなもんなんだ…。」
「…そんなに…」
少年は泣き出した。それは今まで鬱屈としていたありとあらゆる感情が噴き出したモノだった。
慟哭が部屋にこだまする。
少女は…ただただいたたまれない気持ちになった
彼女は少年に抱きつくと少年の頭を撫でて撫で回した
「嗚呼、私の可愛い可愛いアリョーシャ…可哀想なアリョーシャ…見目麗しい私の弟…あなたの悲しみは私にとって計り知れないんでしょう…でも…」
「あなたのお姉さんはここにいますよ…」
ああ………そうだった…
たとえ自分の前世を知らなくとも…
あなた達は…
私の…
「家族」だ…
彼ら姉弟はただただ抱き合ったままいた…
どれほど時間が経っただろうか…
もうすっかりと本来寝る時間を過ぎていた。
抜け出しに従者が気づくといけないということで、ナーシャはそそくさと部屋を立ち去っていったのであった。
後に残されたのはアリョーシャただ一人だけであった…
その心情はいかほどであっただろう…
あたりは静寂でなんの音もしなかった…
さぁもう寝ようか…
明日は早いしな…
後はただ寝るだけであった。だが、その意思はただちに阻害されることとなる。
ガタンッ
ビクッ
なんだ?なんの音だ?
窓から聞こえたのか…?
窓に何か当たったのか。
一体何が…
外は真っ暗だ…何にも見えない…
窓に寄ってみよう…
うん、やはり何にも見えない…
あの音はなんだったんだ…?
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
ゴンッ
…!まただ…。
さっきとは音は違うがやはり窓から聞こえる…
………なんだ?一体なんだって言うんだ?
…………何かいるって言うのか……?
一体窓の外に何がいるって……
………?!
いる……………
…………………何か目に見えないものが………
…………………窓の外に何かいる………!
………なんだ…?!
あたりは静寂で何の音もなかった。唯一聞こえると言ったら、皇太子の息の音だけである。しかもその息の音は荒くなりつつあった。
暗闇の中で皇太子はこの奇妙な直感によって一歩も動けずにいた。恐怖がただこの皇太子の心を支配しているのみである。
…………分かる………
…………今目の前にあるこの窓のすぐ外に何かいる……!
……………………
ギィ
………?!
……鍵がかかってるはずなのに…!
………ひとりでに窓が開いた……………?!
あっ、あっ、……………来る………
見えないものが近づいてくる…!
やめろ……………来るな……
近寄るな……………
いやだ……………………
いやだ……やめてくれっ……
こないでっ………イヤだっ
イヤだっ!イヤだっ!来ないでくれ!近寄らないでくれ!
怖い!怖いんだ!やめて…やめてぇっーーーー
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"何か"は窓を通って、皇太子の部屋に入っていった。
この後の出来事は皇太子アレクセイをのぞいて知るものはほとんど誰もいない。
時計の針は0時を指していた。
ちなみに作中に出ていたステパン・アレクサンドロヴィチ・ノヴィコフはtno本編のヴァトカで序盤の方に登場していて、イベントでかつてはニコライ2世の近衛兵だったということなどが書かれていて、作中では再びロマノフ家の近衛兵として馳せ参じてきます。
なお、その後ステパンはヴァトカの国家元首であるウラジミール三世をテロリストの襲撃から守って死亡します。
さて、この世界ではこの男の運命はどうなることやら…。