伝説の老騎士、アイドルVtuberになる。   作:東出八附子

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31話 伝説の一夜・繋幕 石火の如く

 

―― ルルーナ・フォーチュン ――

 

Luruna Ch.ルルーナ・フォーチュン

【熱烈歓迎!】はじめての凸待ち配信【怒ってないよ】

19.6万人が視聴中 チャンネル登録者数 48.2万人

 

:アリたん最高!イエェェェ!

:アリたん最高!イエェェェ!

:なんだよこれアリたん最高!イエェェェ!が

:頭アリたん最高!イエェェェ!てんのか

:アリたん最高!イエェェェ!アリたん最高!イエェェェ!アリたん最高!イエェェェ!

 

:待機

:バグかとおもったわ

:NGワード設定かw

:NG連投するとコメントできなくなるから注意 概要に書いてある

:サブ垢で試したけど、けっこうカッチカチやでw

:荒らしが即壊滅したな

:荒らしはマジでアリたん最高!イエェェェ!ほしい

 

:初配信終了15分後に凸待ちとかクレイジーの極みだろ

:連絡先知ってるのか?

:GS側の反応見る限りだと全員知らないと思うが

:社長経由か

 

:マナー違反承知で聞くけど、団長のありがとう聞いて泣いた?

:泣いた

:よく分からんけど泣いた

:なんて打てばいいか分からんかった

:アリたんも同じだったんだろうな

:何だったんだアレ

:団長も困惑しとったぞ

:団長の釈明が待たれる

 

:おっと来ちゃ!

 

「やあ。待たせたかな。俺だ。ルルーナ・フォーチュンだ」

 

:待ちわびる暇が無かったぞ!

:待ちわびる兄さんの敗北宣言

 

「まず先に謝罪をしておこう。今回の配信は少々のコメント規制をさせてもらった。自由に発言ができず肩身の狭い思いをさせると思うが、ご容赦願いたい」

 

:おっけー!

:どっかんどっかん沸いてたぞ

:むしろ応援団になってたな

:アリたんに向けてだけど

:変換先なんとかならんかったんかいw

 

「怒ってないよアピールをしたかったんだが、ちょっと悪ふざけしすぎたかね。悪いな。ついでに連絡だが、しばらくは変換先のワードを変えて同期たちにも設定を共有させてもらう。落ち着いたら解除するよ」

 

:悪いのは荒らし

:んだんだ

 

「もう一点謝罪を。俺の不用意な発言で皆に不愉快な思いをさせてしまった。誠に申し訳ない」

 

:あっさり

:それだけ?

 

「実のところ社内で何が起こったのか聞いてみたんだが、誰からも明瞭な回答を得られなくてな。前代未聞すぎて的確な対応ができないし、そもそも謝罪が必要な現象だったのかも分からん。だが不愉快にさせた事実は確かだ。その点については明確に謝罪したい」

 

:そりゃ分からんわ 俺たちだって分からんし

:発言じゃなくて現象扱いw

:で、なんだったのあれ?

 

「何が原因で起こった事象なのか、いまのところ不確かな仮説しか立てられなくてな。むしろ俺が問いたい。そのための凸待ち配信でもある。団員の皆も解明に協力してほしい」

 

:張本人が一番混乱しとるのかw

:逆謝罪会見だと思ったわ

:ほんとに来るの?

 

「アリアが本当に応えてくれるか……そこまでは俺から約束できん」

 

:え?

 

「現状はアリアと関係のない会社が勝手にやり始めた事だ。申請も契約も予約もしていない。相手がどう出ようが相手の自由。俺たちにはGーStateも言葉アリアを束縛する権利は無いし、そもそもGS側のメリットは皆無だ。交渉を進めているが、待ちぼうけの覚悟はしている」

 

:ふぁ!?

:耐久配信の可能性!?

 

「俺も、ちと勇み足だったと反省しているよ。だが裏で事を進めてはリスナーの納得を得られるのは難しいと俺は判断した。だからこその凸待ちだ。

 長くなるかもな。団員の皆は無理に付き合わなくていいぞ。俺の事情だ。配信の内容上、雑談も進めにくい。最悪、俺はお嬢と姫を含めた会社全員から勝手に事を進めた責任を取ってぶん殴られる覚悟もしている」

 

:いや、俺たちにも責任あるし

:団長だけに良い格好はさせませんぜ!

:まだ日も跨いでないし余裕

Natica Ch.帝星ナティカ:殴りませんよ!

:お嬢「解決すれば問題なし!」

 

「今回、礼は言わん。各々の判断と責任に任せる。決して無理はしないように。ただし仕事や学校に遅刻したなんて報告来たらド叱るからな」

 

:団長からのお叱り……ハァハァ

:むしろ聞きたい

 

「そうか、罰と褒美の形も人それぞれよの……お」

 

:来たのか!?

:交渉はやーい!

 

「俺の予想よりずっと早い。さすがこの道のプロだな。初めまして。お名前を」

『あの美少女は誰だー! 何者だー! ……そうか! 蒼火(そうか)セッカちゃんだーっ!』

 

:セッカ!?

:セッカちゃん!?

:ナンデ!?

:そうだったアリアと同時視聴してた!

:初の外部凸待ち一番手が登録者数200万の大御所だと……

:うらやま

 

「む。君が蒼火セッカか。凸待ち先を間違えてないかい? 連絡先をしっかり確認してくれ。それじゃあまたな。君の旅路に巡りの(えにし)を」

『ゔぉえ!? ちょちょち――』

 

:フォッ!?

:即切りした!?ナンデ!?

:GSエースの凸ブッちぎりやがったwwww

:大w物wすwぐwるw

:微塵も動じねえwww

:アリアしか見えてねえww

:セッカちゃん推しのV達に謝ってこいww

:お嬢「お前ぇえ! そういうとこやぞ!」

:扱い方心得てやがるww

:ベストアンサーです(蒼の友より)

:蒼の友もこれには思わずにっこり

:ホントはGーState所属なのでは?

 

「接点も無いのに俺の配信に来る理由など無――そういえば俺たちの同時視聴をアリアとしていたのだったな。せっかくアリアのためにわさわざ接触してくれたというのに……悪いことをした。まあ今回は縁がなかったということで――おお」

 

:また来たぞww

:大先輩怒りのコール

:いやニッコニコしてそう

 

「お名前を」

『初めまして! GーState2期生の蒼火セッカちゃんだよ!? もっとチャンスに貪欲になれよ!』

「言葉アリアのために取った枠だぞ。君に興味が無いとは言わん――むしろ話はしたいところだが、いま君の相手をしても団員の皆が困惑する。あまり構ってやれんぞ」

『……お前のその塩対応、一周回って好きだわ』

 

:配信歴5年超に塩対応する配信歴1時間の図

:草を通り越してハラハラする

:ウチの団長がすみません

:いえいえ(アオトモ)

 

「彼女が応えられない理由は理解しているつもりだ。だから蒼火セッカ。君がここで俺と話す理由も理解できる」

『だったら、アリアが人見知りすげーのは知ってるよな。セッカちゃんはお前を探る偵察兵だ。アリアもセッカちゃんも、お前のこと何も知らないからね』

「怒ってない言うとるのに……ま、ええか。あの釈迦とて初めての説法は鹿を相手にしたと聞く。俺も倣ってみるか」

 

:Vトップランカーのセッカちゃんを鹿扱いwww

:シカ娘蒼火セッカ

:シカ娘ww

:鹿せんべい送っとくか

 

『待て待て!? シカ娘ってなんだ!? 新しい属性植え付けようとするんじゃねー! 鹿せんべいも無しだ!

 とりあえず簡略で悪いけど、まずはGSを代表して謝罪させてもらう。

 今回はウチの言葉アリアがYaーTaプロダクションの配信へ妨害行為を行ってしまい、大変申し訳ない。今回の件は完全にウチの落ち度だ。肝に銘じて今後の反省とするから、今後とも仲良くしてくれると嬉しい』

「んお? お、おお。これはどうもご丁寧に」

 

:意外に礼儀正しいよなセッカちゃん

:ホントに意外

:おじいちゃんも思わず困惑

 

「こちらこそ、貴社の評判を陥れる行為を勝手に執り行い、多大なるご迷惑をおかけしていることを心よりお詫び申し上げる。今後は会社一丸となって慎重に事を運ぶよう検討を重ねていく所存なので、ご容赦のほど願いたい」

『ぅおお!?』

 

:ザ・定型文みたいな謝罪で返しやがったw

:見ながら言った?

:微動だにしなかったからたぶん素で言ってる

:言動の節々が強者すぎるww

 

『どこで覚えたの、そのクッソ丁寧な謝罪』

「社長の謝罪メールでよく見かけるんだ。例文の宝庫だよ。よく語彙が尽きないなと毎度感心している」

『あー……苦労してるんだな、アイツ』

「ただの自業自得だよ」

『それな』

 

:謝罪の達人w

:解釈一致すぎるwww

:さっき初めましてって言ってたのに何で息ピッタリなのww

:マブダチ感半端無いww

:お互い謝罪してる感覚無いだろ

:相手が赦している以上、畏まりすぎても逆に失礼だぞ、この場合

 

『よしケジメはつけたな。それでこれからどうすんのルルーナ団長。アリア、まだ尻込みしちゃってるよ』

「さよか。んん、冷静に考えればそうなるな」

 

:公開謝罪とか、普通行きにくいわな

:揉め事は配信外で事を進めるのが普通

:炎上して賠償モノになるかもね。双方イメージダウンよ

:会社は止めるべきなんじゃないの?

 

「俺の宣言を無視して裏で示談なりを進めたほうが賢い選択だったんだろうな。会社も頭では分かっていたと思うよ。それでも心は駄目だった」

『良い意味で駄目――だな?』

「俺が配信を終わって一度部屋を出る頃には次の配信へ全員が準備を進めていた。会社一同の誰ひとりとて逡巡(しゅんじゅん)すら無かったよ。皆、少しでも早く言葉アリアを元気づけたかったのだろう」

 

:昭和の会社かよ

:合理性は無い だがそれがいい

 

『……いい会社だな。めっちゃいい会社だな』

「俺も含めて運営は及第点未満だがね。その未熟さも含めて、俺は大好きだよ」

『なあ団長。なんでそこまでウチのアリアを気にかけてくれるんだ? 姉妹事務所みたいなもんとはいえ部外者だろう?』

「この世界に来てすぐにお嬢からVtuberを教えてもらった。その際に紹介された最初の二人が藍川アカルと――そして言葉アリアだったんだ。二人のライブ配信を見て、俺はこの場に立つことを決心した。彼女が俺をここへ導いたんだ。

 そんなアリアが泣いているんだぞ。よりにもよって俺の言葉で。彼女と話せる舞台に立ち、その機会も貰っているのに、見て見ぬふりができるわけ無えだろうが……!」

『!!』

 

:あ やば

:すき

:だめ、この人、ほんとだめ

:心臓痛い

 

「悪い。ちと昂ぶった」

『……オーケー。お前ならアリアを預けられる。アリアと代わるけど、大丈夫か? また変なこと言っちゃって迷惑かけるかもだけど』

「推しの涙を前にして逃げ腰になれるかよ。その涙を拭けるなら世間の一つや二つくらい敵に回すくらいの覚悟はしている。公序良俗の範囲内なら何だってするよ」

 

:これ だめだやばい 本気で好きだわ

:アリたんずるいわ

:なんで団長、女なんだ

:惚れるわ

:好きになるじゃなくて本当に惚れる

:ガチ恋じゃなくて、本気になっちゃった まずいまずいまずい

:助けてくれ なんでモニター越しなんだ

 

『アリアをよろしくお願いします』

「承知した。君の旅路に巡りの(えにし)を」

 

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