機動戦士ガンダムSEED Destiny “M” 作:神谷萌
着艦デッキに降り立ったガイアが、デリックで格納庫内に運び込まれていく。
「よいしょっ……」
すでにガイアを整備員に任せていたマユは、無重力の格納庫の中で、ヘルメットを脱いだ。
「ふー……」
「おつかれ、マユ」
マユが一息つくと、そう声をかけられた。
「あ、デイルお姉ちゃん」
マユが、器用に身体ごとひっくり返る形で振り向くと、そこにやはり、ヘルメットだけを外したパイロットスーツ姿の、褐色肌の女性がいた。
「ほら」
「あ」
デイルが、手に持っていたチューブ入りのアイソトニック飲料をマユに向かってそっと放る。マユは、少し手を伸ばしてそれを受け止めた。
「ありがとう、デイルお姉ちゃん」
マユは、苦笑交じりの表情で礼を言った。
2人は連れ立って、ブリーフィングルームへと移動する為に、格納庫を通り抜けようとする。
VPS装甲への通電が切られて鉛色になっているガイアとは対象的に、鮮やかな赤塗装のジェニスが目立っていた。
「ルナお姉ちゃんすごいなぁ……1人で3機撃墜だって」
「こらこら、あたしのアシストはなかったことかい」
マユが感心の声を上げると、デイルがわざとらしい苦笑でそうツッコんだ。
「あはは、ごめんごめん」
マユもまた、作ったような苦笑で、どこまで悪びれているのかわからない様子でそう言う。
「まぁ、実際格闘戦じゃ出る幕なかったっていうのは実際のところだけどね……」
苦笑をより
「それのせいで、新型は逃がしたようなものだし」
「新型? って……」
デイルの言葉に、マユは、反射的に聞き返すが、直後にそれを理解したような様子になる。
「そう、カオスとアビスが強奪された時、マユがガイアでやり合ったあれ」
「あれは……」
デイルの説明を聞いて、マユの眉が少し引き締まった。
「経験の差ってのもあるんだろうけど、それにしてもファルコン付けたルナが攻めきれないんだから大したものだよ」
「うん、あのパイロットは強い」
デイルの、どこかぼやくような言葉に、マユは、彼女にしては低い声で同意の言葉を発した。
「…………」
わずかに沈黙。
マユが何か言おうと、口を開きかけた時、
『マユ、マユ・アスカ、放送を聞いていたら直ちに第1医務室へ向かってください』
と、それを遮るように、艦内放送が響いた。
「あ……ごめん、ちょっと行ってくるね」
その理由に気付き、マユはデイルに向かってそう言ってから、医務室へ通じる通路の方へと移動し始める。
「うん、また後でね」
「マユ・アスカ、来まし……」
リニアサーボで扉が開くのと同時に、マユは申告しながら第1医務室の中に入ろうとしたが、その声は中からの絶叫と物音で遮られた。
「うあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ!!」
「な、何!?」
常人が発しているとは思えないその絶叫、それにガタンガタンという音を聞いて、マユは、身構えるようにしつつ、その音源のする、傷病者用ベッドのパーティションの方へと駆けていった。
「い゙ゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁ!!」
マユが駆けつけると、そこには、ベッドの上で、病的に目を見開き、常軌を逸する程の絶叫を上げながら、手足をばたつかせるようにして暴れるステラの姿があった。
身柄拘束のためのものだけではなく、精神錯乱者の自傷行為を防止するためのゴム製拘束具が着けられていたが、それを着けた手首や足首が内出血で黒ずんでいる。
「あ、アスカ君!?」
それまで、ステラへの対処に忙殺されていた軍医長が、マユに気がついて、戦慄した表情のまま振り返る。
「どうなってるんですか、軍医長!?」
「解らない! 突然暴れ出したんだ!」
軍医長も、何が起きているのか把握しきれていないという様子で、声を張り上げて言う。
「直前まで普通に会話していたのに、突然こうなったんだ」
「えぇ!?」
軍医長の答えに驚きと困惑の声を出しつつ、マユは再度視線をステラに移す。
「スデラ
「ステラさん、大丈夫だよ! マユがここにいるよ!!」
ステラの言葉を聞き、マユはステラの枕元まで駆け寄って、顔を覗き込むようにして言葉をかける。
だが、様子に変化がない。見開かれた光のない眼には、マユの姿が見えていないかのようにも見えた。
「っ……」
拘束バンドの当たる部分の皮膚が擦り切れ、血が滲み出している。
「早く、鎮静剤を!」
マユは、振り返って軍医長を見、そう言うが、
「打ったよ! だが効かないんだ!」
「えぇ!?」
と、軍医長に言われ、マユは再度、驚愕と困惑の声を上げながらステラを振り返る。
── 強化人間……神経を弄られた結果……
マユは、そこに思考が行き当たると、ハッとして身を上げた。
「仕方ないかっ」
パイロットスーツの懐を開き、その中から樹脂ケースを取り出す。それを開くと、中に注射器形のアンプルが詰められており、その1本を取り出す。
「な、何を……」
「効いてよ!」
軍医長の問いかけに答える余裕もなく、マユは、手に取ったアンプルのアクリル製針カバーを外し、それをステラの首元に注射した。
「いぎっ!?」
注射の痛みに、ステラがそれに反応した悲鳴を出す。
「っはぁっ!」
ステラから注射針を抜くと、その反動を受けたかのように、マユは、一瞬後ろへと大きく仰け反った。
「はぁはぁはぁ……はぁ……はぁはぁ……」
しばらく、のたうつようにしていたステラだったが、僅かに間をおいて、段々とそれが小康状態になってくる。
「あ、ぅ、あ、あぁ……ぁ……」
呻くような声を漏らし続けているステラに、マユは、姿勢を立て直すと、その顔を覗き込んだ。
「ぅ……ステラ……マユ…………?」
穏やかになった目で、ステラがマユに視線を向けた。
「うん、マユはここにいるよ」
マユは、そう言って、口元で微笑んでみせる。
「マユ……お母さん……」
身体と精神への負荷で疲労が一気に蓄積されたのか、ステラは、呟くようにそう言いつつ、ぐったりとベッドに身体を預けた。
マユが、ステラの前頭部に手を伸ばして、優しく撫でる。
「ふぅ……ぅ……」
全身の力が抜けたかのように、ステラは、瞼を閉じて意識を手放した。
マユは、ステラが寝息を立てていることに安堵しつつも、ステラが眼を閉じた後で、表情を曇らせる。
「…………」
それまで呆然としていた軍医長だったが、ふと、マユの手からこぼれ落ちて、その足元に転がっていた、空アンプルを拾い上げた。
「筋注用神経洗浄薬……」
そのラベルを見て、軍医長は驚愕に目を見開く。
「こ、こんな強い薬を! どうして持ち歩いているんだ!?」
ギリギリ合法、というその薬剤名を見て、軍医長は絶叫に近い声を上げた。
「それは……こういうことなんです」
マユは、一度軍医長を振り返ってから、そう言ってパイロットスーツの上半身を
右腕には、パイロットスーツにも関わらず、マユが常に着けている、肩口まで届く白い長手袋。それを、マユは、左手でつまんで右腕を引き抜くようにして脱いだ。
「!」
軍医長が、その光景を見てギョッ、と眼を
右の上腕部の途中から先が、金属製の、外板フレームの義手になっている。
マユは、機械の右手の指を動かしてみせる。見た目になんの不自由もないかのように動くそれが、返ってグロテスクに見えた。
下腕部の肘より半分ほどは、オープン構造になっていて、そこには ──── ──── ──── ──── ──── ───。
「高度な神経接続……それでか」
「はい」
軍医長が納得したような声を出す。マユは、苦笑して答えながら、一旦はパイロットスーツを着直した。
「もっとも、私の身体の方はだいぶ
苦笑したまま、自重するように言う。
「…………」
軍医長が、どう答えていいかわからず、微妙に張り詰めた沈黙が流れかけたところへ、扉が開く音がした。
「失礼するよ」
「議長!」
その声に、軍医長が素っ頓狂な声を上げた。マユも反射的に身体を緊張させる。
デュランダルは、タリアも、他の随員もつけずに、単身でやってきていた。
「硬くならなくていい」
デュランダルは、手で制するような仕種をしつつ、軍医長とマユに向かって穏やかな笑みでそう言ってから、視線をステラが横になっているベッドの方へ向ける。
「ナチュラルの民間人が1人、収容されていると聞いていたが、どうやらただ事ではないようだね……」
デュランダルは、一転、やや険しい表情になって、そう言った。
「は……どうやら、神経を弄られているようでして……」
軍医長は、
「…………ブーステッドマンかね?」
デュランデルも目元をさらに険しくしつつ、軍医長にそう訊ねた。
「……方向性は若干異なっているようです。特定の薬物への依存は確認できませんが、 ……ただ、神経への操作で、元の情緒が半ば破壊されているという点では、大同小異です」
軍医長が重い口調で説明する。それを聞いていたマユは、哀しそうな表情で視線を伏せてしまいつつ、自身のアンプルケースを隠すように懐にしまった。
「先程も、突如、重度の錯乱状態に陥って暴れ始めたという訳でして。アスカ君のおかげで助かりましたが……」
「あっ、いえ!」
軍医長にそう言われて、マユは、姿勢を正して、デュランダルの方を向き直す。
「別に……大したことをしたわけじゃ……」
後ろ暗いような感情を胸中に抱えながら、マユは言葉を濁した。
「ふむ……」
デュランダルは、一度マユの顔に視線を向けた後、険の取れない表情で、手で顎を支えるような仕種をする。
「本来なら後送すべきなのだろうが、どうにも、扱いが難しいことになりそうだね」
「その……申し訳ありません……」
マユが、視線を伏せてしまいつつ言ったのを聞いて、デュランダルはハッとする。
「別に、君を責めているわけじゃない」
デュランダルは、視線をマユに向け、口元に笑みをつくってそう言った。
『太陽風の影響、誤差は許容内です。放射レベルS3。到達まで30秒』
「急げよ、9号機はどうか?」
報告を聞いた、その場の長と思われる人物は、モビルスーツのコクピット内で、別の報告を要求する。
『はっ、間もなく!』
その返事が来てから、然程も待たずに、次の報告があった。
『粒子供給確認。フレアモーター作動まで後10秒』
『9……8……』
その構造物のあちこちから淡い光が発されたかと思うと、それが一方向へ向かって流れ出す。
『5……4……』
『3……』
「アラン、クリスティン、これでようやく俺も、お前達の……」
コクピットの壁に貼られた、何枚かの写真を一瞥する。
『0』
『フレアモーター作動しました。推力予定通り』
光の尾を引いて、その巨大な物体はしかし、目に見えて移動を始める。
「さあ行け! 我らの墓標よ! 嘆きの声を忘れ、真実に目を瞑り、またも欺瞞に満ち溢れるこの世界を、今度こそ正すのだ!!」
『なんだよまた留守電かよ』
呆れたような少年の声が聞こえる。
『大事な時に出ないんじゃケータイ持ってる意味ないだろー。しょうがないな……また後でかける。その時は出ろよ…………ピッ』
「はぁ……」
手に持った、フィーチャーフォンスタイルの携帯電話からの声を聞いて、マユはため息を
ポーン
ベッドの上で膝を抱えていると、インターホンの呼出音がなった。
「はい……え?」
『パイロットに集合がかかっている。マユも来てくれるか?』
マユが返事をすると、レイの声が聞こえてきた。
「え、コンディションレッドってわけじゃなくて?」
『ああ、だがじきにそうなるだろう』
「何かあったの?」
レイの発言に、マユは小首を傾げる。
『ユニウス7が動いているんだ』
「えっ!?」
それを聞いて、マユは慌てて立ち上がり、部屋の出入口のところまで行って、扉を開ける。その目前に、レイの姿があった。
「動いてるって……ユニウス7は、100年単位の安定軌道にあるはずで……」
マユの、まだいくらか正常性バイアスのかかった発言に対して、レイが険しい表情で返す。
「その軌道から外れているから問題なんだ!!」
「ユニウス7が動いている、一体なぜ……」
「残念ながら、原因などはまだ把握できておりません」
居室としてあてがわれている士官室で、その事を聞かされたカガリが、思わず問い返すと、デュランダルも、付き添いのタリアともども険しい表情をして答える。
「ただ言えるのは、確実に地球突入コースを取りつつあるということです」
「しかし……なぜこんな事に? あれは少なくとも100年は安定した軌道にあったはず……」
アスランが、険しい表情で、どこか縋るように言う。
「小天体の衝突か、それとも他の要因か、それまではわかりませんが、今まさに動いている……落下しようとしているのです、地球に向かって!」
楽観論を打ち消そうと、デュランダルはあえて過剰に強い口調で言った。
「そんな……あれが落ちたら……オーブは、いや! 地球はどうなる……」
カガリが、切羽詰まったような表情になって、問いかけるように言う。
「あれだけの質量のものです。申し上げずとも、姫、いえ代表にも御想像は難くないでしょう。回避、それが無理だとしても地上に被害を出さないよう、プラントも今、全力でそれにあたっています」
「本艦にも、プラント本国からもユニウス7に向かうよう、命令が出されました」
デュランダルの言葉を、タリアが引き継ぐ。
「代表には大変申し訳無いのですが、その間、今しばらく本艦に留まってもらうことになりますが……代表には、どうか御了承いただきたいと」
「む、無論だ! これは私達にとっても……いや、こちらにとってこそ一大事だ! 私にも、何かできることがあれば……」
「落ち着いてください、代表」
窮状に突き動かされるかのようなカガリを、デュランダルが窘める。
「お力をお借りしたいことがあるようなら、こちらからも申し上げます」
「難しくはありますが、御国とも直接連絡が取れるよう試みています。出迎えの
デュランダルに、タリアが続いてそう言った。
「ああ、済まない……」
当然と言えば当然だが、カガリはそう言ったものの、気が気でない、という様子だった。
「そんで、俺達がユニウス7へ行って、どうすればいいっていうんだ?」
「砕くしかないだろうな」
士官用食堂。ガラス越しに、彼方に地球が見える。ユニウス7は、まだ肉眼に捉えられない。
ヨウランの言葉に、レイがそう答える。
まだ現場到着まで間がある。即時待機はかけられていなかった。
「もう、地球の重力に捕まってしまっている。突入コースを避けることはまず不可能だ」
「でも、あそこにはまだ、死んだ人がたくさん眠ってるんでしょう……?」
メイリンが、後ろめたそうな表情と口調で言う。
「そうかも知んないけどさ、あれがそのまま地球に衝突するようなことになったら、それこそみんなパーなんだし。だったら、生きてる人間のことを考える方がマトモだと思うんだけどね」
ミレッタが言う。その傍らにマユがいて、こくこくと頷いた。
「そりゃ2人は、元オーブだからそう、簡単に言えるんだろうけどさ……」
「ちょっと、それはいまカンケーないでしょぉ!」
ヴィーノの言葉に、ミレッタが少しだけ言葉を荒げて言い返す。
「だいたいボクはオーブに未練ないし、仲の良かった再従姉妹のマユラだって……」
「へ?」
心外な、というように言うミレッタだったが、その身の上の一部を言いかけたところで、マユが、振り返って聞き返す。
「あ、いや、なんでもない……別に今は関係ない話だった……」
ミレッタは、慌てて、掌を前に出すようにしてパタパタと振り、苦笑して誤魔化した。
「けど、砕く、ったって、あんなデカブツ、そう上手く出来るのかね?」
この中では最年長のデイルが、顔を顰めながら言う。
「デブリや小惑星とは、ワケが違うよー?」
デイルの言う通り、サイズはまだしも、人が安全に住める程頑丈であり、その分、密度も高いため、破壊すると行っても容易には行かない。
「だが、やらないわけには行かないだろう」
レイが、冷静さを感じさせる分、かえって重く聞こえる口調で言う。
「ユニウス7の構造材は比較的強度を保っている。もし、そのまま地球に落下するようなことになれば……」
「…………」
「地球、滅亡、だもんな……」
レイの言葉に、その場にいた全員が息を呑むようにし、ヴィーノが付け加えるように言った。
「はー……でも、それもしょうがないっちゃしょうがないんじゃね? 不可抗力だろ?」
急に、緊張感に欠けた口調で、ヨウランが言う。
視界の下寄りにいるマユが眉間に皺を寄せるが、ヨウランはそれに気が付かない。
「むしろ変なゴタゴタもキレイに無くなって、案外楽かも。俺達ZAFTには」
「そんなわけ……」
マユが指を立てた左手を上げて、険しい口調で言いかけた時 ────
「よくそんな事が言えるな! お前たちはッ!!」
自分の声を遮られたマユと、その傍らに立っていたミレッタは、背後からその声を浴びた形になり、軽く驚いたように振り返る。
そこに、強い憤りを顕わにしたカガリが立っていた。
「しょうがないだと!? これがどんな事態か、地球がどうなるか、どれだけの人間が死ぬことになるか、本当に解って言ってるのか、お前達はっ!?」
「すいません……」
ヨウランは、悪さをして咎められた、というように、軽く視線を伏せがちにしつつ、謝罪の言葉を口にする。
だが、その軽さが、返ってカガリの感情を煽った。
「くっ、やはりそう言う考えなのか、お前達ZAFTは!」
カガリのその口調に、アスランが顔色を変えたが、カガリは止まらない。
「あれだけの戦争をして、あれだけの想いをして、やっとデュランダル議長の下で変わったんじゃなかったのか!?」
「もう止せ、カガリ」
アスランが、カガリの腕を掴んで制止しようとする。カガリの方は、それにも苛ついたかのように、アスランに睨むような視線を向けた。
「いえ、言われても仕方のないことだと思います」
「えっ?」
その言葉を発したマユに、本人以外の全員が軽く驚いたようにして、視線を向けた。
「ヨウランおに……ヨウラン。言って良い冗談と悪い冗談があるよ。それに、地球が壊滅したら、自給できていないプラントだってすぐに困ることになる。楽なんて話じゃない」
「いや、だけどよ……」
ヨウランに対して、どっちが年上か解らない、といった、厳しめな態度で言うマユに、ヴィーノが彼を弁護するかのような言葉を出しかけた。
「たとえ仮定の話にしたって、現実になりかけてる今、口に出すべきじゃない。良識あるZAFTの一員だったら」
「そーだそーだ、ボクもそう思うぞー」
マユが言うと、ミレッタも、呆れたという様子で視線をヨウランとヴィーノに向けつつ、そう言った。
「ひっで、元オーブ組でつるみやがって」
「えっ!?」
ヴィーノが反射的に言った言葉に、アスランとカガリが軽く驚いたようにして、ミレッタに視線を向ける。
「だが正論だな」
その様子には気付いていないのか、レイが、そう言い、一旦マユをちらりと見てから、ヨウラン達に厳し目の視線を向けた。
「私も、今のは今、言っていい事じゃないと思ったなぁ」
ルナマリアが、そう言いながら、マユとミレッタの方に近づいていく。
「あ、お姉ちゃんがそう言うなら、私もーっと」
どう言う理屈なのか、メイリンがそう言いながら、先に移動した姉を追っていく。
「とにかく、今はやれるだけのことはやる。『しょうがない』や『不可抗力』なんて言葉は、やれることをやり尽くしてから言うべきだ」
レイは、険しい表情でそこまで言ってから、急にマユの方を向く。
「そうだな? マユ」
「えっ、あっ!?」
急にそう
「う、うん、まぁそう言うこと」
と、気恥ずかしそうにしながら、そう言った。
「よっしゃ、誰あろうFAITH様が言ってるんだ、いっちょやったろうじゃないか」
それまで黙していたデイルが、急にそう言って、バシン、と、右の拳を左の掌に打ち付ける仕種をした。
「ちょっとデイルお姉ちゃん! そう言われるのはさー……」
「間違っちゃいないだろう?」
マユがこっ恥ずかしそうに言うが、デイルは悪戯っぽく笑って、そう返した。
「ま、まぁそうだけどさぁ……」
「こ、こいつら……」
結局、身内の軽いノリの会話になってしまい、カガリは憤りを感じつつも、話の流れから、それ以上は何も言えなかった。
一方のアスランは、そんなマユに、真摯な視線を向けていた。
具体的な感想をいただけると、続きを描くことが捗ります。
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