ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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99話 帰るべき場所

 トリニティは降って湧いた奇跡で大騒ぎになっていた。ユスティナ聖徒会の進行が止まり、負傷していた正義実現委員会等の生徒が目を覚まし始め、先生も目が覚めたから。

 

 パテル派がゲヘナへの宣戦布告に息巻いていたようだが、それは先生のおかげで鎮静化していた。後は準備ができ次第反撃するだけだ。

 

 そんなトリニティ内の目立たない花壇の一角でヒフミは落ち込んでいた。攻め込んできたアリウスも、彼女たちに率いられたユスティナ聖徒会もすぐに撃退されるだろう。そんな事を補習授業部の一員であるハナコが言っていた。彼女が言うならそうに違いない。普段はふざけたことしか言わない彼女だが、肝心な時にはちゃんとしているから。

 

 ヒフミが落ち込んでいるのはそのことでは無い。とても個人的なことだった。

 

 

「アズサちゃん……」

 

 

 静かにヒフミは友人の名を呟く。いつもヒフミの傍にいたはずの友人の姿はそこにはなかった。座っている花壇の縁が冷たく感じる。

 

 あの時。古聖堂に巡航ミサイルが直撃して、トリニティ自治区が大混乱に陥った時。”嫌な予感がする”と言って、居なくなったアズサをヒフミは探し回っていた。

 

 やっとアズサから連絡がきて、ヒフミが見つけた時には、アズサは酷い顔をしてヒフミを待っていた。

 

 そして、一緒に帰ろうと言うヒフミにこう言ったのだ。

 

 

 ──もう皆と一緒にはいられない。

 

 

 そう言って振り向いたアズサの顔は苦悩で歪んでいて、普段の様子とは全く違って、あの時のヒフミは何も言えなかった。でも、良くない予感はひしひしと感じた。

 

 状況が分からなくて、混乱するヒフミにアズサは告げた。

 

 アリウススクワッドがトリニティに対して攻撃を仕掛けたこと。

 

 彼女たちは無限の兵力を持っていること。

 

 これから、それを何とかしに行くこと。

 

 

「ここから先は、ヒフミは来ちゃいけない。私は来て欲しくない」

 

 

 あの橋の上で、ヒフミにアズサは、そんなことを言った。ヒフミは訳が分からなくて、アズサに聞いたのだ。

 

 

「私じゃ、どうしてダメなんですか……?」

 

「私は今から人を殺しに行く」

 

 

 そんな、ヒフミの知る世界からは遠い言葉がアズサの口から飛び出して。ヒフミは、また何にも言えなかった。

 

 固まるヒフミにアズサは、優しい表情で語りかけた。さっきまでの、酷い顔とはほぼ遠い顔なのに。ヒフミにはなんだかさっきよりも良くない顔だと思ったのを覚えている。

 

 

「人殺しが皆と、ヒフミ達と一緒にはいられないだろう?」

 

「そ、それはアズサちゃんのせいではありません……それは……」

 

 

 今日起こった全てのこと。それを何とかするために、アズサは人を殺しに行くと言う。それは私の所為だからと。

 

 それをヒフミは否定した。

 

 実際それは正しい。それは今でもヒフミはそう思っている。アズサが言った事は彼女の所為ではない。アズサが全てを背負い込むのは間違っている。

 

 そう言おうとしたヒフミの口と、縋りつこうとした手足はあの時に動かなかった。ガスマスクを被ったアズサに殺気をぶつけられたからだ。

 

 今まで感じたこともない、いつかのブラックマーケットの不良の比では無かった。それに怯んでしまったヒフミを見て、アズサは悲しそうな顔で言った。

 

 

「”これ”が当たり前の場所で、”これ”が当たり前だと教わって、”これ”が当たり前に動けるように訓練された。それを人殺しと呼ぶんだそうだよ。こんな私はヒフミたちと一緒にいちゃいけない」

 

「何とか……何とかなるはずです。先生だって、直ぐに目を……」

 

「いいんだ。ヒフミ」

 

 

 場当たり的な、先延ばしの、薄っぺらい希望の言葉。そんな言葉を吐くことしかできないヒフミをアズサは制止した。

 

 もう、あの殺気は無くなって、アズサはガスマスクも外していた。表情も笑顔だった。今にも儚く消えてしまいそうな。

 

 

「ありがとう。ヒフミ。私を友達だと言ってくれて。楽しい思い出をありがとう」

 

 

 アズサはありがとうと言う。海に行ったことや、ぬいぐるみをプレゼントしたこと。補習授業部での楽しい、学びの日々のことを。

 

 

「これまでの時間は、死んでも忘れない。ありがとう、ヒフミ。さよなら」

 

 

 そのまま去っていくアズサをヒフミは止められなかった。ただただ、行かないでと言って泣き崩れるだけだった。そのまま、トリニティへ帰ってきて、ずっとこうしている。

 

 落ち込んでいるのは何もできなかったからだ。

 

 あの時、アズサを引き留められるのはヒフミだけだったのに。ヒフミは何もできなかった。

 

 だって、ヒフミは普通の生徒だから。先生のような大人ではない。ハナコのように頭が回るわけでもない。コハルのように意志が強いわけでもない。アズサのように強くもない。

 

 だから、何にもできなかったのだ。今だって、先生や、ハナコ、コハルは自分のできる事をしているのに。ヒフミは何もできないで、ここで落ち込んでいるだけだ。 

 

 

「……今にも死にそうな顔をしてるぞ」

 

「カヤツリさん……」

 

 

 気がつけば座り込むヒフミの前にカヤツリが立っていた。珍しいことに心配そうな顔をしている。

 

 カヤツリがゲヘナとの連絡員をやっているのをヒフミは知っている。彼もまた自分にできることをやっているのだ。さらにヒフミは自分が情けなくなった。

 

 

「補習授業部の娘が心配してた。ハナコとかいう。それに、先生も心配してた」

 

「……あはは、皆にはバレちゃいますよね。カヤツリさんもですか?」

 

「いいや、先生に言われたから、知っているだけだ。ハナコとかいう娘の方がいいと思うんだけどな……」

 

 

 カヤツリは首を横に振る。どうやら、先生がカヤツリをヒフミの方に寄こしたらしかった。その判断はきっと正しい。先生やハナコが相手だったら言えなかっただろう。きっと慰めてくれるだろうから、ヒフミはそのまま甘えてしまう。その点、カヤツリならヒフミの事などあまり気にしないだろうし、何かいい考えがあるかもしれなかった。

 

 

「……それで、そう言われて動けなかったのか?」

 

 

 ヒフミの話を聞き終えたカヤツリの一言に、ヒフミは答えた。

 

 

「だって私は普通の学生です。こんな状況の中で、私ができる事なんて何もないんです……」

 

 

 だから、ヒフミはアズサを追いかけられなかった。普通の生徒であるヒフミには、問題を解決する頭も力も何にもない。追いかけたところで何もできない。

 

 

「ヒフミは普通じゃないだろう。誰しもが普通じゃないんだよ。誰しもが誰かにとっての特別なんだ」

 

 

 カヤツリは不思議なことをヒフミに聞いた。ヒフミは少しだけ可笑しくなった。きっとカヤツリは慣れないなりにヒフミを励まそうとしてくれていると感じたからだ。

 

 

「あはは……そうだったらいいですね。でも、私の好きなお話みたいにはいきません。私は正真正銘、普通の生徒ですから」

 

「本当にそう思ってるのか?」

 

 

 あれっ、とヒフミは困惑した。何やらカヤツリは確信があるようだった。何処かの歌詞にあるような、聞きなれたフレーズのようなことを言うと思っていたのに。茫然とするヒフミにカヤツリは告げる。

 

 

「少なくとも、そのアズサって娘にとっては、特別なんだと思うよ。だから、さよならを言ったんだ」

 

「……それは、同じ補習授業部だからで……」

 

 

 カヤツリはまた首を横に振った。

 

 

「本当に万全を期すのなら何も言わずにやればいい。そうした方が後腐れが無いし、さよならのメッセージだけでもよかったはずだ。でも彼女はヒフミに言う事を選んだ。なんでだと思うよ? それは、ヒフミが一番分かってるんじゃないのか」

 

 

 アズサは言った。ヒフミにはこちら側に、アズサの居る方に来てほしくないと。アズサからの連絡が無かったら、今でもヒフミは探し続けていたに違いない。連絡があってもなくても結果は変わらない。だって、ヒフミが探せるところにはアズサは居ない。アリウスの居るところなどヒフミは知らないからだ。

 

 

「私がアズサちゃんにとっての特別だったからですか……?」

 

 

 カヤツリは無言で頷いて、憶測を話してくれた。

 

 

「スクワッドは彼女の古巣だ。だったら、そこのメンバーは家族も同然の間柄だったはずだ。それを裏切ろうって言うんだ。生半可な覚悟じゃない」

 

 

 ヒフミはなんだか胸が痛むのを感じた。それまでのことをヒフミはアズサにさせたことになる。今も一人で戦っているのかもしれない。理由は分かっている。アズサが言ったからだ。でも、それをカヤツリに否定してほしくて、ヒフミはカヤツリに尋ねた。

 

 

「どうして、そこまでするんですか……? アズサちゃんはどうして、そこまで……」

 

 

 ヒフミの震える声での疑問に、カヤツリは何だか妙な顔をしていたが、直ぐにそれを取り繕って、真剣な声で答えた。

 

 

「彼女にとってそこまでの価値があるから。彼女にとって、ヒフミとの補習授業部の日々はそれだけの価値があった。それこそ、それを守るためなら何でもできるんだろうさ。そこは彼女にとって帰るべき場所であり、彼女にとってヒフミは特別なんだよ。そうだろ。補習授業部部長の阿慈谷ヒフミ」

 

 

 そうだ。そんな事は分かっている。アズサがそう思ってくれていたことくらい。ヒフミが、自分がどうしたいのかも。でも、どうすれば良いのか分からなかった。方法も力もヒフミには無かったから。

 

 少し、カヤツリは怒ったような口調で続ける。それはどこか祈るようにもヒフミには見えた。

 

 

「それでも、ヒフミは普通の生徒だから何もできないって言うのか? まだ間に合う。ユスティナ聖徒会は完全に消えたわけじゃない。まだ彼女は一線を越えていない。お互いに死に別れたわけじゃない。同じ世界に居られない? 今も同じ世界にいるだろう? まだ話すことはお互い沢山あるはずだ」

 

 

 カヤツリの声は怒っているかのように荒い。でも、それはこの場のヒフミやここには居ないアズサに向けられたものでは無いようだった。だってカヤツリはヒフミをみつめているが、その目に怒りは無いからだ。

 

 

「白洲アズサを救えるのは、彼女の心に言葉を届けられるのは、阿慈谷ヒフミだけなんだよ。他の誰でもない。ヒフミだけだ。だから、彼女は、未練を断ち切る為に突き放したんだ。さっさと自分がやりたいことを言うんだよ。そんな事はもうとっくに自分の中で答えが出ているはずだ。だから、ここでうじうじしているんだろう?」

 

 

 そうだ。やらなければいけない事は分かっている。アズサを連れ戻さなくてはならない。でもどうすればいいのか分からなかった。

 

 普通の生徒であるヒフミでは、アズサに声が届かないと思っていた。でも、カヤツリは言う。アズサに声を届けられるのは、ヒフミだけなのだと。なら、やるべきことは一つだった。

 

 

「アズサちゃんを助けに行きます! 助けに行きたいです!」

 

 

 ヒフミの言葉にカヤツリは満足そうに頷く。それを横目にヒフミはさっきまでのうじうじとした気持ちが吹き飛んでいるのを感じていた。

 

 考えればそうだ。同じところには居られないと言われたが、そうではない。まだいくらでも話すことはできるのだ。まだ同じ世界に二人は生きているのだから。だからヒフミは伝えるだけだ。何度でも、アズサに声が届くまで。一緒に居られないなんて、そんな事は無いのだと。

 

 

「カヤツリさん。手伝ってくれますか?」

 

「言われなくとも手伝う。俺はヒフミに借りがあるからな」

 

 

 そういうカヤツリにヒフミはお礼を言って、これからどうするか行動を始めた。やるべきことは分かっていた。ヒフミは一人では大したことはできないけれど、ヒフミは一人では無かったから。先生もアビドスの人たちも、補習授業部の皆もいるのだから。

 

 

 □

 

 

 ヒフミが立ち去った後。カヤツリはヒフミが居たところで、大きなため息をついていた。

 

 ヒフミ相手に感情をむき出しにしてしまった。いくら似たような状況に覚えがあって、もどかしかったからとはいえ、それは良くない事だったからだ。

 

 あの後謝ったカヤツリにヒフミは気にしていないと言ってくれたが、それはそれだ。だからここで黄昏ているのだ。カヤツリの仕事はほぼ終わったようなものだから、ここで黄昏ていても問題ない。

 

 またため息をついたカヤツリの視界が何かに塞がれた。顔に当たる感触からいって、誰かの手だろう。こんなことをする人物の心当たりは一人しかいなかった。

 

 

「……ホシノ」

 

「誰だー? くらいは言わせてよ……」

 

 

 名前を言えば視界は戻り、後ろを向けばホシノが残念そうな顔で立っていた。

 

 

「……早過ぎないか?」

 

 

 先生が目覚めて、トリニティもゲヘナも戦闘部隊が復帰している。ユスティナ聖徒会を何とかする目処もある。後は消化試合とはいえ、浮かれるのはどうかと思う。というか、いつ戻ってきたのだろうか。カヤツリがヒフミと話す前にはゲヘナに向かっていたはずだ。

 

 

「ついさっき帰ってきたんだよ。先生も私たちのヘリに乗ってね。途中でヒフミちゃんにも会ったよ。先生と何か話してたみたい。それで先生から伝言ね。”条約はどうにかなりそう”って」

 

 

 それなら、ホシノがここにいる辻褄は合う。条約も悩みどころだったが、先生が何とかなるというのならそうなのだろう。一人で納得して頷いているカヤツリに、ホシノは少しジトッとした眼差しで聞いた。

 

 

「それで? カヤツリはどうして、溜め息なんかついてるのさ。ヒフミちゃんと話してたんだって? 私たちとヒフミちゃんの手伝いをするんでしょ?」

 

「知ってるじゃないか……」

 

 

 知っているというのなら、今ここで聞く意味はないはずだった。顛末はヒフミから聞いたはずだろうから。そんなカヤツリの答えに不満そうにホシノは言う。

 

 

「カヤツリが感情剥き出しにするなんて珍しいじゃない。私にもあんまりしないのに……」

 

「別にヒフミ相手だからやったわけじゃない」

 

 

 ホシノは無言でカヤツリをじっと見ている。いつの間にか隣に腰かけて下から見ている。このまま黙ったままであれば座る場所がカヤツリの膝の上になるだろう。

 

 これは徹底抗戦の構えだった。話すまでホシノは退かないだろう。本当に大した話では無いのだ。自分の恥を晒す話だ。諦めてカヤツリは口を開く。

 

 

「ちょっと前の俺とホシノを見てるみたいでもどかしくなったんだよ」

 

「……私とカヤツリ?」

 

「そう」

 

 

 首を傾げるホシノにカヤツリは答える。ちょっと前というのは、あれだ。先生がアビドスに支援に来た辺りの話だ。

 

 あの頃のホシノとカヤツリ、さっきのヒフミとアズサの関係は少し似ている。

 

 カヤツリは汚い大人の世界に来てほしくなくて、ホシノを遠ざけたし。アズサはヒフミに暗い殺意を向け合うような世界に来てほしくなくて、ヒフミを遠ざけた。あの時のカヤツリはそれを正しいことだと思っていた。あの夜にホシノの叫びを聞くまでは。

 

 さっきのヒフミとの会話は、それをカヤツリに思い出させるのには十分だったから。

 

 カヤツリには、そのアズサとやらの気持ちが痛いほど分かったし、今のカヤツリなら、ヒフミの気持ちもよく分かったから。そして、このまま行ってしまえば取り返しのつかないことになってしまうであろうことも。

 

 だから、忠告に熱が入った。自分と同じような轍を踏んでいるのだ。よりにもよって、ホシノの気持ちをカヤツリに教えたヒフミがだ。つい気持ちが高ぶった。それは、ホシノと先輩のような最悪の結末を見たくないという気持ちも多分にあった。

 

 自らの帰るべき場所を大事に思うあまり、台無しにするなんて笑えない冗談だからだ。

 

 

「ああ、それならしょうがないね」

 

 

 ホシノもその理由に納得したようで、じりじりとカヤツリの方へにじり寄るのを止めた。もう少しで膝の上に乗られるところだったカヤツリは安堵の息を吐く。戦闘前に気分が緩むのはどうもよくはない。ホシノはともかくカヤツリはそう思っていた。

 

 

「で、用はそれだけか?」

 

「……用が無きゃ来ちゃいけないの?」

 

 

 どうも、ホシノは不満のようだった。アビドスから出てきた時の機嫌の良さが嘘のようだ。契約の事を何度も聞いてきたあたりで、おおよその理由は察しがつく。

 

 ホシノは不安になったのだろう。始まりは契約の効力を見て、次に実感が無くて。

 

 カヤツリはそう言った事は口に出さない。あまり乱用すれば軽くなるからだ。言わなくてもある程度伝わるとは思っている。そうでなければ弁当など毎日作らない。それ相応の手間はかかっているのだ。

 

 カヤツリは平気だがホシノはそうではない。カヤツリには前科があり過ぎる。だからこそ不安になるのだろう。最近はカヤツリが手伝う事もなく、対策委員長をやれているから、褒めたり、それなりに態度や言葉で表しているつもりなのだが、ホシノにはまだ足りないらしかった。それと、これは別腹なのだろう。

 

 

「そういう訳じゃないし、気を抜きすぎるのも良くないだろう。帰るところが無くなったら困るからな」

 

「そうだけどさ……。対策委員会はそんなに柔じゃないよ。私やカヤツリの独りよがりじゃなくなってきてるのはカヤツリも知ってるでしょ」

 

 

 ホシノの反応を見るに気がついていないようだった。まあ、これが気が付けるようなら、こんなことにはなっていないだろう。あんまりストレートに言うのはカヤツリは好きではない。恥ずかしいからだ。

 

 

「俺が帰るべき場所は、一つしかないし、替えも聞かないからな。たぶんずっと。そうなったら困る」

 

「だから、シロコちゃん達は……」

 

「……家で一人は寂しいだろ。また寝不足になる」

 

「…………? ……え?」

 

 

 ホシノはなんだかよく分からなさそうな顔をした後に、ボフンと顔が赤くなった。何とかかみ砕いて理解ができたようだった。しばらくしてどこか嬉しそうにカヤツリに催促する。

 

 

「もう一回最初から言ってよ。カヤツリ!」

 

「さあ、忘れたよ。ホシノが思う答えで良いと思うよ。多分同じだろうし……ほら、皆が呼んでる。手伝いの打ち合わせをしないと」

 

 

 カヤツリは振動する携帯の表示を見る。シロコの名前だから、出撃準備ができたのだろう。満足そうなホシノを連れて、二人は後輩たちが待つヘリへと向かった。

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