ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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104話 ゲヘナへの逃避行

 カヤツリとテラノは、ゲヘナ自治区を突っ切って、ゲヘナ学園まで来ることができていた。

 

 道中は不良生徒の暴動に幾つか遭遇したものの、テラノや黒服のバイクのおかげもあって迅速に切り抜けている。黒服が用意しただけあって、スピードが異様に出る。

 

 

「今更だけど、どうしてゲヘナなの?」

 

「マトに仲介を頼む。マトの電話ならホシノも取るはずだ。……最悪、そこから先生に助けを求める」

 

 

 テラノの疑問に、カヤツリは苦々しい顔で答える。事態が既に拗れ始めているのを感じたからだ。

 

 

「……ノノミちゃんやアヤネちゃんは? あの二人なら、落ち着いて話を聞いてくれるよ。マトちゃんを巻き込む必要はないんじゃない」

 

 

 テラノが勝手知ったるというように提案するが、カヤツリは首を振る。勿論否定の意味でだ。よく分からないといった顔のテラノに、カヤツリは懸念材料を提示した。

 

 

「便利屋が追ってきただろ。依頼人は誰だか分かるか?」

 

「こっちの私?」

 

 

 テラノの答えにカヤツリは頷く。それは合っているはずだ。攫われたカヤツリを探すために、便利屋に手伝いを依頼するのは何もおかしいことでは無い。

 

 けれど、いくら便利屋とはいえタダで仕事はしないだろう。アル辺りが良いと言っても、カヨコかムツキ辺りが止めるはずだ。アウトローであることをくすぐればタダにできるかもしれないが、そこまで金を惜しむ必要はない。

 

 おそらく金銭で依頼している。便利屋は安くはない。相応の金銭が出たという事は、ホシノの独断ではなく対策委員全員が承知しているという事だ。テラノが挙げた二人に連絡しても、もっと事態が拗れるだけだ。

 

 それなら、まだ事態を把握していないマトから、事態を説明してもらった方が良い。マトにとってはいい迷惑だろうが、詫びはカヤツリが何とかするしかないだろう。

 

 

「多分全員、俺が攫われたと思ってる」

 

「……ごめんね。我慢できなかった私のせいだよ」

 

 

 申し訳なさそうなテラノを見るだけで、カヤツリは嫌な気分になった。そう思う自分にも。そのことを考えないようにして、カヤツリはバイクを走らせた。

 

 風紀委員会本部までの道に人気はなかった。至るところで暴動が起きているのか、爆発音が途切れ途切れに聞こえる。今日はことさらに治安が悪い。普段はもう少しは静かだと言うのに。

 

 

「じゃあ、私は外で待ってるね」

 

「着いてこないのか」

 

 

 バイクを降りて、振り向くカヤツリにテラノは少し微笑んで言う。

 

 

「マトちゃんだけなら良いかもしれないけどね。建物の中には他の娘もいるでしょ。一人一人に、ヒナちゃんや他の人に説明するのは大変じゃない?」

 

「……それもそうか。じゃあ、バイクだけ見ててくれ」

 

 

 行ってらっしゃいと小さく手を振るテラノを背にカヤツリは風紀委員会本部へ入る。内部は妙に静かだった。なんだかおかしいとカヤツリは警戒心を高める。外がこんなに荒れているのだ。ここは治安維持組織である風紀委員会の本丸だ。誰かが駆けずり回っていてもおかしくはないのに、人っ子一人いない。

 

 舌打ちしながら、カヤツリはハンドガンを一応は確認する。本当に今日はついてない。

 

 そんな事を思いながら、マトがいるであろう執務室の扉をノックする。”どうぞ”という声が聞こえるが、マトの声ではない。カヤツリは落胆と共に扉を開けた。

 

 

「カヤツリ? 珍しいね」

 

 

 執務室にはヒナが一人だけで何かの仕事をしていた。全員外に出ているのかと思ったが、そもそも来ていないようだった。

 

 

「他の皆は?」

 

「お休み。この前の調印式の傷もあるし、マト先輩に言われたから。領分を超えて仕事をし過ぎって」

 

 

 この前にマトと話したことだろう。言っていたことを本当に実行したらしい。”じゃあなんでヒナはここにいるんだ”そういうカヤツリの疑問を察したのか、ヒナが答える。

 

 

「……今は万魔殿が仕事を代わりに処理してる。……でも、ここまで来る途中で何か気づかなかった?」

 

「やたらと治安が悪かったが……。まさか、上手く回ってないのか?」

 

「そうよ。予想できていたことではあるけど。だから、私は万が一の安全弁としてここに居るの」

 

 

 風紀委員会が運営を休止しているなら、この世の春とばかりに不良生徒共が暴れ出すだろう。普段のゲヘナであれば、それ程ではないのかもしれない。それなら万魔殿でもなんとか処理できたのではないだろうか。

 

 ただ、結果としては手が回っていない。マトの計画通りに万魔殿も風紀委員会の重要性を認識しただろうし、ヒナもマトに色々言われたのだろう。ここに詰めているのもそのせいもあるのかもしれない。

 

 

「……だから、ここで仕事してるのか? マトも、そんなつもりはないと思うけど」

 

 

 マトは仕事し過ぎのヒナを心配しているくらいだ。ここでヒナに仕事を一人でやらせる対応はしないはずだった。”待機していろ”という命令をヒナがわざと曲解して仕事している可能性もあるが。

 

 バツの悪そうな顔でヒナは言う。というか、少し萎れているような気がする。

 

 

「はぁ……先生にこの前の事で褒めてもらおうと思ったのだけど。今は手が離せないみたいなの。今は先生はトリニティへ出張中。スクワッドの、アリウスの問題に対処中だって。電話も通じなかった……」

 

「スクワッドの?」

 

「ええ。流石に私はトリニティの問題に首は突っ込めない。エデン条約も有耶無耶のままだし……」

 

 

 思い出して悲しくなってきたのか、どんどんとヒナは萎れていく。この様子を見るに、仕事をしていたのはこれのせいらしい。何もしないで待機など辛いだろう。益々マトらしくない。

 

 

「じゃあ、ヒナを置いて、マトは休みか」

 

「……? 知らないの? その件で来たと思ったのだけれど」

 

 

 カヤツリは顔を顰める。このヒナの反応からして、また自分の知らない所で事態が動いている気配がするからだ。

 

 

「アビドスの対策委員から協力要請があって、出かけていったの。……そうね。一時間くらい前までここにいたもの」

 

「おぅ……」

 

 

 カヤツリは余りの事態にうめき声をあげる。ホシノがとる選択肢としては在り得るものだったが、判断が早すぎる。いや、もしかしたら対策会議をしつつ対応しているのかもしれない。三人寄ればとも言うし、それより多い五人ならもっとだろう。

 

 普段なら、ホシノと後輩たちの成長に喜べただろうが。今回はそうもいかない。一縷の望みを掛けて、カヤツリはヒナに頼む。

 

 

「マトに連絡を取ってくれないか」

 

「別にいいけど? ……見たところ、着の身着のままって感じね。何かあったなら……」

 

「そっちはそっちで忙しいだろ」

 

 

 ひらひらと手を振って、ヒナの提案を断る。外の様子を見た感じ、そろそろ万魔殿が泣きついてくるのではないだろうか。それを、こちらの都合で振り回すのは違う。

 

 ヒナが携帯でマトに電話を掛ける。普通に繋がったようで、しばらく何事か喋っている。その間、ヒナがちらちらと、こちらを見るのが気になった。

 

 

「はい。マト先輩が話したいって」

 

 

 ヒナから、”ありがとう”と言ってから、携帯を受け取る。耳に当てて、何事かを話そうとした瞬間。マトの大声が耳を貫いた。

 

 

『カヤツリ! アンタ、なんでそんなところに居るんだい!? こっちは心配したんだよ!』

 

 

 いつかの、それこそ、カイザー相手の出来レースの時みたいな声だった。マトの心情を考えれば余りある。誘拐されたと思われた本人から、のんきに電話が掛かってきているのだ。この反応も仕方が無いことだと思う。

 

 平謝りしながら、ここに至るまでの経緯とテラノの事、お願いしたいことを伝える。電話口の向こうで、マトは少し黙った後にため息をついた。

 

 

『なるほどね。そのテラノとやらのお願いを聞いていると……。バカじゃないのかい。アンタを浚った張本人だよ。ストックホルム症候群にはまだ早いと思うがね』

 

「じゃあ、どうしろって言うんだ」

 

『簡単な話じゃないか。無視しな。非は向こうにあるんだ。聞けば最近のアンタの不調もソイツのせいらしいじゃないか。幾らアンタが大好きなホシノだからってね。並行世界のホシノまで面倒を見る必要は無い。それは、こっちのホシノをないがしろにしてまでやる事なのかい?』

 

 

 正論だった。大体がマトが言う事は正論なのだが、今回のは特にそうだった。マトの言うとおりに、テラノの言う事を聞く必要はないのだ。結局は向こうの都合に過ぎなくて、カヤツリが言う事を聞くメリットは無い。少なくともマトの目線では。

 

 

「一日だけの話だろう。別に変なことをするわけじゃないんだ。ただ皆に会わせるだけで……」

 

『アンタの計画は分かるよカヤツリ。確かにアンタの言うテラノと、今の対策委員会は会わせられない。まず、間違いなく穏当にはいかない。だから私に、フラットな立場である私に頼むのは分かるよ。でもアンタ、本当は分かってるんじゃないのかい?』

 

 

 カヤツリは黙り込む。マトは説得するように言葉を続ける。

 

 

『アンタがすべきことは私に仲介を頼むことじゃないだろう? 話すのは私じゃなくて、他にいるだろう? 分かってるなら早くやるべきだと思うがね。対策委員会に情報共有はしてあげるから、少しの間、ヒナに代わりな』

 

 

 マトの言う通りに、ヒナに電話を代わる。ヒナはなんだか心配そうな表情をしていたが、電話でマトとの話に集中することにしたようだった。

 

 しばらく時間が掛かりそうなので、カヤツリは窓の外を見て時間を潰す。空はいつものように、憎たらしいくらいに青だった。

 

 そんな晴れやかな空なのに、カヤツリの気分は重い。

 

 マトの言っていたことくらい分かっている。カヤツリがテラノのお願いを聞く必要が無いことくらい。マトを干渉板にするのではなく、カヤツリ自身が対策委員会に、ホシノに話すべきだということくらい。

 

 ホシノ以外の対策委員はあっさり頷くだろう。カヤツリを攫った事に関しては文句を言うかもしれないが。

 

 窓の外の下、地上を見れば、止めたバイクの傍でテラノが暇そうに空を見上げている。その途中でカヤツリに気がついたのか、笑顔で手を振っている。それを見て、カヤツリの気分がさらに重くなった。

 

 問題はホシノだった。お互いに揉めるだろうという懸念も確かにある。それで、ホシノが怪我でもしたら事だからだ。時間も無駄にしたくはない。

 

 でも、一番は違う。今回ばかりはカヤツリの都合なのだ。テラノのお願いを聞いてあげたいというのは、完全なるカヤツリの我儘だ。

 

 カヤツリのやり残しとか、考え方の芯とかは、ホシノには関係ないのだ。ホシノにとっては、自分よりもテラノを優先したという事実でしかないのだから。そんな事をホシノに言えと、マトは言うのだ。マトを巻き込んで、騒動を起こして、有耶無耶にするのではなく。

 

 

「カヤツリ」

 

「うおっ」

 

 

 気がつけばヒナが電話片手に立っていた。電話は通話が終わったのか切られているらしい。驚くカヤツリに対して、ヒナは淡々と問いかけた。

 

 

「これからどうするの?」

 

「……」

 

 

 事情をある程度、ヒナは把握しているらしい。ここでカヤツリにそう聞くという事は、そういう事だからだ。

 

 どうしたものかと、カヤツリは思う。もう穏便に解決する手段は無くなってしまった。マトも先生も頼れない。

 

 

「はぁ……先にトリニティ方面へ行く」

 

 

 カヤツリが選択したのは逃げの選択肢だった。トリニティ方面には、今日は確か柴関の屋台が行っているはずだった。周れるところを先に周って、最後にアビドスに帰ればいい。それで何とかなるはずだった。

 

 

「……分かってるの? カヤツリ。それを選ぶってことは……」

 

「分かってる!」

 

 

 半分苛立ちが混じった声で、カヤツリは返答する。ヒナは仕方がなさそうに、溜め息をついた。

 

 逃げだと言うのは分かっている。でも、テラノのお願いを却下するというのも嫌だった。合理的に考えれば、前のカヤツリのような思考で考えれば、おかしいのは今のカヤツリだろう。マトの言う事は間違っていない。

 

 ただ、それはテラノを見捨てるということだ。世界が違うとはいえ、自分の都合で、ホシノを見捨てると言うことだ。そんな事をカヤツリはしたくなかったし、してしまえば次も同じことをするだろう。一度やればハードルが下がるというのは前に言った事だ。

 

 でも、ホシノを後回しにするというのも嫌なのだ。テラノを優先していることには変わりない。テラノの方に一日のタイムリミットがあるから、テラノの方を優先しているだけだ。カヤツリにはもうどうすれば良いのか分からない。もう、後にも先にも行けないし、にっちもさっちもいかなかった。

 

 

「そう……なら、手伝ってあげる」

 

「どうやって?」

 

 

 少し、自信ありげに微笑むヒナに向かって、訝しげな目を向けた。ヒナはと言えば、席から立ち上がって入り口の扉の方に移動している。カヤツリは嫌な予感がして、立ち位置を移動した。正確にはさっき覗いていた窓の方に。

 

 

「簡単に言えば、小鳥遊ホシノに会う踏ん切りがつかないんでしょう? なんて言い訳すればいいのか分からない」

 

「……まあ、そうかな」

 

 

 少し、何かを面白がるかのような目でヒナは語る。

 

 

「私にいい考えがある。こうすればいい」

 

 

 そんなことを言って、ヒナはカヤツリに銃を向けた。

 

 

「私が貴方を捕まえる。貴方が抵抗しても捕まえて、小鳥遊ホシノに引き渡す。マト先輩も私の好きにしていいって言っていたし……ああ、安心して、私はこういうのは得意だから」

 

「そんなこったろうと思ったよ……」

 

 

 まさに頭ゲヘナだった。ゲヘナ生のヒナに言うのは違うかもしれないが。

 

 ただこれは予想していたことでもある。ヒナが銃を発砲すると同時に、カヤツリは窓を突き破って外へと飛び出した。

 

 

 □

 

 

 アビドスの対策委員会部室。その中で、マトはため息をついた。

 

 理由は簡単だ。カヤツリに逃げられたからだ。

 

 

『ごめん。マト先輩。逃げられた』

 

「すまないね。待機中だったろうに……」

 

『いい。結構いい運動になったし、気分転換にもなったから。じゃあまた』

 

 

 そう言ってヒナからの電話は切れた。まさかヒナから逃げ切るとは想定外だった。余程、一緒に居るテラノとやらはやるらしい。流石のヒナもトリニティ自治区内まで逃げられてしまえば、追う事は出来ない。

 

 マトの視線の先では、対策委員たちがホシノと話している。内容は察するに余りあるが。

 

 

「ノノミちゃん。これって浮気だよね」

 

「いえ……そこまで言わなくても……」

 

「……浮気だよ」

 

 

 マトの想像通りの会話が繰り広げられている。カヤツリからの電話が来る前はもっと緊迫していたのだが、事態の把握が迅速に行われて緊急性が下がったせいか空気が緩んでいる。便利屋も料金分の仕事はするという事で、トリニティ方面まで足を延ばしてくれている。

 

 

「ほら、ホシノ先輩。並行世界とはいってもおんなじホシノ先輩なんでしょ? だったら、それは浮気じゃないんじゃ……」

 

「ウワキダヨ?」

 

 

 セリカやノノミが宥めているが、ホシノは拗ねて、怒ったままだ。シロコとアヤネは触れないようにしている。上手い言葉が思い浮かばないのだろう。

 

 

「トリニティだっけ……。柴関に行く気なんでしょ。私が行くよ。走ればすぐだし」

 

「やめな」

 

 

 勢い込んで立ち上がるホシノをマトは止めた。ここでホシノが乱入すれば話が拗れる。これはいい機会なのだ。折角の機会なのだから。

 

 

「どうしてさ。このままだと……」

 

「カヤツリが盗られるって? まさか、本気で思ってるわけじゃないだろう?」

 

 

 スンとホシノが黙り込んだ。マトにも分かっていることをホシノが分からないはずがない。カヤツリがホシノを裏切ることなど考えられなかった。

 

 

「じゃあ、どうしてさ。どうして、カヤツリは戻ってこないの?」

 

「……どうしてだと思う? 私にもいくつか予想はつくけどね。ホシノ。アンタが一番わかるんじゃないのかい」

 

「向こうに居るのが私だからでしょ……」

 

 

 正解だろうとマトは思う。これがもし、マトやヒナや、ホシノ以外の人物だったら。こうはならなかっただろう。カヤツリにとっての一番の優先事項はホシノだから。迷うはずもない。

 

 ただ今回は、起こるはずのないことが起こってしまったから。カヤツリもどうしていいか分からないのだろう。とりあえずは時間制限がある方を優先しているのだ。

 

 

「アンタの気持ちが全部わかるとは言わないけどね。同じ女だ。多少は分かるつもりだよ。でも、カヤツリの気持ちも考えてやりな」

 

 

 大体はカヤツリが悪いのだろうとは思う。女心は理不尽だ。それを察してくれない、言っても言う事を聞いてくれないカヤツリが悪いのだと。そう切り捨てるのは簡単だ。

 

 ただ、それをしていいのは、同じような状況に立たされた時。カヤツリと同じような状況をとらない者だけだ。

 

 

「アンタは、自分がカヤツリと同じような立場に置かれたときに、同じことをしないなんて言いきれるのかい?」

 

「っ……」

 

 

 マトはかなり言葉を選んで言った。ホシノは言い淀んでいる。それも当然だろう。そうでないのなら、ここまで怒ってはいない。自分もできないから、自分も選べないからこそ、ホシノはカヤツリに選んでほしかったのだろうから。

 

 

「じゃあ、このまま、指をくわえて見てろって言うの?」

 

「別にそんな事は言っていないよ?」

 

 

 マトの答えにホシノはキョトンとした顔になる。マトは面白がりながら続きを話す。

 

 

「私が言ったのはね。ただ、安全圏から殴るのは違うって話さ。自分もできないことを責めるのは違うし、卑怯だろう? そんなことをしてもカヤツリは許してくれるだろうけどね。そう言うのは嫌じゃないのかい? そんなのは寄りかかってるだけさ。アンタが求めたのは違うだろう? カヤツリから話を聞いて、それからだよ。それから、どうするか決めるんだ。それが対等ってものだろう?」

 

「……分かった。ありがとう」

 

 

 マトは手をひらひらと振って返事をした。本当にアビドスにいると、対策委員と関わっていると飽きない。青春という感じがする。

 

 ホシノを見れば、対策委員を呼んで何かを相談しているようだった。表情はどこか全員ニヤニヤしている。

 

 

「ご愁傷さまだねぇ。カヤツリ」

 

 

 マトはカヤツリの今後を思って、手を合わせた。きっと碌な目に合わないだろうから。

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