ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

111 / 337
110話 先生からの依頼

 先生の目前には雲一つない青空が広がっていた。頭上にはぎらつく太陽。周りは砂ぼこりに塗れた廃墟が乱立している。

 

 そんな中を先生は足を進める。もう何回も訪れているから慣れてしまったのもあるが、足の運びに迷いはない。

 

 ここはアビドス自治区。正確には、シャーレからアビドス校舎に続く道だった。

 

 先生が今いる場所はシャーレからもアビドス校舎からも随分距離がある。だから、普段は連絡を受けたアヤネかカヤツリがシャーレまで車で迎えに来てくれる。

 

 ただ、今回は事情が違う。今回はシャーレから来たのではない。また別の場所から来ていた。だから、ここまでは電車を乗り継いでやってきたのだ。

 

 初めて来た時は遭難してしまったが、流石に先生も同じ轍は踏まない。ここからは素直に迎えをお願いしていた。大分歩いたし、方向も合っている。周りの景色からして待ち合わせ場所まではもう少しだった。

 

 

「アヤネ?」

 

 

 待ち合わせ場所には一台の車が停車して、その運転席にはアヤネが座っていた。

 

 アヤネは待ち合わせの時間潰しなのか、手帳を捲りつつ何かを考えている。余程集中しているのか先生が近づいても、声をかけても気がつく気配がない。

 

 先生が窓ガラスを軽く叩くと、アヤネは先生に気がついて車のドアを開けた。

 

 

「あ、先生。ここまでお疲れ様です」

 

「ありがとう。わざわざ迎えに来てくれて」

 

「いえ、最近は治安も良くなったとはいえ、まだまだ危険ですから。このくらいはなんともありません」

 

 

 先生が車に乗り込むと、車は静かに発進した。さっきまでとは段違いの速さで窓の外の景色が流れていく。

 

 そんな中で、ふと、先生は気がついたことを口に出す。

 

 

「何か良いことでもあったの?」

 

 

 アヤネが気がつかないのは珍しい。大体は先生の気配か何かで勘付くのか、先生が何も言わずともドアが開く。今日のように窓ガラスを叩くまで気づかないのは初めてだ。

 

 そう聞かれたアヤネといえば、本当に嬉しそうに頷いて前を向いたまま話し始めた。

 

 

「最近はずっといい事しかありませんから。利子も減りましたし、お金も順調に溜まっていってます。皆の雰囲気も明るくなりました。これから先、どうしようか考えるのが楽しいんです」

 

「それは良かったよ」

 

 

 本心のままに先生は口を開いた。

 

 そうであるのなら何も心配はいらない。それなら、あんなに集中していたのも頷ける。楽しいことを想像している時は、あっという間に時間が過ぎるものだから。

 

 

「先生は今日は何の用で来られたんですか? まだ、予定の日までは少しありますけど……」

 

「今日は、対策委員会に頼みごとがあってね」

 

「どんなものですか?」

 

「うーん。一言じゃ説明が難しいから。説明の動画もあるし、皆で見た方が良いと思うんだ」

 

 

 先生はアビドスには定期的にやって来る。一応は対策委員会の顧問だからだ。アヤネの言う通りに今日は来る予定の日ではないが、対策委員会に頼らざるを得ない事案があった。適任は対策委員会だが危険性はそれなりにある。頼む以上は説明の手間もあるが実際に足を運ぶ方が誠実というモノだろう。

 

 先生の説明でひとまずはアヤネは納得したようで、意識は運転に戻っていた。窓の外を見れば、見慣れた景色が次々と流れていく。アビドス校舎に着くまで、もう少しかかることが分かった。

 

 

「そういえば、今日の迎えはアヤネなんだね。……別にアヤネが嫌だったわけじゃないよ?」

 

 

 先生は、思いついたことを口に出したが慌てて補足する。余りにアヤネに失礼すぎる。まるで、迎えはカヤツリの方が良かったのだと言うように聞こえるからだ。

 

 

「カヤツリ先輩は昼寝中ですよ。起こすのも忍びないので、私が代わりに」

 

「珍しいね。そういうのはホシノの方だと思ってたんだけど……」

 

 

 気にしていなさそうな様子のアヤネに、安心した先生は感想を口にする。アヤネは気にもせずに先生の疑問に答えた。

 

 

「最近はそうですよ。先生が来た頃や、私とセリカちゃんが来た頃は余裕がありませんでしたから。今までがおかしかったのかもしれません。その証拠にノノミ先輩やシロコ先輩も特に何も言いませんし……」

 

「それなら、良いんだけど……」

 

 

 アヤネの回答に納得しつつも、先生の脳内にはいつかの、シロコのドローンの覗き見の映像がフラッシュバックしていた。

 

 

「ああ、それと色々あったんですよ」

 

「色々って? エデン条約の時のは知ってるよ? あの時はありがとうね」

 

「いえ、そのことでは無くて」

 

「え、何かあったの?」

 

 

 先生は思わず、驚いた声を出した。ここ最近は、アリウススクワッドの件でとても忙しかった。その件は無事に解決しているし、先生がやりたいと思った事だから。その忙しさは別にいい。ただ、その陰で対策委員会や他の生徒が何かに巻き込まれているとしたら問題だからだ。

 

 

「もう一人のホシノ先輩が来たんですよ」

 

「どういう事?」

 

 

 アヤネが、なんだかよく分からないことを言うので、先生は思わず聞き返す。アヤネは困ったような口調で、経緯を話し出す。

 

 

「どうにも、そのホシノ先輩にカヤツリ先輩が攫われたようで。朝にホシノ先輩が慌てて連絡を回してきたんですよ」

 

「随分大ごとじゃないか。大丈夫だったの?」

 

「はい。向こうのホシノ先輩も悪気はあんまりなかったようですし。便利屋さんたちや、ヒナさんやマトさん、ヒフミさんも巻き込みましたが、無事に終息しました」

 

 

 無事に終息したのならば良いと先生は安心する。ドッペルゲンガーか何かだろうか、前いたところではありえないようなことが起こっているが、ここはキヴォトスだ。何があっても不思議ではない。パンケーキがクリーチャー化することに比べれば、ドッペルゲンガーなど大したことでは無い。

 

 

「もう一人のホシノは? まだいるの?」

 

「いえ、もう帰ったみたいです」

 

「そう……それなら良かったけど。こっちのホシノは? 大丈夫だった?」

 

 

 先生は怖さ半分、興味半分で問いかける。今回の件は話だけを聞けば誘拐事件だった。ホシノは相当焦ったに違いない。もしかしたら、また独断専行で動いたかもしれない。いつもはストッパーであるカヤツリが止めるが、今回はそのカヤツリが居ないのだから。

 

 けれど、アヤネの返答は先生の想像を裏切るものだった。

 

 

「むしろ、頼もしかったです。便利屋さんたちやマトさんを頼る案はホシノ先輩から出たものですし……普段もあれくらいちゃんとしてれば嬉しいんですけど」

 

「へぇ……」

 

 

 ホシノの成長が感じられて、先生の口から驚きと称賛の混じった声が漏れる。だからこそ、先生である自分が居なくても事態を終息させられたのだろう。喜びの中に少しの寂しさを感じつつ、先生はアヤネの口から顛末を聞くために口を開く。

 

 

「それで、最後はどうなったの?」

 

「皆さんの協力の元、カヤツリ先輩を捕まえて、ホシノ先輩は向こうの自分と何か話してたみたいですね。その後、向こうのホシノ先輩は帰ったようですよ」

 

「じゃあ、一件落着だね」

 

「おおむねはそうですね。あの後、先輩たちが五日も休んだので大変でしたけど……」

 

「ん?」

 

 

 アヤネの言葉が引っかかった。まるでアヤネだけが仕事をしていたようにも聞こえる。その騒動で疲れたのかもしれないが、一年生組に仕事を押し付けるなど、そこまで対策委員会は薄情な組織ではないはずだった。

 

 

「四人も休んだの?」

 

「え?」

 

 

 一瞬、アヤネは何を言われたのか分からない様子だった。直ぐに先生が何か勘違いしている事を悟ったのか、慌てて補足に入った。

 

 

「休んだのは、ホシノ先輩とカヤツリ先輩だけですよ。ホシノ先輩が、カヤツリ先輩は誘拐されたんだから、疲れてるし、ショックを受けてるだろうって言ったんです。実際、捕まえた時には抵抗らしい抵抗もありませんでしたし。もう休みは終わりましたけど、いつも通りの先輩ですよ」

 

「……ホシノの機嫌は? 凄い良いんじゃない? カヤツリは様子は変じゃない?」

 

「うーん。そうかもしれませんし、あんまり変わらないような気もします。何か気になるんですか先生?」

 

「いや、誘拐なんて大ごとだから、セリカの時も大変だっただろう? カヤツリが変になってないか心配でね」

 

「きっと大丈夫だと思いますよ?」

 

 

 アヤネは何事もないような様子でそう告げる。先生の目から見ても、何か隠し事をしているようには見えなかった。

 

 なんだか妙な予感がする。羽目を外していないと良いのだけれど。”カヤツリの事だから大丈夫だろう”そんな事を思いつつも、先生の頭の中の予定が一つ増えた。

 

 

 □

 

 

「遅いわね……」

 

 

 先生の目の前で、セリカが少し不機嫌そうに呟いた。

 

 先生たちが居るのは対策委員の部室だった。もうほぼ全員が揃っている。居ないのはホシノとカヤツリだけだ。

 

 アヤネと先生がここに来る前に、セリカがカヤツリに電話したようだった。セリカが言うには、カヤツリは車内でアヤネが言ったとおりに昼寝をしているらしい。カヤツリはここに来るついでに屋上のホシノを回収してくると言って通話が切れたが、少し長くかかっているようだった。

 

 

「ん。ホシノ先輩が中々起きないんだと思う」

 

「どうして、そんなことが分かるのよ。シロコ先輩」

 

「昨日は、私とホシノ先輩が夜のパトロールだったから。たぶん、眠いんだと思う。その時のホシノ先輩はなかなか起きない」

 

 

 先生の頭の中で、蕩けているホシノを何とか起こそうと悪戦苦闘しているカヤツリの図が浮かんだ。随分と手を焼きそうだとも思う。そんな事を想像していると、部室のドアが音を立てて開いた。

 

 

「悪い。遅くなった」

 

 

 むにゃむにゃ言っているホシノを抱きかかえたカヤツリが、部室の中に入ってくる。先生はぎょっとしたが、他の対策委員はいつもの事なのか気にした様子もない。

 

 

「ノノミ後輩。申し訳ないんだけどさ」

 

「ああ、いつものですね。良いですよ」

 

 

 先生の見ている前で、ホシノがノノミの膝枕で眠っている体勢にされていく。二人とも手慣れているのか、それはすぐに終わった。ホシノは半覚醒の状態なのか、もぞもぞと動いている。

 

 

 ──なんか距離近くない?

 

 

 先生の感じたことはこれだった。カヤツリとノノミではない。今のも十分近いが、それよりもカヤツリとホシノの方が気になった。

 

 

 ──普通にお姫様抱っこで入ってきたんだけど……?

 

 

 二人が、そういう関係なのは知っている。ただ、これまではそう言った事をあまり表ではやろうとしていないはずだった。デートも隠れてやっていたし、海の時だって、後輩たちの面倒を主に見ていたように思う。

 

 対策委員の後輩たちは気にした様子はないが、これは仕方ないのかもしれない。ホシノはともかく、カヤツリの考えなどは分からないだろう。

 

 先生は知っているし、おんなじ男性だし何となく分かる。

 

 カヤツリは、礼儀とか、規範とか、そういったものは拘ると言うかしっかりするタイプだった。きっと今までのカヤツリなら、先生が来ると知っているこの状況であれば、ホシノを何とかして起こしてから来ただろう。

 

 けれど、今はホシノを抱きかかえて入ってきた。そのままホシノの面倒をノノミに任せる始末だ。なんだかホシノに甘いような気もするし、ホシノの面倒を後輩に投げることもあまりなかった。

 

 ホシノも何だか妙な気がする。二人きりの時はどうだか知らないが、そうでないとき。先生が居る時の対策委員会では、特に、カヤツリが居る前ではかなり頑張っていた様に思う。今のように完全脱力している姿は見たことが無かった。

 

 何かおかしい。今までの二人ではない。先生の中で疑念が広がっていく。

 

 

 ──越えた? まさか、一線を越えた?

 

 

 別に先生としては、それでもいい。時が経てば行きつくところだし、そこらへんはカヤツリはしっかりしているから。避妊もしっかりするだろう。それ自体はめでたい事でもある。

 

 ただ、先生としては少し介入した方が良いかもしれないと言う考えもあった。

 

 別に二人の仲を引き裂こうとか、そう言ったわけでは無い。それぞれの将来についての話だ。

 

 

 ──二人はどうするつもりなのかな?

 

 

 働くのか、進学するのか、留年するのか。働くにしても、アビドスを出るのか、それともアビドスで何かを立ち上げるのか。そう言った事を決めているのだろうか。

 

 もう二人は三年生だ。もうそろそろ夏も終わる。卒業まであまり時間は残されていない。

 

 これが、ゲヘナとか、トリニティとか、ミレニアムの学生なら話は別だ。ただ二人はアビドス生だ。卒業してもこのアビドスを何とかする気はあるはずだった。

 

 それについては先生も口出しする気はない。二人の人生だから、他人である先生が口を出して、行き先を決める権利はない。

 

 

 ──でもアビドスに籠りきりになるのは良くないよね……

 

 

 先生の懸念はこれだった。

 

 きっと二人はアビドスから出てこなくなるのではないか。そう言う懸念だ。

 

 ただでさえ、二人は今もその傾向がある。先生としては自分の人生を楽しんでほしいのだ。二人にとってはアビドスの復興がそれなのだろう。ただ、それしか知らないのと。他の事を、それ以外の選択肢を知って、なおそれを選ぶのとでは意味が大きく違う。

 

 それに、アビドスの復興方法にも関わってくる。

 

 カヤツリは借金返済はどうにかできると考えているようだった。それは先生もできるのではないかと思っている。ゲヘナを巻き込んで色々やっているからだ。ただ、その先をどうするのか、どう考えているのかは聞いたことが無かった。

 

 考えているのならいい。ただ、とてつもなく時間が掛かるだろう。そもそも、二人だけでできるようなものでもない。対策委員を入れても六人だ。その人数では厳しいものがある。きっと毎日が大変だろう。

 

 それなら、余裕がある今のうちに色々なことを経験してほしいのだ。アビドス外の何処かに行くのもいい。そこで友人を増やしてもいいし、何か発見があるかもしれない。

 

 今回の仕事はそういった目的もあるのだ。アビドスは他の自治区から忘れ去られているに等しいから。ゲヘナとトリニティは先の騒動もあって認知はしているが、他の学園は興味もないだろう。

 

 しかし先生は学園同士、助け合っていけたらいいと思うのだ。それは不可能では無いことを調印式の騒動で先生は知っているから。

 

 

 ──でもなぁ。二人とも警戒心が強いからなぁ……。

 

 

 今までの環境のせいか、ホシノとカヤツリは他者に対する警戒心が強い。片や大人に騙され続け、残りは育てたのが黒服だ。さもありなんと言った感じである。それに女性であるホシノはまだいいかもしれないが、問題はカヤツリだ。ただでさえ高い壁が異性という条件でさらに跳ね上がる。

 

 普通の生徒だと表面的なもので終わるだろう。立場がある生徒でもダメだ。利益の話が先行するだろう。ゲヘナのマトやヒナ、トリニティのヒフミが例外なのかもしれない。

 

 そもそも、ホシノの事を考えれば先生のやっていることはあまり褒められたことでは無い。ホシノがいるカヤツリに他の女生徒と引き合わせるなんて、ホシノに怒られても文句は言えないのだ。馬に蹴られて死んでしまうかもしれない。

 

 

 ──カヤツリには大事なものを増やしてもらわないとね……

 

 

 ホシノに枕を抱えさせようとしているカヤツリを見て、先生はそう思う。

 

 きっとカヤツリにとって、大事なものはホシノだけなのだろう。それは、アビドスでの騒動の時にも薄っすら感じ取れたくらいだから。

 

 自分とホシノを天秤にかけた時、あっさりと自分を捨てるのではないか。そんな不安が先生にはあった。

 

 ホシノもそうなのかもしれないが、ホシノはカヤツリが居るし、対策委員会が居る。それに、あの騒動でその危険性を身に染みて知ったはずだし、彼女にとっての大切なものがどんどん増えているのだろうなというのが先生にも伝わってくる。

 

 カヤツリは違う。カヤツリも大事なものは増えているだろうが、それはホシノ経由なのだ。ほとんどがホシノに紐づけされている。

 

 そこが、カヤツリのホシノとの相違点でもあった。だから、ホシノが居なくなるとか、そういった事態が起きた時。カヤツリはどうにかするだろう。取れる手段の全てを使うだろう。そんな予感が先生にはあった。

 

 それで解決すればいいが。最悪なのはホシノが助かって、カヤツリが大きな被害を受けた場合だ。幸いにもまだそんな事態は起こっていないが、起こらないとも限らない。

 

 だからこそ、関係性を増やすべきだと思うのだ。

 

 エデン条約の調印式の時。本当ならアビドスは介入しなくても良かったはずだった。ゲヘナとの取引上困るかもしれないが、巻き込まれれば元も子もない。かなりリスキーな選択だった。

 

 でも、カヤツリは決めたのだ。マトやヒナ、ヒフミを助けるために動いた。それは、アビドス騒動の前のカヤツリなら、銀行強盗に反対したカヤツリなら、選ばなかった選択だった。それなら、カヤツリに友人が増えれば、良い方向に変わってくれるのではないかと思ったのだ。

 

 それにカヤツリも、ずっとホシノの相手は気が張るだろうから。気を遣わなくていいという友人も一人は居た方が良いと思うのだ。ホシノは恋人だし、対策委員は後輩だ。マトやヒナは他学園で立場がある。ヒフミは後輩かつ、話自体は合わないだろうから。

 

 それはエデン条約が一息ついて、学園間の緊張が緩んでいる今しかできない事だ。だから、先生はそんな悪だくみをしている。

 

 

「先生?」

 

 

 突然のカヤツリの声に、先生は我に返った。気がつけば、対策委員は準備を終わらせたようで、先生が話し出すのをずっと待っていたようだった。

 

 いつまでも先生が動かないものだから、しびれを切らしたカヤツリが声を上げたらしい。

 

 先生は悪だくみを止めた。それは、この依頼が終わってから提案することだからだ。

 

 

「ああ、ごめんね。少し考え事をしててね。今日は対策委員に依頼があってきたんだよ」

 

「シャーレの依頼ですか? どうして私たちに?」

 

 

 不思議そうにノノミが聞き返す。その疑問は当然だった。アビドスにできることなら、もっと生徒数の多いゲヘナや、他の学園に依頼すればいいからだ。

 

 

「これは、きっと対策委員が適任だと思ったんだよ。贔屓じゃなくね」

 

 

 これは先生の本心だった。だからこそ、本題を先に切り出すことにした。

 

 

「ビナーって、聞いたことあるかい?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。