ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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115話 作戦会議

「それでは作戦の説明に入りますが、皆さんよろしいでしょうか?」

 

 

 青いホログラムの向こうのヒマリが司会をするようだ。普段はアヤネがやっているから、ある意味新鮮な気持ちで、カヤツリはこの作戦会議に臨んでいた。内容はある程度知っているので、其方の意味の新鮮さは無いのだが。

 

 アビドスの対策委員会の部室。そこには先生含め、対策委員とエイミの八人が集まっていた。理由などは一つしかない、先日のビナーの調査に対する作戦会議である。アビドスにとっては死活問題だから、反対する者など居ようはずもない。当然、全員が肯定の返事を返した。

 

 

「はい。それでは作戦に参加する皆さんには、大まかな全体像から説明します。カイザーPMCとの交戦データーより、ビナーは縄張りを持っていると推察できました。皆さんには、そこに突入していただきます」

 

 

 ヒマリの声と共に、地図のホログラムと複数の点が現れ、それを囲むように赤い円が表示された。これが縄張りという事だろう。その円の中に、青い点が侵入していく。

 

 

「そこでビナーと接触、あるいは交戦していただくのが今回の調査となっています。続いて……」

 

「ちょっと待ちなさいよ」

 

「はい。何でしょうか? セリカさん」

 

 

 セリカがヒマリに噛みついた。何処か鋭く怒気が混じった声で。カヤツリには次のセリカの行動が手に取るように分かった。ヒマリといえば、涼しい表情でセリカの回答を待っている。

 

 

「そのビナー? っていうのに真正面から突っ込むのが作戦なの? ミレニアムって頭が良い人達が沢山いるって聞いてたのに、そんな単純な方法を使うの?」

 

 

 セリカにしては、かなり気を使った怒り方だった。ヒマリはアビドス校外の生徒で上級生だ。直情的に怒鳴りつけないだけセリカの成長が感じられた。”現場で動く私たちを考えていないんじゃないか”というセリカの隠した懸念は尤もで、シロコやノノミも不信感の混じった表情をしている。ただし、セリカの懸念はしなくてもいい心配だ。

 

 

「いいえ。動きを単純化するとそうなるだけです。もちろん、これから小細工の説明はしますとも。ですので安心して下さい。アビドスの皆さんが安全に調査が遂行できるように作戦は考えてあります」

 

 

 セリカは自分が早とちりしたことを理解したのか、真っ赤になって席に戻った。ヒマリは、それに触れずに作戦の続きを話す。

 

 

「突っ込むと言いましたが最初に縄張りに侵入してもらうのは、こちらで用意した車両になります。その後に、本命の車両が侵入する手はずになっています」

 

 

 カヤツリはヒマリの説明に頷く。特に間違っているとは思わない。

 

 ビナーは砂中を潜航している。接触するには縄張りに侵入すればいいが、まず間違いなくビナーの奇襲を受けるだろう。砂の中ではレーダーなど効かないし、あの巨体の奇襲は避けるべきだ。ただの体当たりでもカヤツリ達には致命傷なのだから。

 

 だから餌を撒く。先行する車両がビナーに対する餌で、それにビナーの攻撃を誘発させる。それは昔カヤツリ達がとった手段と同じだったが、あの時のような黒服謹製のグレネードは無いから車を用意した。もちろん費用は向こう持ちだ。

 

 

「本命の車両には、運転手としてアヤネさん、砲撃手としてカヤツリさん、迎撃役としてホシノさんに搭乗していただきます」

 

 

 ビナーの巻き起こす砂の波を乗りこなせるのは、自分かアヤネ位だろうとカヤツリは思っている。アヤネが運転してくれれば、カヤツリは砲撃に集中できる。攻撃もホシノが防いでくれるなら安心だった。

 

 ホシノはビナーの攻撃を直に見ているから、ホシノが防げると言うならそうなのだろうとカヤツリは信じていた。

 

 

「他の娘たちはどうするんだい?」

 

 

 先生がヒマリに向かって疑問を投げる。この会議には対策委員会の全員が参加している。ヒマリは”作戦に参加する皆さん”と言ったから、他の四人にも役目はあるはずだった。

 

 

「攻撃役の三人の後から、攻撃ヘリで侵入してもらいます。役目としてはカヤツリさんのレールガンで仕留めきれなかった場合と逃走を選ばれた場合の妥協案ですね」

 

「仕留めきれないって? カヤツリ? 弾は作って貰ったんだろう?」

 

「ええ、十分な量を」

 

 

 カヤツリは先生にそう返事をする。あのミレニアムの日から、二日が経過している。一日でハードウェアを調査とメンテナンスし、弾を一から作ったのだ。アリスにも手伝ってもらったから、かなりの量が量産できた。だから弾が無くて仕留めきれないなんて言う事態は起こらない。

 

 

「カヤツリさんやホシノさんからも過去のビナーの戦闘を聞きましたが、ビナーの行動パターンはいくつか考えられます。大きく分けると戦うか逃げるかです」

 

「逃げるって? 二人の話からそれは無いと思うんだけど……」

 

 

 先生の声は不思議そうで、表情も同じような感じだ。

 

 

「ええ、お二人の言う通りに機体が万全であるのなら逃げないのでしょう。ただ今のビナーは手負いです。逃げる可能性も多分にあります。そもそも、感化されて守護者になった場合の思考パターンは、感化される以前とは大きく変化していると考えられます。AIのような思考をするのか、それとも生物然とした思考になるのか。いくら天才美少女の私とはいえ難しいですね」

 

 

 ヒマリの言う事はところどころに納得できる節はあった。ビナーのあの執念深さや生き汚さには、機械らしくないモノを感じるのは事実だからだ。

 

 フルチャージしたレールガンで機能停止に追い込めればそれでいいが、仕留め切れなかった場合は冷却の為にカヤツリは動けない。その間に逃げられる可能性はあった。だから、妥協案が必要だった。

 

 

「じゃあ、妥協案って言うのは?」

 

「これだよ。先生」

 

 

 エイミが一つの銃弾を取り出した。銃弾というにはかなりの大口径だった。おそらくカヤツリの対物ライフルくらいしか発射できないだろう。

 

 

「エイミの持つそれは、発信機が仕込まれた銃弾になります。ビナーが逃走を選んだ場合、それをビナーに撃ち込んでもらいます」

 

「普通に撃ったんじゃ装甲を抜けないかもしれないから。しっかり装甲の破損部分を狙ってね」

 

 

 できる事なら、その弾丸の出番が来ない事を祈るが、ビナーの生存能力は折り紙付きだ。逃走された場合には居場所だけでも把握しておけば対処もしやすい。追撃もできるし、潜航ルートに罠も仕掛け放題だ。今までは受け身だったのが攻め手に転じられる。撃破できなかった場合でも、ヒマリたちもビナーの行動からデカグラマトンの情報を得られるだろう。

 

 

「でも、誰が撃つんですか?」

 

「ん。カヤツリ先輩は車の方」

 

 

 ノノミが思い出したかのように呟き、シロコも同調する。いつもならカヤツリが撃つのが道理だが、今回はポジション的に難しい。ビナーの正面か側面しかとれない車では装甲の破損部分を狙う位置取りが行えない。だから、三次元機動がとれるヘリからの狙撃をヒマリは提案しているのだ。

 

 ヘリはエイミが操縦し、ミサイルは同乗者が撃ち落す。熱線はカヤツリが阻止する。その手順もあるが、カヤツリの中では狙撃役は決まっていた。

 

 

「そりゃあ、セリカ後輩だろ」

 

「え?」

 

 

 カヤツリの声を受けたセリカが固まる。ポカンとした表情で固まるものだから、カヤツリは吹き出しそうになるのを我慢した。

 

 

「私がやるの?」

 

「そうだよ? 狙撃ができるのはセリカ後輩だろう?」

 

 

 セリカは何処か信じられないような表情のまま、どこかしどろもどろになる。

 

 

「いや、シロコ先輩とか……」

 

「セリカの方が上手い。セリカなら私より上手くできる」

 

 

 シロコは何でもないように、セリカにそう告げる。シロコは自信家だから、セリカの気持ちにはおそらくは無縁だろう。シロコが人の気持ちが分からないバカだという訳ではない。

 

 きっとセリカは怖いのだろう。あの弾丸は数発あるが、逆に数発しかないのだ。それを話にしか聞いたことのないビナーの破損した装甲に向かって撃ち込まなければならない。

 

 外せば調査は失敗だ。もしもの場合には、今回の調査の結果がセリカに掛かっている。それなりにプレッシャーだろう。きっとこんなことは初めてだろうから。今までは、そんなことは無かった。そうさせないようにカヤツリが立ち回っていたのもあるし、そんなことをするような事件もなかったから。

 

 でも、いつかは経験しなければならない事だが、この様子を見るにまだ早かったかもしれない。アリスの事と言い、カヤツリは自分の目に自信が無くなってきた。内心ため息をつきつつ、セリカにフォローを入れる。

 

 

「代わりに……痛っ」

 

 

 脇腹を思いっきり抓られてカヤツリはうめき声をあげる。涙目で犯人であるホシノを睨むが、ホシノはどこ吹く風だった。そのまま、セリカに向かってホシノはおどけた様に言う。

 

 

「うへ~、セリカちゃんは可愛いねぇ。そんなに怖いならおじさんが代わってあげようか?」

 

 

 何を言い出すのかと、カヤツリはホシノを睨む。それでは、作戦の根本的な見直しが必要になる。ホシノが狙撃をできないとは言わない。ホシノのスペックなら少なくとも人並みにはできるかもだが、逆にセリカに盾役ができるとは思わない。スペックの問題ではなく、向き不向きの問題だ。

 

 

「そんなの、できるわけないじゃない」

 

 

 セリカが少し声を大きくして、ホシノに言う。そんな事はセリカ後輩も分かっているのだ。今更、そこを指摘したところでセリカを追い詰めるだけだ。ホシノもそれは分かっているはずだ。

 

 

「うん。できないよね。なら、やるしかないよ。これは今、セリカちゃんにしかできない事だよ」

 

「そんな事……」

 

 

 セリカの歯切れが悪い。これはセリカの気にしていることだ。セリカには取り柄が無い。少なくとも、自分でそう思えるほどの何かが無い。昔、カヤツリは真面目なのが良いところだと言ったけれど、それは何の慰めにもならない事は、ホシノとの件でカヤツリは身に染みていた。

 

 そういう所が、今回はもろに出ている。近々どうにかしなきゃなと思っていたが、最悪のタイミングで発露した。カヤツリはできると思っている。そうでなければセリカを前提とした作戦をさせない。だが、今のセリカは失敗するかもしれない。狙撃などの精密作業はもろにメンタルが影響する。ホシノが何を考えているのかカヤツリには分からない。

 

 こういう時のための先生なのに、先生は静観の構えだった。カヤツリは小さく舌打ちするが、今のカヤツリではどうしようもない。

 

 

「おじさんはセリカちゃんならできると思ってるよ。シロコちゃんだって、他の皆だってそう。セリカちゃんは違うの?」

 

「外したら終わりなんだよ? 怖いに決まってるじゃない」

 

「外さなかったら、怖くなくなるんだね? じゃあ今回はいい機会だと、おじさんは思うな~」

 

 

 いつもの緩んだ雰囲気で、ホシノはセリカに発破をかける。手ごたえがいまいちだと思ったのか、最後に薄目を開けて、ホシノはセリカに言った。

 

 

「失敗したら、セリカちゃんは責められると思ってるんだね。おじさん心外だな~」

 

「そんなわけないじゃない!」

 

「じゃあ、怖くないよね? そんなに不安なら、指切りしてもいいよ? それでもまだ怖いかな?」

 

 

 随分と煽るものだとカヤツリは思う。セリカはホシノの掌の上だ。そろそろ我慢できなくなって叫びだすだろう。

 

 

「良いじゃない! やってやるわよ。簡単に当ててやるわ!」

 

「じゃあ、それで行こうか。セリカちゃん」

 

「あ!」

 

 

 また、さっきのようにセリカが呆気にとられた表情になる。言質を取られてしまったからだ。ニコニコ顔で見ていたヒマリも、話を聞かなかったかのように進める。

 

 

「ビナーを囮で釣り上げ、先制攻撃。撃破できればそれでよし、できなければ発信機を撃ち込む。そういう事になりますね。それでは、準備をお願いします」

 

 

 ヒマリの宣言で作戦会議が終わる。固まっていたセリカも含め、全員がそれぞれの役割を果たすための準備に入った。カヤツリも同様に車へと向かうが、何か引っかかりを感じていた。

 

 

 □

 

 

 アビドス砂漠を疾走する車の中で、カヤツリはさっきの会議の事を思い返していた。ホシノの様子がどうにもおかしいからだ。普段なら、今までなら、あそこで口を挟んでこなかった。挟んできたとしても、あんな事は言わなかった。

 

 アレは賭けだった。上手い事にセリカが奮起したから良いものの。そうでは無かったら最悪だった。

 

 セリカが怖がっているのは皆に責められることではない。だから、ホシノの言葉にすぐさま反論したのだ。怖がっているのは確かだけれど、責められることでは無い。期待に応えられない自分が怖いのだ。

 

 だから、カヤツリは自信を持ってほしかった。だから今回の仕事を回した。銃弾を一発当てるだけで作戦を成功させられる。これだけ上手い話は無いし、セリカならできると思っているから。

 

 

「なんで、あんなこと言ったんだよ」

 

 

 カヤツリは隣のホシノに文句を言うように呟いた。ホシノは遠くの方を見たままカヤツリの呟きに答える。

 

 

「あれくらい言わないと駄目だよ」

 

「言い過ぎだろ。あれで、失敗したらどうするんだ」

 

 

 ここまで言われて失敗したり、直前で怖気づいたりしたら。セリカは立ち直れないかもしれない。だから途中でカヤツリはやり方を変えようとしたのだ。それはホシノに邪魔されてしまったのだが。

 

 

「言い過ぎじゃないよ。あれくらい言って良いと思うよ。あんなので折れるほどセリカちゃんは弱くないよ。そうでもなきゃ、今ここに居ないよ」

 

「……先生と何か話した?」

 

 

 カヤツリはあり得そうな予想を口に出す。一昨日、カヤツリがエンジニア部に缶詰になっている時にホシノと先生は一緒に行動していたから。ヒマリとの会議の時もカヤツリの後ろで話していた。

 

 

「うん。カヤツリの仕事の事とかね。先生にああ言えって言われた訳じゃないよ。あれは私が考えて言ったの」

 

「何でそんなことを……」

 

 

 さっきも思った事だが、ホシノは今までそんな事をしなかった。なんで今更という思いが、カヤツリの中で走る。ホシノは今まで、後輩に諭すような事は言ってもさっきみたいな。カヤツリの真似みたいなことはしなかった。

 

 ホシノは遠くを見るのを止めて、カヤツリの方を向いた。綺麗な二色の瞳がカヤツリを射抜く。

 

 

「カヤツリはさ。後輩まで背負うの? セリカちゃんを気遣って、狙撃も兼任しようとしたでしょ?」

 

「……」

 

 

 カヤツリは言い淀む。セリカやシロコは後輩だ。面倒を見るのは当たり前だと思っていたが、背負うなど特に意識したことは無かった。ホシノは淡々と話を続ける。

 

 

「一昨日のミレニアムのエンジニア部だっけ? あそこでカヤツリは楽しそうだったでしょ?」

 

 

 一昨日、”エンジニア部に缶詰になる”とホシノに連絡したときだ。何回かホシノは差し入れがてらに様子を見に来たから。

 

 

「アリスちゃんだっけ。あの娘の面倒も見てるのかも知れないけど。対策委員の後輩ほどじゃないよね。気は楽だったんじゃない?」

 

 

 ホシノは前の車を運転するアヤネに聞こえないように、声を小さくしている。

 

 言われてみればそうかもしれなかった。メンタルがボロボロだったホシノの時ほどではないが、それなりの事は考えている。だから、楽しそうじゃないとホシノは言うのだろう。

 

 

「やり過ぎだよ。カヤツリ。私の時ほどじゃないけど過保護だよ。カヤツリは、私達みたいな目にはあって欲しくはないのかもしれないけど。セリカちゃんも他の娘もカヤツリが守らなきゃいけないほど弱くは無いよ。少なくとも、あの時の私よりは強いんじゃないかな」

 

 

 だから、さっき。ホシノは、セリカ後輩が傷つかないようにしたカヤツリを止めたのだろう。その必要が無いとホシノは思ったのだろう。そこまでしなくてもセリカは問題なく立ち上がってくれると。

 

 

「だからさ。少しは良いんじゃないかな。いつまでも後輩たちは弱くは無いよ。セリカちゃんも無暗に噛みつかなくなったのを見たでしょ。痛くなきゃ覚えないし、大怪我しそうな時に助ければいいの。手に負えなかったら先生に言えばいいしね?」

 

「……分かった。少し気を付ける」

 

 

 そうホシノには答えて、カヤツリは前を飛ぶヘリを見て思う。今頃、セリカはどうしてるのだろうか。カヤツリの対物ライフルを持って、何を考えているのだろう。案外、ホシノの言う通りにやる気に燃えているのかもしれない。

 

 

「そうそう。カヤツリが心配して、面倒を見るのは私だけでいいんだよ。カヤツリが背負うのは私だけでいいし、一番は私なんだよ。あんまり目移りするのは感心しないねぇ」

 

「ヒッ」

 

 

 ホシノがとんでもないことを言うので、ヘリから視線をホシノに戻すと。ホシノは悪戯が成功したかのような顔で笑っていた。

 

 

「ほとんど冗談だよ? 本気にした?」

 

「変なこと言わないでくれよ……」

 

 

 かなり焦った。独占欲全開の台詞は寒気がするからやめてほしい。

 

 

「まぁあれだよ。もう少し後輩を信じてあげなよ。人間性とかじゃなくて、心の方をね。全部カヤツリが背負うことは無いんだよ」

 

「そう見えた?」

 

 

 カヤツリは外から見た自分が気になり始めた。ウタハにも似たような事を言われたからだ。ホシノはカヤツリと同じように遠くを見ながら答える。

 

 

「状況によるかな。カヤツリは直ぐに退くから。我儘と言うか、カヤツリは認めた相手には尽くしがちだからね。私としては心配なんだよ」

 

「心配?」

 

「うん。さっきもそうだけど、背負う必要ないものまで背負うからさ。さっきも言ったけど私だけでいいんだよ? 私はカヤツリと積み上げるからいいんだけどね?」

 

「分かった。気を付けるよ。もしもの時は言う」

 

 

 カヤツリは話を切り上げる。大事な作戦前だし、懸念は無くなったから。ホシノも同じなのか、最後に一言だけ言って切り上げた。

 

 

「冗談のままにさせてね?」

 

 

 ホシノの言葉を聞こえなかった振りをして、カヤツリは前を眺める。ビナーの縄張りまでもう少しだった。

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