ホシノ同級生相棒概念 作:洞鼬
気づけば視界一杯に一面の砂漠が広がっていた。
これは夢だと、カヤツリはすぐに分かった。どうにも足元がおぼつかないし、景色も何となく砂漠だと分かるだけで、他はどうにも曖昧だ。俗に言う明晰夢というモノかもしれない。
けれど、曖昧な中でもはっきりと分かるものはある。砂漠を誰かが歩いているのと、それが自分では無い事だ。
その誰かの視界と思考が何故かカヤツリには手に取るように分かった。夢特有の奇妙な感覚だが、特に疑問を覚える事もなく、流れ込んでくる情報を自分のモノとして咀嚼する。
ただならなぬ困惑と焦燥が自分の心中を満たしていた。
何かあり得ない事が起こって、今、自分は砂漠を彷徨っているのだ。
本当なら、もうこんな事はできていない筈だという確信がある。そして、自分がそうなった原因はさっぱりわからない。どれくらいの時間が経ったのかも。だからこその困惑だった。
そして、早く安否を確認しなければならないという焦燥感が徐々に大きくなってくる。それはどんどん大きくなり、俯瞰してみているカヤツリを飲み込んだ。もう、その誰かはカヤツリ自身だった。
その気持ちに追い立てられて、休まず足を運んでいると、目的地に到着したようで、一度足が止まる。
大きな建物だ。大きな門と広い砂まみれの敷地の先にそれは佇んでいる。それに見覚えがある気がしたが、記憶に靄がかかって思い出せない。その間にも身体の方はずんずんと建物に向かって行き、迷いなく中へと入っていく。
中は人の気配が全く感じられない。それを感じ取って、早足だったのが駆け足になる。階段を駆け上がり、部屋という部屋の扉を開けていく。
誰か、誰でもいいから、自分の目の前に現れてほしい。そんな想いが駆け巡るが、その願いは叶わない。開けた部屋の中には誰もいないし、いた形跡もない。
もう半狂乱になりかけながら、本命の部屋を開けるが、その部屋も誰もいない。しかし、他とは違って誰かがいた形跡がある。
部屋の中心に置かれた机の上に、カバンと何かの書類。壁際のホワイトボードにも何か書いてある。
縋るように書類から読み進めていく。書類は何のことはない入学書類だ。名前は判別できないが、経歴の所に殴り書きされた文字だけは、はっきり読めた。
──失踪から七十五日経過。
ピタリと次の書類を漁る手が止まる。他の書類を見れば、全て同じ書類で、似たような事が書いてある。唯一違うのは失踪からの日付だけ。
これは記録だ。この書類をメモ帳代わりに、誰かを探し続けているのだ。
だが無駄な記録でもある。砂漠へと出て行って七十五日も経ったのならもう……。それは分かっているが諦められないのが、荒々しい文字から伝わってきた。
堪え切れなくなって書類の束を机からはたき落とす。何故だか分からないが、失踪者が死んだと妙な確信があった。やり場のない怒りを書類相手にぶち撒ける。けれど、そんな事をしても、あの娘は帰ってこない。
暴れ疲れて、肩で息をしていると、ホワイトボードの文字が目に入る。
番号だ。桁数からして電話番号だろう。やけに強調するように、マーカーでぐるぐると囲ってあった。藁に縋る思いで、その番号にコールする。
電話は直ぐに繋がった。電話の相手からはどこか同情しているような雰囲気が伝わってきた。
──ご遺体はいつ引き取りに来られますか?
申し訳なさそうな声に思考が止まる。黙り込んだ自分に対して、言い訳のように声は告げる。
生命維持装置を自分で外すとは思わなかったとか、手を尽くしたが手遅れだったとか、規則ギリギリまで遺体は預かれるとか。そんな声が耳を素通りしていく。言葉は聞こえるのに、意味が理解できなくて、ただ電話からの言葉に相槌を打つ事しかすることがない。
ようやく我を取り戻せば、”最初に連絡した方にもお伝えください”何て言って、電話は切れてしまった。
──遺体? ご遺体と言ったか?
あまりの事に、よろよろと書類で散らかった床に座り込む。頭の中で益体もない、今となっては手遅れの考えがいくつも浮かぶ。
何が起こったのかは想像でしか分からないが、絶望感で萎えた足を叱咤して、何とか机にしがみつく。
まだ、やらなくてはならない事がある。残りの安否を確認しなくてはならない。
「……そうだ。連絡を……」
まだ、確認できていない番号に再度コールする。一つは留守電に切り替わるが、もう一つは誰かが出た。
「……貴方ですか。死んだかと思っていましたが……生きていたのですね」
失礼な言葉から始まるが、その声には張りが無かった。どことなく空虚な印象を受ける。
「終わりです。全て。私たちの夢も、貴方の望みも。いや、このアビドスもでしょうか。そして、お嬢様もいってしまった……」
その言葉だけで、聞くことはもうなくなってしまった。黙り込むカヤツリに、向こうも事情を察したのか、そのまま通話は切れた。
「まだ……まだ、あと、二人……」
残る二人を探して、カヤツリはアビドス校舎を飛び出した。叫びながら砂漠を疾走する。校舎を隅々まで探して居ないのなら、もう外にいる可能性しか残っていない。
「どこだ! 返事を……足跡!」
砂漠に点々と続く足跡を見つけて、カヤツリの声に喜びが混じる。足跡は砂丘のずっと先へと続いていた。砂に足を取られながらもカヤツリは走る。
ただただ、生きていて欲しかった。自分以外居なくなってしまったなんて、また間に合わなかったなんて、きっと耐えられない。
「わっ……ぶっ」
砂丘を超えた途端に顔に何かが飛んできて、視界を塞ぐ。口に入った砂を吐き出しながら、カヤツリは顔に巻き付いたものを手に取った。
それは、マフラーだった。青地に黒の線が入った、どこにでも売っていそうなマフラーだ。それにカヤツリは見覚えしかなかった。
飛んできた方を見る。そこには誰かが、砂に埋まるようにして倒れていた。
「……コ! シ……」
声を出そうとしたが、さっきの砂が口に入ったせいで大声が出せない。かすれたような声しか出なかった。だから、倒れている誰かは気づかない。
それならと砂丘を越えて近づこうとするカヤツリは、異変に気がついた。
空が変だった。何か良くないものが下りてくる気配がする。しかも、倒れた誰かの真上にだ。
「逃げろ! 逃げてくれ! ……頼むから!」
間に合わない事を承知の上で、それでもカヤツリは倒れた人影に向かって駆け出した。それと同時に、遂に良くない何かが姿を現した。
それは、黒とも、白とも、球体ともつかない物体だ。それはひときわ強く輝くと、ふっと消えてしまった。
「……お前は」
もう、倒れた誰かは居なくなっていた。黒いドレスを纏った、倒れた誰かにも似た長髪の女が空を見上げて立っている。
その女はカヤツリの質問にはまともな回答を返さなかった。女の回答は手に持った銃から吐き出された銃弾だった。至近距離にいたカヤツリが避けられるはずもない。そのまま銃弾はカヤツリの身体を貫く。立ち続けられる道理もないから、そのまま地面へと倒れるしかない。
砂地に倒れたカヤツリは、何でとも、どうしてとも聞かなかった。聞かなくても顔を見れば分かったからだ。
女は泣いていた。泣きながら、カヤツリへと銃を向け続けている。やりたくもないのに、それをやることを強要されている。きっと彼女は、その衝動に抵抗できないのだ。
「やりたくないなら、やらなくていい。前にも、他の奴にも言っただろ」
目の前の誰かが誰なのか承知の上で、お前は悪くないのだと。安心させるように、カヤツリは笑う。そんなカヤツリに銃弾が叩き込まれる。手に持ったマフラーの感触を最後に、カヤツリの意識は落ちた。
「ッツ────」
けれど、肉が焼ける臭いと激痛で覚醒させられる。
傷口から火が出ていた。赤紫の炎が傷口を焼いて塞いでいく。痛みでのたうち回るが、炎は消える様子はない。傷が塞がってようやく炎は消えてくれた。
呻き声をあげて立ち上がったカヤツリに、女は怯えたように後ずさるが、銃とそれを握る手だけはしっかりとカヤツリを捉えていた。
「グ──」
銃弾をまた身に受ける。激痛と炎で辛いなんてものではないが、目の前の女を止められるのならば安い物だった。きっと、彼女はこのままいけば後悔するだろうから。それは、カヤツリの望む所ではない。
銃弾程度では止められないと、彼女は判断したのか、見覚えのあるドローンを呼び出した。グレネード弾の弾頭が覗く銃口がカヤツリの方を向いている。避ける間もなく、吐き出されたグレネード弾がカヤツリを襲う。
爆風と衝撃で吹き飛ばされて地面を転がる。気がつけば腕や足の感覚がおかしくて、動かそうとしても動いてくれない。見れば、変な方向に折れ曲がっていた。骨が皮膚を突き破って露出している。
もちろん。その部分も炎が覆う。歯を食いしばって涙目で耐えるが、食いしばり過ぎて口から血が流れ始めたあたりで、耐えきれなくなって、今度こそ意識が落ちた。
□
そこからの記憶は曖昧だ。どうにも意識が途切れ途切れで、場面がところどころで変わるからだ。それだけでなく、徐々に簡単な思考しかできなくなってきていた。
──さむい。さむい。さむい。
身体は焼かれ過ぎて、もう感覚が無かった。温かさというモノが、もう感じられない。感じるのは、ただただ芯から冷えるような冷たさだけだ。
ついでに言えば、目も見えないし、匂いも感じ取れない。視界は暗闇で満たされている。そのせいかもしれないが、いつの間にか、身体も変わっていた。
銃弾を通さなくなったし、どうしたのか分からないが、空も飛べる。彼女を追いかけるには好都合だった。
──いいですか。大事な事です。よく覚えておくように。きっとこれも思い出せなくなるのでしょうが。
ふと、そんな言葉を思い出す。確か、何だったか。まだ、感覚があった頃に言われたのだったか。記憶の海を漁るが、やはり上手く思い出せない。
──これは、契約です。貴方と私たちの間で結ばれた契約。これに関してだけは、幾ら貴方が生と死を繰り返し擦り切れようとも、全てを忘れてしまっても、契約のことだけは思い出すことが出来るでしょう。しかし、小細工に過ぎませんから、過信はしないように。
そうだ。そうだった。契約だ。
──私たちは貴方が望むことをできるよう、最大限の助力をする。そして貴方は全てを私に差し出す。何をされようとも文句は言えない。本当にそれでいいのですか? 貴方が関与することでない。あれは貴方のせいではありませんし、貴方はもうできる事をすべてやった。きっと諦めても誰も責めません。最期の時を彼女と共に過ごすのが賢い選択というモノです。貴方がそこまで背負う必要はありません。
姿も定かでない誰かは、何度も自分へと確認するのだ。しても無駄なのに。
──本当に? 貴方は大事なことを忘れているのではありませんか? 貴方には私に頼るよりも前に、頼るべき者がいたはずでしょう? それに彼女は貴方の一番近くに居るのですよ? 今の彼女と貴方が一緒であれば大概の事は何とかなります。判断を急いではいけません。それに約束は? 彼女との約束があったはずでしょう?
その言葉を思い出すと、ずきりと心のどこかが痛んだ。
誰かの言う彼女とカヤツリの追う彼女は違う。それくらいはまだ今のカヤツリにも分かる。でも、砂漠で目覚めたあの時から、名前も姿も思い出せないのだ。
ふとした瞬間や意識が戻る度に、そんな誰かが居たことすら忘れそうになる。
それが、本当にカヤツリにとっては恐ろしかった。確かにいたはずなのだ。全てを引き換えにしてもいいくらい。大切だった誰かが。
きっと自分は、それさえあれば幸せだったのだ。何かに迷っても、彼女と一緒なら耐えることが出来た。彼女は道しるべだった。夜の空に浮かぶ輝くホシ。
誰かはすぐ傍にいると言うが、そんなはずはない。だって感じ取れないからだ。
目は見えないと言ったが語弊がある。重要なもの以外は見えないのだ。その代わり、大事なものは良く見える。それだけ大事だったのなら見えなければおかしい。
それにカヤツリの目的の為にも、契約は必要だった。身体が持たないところまで来ている。全てを忘れてしまっても、あの禍々しい光の気配を追えば辿り着くだろう。
その言葉を聞いた誰かは、残念そうな様子で契約書を差し出すのだ。
──近くに居すぎるというのも考えものです。目に見えるものが全てではない事を貴方は知っているでしょうに。しかし、それが貴方の選択なら仕方がありません。それに、私たちの不手際でもありますから。どうぞ。納得したならサインを。……全く、当初の目的が今になって叶うと言うのに。このやりきれなさは嫌になりますね……
そこで誰かとの記憶は終わる。
カヤツリは暗闇の中を進んでいく。あれからかなりの時が過ぎた。もう、自分がどうしていたのか、何をするべきなのか。誰の為に、何の為にこんなことをしているのかも、よく思い出せない。
このままいけば、いつかすべてを忘れるだろう。きっと、その時に残っているのは一つだけ、大事なのも一つだけ。
──□□□ちゃんのことをよろしくね。
その約束だけを胸に進む。その約束を誰と交わしたのかも思い出せないままに。そのよろしくされた者の姿も思い出せないまま。記憶に焼き付いた約束だけを頼りに。
□
「んー!?」
息苦しさで、カヤツリは飛び起きた。口を塞いでいたものは、飛び起きた勢いで離れていったようだった。肺の中に新鮮な空気を大きく吸い込むことを何度か繰り返して、ようやく落ち着いた。
「殺す気か! 何で口なんか塞いで……」
カヤツリの口を自分の口で塞いだホシノを怒鳴りつけようとしたカヤツリは、跨ったホシノの様子を見て、怒声が尻すぼみになっていた。
ぽろぽろとホシノが涙を流していたからだ。カヤツリが目を覚ましたことに嬉しそうに微笑んでいる。
「魘されてるからさ。起こそうと思ったんだけど。幾ら声を掛けても目を覚まさなかったんだよ。少し悪いと思ったけど、頬も叩いても全く反応しないんだもの……」
頬に手を当ててみると、ピリピリとした痛みを感じる。余程強い力か、かなりの回数で頬を叩いたらしい。それで、キスで息を止めてやろうと考えるホシノの方も少し心配だったが。
「そんなに? 泣くほどにか?」
「え? 本当だ……嫌な夢を見たんだと思うんだけど、そのせいかな?」
カヤツリが自分の頬に指さして涙のジェスチャーをすると、向かいの布団に戻ったホシノは不思議そうな反応をする。自分で涙を拭いて驚いていた。
「……そっちも?」
「うん……うへ、嫌だなぁ。何かの予兆か何かみたいで。しかも思い出せないし……」
ホシノは困ったような顔で、夢の内容を思い出そうと、頭を捻っている。けれど望みは薄いだろう。夢なんてそういうモノだからだ。起きれば詳細なんて忘れてしまう。カヤツリだって、なんだか嫌な夢を見たという感覚しか残らない。
ファウストのごたごたが終わった後、ホシノとカヤツリは空き教室で仮眠をとっていた。サンクトゥムタワーの騒動で自分たちは徹夜している。その体力の消耗の回復を後輩たちに強要されたからだ。
セリカ後輩とノノミ後輩も、同じようにどこかほかの場所で休息をとっている。アヤネ後輩だけは、各学園との話し合いに出席していて今は居なかった。
「先生から、シロコの事を聞いたせいじゃないのか」
それらしい原因をカヤツリは呟く。嫌な夢を見た原因として考えられるのはこれしかなかった。
それを聞いたホシノは暗い表情になった。
「ホントなのかな……ゲマトリアを襲ったって。先生に黒服がそう言ったんでしょ?」
「黒服は変な嘘はつかないよ」
渋い顔でカヤツリは黒服の証言を肯定した。言葉にも出した通りに、彼は無駄なことをしない。彼がしたと言うのなら、本当にそうなのだろう。
「”彼女はシロコさんであってシロコさんではありません”だっけ。また妙な言い回しをするよね……」
カヤツリはセイアが体験した色彩との一幕の証言を思い出す。かつて色彩と接触しかけたセイアの言葉だ。
──あれに触れれば、本質がむき出しになるんだ。かつての自分ではいられない。きっと砂狼シロコはそれに巻き込まれたのだろう。
アレを聞いてから、ホシノはずっと沈んだ表情をしている。仮眠をとる時だって、珍しく、しおらしい態度で”一緒に寝て”と頼むくらいだ。そう言われてしまえばカヤツリだって、とやかくは言えなかった。窒息死させられそうになるとは思わなかったけれど。
「何が不安なんだ。ほら、言ってみたら気が楽になるかもしれないぞ」
沈む表情を崩さないホシノに、笑顔で催促する。
「シロコちゃんは元に戻れるのかな……」
「別に、元に戻らなくてもいいだろ」
あまりにも見当違いの事を言うので、カヤツリはぶっきらぼうに答えてしまった。それに対して、ホシノは眉を吊り上げている。
「だって、世界を壊そうとしているって言ってたよ……」
「正確には、”そういう衝動に抗えない”だろう? 意識的かそうじゃないかは違う」
「でも……」
不安そうなホシノに、カヤツリは微笑みを崩さずに言う。
「今までと変わらない。シロコがここに来た時と何にも。ホシノは覚えてないのか? シロコがここに来たばかりの頃、やらかしただろう?」
「廃品回収の車を強奪したこと? ……皆で平謝りしたっけ」
「それだよ」
きっとあの時と変わらない。あの時と同じようにすればいい。
「あの時だって、シロコは蛮族思考に支配されていたけど。何度も言って聞かせれば納得した。何回も二人でやっただろう」
「あの時のシロコちゃんとは違うでしょ。言ってきかないかもしれない。そもそも会話にならないかも。考え方も全く違うかもしれないんだよ」
ホシノの心配は納得できるものだが、カヤツリ達の良く知るシロコと今のシロコは似ている所が一つだけあった。
「シロコがゲマトリアを襲った理由を黒服はなんて言ってた?」
「……足りない戦力補充だって……ああ、そうだね……確かに、シロコちゃんらしいや」
途中で気がついたホシノの顔が、笑顔になった。
失踪前のシロコと、ゲマトリアを襲ったシロコの思考回路はそっくりだ。
戦力が足りない。ならばどうするか。じゃあ、ある所から奪う。そういう蛮族思考はシロコのままだ。奪う物が金銭から戦力に、奪う場所が銀行からゲマトリアに変わったと考えれば分かりやすいか。
「じゃあ、もう後は簡単だよ。今まで通りに捕まえて」
「納得してくれるまで”お話”する? そうだね。そうしようか」
ホシノの心配事は多少は晴れたようだった。カヤツリはそれを見て満足そうに微笑む。後はアヤネ後輩からの連絡を待つだけだった。
悪夢の悪い後味はすっかり消え去っていて、近くにホシノの存在を感じるだけで、それだけで、カヤツリはもう満足だった。