ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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203話 信念

「やっぱり、居ないよな」

 

 

 配達が終わり、手ぶらになった青年は女生徒を探していた。

 

 一瞬の隙で姿を消したらしい。完全に気を抜いていた訳では無かったのだが。流石に彼女自身が自慢するだけはあった。

 

 一通り見回すのだが、姿は見えない。確かに青年の言った通りではあるが、礼位は言わせてほしかった。それを言って取引は終わりだと青年は思っている。勝手な青年自身の決め事だから、彼女にとっては知ったことでは無いだろうが。

 

 

「そういや何で、こんなところに居たんだ?」

 

 

 治安が悪いと。あの女生徒自身がそう言っていたはずだ。こんなところは、青年ですら仕事でなければ来ない。

 

 

「うん? 何の音だ?」

 

 

 考えごとをしながら住人の引っ込んだ家を中心に、もう一回りしたところで、青年の耳に聞きなれない音が聞こえた。

 

 

「エンジンの音?」

 

 

 このアビドスでは珍しい。普通の、運び人が使うトラックの音ではない。でも、どこかで聞いたような……

 

 通りの影から現れた車を見て、青年はそそくさと物陰に隠れた。

 

 

「装甲車?」

 

 

 ガリガリと塀に車体を擦りながら現れた装甲車を見て、青年は疑問の声を上げた。

 

 装甲車自体は珍しいものではない。このキヴォトス中にある。問題は、このアビドスに。よりにもよって、こんなところに居る事だ。

 

 ここらは、木っ端の不良しか居なかったはずだ。あんな物を運用できる不良グループがあるなら、縄張り争いはとっくに終息している。

 

 問題の装甲車は青年がこっそり覗いている場所から、少しばかり離れた家に止まった。

 

 中からは、フルフェイスのヘルメットを被った集団がわらわらと出てきた。

 

 

「アレが、ヘルメット団ってヤツか?」

 

 

 あの女生徒が言った事を思い出した。アビドスの外から来た集団だとか。外からなら、あの重装備も納得はできる。

 

 彼女達は、停めた場所から何かを運び出している様子だった。複数人で運ぶところからして、重いか、余程重要なものかもしれない。もしかしたら、噂のお宝だろうか。

 

 彼女達を尻目に、青年はこの場を離れることにした。あの女生徒は気にかかるが、もうここには居ないのだろう。今は青年自身の安全を確保するべきだ。

 

 瓜田に履を納れず。李下に冠を正さず。勘違いされて襲われては敵わないし、怪しいところに首を突っ込んでいい事など何も無い。

 

 そう思って踵を返す青年の視界の片隅に、何かが見えた。

 

 一瞬、見間違いかと思って目を凝らす。

 

 しかし青年が、しっかりと確認する前に、それは車内へと消えてしまった。

 

 何かを収容した装甲車は、隠れている青年に気づかずに通り過ぎていく。

 

 青年は物陰から出ることも忘れて、一瞬だけ視界に入った物について考えていた。

 

 考え事は一つだけだ。最後に見えたもの。

 

 

 ──あれは人の身体ではなかったか?

 

 ──それは、アビドスの制服を着て居なかったか?

 

 ──それは、あの女生徒ではなかったか?

 

 

 声をかけられた時に、珍しいと思ったのだ。

 

 アビドスの制服を着た生徒など、青年以外には初めて見たから。

 

 話に聞けば、まだ何十人かは残っているらしい。でも、青年は見た事がない。

 

 

「……追うか? いやでも」

 

 

 青年は悩んだ。見間違いかもしれない。思い込みで突っ込んで迷惑がかかるのは青年自身だ。

 

 跡をつけることは容易にできる。砂の上にタイヤの跡がはっきりとついている。今すぐに追えば間に合う。

 

 だが急がなければ。風の音が強くなってきているから、直ぐに掻き消えてしまうだろう。

 

 

「……何か落ちてるな。手帳か?」

 

 

 迷ううちに、パラパラと紙の捲れる音が聞こえた。その方向には風にページが捲られている手帳が落ちていた。

 

 近づいて拾うと、それは確かに手帳だった。校章からしてアビドスの物。アビドスの生徒手帳だ。

 

 生徒手帳を拾ってまず見る場所は決まっている。一番最後のページ。生徒の情報が載っているページ。

 

 

「……ああ、やっぱり」

 

 

 外れていて欲しかった青年の予想は当たっていた。一年生という学年、梔子ユメの名前と一緒に、顔写真が載っている。それはまさしく、あの女生徒だった。

 

 

「攫われた? 何でだ? いや、まさか……」

 

 

 あの女生徒、梔子ユメの様子を思い出す。ヤケに警戒していなかっただろうか? まるで、常々誰かに追われていたような。

 

 

 ──これでも隠れるのは得意なんだよ?

 

 

 自信ありげな、あの一言は。これまでずっと、そうしてきたからではないのか?

 

 だから、青年の目を掻い潜って、姿を消すことが出来たのではないのか?

 

 そして、今回捕まってしまったのは。青年のせいではないのか?

 

 

「最悪だ……」

 

 

 そのことに思い至った青年は悪態をついた。

 

 きっと梔子ユメだけなら、逃げ切っていただろう。でも、そうは出来なかった。それは何故なのか。

 

 それは、青年から隠れるためだ。その隙を突かれたのだろう。

 

 青年と一緒に歩く梔子ユメは目立ったに違いない。青年は梔子ユメの事情など知らなかったからだ。でも、それが彼女にとっては命取りだった。

 

 結果としては、青年に付き合ったせいで梔子ユメは捕まったのだ。

 

 

「……どうする」

 

 

 この()()()()は、これから()()()()と言う意味ではない。どうやって、梔子ユメを助け出すかの()()()()だ。

 

 自己責任だと突き放すことはできる。それもまた正しいのだろう。冷たい考えだが、自分の事だけを優先する考えは嫌いではない。青年はその考えを否定はしない。

 

 でも、梔子ユメはそうしなかった。

 

 自分のせいで手詰まりになった青年を彼女は助けたのだ。

 

 追われていることも、そうしなくていい事も、彼女は知っていたはずだ。それでも、それを飲み込んで、梔子ユメはそうした。

 

 考えなしだったのだとしても、結果が全てだ。少なくとも青年は助けられた。これは恩だ。青年はそう判断した。

 

 

「少なくとも、手数がいるな」

 

 

 音を立てて、青年の頭が回りだす。当てのない知識も総動員する。手段など選んではいられない。

 

 これは、青年の信念に関わる。そんな記憶はないけれど、約束も守らず、その相手に不都合だけ押し付けて、のうのうと生きていくなど許せない。

 

 何故か初めての事態のはずなのに、青年の中で、誘拐犯に対する怒りが燃え上がっていた。

 

 

「まずは跡をつけるか」

 

 

 やることは決まった。後は、どうやって実現するかだ。

 

 青年は静かに動き始めた。

 

 

 □

 

 

 暑いなと、女生徒──梔子ユメは思った。

 

 意識を失っている間に連れてこられたのは、住宅地から遠く離れた廃工場だった。幸いにも知っている場所だ。ユメはアビドスの大体の場所を知っている。

 

 元々は町の外にあった工場なのだが、とっくに砂に飲み込まれて、アビドス砂漠の一部になっている。人間を監禁するには、とても都合のいい場所だ。

 

 こんな場所に、クーラーなど気の利いたものは無い。あるにはあるが、とっくにスクラップと化している。だから、茹だるような暑さが、工場内を覆っていた。

 

 

「ここまで連れてきて悪かった。ただ、聞きたいことがあってさぁ」

 

 

 拘束されたユメの前で、ドカリと来客用のソファーに座った人間が言う。周りには部下だろう人間が五人はいた。工場の外にはもっと居た。

 

 ヘルメットを被った面子の中でもリーダー格。この人間にずっとユメはつけ回されていた。

 

 悪かったなど、一欠片も思っていない事をユメは知っている。何を聞きたいかも、大体の予想はついている。

 

 

「お宝はどこにある?」

 

「知らないよ……ひぃん」

 

 

 ユメの、ため息交じりの答えが不満だったのか、いきなり発砲してきた。弾は当たらずに後方へと消えていったが、怖いものは怖い。

 

 

「知ってるはずだよ。アビドスの生徒会長なんだからね」

 

 

 ぐりぐりとユメのこめかみに銃口を押し当てて、リーダーは恫喝する。

 

 

「知らないよ。私はお飾りだから。大体、お宝があったら、とっくに借金を返してるよ」

 

 

 皆、ユメを襲う人は皆、聞いてくる。()()()()()()()()()と。

 

 恫喝して。親切を装って。偽りの、見せかけの、そんな笑顔を張り付けて。

 

 皆、お宝にしか興味が無いのだ。それに、ユメはもう疲れてしまった。

 

 

「……フン。そんな強がりを言っていられるのも今だけだ」

 

 

 リーダーが周りの部下に指示する。あっという間に、座った椅子に縛り付けられて、ユメはその場から動けなくなってしまった。丁寧に、口には猿轡まで嚙まされた。

 

 

「しばらく……そうだ。一日か二日間。ここに置いて行く。腹が減れば口も軽くなるだろう。それに、身代金の交渉も、弱弱しい声を聞かせれば有利になる。先方は生きてさえいればいいって言ってたしね」

 

 

 それを聞いて、ユメは血の気が引いた。ユメの身にこれから起こる事ではない。リーダー格の無知さ故にだ。

 

 ここは、殆どアビドス砂漠だ。夜は冷えるし、日が昇れば灼熱地獄。アビドスの外とは比較にならない。彼女たちは、外から来たゆえに。砂漠の事を、住人ですら遭難するアビドスのことを何も知らないのだ。

 

 外の自治区なら、そうされたとしても。生徒なら疲弊する程度で済む。そこの認識は間違っていない。だが、ここはアビドスなのだ。

 

 リーダーが言った事を実行すれば、ユメは死ぬかもしれない。死なないにしても、半死半生だろう。水もしばらく飲んでいないし、殴られたせいか、頭がガンガンと痛むのだ。

 

 抗議しようと、口を開こうにも猿轡のせいで上手くいかない。モゴモゴと声にならない音を発するユメを見て、彼女たちは笑っているだけだ。

 

 拘束を解こうと力を込めても、拘束はびくともしない。そもそも、解いたところで、ユメ一人でこの人数を何とかできない。よしんばできたとして、外には装甲車が停まっている。ユメが乗ってきたモノだけでなく、数台同じようなものがあった。それ相応の人数がいるのだ。

 

 完全に詰みの場面に嵌まっている自分に、ユメの心を絶望が覆っていくのが分かった。

 

 

「じゃあ、また二日後に──」

 

「リーダー! 大変です!」

 

「なんだ? 今良いところなのに」

 

 

 余裕たっぷりのリーダーの顔が歪むのが良く分かった。良い気分に水を差されたからだろう。機嫌悪そうに応答している。

 

 

「外に、不良共が……」

 

「追い出せばいいだろう? 私たちの方が数が多いし、装甲車もある。武器だって──」

 

「私たちよりも多いんですよ! あの数は、アビドス中の不良が集まっています!」

 

 

 叫ぶような部下の声に、リーダーは黙り込んだ。部屋が静かになったおかげで、外の音が良く聞こえる。

 

 ざわざわと人の声がする。一人や二人ではない。何十人もの声だ。

 

 

「一体どうやって……いや、向こうの動きは?」

 

「……今も叫んでますよ。話をさせろって」

 

 

 部下の言葉の通りに、拡声器だろう。それを通した大声が響いて来た。

 

 そして、その声に、ユメは聞き覚えがあった。何しろ、今日に聞いた声だからだ。忘れるはずもない。猿轡で、声にならない声で、確かにユメは呟いた。

 

 

「おじさん……?」

 

 

 □

 

 

「話をさせろー!」

 

「宝物の独占を許すなー!」

 

「金返せー!」

 

「さっさと、出てこいー!」

 

 

 場はかなり温まっていた。あの場所の不良共を全員かき集めたのだ。それに、燃料を投下してやったのだから、こうもなるだろう。何時火がついてもおかしくない。

 

 手段は簡単だった。

 

 装甲車を追う途中で、破壊されたバリケードや痛みに呻く不良たちが目立った。何が起きたかは簡単に想像がつく。

 

 装甲車で、強引にバリケードを突き破ったか、追いすがる不良たちは銃撃で撃退したのだろう。それを見た時に、青年は使えると思った。

 

 梔子ユメが連れていかれた場所を確認した後、不良たちに接触を図った。

 

 

 ──アンタたちも、アイツらにやられたのか?

 

 

 そう言って近づいた。同じく被害者を装って、外套もわざとボロボロにして、分からないようにして。

 

 そうして、話しかけながら情報を集めた。少し前から彼女たちは現れた事。時々、喧嘩を売ってきたり、カツアゲしてくる事。中々の戦力を持っているから、抵抗できない事。そのくせ、縄張りを主張しない事。

 

 梔子ユメが目的だったのなら、その行動は分かる。下手な騒動を起こせば、梔子ユメは逃げ出してしまうだろうから。

 

 でも、部下の統制は甘いらしい。リーダーの目を盗んで、羽目を外しているようだ。

 

 だから、それを利用して。仮説を騙ってやったのだ。

 

 

 ──そいつらは、もう宝物の場所を見つけているんじゃないか?

 

 ──宝物を掘り出し終わるまで、それを隠したまま。ここを牛耳ろうとしているんじゃないのか?

 

 ──そして、自分達を追い出して。採掘料と言って、何もない場所を無駄に掘らせようとしているんじゃないのか?

 

 ──自分たちは、宝物がない事を知らないまま、このまま搾取されるんじゃないのか?

 

 

 全ては想像だ。幾つかの事実を繋ぎ合わせて、信じやすいような、信じられるようなものを作った。

 

 彼女たちにとって、内容はどうでもいいのだ。

 

 自分たちが騙されて、不当な目に遭わされて、搾取されようとしている。現に今、酷い目に遭った。それだけで十分だ。

 

 彼女たちは、不良をやっている。日常生活を思い通りにしたくて、そうしているのだ。だから、ただ、自分たちの邪魔をする。それだけの事実が許せない。でも、相手の方が強いから、言うことを聞くしか無かった。

 

 そこで、青年が提案すればいい。

 

 

 ──皆で立ち向かおう。自分が指揮をしよう。先頭に立とう。自分たちの権利を取り戻そう。

 

 

 怪しむ彼女たちには、途中のヘルメット団を指揮で撃退すればいい。自分たちがここまでできると、そう信じて彼女たちは着いてくる。

 

 他の不良の説得も彼女たちが手伝ってくれる。難しいのは最初だけだ。数が増えれば増えるほど、人間は集まりやすくなる。その理由が彼女たちにとっての正義ならなおのことだ。

 

 あとは、最後に火を付ければいい。その火種は、相手が作ってくれる。正確には青年がガソリンをまき散らした場所で、彼女たちが火花を起こすと言う方が正しい。

 

 

「なんだ!? 何の用でここまで来た! さっさと出て行かないと、痛い目に遭わせるぞ!!」

 

 

 リーダーだろう。ヘルメットを被った人間が出てきた。周りには、多くの部下がいる。見たところ数は同じくらいだが、武器の質は向こうの方が良い。このまま、まともにぶつかれば負けるだろう。

 

 相手もそれは分かっているが、話に乗るしかない。その筈だった。

 

 

「宝物を隠してるだろう!?」

 

 

 青年は拡声器を手に前に出て叫んだ。青年を見たリーダーは鼻で笑うだけだ。

 

 

「隠した宝物を掘り出した後、俺たちをここから追い出して! 何もないところを俺たちに掘らせようってわけだ! 丁寧に金まで巻き上げて!」

 

 

 青年の言葉をニヤニヤしながら、リーダーは聞いていた。そして、口を開く。

 

 

「出鱈目を言う。いいか? この私たちの根城を見てもらっても構わない。代表者を募ってもらう」

 

 

 場の空気が冷めてくる。向こうのリーダーが余裕綽々なのもあるし、向こうの武装や人数が多いのもある。こういった集団は崩れると脆い。

 

 それを向こうは知っているのだろう。リーダーをやっているだけはある。

 

 

「どうした? まさか、それしか考えてない? ほら、早く代表を選んで。それで、何も無かったら。分かってるだろう?」

 

 

 黙る青年に、調子よくリーダーは煽る。

 

 

「私たちには、隠し事はなにもない! 何だって答えてやる!」

 

 

 こういうパフォーマンスは、リーダーに必要だ。士気は大事だ。それを保つのが、リーダの役割だ。彼女たちは大口を叩いてなんぼ。部下にとって、リーダーがカッコよくて、頼りになればいい。そうでなくては引き摺り落とされる。

 

 部下にとって、頭は誰でもいいから。自分達を喰わせてくれて、良い思いをさせてくれる限りは着いていく。出来なくなれば用はない。

 

 相手は、力や絆で仲間を縛っていない。利益で縛っている。

 

 だから、相手は逃げられない。今は、自分の力を示す絶好の機会だからだ。ここを逃せば、次の機会はいつ来るか分からない。

 

 あははと、静かに笑いながら紙袋の少女も、青年の記憶の中でそう言っている。

 

 

「じゃあ、どうして。そんなにいい装備なんだ?」

 

 

 思いっきり、青年は相手の急所を刺した。

 

 

「装甲車が何台ある? 燃料や弾薬、食料。それをどうやって捻出した? 宝物を見つけていないのに?」

 

「それは……」

 

 

 必死に、言い訳を考えているのだろう。相手が言葉に詰まった。

 

 

「ん? 何でも答えるって言ったよな? 言葉を違えるのか?」

 

 

 相手は焦っているが、これの答えはない。宝物を見つけたわけでは無いのは分かっている。でも、この場では、それは重要ではないのだ。

 

 全員が納得できる。その金の出所を言わなければならない。下手な言い訳は通用しない。

 

 だって、金がある証拠は目の前にあるからだ。そして、その金の出所を証明するものは何もないからだ。

 

 何を言ったって、この場の不良たちは財宝を隠していると思うだろう。隠した財宝を使って、その装備を整えたと。

 

 だから、穴だらけの理論を振りかざしたのだ。勝手に向こうが甘く見積もって、乗ってくれると思っていた。下手な自信を持っている奴ほど危ないのだ。生兵法は怪我の元ともいう。

 

 彼女たちは最初から、物量で押せばよかったのだ。ただ有利だったから、優越感と仲間への見栄を優先したから、こうなった。

 

 後は、青年が火を広げるだけだ。不良たちを怒りに燃える暴徒に変える。拡声器を手に大声で叫ぶ。

 

 

「見ろ! 強欲な嘘つきが、正体を現したぞ!!」

 

 

 不良たちが湧き立った。大声が、怒りが、熱狂が、彼女達の正義が。あっという間に広がっていく。

 

 

「俺たちは、俺たちの自由を取り戻すまで、闘争を止めない!」

 

 

 何か向こうが何か喚いているが、不良たちには聞こえない。全員が、青年の号令を待っている。

 

 

「俺が手本だ! 全員、突撃しろ!!」

 

 

 先陣を切る青年の大声と共に、不良たちがヘルメット団へと雪崩の様に襲い掛かった。

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