ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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232話 違う世界の二人

 天雨アコの機嫌は最悪だった。その証拠に、眉間のシワが全く取れない。むしろ深くなる一方だ。

 

 そのせいで、席に着いても仕事が全く進まない。目の前にはまだ白紙の書類が山になっている。

 

 

「ムカつきますね……」

 

 

 押し殺した声が出るのも当然だ。アコは、あの男が気に食わなかった。もしかしたら、万魔殿のタヌキ(羽沼マコト)よりも。

 

 何がいけ好かないかと言えば、全部である。アコは、カヤツリの殆ど全てが気に食わなかった。

 

 さっきのだってそうだ。

 

 あれは釘刺しのようでいて、意味は全く違う。

 

 万魔殿に言われたのも本当だろう。エデン条約に口を出すなというのもそうだろう。でも、それを態々アコに対して言う必要はない。委員長に個別に言っているからだ。

 

 

 ──エデン条約。トリニティとゲヘナの間に結ばれる。不可侵条約。

 

 

 その条約に主に首を突っ込んでいるのはアコではない。委員長だ。だから、委員長に言えばそれで終わりなのに。態々アコにも伝える。そういうところだ。そういう所が気に入らない。

 

 万魔殿に伝えると言ったって、どうせ上手いこと誤魔化すのだろう。普段と同じように。

 

 アコは舌打ちをしながら、カヤツリの事を思い直す。

 

 万魔殿所属。いや、カヤツリが言うには、そうではなかったのだったか。まあ、なんて言ったって内部監査だ。立場上は独立していなければ話にならない。

 

 カヤツリの仕事は内部監査だ。ゲヘナ学園に存在するあらゆる部活を監査する権利がある。元々は万世マトしか居なかった部署。そこに何の努力もなく、万世マトの鶴の一声で、一年生のカヤツリは据えられた。少なくとも、あの時の一年生はそう思ったし、アコもそう思った。

 

 万世マトが現役だった時は、まだ表立っては言えなかったが。今年、三年生になってからは違う。万世マトは休学中だ。全権はカヤツリへと移譲している。

 

 はっきり言って、殆どの人間は気に入らなかったはずだ。アコは、七光りでそこに。今の委員長と並び立つ位の地位にいるのが気に入らなかったし、他の人間も自分の財布に手を突っ込まれるのは気に入らない。それに、外からの転入生だ。トリニティからのスパイじゃないかとかの下衆の勘繰りもある。

 

 そこにいる理由がマトの推薦というのも拍車を掛けた。トリニティなんかでは、そういった七光りは強いのだろうが。ここはゲヘナ学園で、お行儀のいいトリニティではない。トリニティでは蔭口が、ゲヘナでは陰口の代わりに銃弾が飛んでくる。カヤツリの時もそうだった。

 

 普通なら、そこで終わっているだろう。でも、カヤツリは普通では無かったのだ。

 

 襲撃者に対して、カヤツリはゲヘナらしく対応した。全員を叩きのめした。その後、しっかりと規則に従って処分した。

 

 ただ、何度も言うようだが。ここはゲヘナだ。一度で懲りるような人間はいない。居たのなら、アコ達風紀委員会はこんなに苦労していない。

 

 少なくとも、襲撃者達が諦めるまで。カヤツリは拳を振り上げたままにしておく必要があった。

 

 けれど、カヤツリはそうしなかった。

 

 

「ホントに、気に入らないですね……」

 

 

 アコはその手段を思い出して、また悪態を吐き出す。

 

 

 カヤツリは、拳を振り上げはしたが。別の手段を取った。ただ仕事をしただけだ。単純ではあったが、効果は抜群だった。

 

 ただし、襲撃者達の所属以外を丁寧に。それこそ、修正点を手取り足取り教えるし、改善点はカヤツリ自身が動いてくれる。

 

 襲撃者達は必要最低限だ。文句をつけられない最低限の仕事しかしない。

 

 まぁ、やられた方は不満タラタラだ。そういう奴は得てして声も大きいから、カヤツリの上を飛び越えて万魔殿に抗議する。

 

 

 ──何か問題が? 最低限の仕事はしているでしょう。

 

 

 万魔殿に対して言い放った言葉を、アコは知っている。

 

 

 ──俺にだって好き嫌いはあります。俺に文句を言う奴らもそうでしょう。ただ、それは個人の自由だ。貴女とアイツらもそこは同じです。だから、嫌いなモノを増やさないで欲しいですね。

 

 

 アレは、本当にカヤツリらしい答えだった。

 

 他者に強制する事。それは自由と混沌をモットーとするゲヘナでは歓迎されない。戦闘力なら文句もあまりないが、地位や権力を盾にした場合だと反応は真逆だ。上から言われて普通に対応するのは、委員長が例外なだけだ。

 

 そして、カヤツリは仕事はしているのだ。していないのは、その後のアフターサービスだけ。それは、カヤツリの厚意で行われている。

 

 襲撃者の言う通りに、それを強制はできない。した所でカヤツリはしないだろうし、そのサービス自体を止めるだろう。嫌いなモノを増やさないでくださいとはそういう意味だ。

 

 サービスが止まればどうなるか。他の、サービスを受けたところから苦情が出る。

 

 そして、矛先はカヤツリには向かわない。向ければそのサービスが再開する芽は無くなる。なら、向けるのは万魔殿になる。

 

 ゲヘナの投票率は驚異の一桁。アコや襲撃者達を除いた殆どのゲヘナ生は政治に興味は無い。だから、権力を盾にすると反抗する。

 

 万魔殿からすれば面倒だろう。それを回避する手段は簡単だ。抗議を無視すれば良い。そして時が経てば、誰のせいでサービスが受けられないのか、きっと気がつく。抗議をした襲撃者達に他人の矛先が向く。

 

 そして自分の手を全く汚さずに、評判を全く落とさずに。寧ろ、箔を付けて。カヤツリは邪魔者を排除した。今では、認可外の部活動とも交流がある。美食研究会がカヤツリの一言で大人しく退いた時は信じられなかった。今年の初めには考えられない手の早さだ。

 

 ゲヘナ生の本質を上手く利用していた。自分本位。自己の利益と興味を優先しがちなところ。自分達にとって、他者を尊重する切っ掛けは、地位ではないこと。その人間そのものを見て決めること。

 

 多分、カヤツリはそれを見極めるのが上手いのだろう。アコよりもずっと。

 

 本当に癪だ。アコの手の中で、ペンが嫌な音を立て始めた。

 

 アレは、アコには出来ない事だ。やり方云々ではなく、操る対象の思考が理解できない。例えば万魔殿の議長など、分かりたくもない。彼女が望む物など提示ができない。

 

 でも、カヤツリは出来る。もしかしたら、あの時以上のことだって出来るかもしれないのだ。

 

 万魔殿からの風紀委員会への嫌がらせの撤回。万魔殿のエデン条約への協力。少なくとも、前者は出来るはず。何故なら、今もやっているからだ。

 

 アコや委員長や委員会そのものが限界の時。そんな時はいつも決まって、あのタヌキが、山のような仕事を振ってくるか、予算を奪ってくる。アコが幾つかは弾くが、全ては無理だ。激しやすい性格もあるのだけれど。

 

 ただ、次の日には無かった事になっている。そんな日の通達はいつもカヤツリなのだ。何かしていないと思う方が変だ。

 

 ならば、きっとカヤツリが何かしているに違いない。アコはずっとそう思っている。そして、委員長も。

 

 

「あの男は分かってないんですよ……」

 

 

 ペンが壊れてしまう前に、アコは掌を開く。その掌が、怒りに火を焼べる。

 

 カヤツリは委員長の気持ちが分かってないのだ。

 

 カヤツリと話す委員長が、どんなに安心した顔をしているかなんて。あんな顔、アコに向けることは無いのに。

 

 来る日が分かっている日は、どこか服装や髪型に気合いが入っている。来ない日は、少しだけ寂しそうにしている。

 

 カヤツリが帰る時なんて、委員長はあの小さな可愛い掌で、手を振るのだ。

 

 それに、今日の休みもそうだ。どうやって納得させたのか。アコが教えてほしいくらいだ。

 

 最後に、エデン条約。それに、委員長がのめり込む理由。少しでも仕事を楽にするためだと知っている筈だ。

 

 委員長が一人で頑張っているのを知っている筈だ。もしかしたら、助けが欲しいかもしれない事も。あのタヌキや、美食研のリーダーと交渉できるくらいだ。委員長の事が分からないはずもない。

 

 アイツは多分。全部承知の上でいる。その上で、何もしないのだ。

 

 さっきの言葉の意味はアコにこう言っているのだ。

 

 

 ──それは、お前の仕事だろ?

 

 

 そうだが、そうであるが。その仕事が、ある意味アコより出来ている。出来るだろう人間に言われるのが気に食わなかった。

 

 そう言われるだけ、アコが認められている事。それに、多少なりとも喜びの気持ちがある自分も、アコ一人では無理だと思う自分も嫌だ。そして、上手くいっていない現状も。

 

 

「少しくらいは、味方してくれてもいいじゃないですか……」

 

 

 そして、そんな言葉を目の前の書類に言ったところで意味はない。連邦生徒会のロゴが無感動にアコを見つめ返すだけだ。

 

 連邦生徒会も、どういうつもりなのか。エデン条約は連邦生徒会長の主導のくせして、最近はノータッチだ。少しのサポートがあるのが道義なのではないのか。

 

 そんな怒りが、アコの中でぐるぐる回る。その間に一つの単語が浮かび上がる。

 

 

「シャーレ……」

 

 

 確か、つい最近に連邦生徒会に新設された部署。あらゆる学園の垣根を越えて介入できる権利を持つ特異点。確か、先生とか言う大人が顧問だったはずだ。

 

 

「あらゆる学園の垣根を越えて介入できる権利……」

 

 

 シャーレの異常とも言う権利を、アコは口に出して繰り返す。そして、天啓とも思える考えが天から降りてきた。

 

 その先生を仲間に引き込む。そうまでとはいかなくても、少しは興味を持ってくれれば。協力してくれるのではないのか? その先生とやらが、どんな大人か知らないが。調べる価値はあるだろう。確か今は……。

 

 

「アビドス。確かアビドスに居る筈……」

 

「便利屋を追いかける事にしたんですか?」

 

 

 チナツの言葉に、一瞬困惑する。しかし、アコの頭は直ぐに回答を導き出す。便利屋が今いるところがアビドスだったはずだ。たしか、カヤツリが委員長との世間話でそう言っていた。

 

 頭の中で、名案ともいえる考えが組みあがっていく。

 

 便利屋を追いかける。名目は何でもいい。彼女たちは校則違反の常連だし、起業自体が校則違反だ。そこで、先生に上手く接触できれば一番いい。一悶着起こせば、アビドス生と共に飛んでくるはずだ。境界線近くなら、そんなに問題にもならないだろう。

 

 

「出ますよ。便利屋68を捕まえます」

 

 

 後輩二人は、特に何も聞かなかった。イオリは何も考えていないのかもしれないし、チナツはさっきの問答で納得したのかもしれない。それか、アコが行き詰っているのを察したか。

 

 後輩たちが何も聞かないのも、カヤツリが居ないのも。そして、委員長が休みなのも。

 

 それら全てが、今のアコには唯々あり難かった。

 

 

 □

 

 

 キヴォトスにやって来た先生が、シャーレの顧問になってアビドスに来てから幾何の月日が経っていた。

 

 ここアビドスの問題が、先生としての初仕事であり、なかなか難しい問題だった。

 

 ここアビドスには十億近い借金があると言う。ここアビドスの生徒たちは苦境にあえいでいて、この間まではヘルメット団とか言う武装勢力に襲われてさえいた。

 

 借金以外の問題はおおよそ片付いたと思う。武装勢力は蹴散らされ、先生の持ち込んだ物資で、一時とはいえアビドスの対策委員会は潤っている。対策委員会に所属する生徒たちも、少しは心を開いてくれたように思う。セリカの誘拐事件や銀行強盗が、幸か不幸か。先生と生徒たちの距離を縮めさせていた。

 

 しかし、上手くいっていない事もあった。

 

 

「じゃあ、今日はおじさんオフなんでね。用事があったら連絡ちょーだい。ノノミちゃん」

 

 

 先生の目の前で、ホシノが部屋を出て行った。声を掛けられたノノミは苦笑いしている。先生には一言も無いせいだろう。

 

 これで、部屋はノノミと先生の二人だけだ。他のメンバーはそれぞれの用事で席を空けていた。時間もあるし、仕事もないので。先生は今、目の前で出て行った生徒の事を考える。

 

 小鳥遊ホシノ。アビドス対策委員会の長。アビドス学園、唯一の三年生。

 

 パッと見た感じは緩い小動物染みた雰囲気の、長い桃色の髪の小柄な生徒だった。ただ、他の生徒とは違って明確な壁を感じるのだ。セリカの様な気に入らないといった反抗心ではない。もっと深い拒絶だ。

 

 

「あれでも、まだいい方なんですよ」

 

 

 ノノミが困ったように笑って椅子へ移動する。そして先生へ改まったように言った。

 

 

「前に先生には、お話ししたのを覚えていますか?」

 

 

 先生は黙って頷く。ここに来て数日たった時。他校からの生徒がホシノを訪ねてきていた。確かゲヘナの生徒だったように思う。その時に、ノノミがこっそり教えてくれたのだ。その生徒の事を。

 

 

「ええ、マトさんのことです。あの人は良い人なんですよ。良くアビドスで発掘したものを譲ってくれるんです」

 

「その割には、ホシノは一言も口を利かなかったけど……」

 

 

 その生徒を、ホシノは問答無用で発砲して追い払っていた。恐ろしいくらいの無表情で、怖気が走ったのを覚えている。

 

 

「ああ、ホシノ先輩は、大人とゲヘナが大嫌いなんですよ」

 

 

 そう言ったノノミは悲しそうだったが、その答えに先生は納得してしまった。先生に対する態度もそうだが、先日の便利屋に対する怒気は凄まじかったからだ。柴関とブラックマーケットでも、マトモに目を合わせていない。銀行強盗で手に入れた現金の処遇。その時の後輩たちに対するものとは正反対だ。

 

 

「理由を聞いても?」

 

 

 先生の問いかけに、ノノミは静かに頷いた。

 

 

「私も詳しくは知っているわけじゃありません。ホシノ先輩もマトさんも、私たちには何も話してはくれませんから」

 

 

 着いてきてください。そうノノミは言って席を立った。人気のない廊下をノノミと二人で歩く。

 

 

「どこに行くの?」

 

「……ホシノ先輩の所です」

 

「大丈夫なの? 怒るんじゃあ……」

 

 

 先生は心配する。先ほど、ホシノは大人が嫌いだといったばかりだ。もしかしたら銃を向けられるかもしれない。それほどまでの凄みがホシノの怒気にはあった。

 

 

「多分、大丈夫です。怒りっぽいのも理由があるんですよ」

 

 

 ノノミはそう言いながら、ある教室の前で足を止めた。

 

 

「ホシノ先輩は余り寝れてないんです。会議中ウトウトしているのも、興味が無いからじゃないんです……」

 

 

 先生は、ノノミが大丈夫だと言った理由が分かった。きっと、この部屋の中でホシノは寝ているのだ。

 

 

「熟睡してるってことでいいの?」

 

「はい。多分、この部屋じゃないと寝れないんだと思います」

 

 

 この部屋と、ノノミは強調して言った。また、どうしてと聞こうとする先生に、ノノミは部屋の扉を細く開けた。そして、覗けというように目配せしてくる。

 

 隙間からこっそりと部屋の中を覗いた先生は、言葉を失った。

 

 部屋の中は案外片付いていた。誰かが暮らしていたのか、生活感が溢れる家具が何点か置かれている。冷蔵庫や寝具まで置いてある充実ぶりだ。机の上にもパソコンが数台置いてあり、壁には何かが丁寧に一つずつ張り付けられている。そして、その中でもぞもぞと動く影があった。

 

 ソファーの上で、ホシノが何かを抱きかかえて眠っている。何かを呟いているのか、途切れ途切れの声も聞こえる。

 

 ホシノが抱きかかえているのは、制服のワイシャツだった。ホシノのモノにしてはサイズが大きいそれを必死に、皺だらけになるまで抱きしめて。涙ぐみながら眠っていた。その姿は、先生が見ていたホシノとはかけ離れたものだった。今にも崩れ落ちてしまいそうに見える。

 

 そのままゆっくり、先生は扉を閉めようとして、壁に貼られている物が最後に目に飛び込んできた。何のことは無い。唯のメモや紙くずだ。何故だかそれらが大量に壁のボードに整列していた。

 

 

「……ホシノ先輩は、最初から一人では無かったんです」

 

 

 先生が理由を聞こうとするより先に、ノノミは話し出す。口調がやけに辛そうだった。

 

 

「昔は、まだ二年前には。一人の先輩と一人の同級生が居たようなんです」

 

「居なくなったってこと……? 諦めたの?」

 

「それは、ホシノ先輩の前では言わないで下さいね」

 

 

 今は居ないということは、そう言う事ではないのか。そう思った先生をノノミは窘めた。

 

 

「そう言うと、とてもホシノ先輩は怒るので。多分、諦めて出て行ったわけでは無いんだと思います。そして、そのことをマトさんは知っているのか、関係しているのかもしれません」

 

 

 なるほどと先生は納得する。もし、そうであるのなら。ホシノがマトを追い払うのも、ゲヘナが嫌いなのも頷ける。

 

 

「それで、どうして。ノノミは私に教えてくれたの?」

 

 

 先生はノノミへ問いかける。これは言っては何だが、他人のプライベートだ。そして、事情も何やら重いものが感じられる。正直言って、先生個人で、直ぐに解決できる問題ではない。踏み込むのにも躊躇する問題だ。

 

 

「初めてなんです。私たちに対して、ここまでしてくれた大人は」

 

 

 ノノミはホシノが眠る部屋の扉を見つめながら、そう言った。

 

 

「ホシノ先輩もああですけど、多分心のどこかでは感謝していると思うんです。先生のお陰で、時間もできました。そしたら、いつかは話してくれるかもしれません」

 

 

 先生はノノミの言いたいこと。伝えたいことを把握した。その時、ホシノが話しに来るのはノノミたちでは無いのかもしれない。もしかしたら、先生にも話すことがあるのかもしれない。その時の為に、ノノミは見せてくれたのだろう。

 

 

「だから、お願いします。先生」

 

「うん。分かった。出来る限りのことはするよ」

 

 

 先生の返答に安心したのか、ノノミはいつもの微笑みに戻っていた。先生も先生で、自分のやるべきことを再度思案する。

 

 その居なくなった二人の事を調べるべきだろう。あの事情を知っていそうなゲヘナの生徒に聞くのもありかもしれない。でも、最初は端末の中の彼女に頼むべきだろう。黒い学生服の彼女なら、しっかりとこなしてくれるはずだ。

 

 そう考えた先生は、ノノミと二人で元の教室に戻ることにした。

 

 それは、シロコやセリカ、アヤネが教室に戻ってきて。柴関が爆破される知らせが届く、数時間前の出来事だった。

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