ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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261話 交差する欲望

 トリニティとの電話会談は直ぐだった。

 

 流石に文字通りの直ぐではなく、三日程度の猶予はあった。このあと三日というところが、如何にもマコトらしい。勿論、悪い意味である。おかげで、準備の時間が少なかったせいで、カヤツリの疲労感が倍増した。

 

 だからなのか、今も目の前で行われている電話会談。トリニティの目的に対して、カヤツリの疑問は尽きない。

 

 

 ──向こうはこの私をご指名だ。

 

 

 会談前の情報共有でのマコトの一言を思い出す。どうにもトリニティは、会談相手にマコトを指名してきたらしい。

 

 常識的に考えれば、普通の対応だ。トップが話し合うからこその電話会談だ。そうでなければ意味がない。

 

 けれど、ここはゲヘナで外の常識は通用しない。マコトはエデン条約に乗り気ではなかった。放り投げたのである。だから、ヒナが中心になってエデン条約を進めていた。

 

 エデン条約は、ゲヘナとトリニティからなる連合軍。エデン条約機構を編成し、両校の紛争解決を図るのが大まかな内容になる。つまり、ヒナにとっては、大きなメリットがある。

 

 今も一人で回している治安維持を、エデン条約機構がやってくれるのだ。勿論、いきなり幹部級の生徒を複数加入はさせないが、随分と楽になる。ヒナには遠く及ばないだろうが、数は力でもある。

 

 ここまで聞けば、いいこと尽くめに聞こえるが、それは風紀委員会だけだ。他の部活にとっては堪ったものではない。締め付けが酷くなるという事だからだ。カヤツリの仕事は増えるだろう。

 

 そして、マコトにもメリットはない。今の状況にマコトは全く困っていない。というよりも、エデン条約はゲヘナに大したメリットをもたらさない。

 

 風紀委員会のヒナのパンクが心配ではないのかと。そうイロハに聞かれたが、心配ではない。その前にカヤツリがなんとかするし、案外ヒナがいなくても回る気がする。

 

 ヒナが居なくなって、風紀委員会がパンクしたとする。問題児たちが勢いづいて、治安は悪化するだろう。そこまでは確定した結果だ。如何にもゲヘナらしい。

 

 けれど、その後は? 悪化した治安に、ゲヘナ生は怯えて縮こまるだろうか? 恐らく、そうはならない。我慢できなくなれば、自力でなんとかする。問題児たち同士が結託したりも、敵対したりもするだろう。他者の自由を侵害すれば、それは自分に返って来るものだから。

 

 そして、デメリットは先に言ったように、トリニティのゴタゴタに巻き込まれるという面だ。

 

 ゲヘナがトリニティを嫌うように、向こうもゲヘナを嫌っている。エデン条約機構内でも、小競り合いが起こるだろう。非常に面倒くさい。

 

 そこまでして、エデン条約機構を持つ必要がゲヘナにはないのだ。そして、それはトリニティもそうだった筈だ。

 

 そもそもこれは、連邦生徒会からの提案だ。恐らくは前連邦生徒会長の。だから、彼女が失踪して、連邦生徒会が機能不全に陥った数ヶ月。その間にエデン条約は立ち消えになりかけた。つまり、その時までは、トリニティ側もそこまでは乗り気ではなかったのだ。

 

 それが、方針を百八十度転換して来るなど、何があるとしか思えない。けれども、その何かが分からない。幾つか策は用意してあるが、嵌まるかは運次第でしかない。

 

 そして、カヤツリが思考を回す間にも、電話会談は続いていた。

 

 

「フン、前向きに検討しようではないか」

 

『なるほど……検討ですか』

 

 

 マコトが電話口に定型文を言い放ち、それに対して、向こうの桐藤ナギサが意味深な言葉を溢す。さっきから、そういった言葉の応酬だ。まだ、台本通りという訳だ。

 

 電話会談とはいえ、いきなりエデン条約のことから話す訳ではない。今のだって、全く別口の話だ。まだジャブの打ち合いに終始している。

 

 まだ、マコトの化けの皮が剥がれていないとカヤツリは信じていたかった。

 

 多分、マコトの人となりを探られている。カヤツリたちがトリニティのことが分からないように、トリニティもカヤツリたちが分からないから。それは、前もって用意した台本が役立っていることからも分かる。そして、ジャブの打ち合いはそろそろ終わることも。

 

 

『それで、以降の窓口は万魔殿で構いませんか?』

 

 

 予想通りに鋭いストレートが飛んで来た。

 

 

「ふむ。そろそろ通達しようと思っていたが、既に知っていたとはな。随分と耳がいいらしい。そちらも色々と抱えているようだが?」

 

『其方からの心配は無用です。地獄だけに耳の良さは其方も変わらないようで。お互い健康で何よりです』

 

 

 電話口で二人は言葉のナイフでお互いに刺しあっている。

 

 勿論、担当者であるヒナが変わった事は、まだトリニティへ通達していない。だから、トリニティはマウントを取りに来た。

 

 

 嫌味を抜いて、分かりやすく言い換えればこうなる。

 

 

 ──勝手に担当者変えたけど何を企んでる? そんな事はお見通しだ。

 

 ──そういうお前も何かゴタゴタを抱えてんじゃないか。人の事言えるのかよ。

 

 ──大した事じゃない。其方に突かれる謂れはない。

 

 

 正直、ゲヘナとトリニティの会談を見るのは初めてだが。妙に険悪だ。

 

 交渉事で弱気は一番いけないが、強気すぎてもいけない。相手によって使い分けるべきだが、ゲヘナに恫喝というか、特にマコトに対しては、あまりいい手ではない。

 

 大体が強気に行く時というのは、余程の自信がある場合か、それでもいいと舐められている場合だ。

 

 カヤツリの視線の先では、マコトの眉間のシワがだんだんと深くなってきている。相応にお冠らしい。

 

 

「後任は追って通達しよう。少なくとも私ではないからな。これ以上の話は無意味──」

 

『先日、シャーレと揉めたようですね』

 

 

 そんな言葉が、会談を打ち切ろうとするマコトを遮った。

 

 電話口のナギサの声は固い。その硬さのまま、マコトへ切り込んでくる。

 

 

『先程から、エデン条約にあまり乗り気ではない様子。気持ちは理解します。その理由は言うまでもありません。お互いに分かっている事ですから。しかし、宜しいのですか? これは、連邦生徒会肝いりの政策だということを』

 

 

 これは、脅しだ。カヤツリは部屋のホワイトボードに、マコトでも理解出来るようにマーカーを走らせる。

 

 エデン条約は、連邦生徒会の主導だった。立ち消えになったのは、連邦生徒会長が失踪したから。主導する人間が居なくなったからだ。

 

 今まではそうだった。だが、今は違う。連邦生徒会長代行ではない代わりが。

 

 それは、連邦捜査機関シャーレ。凡ゆる学園の垣根を超えて、介入を許された超法規的機関。

 

 

『ただでさえ、先日の事実があるのです。これ以上の事態は、良くはないと思います。このままでは、トリニティが仲介をせねばならなくなります』

 

 

 言葉だけなら、お優しい事である。トリニティ仕草が滲み出ている事を除けばだが。

 

 

 ──エデン条約の主導者と仲が悪いんだ? だから、そんなに乗り気じゃないんだね? じゃあ、私が仲介してあげるよ!

 

 

 そんなわけがない。はっきり言って最悪だ。ゲヘナの心象は落ちる。エデン条約は、字面の上では素晴らしく耳障りが良い。その実態が、ゲヘナにとって難民爆弾に等しくともだ。

 

 そして、こんな事をされれば、シャーレがエデン条約に介入してくる。ゲヘナの心象は悪く、トリニティの心象が良い形でだ。

 

 答えは二つだ。仲介を頼んで、心象を落とした上で介入されるか。ゲヘナから歩み寄るか。どっちにしろ、エデン条約に関わるという点では変わらない。

 

 上手い手ではある。だが、やり方は幾らでもある。少なくともイーブンに持っていくやり方くらいは、用意してあるのだ。

 

 

「その必要は無い」

 

『なら、実行するのですね? 検討ではなく』

 

「仲介の必要は無い。其方では先生のコンタクトに時間がかかるだろう?」

 

 

 今度は、マコトでなくナギサの方が黙った。電話の向こうから、陶器同士がぶつかるような音が幽かに聞こえた。

 

 

『ふぅ……まるで、其方はホットラインを持っているかのような物言いですね。先生は今、アビドスにかかりっきりのはずですよ? 先日も、カイザーと一悶着あった様子です。ゲヘナへかかずらっている暇はないはずです』

 

 

 かかずらう、とは言ってくれるものだ。カヤツリは、ホワイトボードへ反論の材料を書きながら苦笑いする。マコトの方を盗み見れば、ボードの材料だけで反論を組み立てていた。こういう時、相手をこき下ろす時だけは頭の回転が数段上がるのがマコトなのだ。

 

 

「一悶着という事は、まだ内容は知らないようだ。さっきの礼だ。丁寧に教えてやろう」

 

 

 マコトの顔は満面の笑みで満ちていた。アコの時よりも口の端が吊り上がっていて、溢れる嗜虐心を隠しきれていない。

 

 

「カイザーは、アビドスの土地を狙っている。それを確かめに、カイザーPMCへ向かったようだな」

 

『……それこそ、ゲヘナは関係ないはずです。それは、アビドスの問題なのですから』

 

「そして、先生の問題でもある。シャーレに届き、先生が承諾した業務内容は、アビドスを支援する事。しかし、相手はカイザーコーポレーション。アビドスの生徒だけでは、いささか手が足りないと先生は考えたようだな」

 

『……なるほど。援助を求められたと。先の失態の補填ですか』

 

 

 先日の騒動から数日後のことだ。先生率いるアビドス対策委員会は、ブラックマーケットの闇銀行を襲って手に入れた集金記録から、カイザーの狙いを知った。そのことを相談されたカヤツリは、騒動の詫びもかねて教える事にしたのである。

 

 アビドスからの情報とカヤツリの知識を統合して、カイザーの狙いを推測した。そして、それは前提として、理事の居場所と危険性を。思い出は無いものの、知識は残っているから。その時に先生から言われたのだ。

 

 

 ──ちょっと手を貸してくれないかい? その契約は何とかするからさ。

 

 

 ズルい大人だ。契約に引っ掛からないように書いた断片の情報だけで、カヤツリが契約で縛られている事を看破したことといい、カヤツリが断れないのを分かって聞いていた。騒動の詫びもあるし、過去のホシノの事があるのだから、知らないと言って断れるはずもない。

 

 かといって、ゲヘナを巻き込めない。これはカヤツリの個人的な事情で受けざるを得ないモノだからだ。

 

 しかし、逆に言えば、利益があれば巻き込んでいいのだ。

 

 だから、ここまで誘導した。そうなることが利益になる様に。アコの失態が怪我の功名になる様に。マコトの鬱憤が晴れるように。そして、トリニティが先生と接点を持てるように。非常に綱渡りだったが、何とかうまくいった。

 

 

「我々ゲヘナの手伝いをさせてやってもいい。頭を下げて頼むのならばな」

 

 

 マコトが調子に乗って煽っているが、もうどうでもいい。ゲヘナだけでも巻き込めれば、何とかなる計算だ。それに言い訳だってちゃんと用意してある。

 

 マコトは知っている。カイザーが砂漠で何かを探していることを知っている。シェマタを探しているマトから報告は行っているはずだ。遺産がカイザーに渡れば、とんでもない事になる事は承知しているから、カイザーを一度手酷く叩く必要性はある。そして、今回理由の方から転がり込んできた。使わない手はない。

 

 

『それは、検討させてもらいましょうか』

 

「キキキ……検討か。前向きにした方が良いぞ」

 

『それでは。また近いうちに』

 

 

 ブツリと音を立てて、電話が切れた。その瞬間にマコトは大口を開けて大笑いし始めた。

 

 

「キキキッ、キシシシシシシッ! 見たか! ティーパーティが尻尾を巻いて逃げ出したぞ! このマコト様からなぁ!!」

 

 

 本当にご機嫌である。まあ、あそこまで煽ってきた相手を正面から叩き潰せたのだから、気分もいいだろう。

 

 

「じゃあ、作戦を開始するが。構わないな?」

 

「ああ! 好きにするがいい! 今の私は気分がいいからな! 悪だくみも気にならん」

 

 

 カヤツリは返事をしなかった。少し驚いたのもあるが、マコトがニヤニヤしながらカヤツリを見ていたからだ。

 

 普段のマコトなら、自分が利用されたと知ればいい気はしない。幾らトリニティをコケに出来たからとはいえ、ここまでの反応は妙だった。

 

 

「キキッ。ゲヘナらしいところを初めて見たからな。少しくらいは、いいさ。一人を除いて、誰も損をしていない」

 

「……どこがだ?」

 

「キキッ。利用しただろう? 私を含めた全員を。誰かの為でなく、自分の欲望の為に」

 

 

 カヤツリは鼻を鳴らして、踵を返した。何を言っても、負けたような気がするからだ。損をしたただ一人というのも、誰だか分かっている。

 

 カヤツリを見送りながら、マコトは楽しそうな口調のまま言った。

 

 

「ヒナへの言い訳は考えておいた方が良い。よく分かっているだろうがな」

 

 

 □

 

 

「不満そうだな。理事」

 

「いえ、プレジデント」

 

 

 不満以外の何物でもない。そんな気持ちを押し殺して、理事は外面を取り繕った。

 

 

「ここまで急ぐ必要性を感じないだけです。PMC基地への不法侵入への抗議として、利子を値上げする。それで奴らは簡単に干上がるはずです。しかし三千倍はやり過ぎです。介入の口実にされかねません」

 

「しかし、そのおかげで、黒服の言う方舟の位置が分かったのではないかね? それにたかだか五人の生徒と、ただの若造一人。方舟さえ手に入れば、無くともどうにでもなる」

 

 

 理事は歯噛みした。それは事実だったからだ。

 

 今、理事が居るのは、カイザーコーポレーションの本社。そこで理事はプレジデントと、アビドスの対処についての命令を受けていた。

 

 先日、先生率いるアビドス対策委員会が無許可でPMC基地に侵入した。そこまではいい。理事がヘルメット団を使っていた絡繰りもバレているようだが、それは使えないはずだからだ。

 

 大事なのは、非を犯したのが向こうだという事だ。侵入した制裁として、利子を上げる事を通達して帰した。

 

 その後、彼女らが取った行動は妙だった。校庭を掘り返し始めたのだ。そこに埋まっている物を掘り出そうとするように。そして、利子が三千倍になったと聞いても止めはしなかった。

 

 

「埋蔵金かそれに相当するものが埋まっている。しかし、三千倍の利子でも掘るのを止めないという事は、数千万という小銭ではない。何十億という金が埋まっている。多少の金額ならば、労働して稼ぐ方が早いからだ」

 

 

 プレジデントは、興奮冷めやらぬと言った様子で話し続ける。

 

 

「しかし、その金額そのものが埋まっているのであれば、借金を完済できる。それなのに、今までそうしなかったのはどうしてか。簡単には換金できないものだから。先生がいて初めて換金できる代物だろう。それこそ、我々の探す方舟の様な。だからこそ、あんな土地にしがみついていたのだ。希望を捨てられずにな」

 

 

 分かる。プレジデントの理屈は筋が通っている。だが、理事しか知らない事実もある。

 

 PMC基地で、理事は小鳥遊ホシノを煽った。

 

 

 ──地面に穴を掘り、獲物を捕まえるクモがいるそうだ。

 

 ──そのクモは、巣穴に居る限りほとんど天敵がいないのだが……

 

 ──生まれて初めて巣穴を作るとき、一度掘った穴を埋められてしまうと、もう何もできないのだ。掘りかけの穴を再び作ってやらない限り、そのまま地上で干からびて死んでしまう。

 

 ──それは、遺伝子に刻まれた習性なのだろう。パッケージングされた動作を終えない限り何もできない。遺伝子に刻まれた線路の上を歩くことしかできないのだ。考えるという事をしない。それしか知らない。その生き方しか知らずに愚直に生きていればよかったものを。そこから外れて無駄に死んでいく。

 

 ──梔子ユメは残念だったな?

 

 

 わりかし、渾身の煽りだったのだが。効きは良くなかった。行方不明のカヤツリの事も煽ったが、それも同様の結果に終わった。

 

 その時の、小鳥遊ホシノの瞳が妙だった。

 

 

「その希望を我々が奪ってやるのだ。利子として押収してもいい。それに、貸し出したあの戦力であれば、大したことはあるまい。問題の小鳥遊ホシノも、黒服の所へ足を運んだそうではないか。あの男が小娘一人を丸め込めないはずもない」

 

 

 プレジデントの言葉で納得がいった。希望。そう希望だ。それが、小鳥遊ホシノの目に宿っていた。黒服に縋るしか無い状況なのにだ。まだ黒服からは連絡が来ていないが、この様子では間に合わない。プレジデントの我慢が限界だ。もう止まらない。

 

 それに、カヤツリの事も気にかかる。理事は、カヤツリがどこにいるかは知っている。黒服から聞いているからだ。その材料を使って、小鳥遊ホシノを煽る様に頼まれていた。黒服はカヤツリとの契約で、お互いにアビドスへの自主的な手出しは禁じられているからだ。だから、小鳥遊ホシノの方から来させる算段だった。

 

 そして、問題はカヤツリの居場所だ。ゲヘナの要職だという。記憶は失っているとのことだったが、妙に嫌な予感がするのだ。

 

 

 ──もっと欲張れ。

 

 

 かつて、カヤツリに言った言葉を思い出す。あれは、文字通りの意味でもあると同時に、枷でもあった。そして、理事の失敗でもある。

 

 カヤツリは満足しない。正確には、満ちて足りた状態を知らないのだ。その理由は理事には分からないが、ある事実がある。

 

 満足しないという事は、ひたすらに求め続けるという事だ。そして、カヤツリはそれが簡単に奪われることを知っている。そのためには力が必要で、奪われてしまうくらい自らは弱いという事を。

 

 簡単な話、カヤツリは手加減できない。敵は徹底的に叩き潰す。カヤツリの自認が、弱くて奪われるものだからだ。実際は全くそうでは無いのだが、比較対象が黒服なのが一番の原因だろう。

 

 カヤツリの自認はいつまでも弱いままだ。だから、際限なく強くなる。満ちて足りた状態を知らないから、際限がない。だから、欲張れと言ったのだ。そうすれば、いつかカヤツリの望みが見つかると思っていたから。結局、それはカヤツリの限界を失くすだけに終わってしまった。

 

 そして、そんなカヤツリには、ゲヘナの要職という権力がある。かつてのカヤツリが手に入らなかった力だ。そして、力を振るうことに関しては縛られていない。アビドスで起きたことくらいは把握しているだろう。記憶が無いという事がどれくらいの範囲なのか、聞いてはいないが。それが理事の不安を掻き立てていた。

 

 しかし、それをプレジデントへ言ったところでどうなるというのだろう。答えはどうしようもないだ。プレジデントの鶴の一言で、アビドスへの侵攻が決まってしまった。事態は理事の手を離れている。

 

 だから、仕方なく。理事はプレジデントの指示に従うしかなかったのだ。

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