ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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291話 補習授業部

「補習授業部?」

 

 

 シャーレビル、先生自身のオフィス。そこに届けられた依頼を見て、先生は疑問の声を上げた。

 

 そんな名前の部活動は聞いた事がない。送り元を確認するも、トリニティという文字は変わらない。

 

 

「そんな名前の部活動、キヴォトスにあったかな……?」

 

 

 木工ボンド部やクロレラ観察部に比べてインパクトは無いが、随分と特徴的な名前だ。

 

 まるで、補習授業がメインの活動かの様な名前に、先生は首を捻る。

 

 余程、勉強が好きなのだろうか? そんな想像をしてみるが、直ぐに違うと思い直す。

 

 補習授業だ。授業ではない。補習授業とは、成績不良の生徒に対して行われるもの。補習授業が必要な成績不良の生徒が、態々そんな部活を作るだろうか?

 

 そう悩む先生の脇。デスクに置かれたタブレットが通知音を立てた。

 

 

「ん……ありがとう。嗚呼、最近出来た部活なんだね……」

 

 

 気を利かせてくれたタブレット内のアロナに礼を言い、先生はタブレットの補習授業部についての情報を目に入れる。

 

 最近というか、本当にここ数週間に出来た部活の様だ。依頼内容は想像通りに、そこで先生をしてほしいとの事。

 

 

「おお……」

 

 

 思いもかけない依頼内容に、先生は喜びの声を上げる。何せ、実に先生らしい依頼内容だからだ。

 

 アビドスの対策委員会やミレニアムのゲーム開発部。彼女たちの依頼が良くなかった訳ではないし、後悔もしていないし、良かったと思っているが、悪徳企業の悪事を暴いたり、生徒会組織と真っ向から敵対するのは先生らしい仕事ではない。

 

 そこに、補習授業をするという実にらしい依頼が飛び込んできた。それに、場所も御誂え向き。ホシノの頼み事もこなす事が出来るだろう。先生の意欲がもりもりと湧きあがってきていた。

 

 

 ──あのさ、悪いんだけど。先生にお願いしたい事があるんだ。

 

 

 アビドスの依頼が終わり、先生がアビドスに滞在する最終日。ホシノはどこか、覚悟を決めた目で話しかけてきた。

 

 先生は少し驚いたのを覚えている。アビドスを廃校にしようとしたカイザーとの戦闘や黒服という不気味な大人との対面。そこでもホシノはここまで緊張してはいなかった。

 

 

 ──実は、アビドスにはもう一人だけ仲間がいてさ。先生には、その人を探してほしいんだ。

 

 

 何故か先生が問うと、その時のホシノの表情には後悔が滲んでいた。

 

 

 ──おじさんが……私が悪いんだ。その人にはどうしようもない事だったのに、私はそれをダシにして責めたんだよ。それで……喧嘩に。いや、私が一方的に詰ったんだ。

 

 

 それで、その人物はアビドスから居なくなってしまったのだと言う。連れ戻すつもりか聞くと、ホシノは首を横に振った。

 

 

 ──出来ればそうしたいよ。でも、その人にもその人の事情があるんだよ。だから、先ずはただ、謝りたいんだ。そうしないと、私たちはずっとこのままなんだ。

 

 

 それは、かつてセリカに対して先生が言った事だった。ならば、断る理由もない。それに、生徒の真っ当な頼み事を断る先生でもない。

 

 でも、その人物が誰なのか。名前をホシノに聞いた時。先生は出来る限りの事をしようと思ったのだ。

 

 

 ──その人は兎馬カヤツリ。私の大す……じな相棒なんだ。

 

 

 その時のホシノの顔は綻んで、声は暖かかった。シロコやノノミ、アヤネやセリカに向ける物とは違う。先生に向けた物とも、柴大将の物とも違う。それは、見たことのないホシノの一面だった。

 

 でも、先生は知っている。自ら経験した事はないけれど、それがどういった類のものかは知っていた。

 

 それは、恋する人間に向けるものだ。

 

 そんな人と喧嘩した事を。ホシノはずっと後悔していたのかもしれない。ずっと決着をつけられなかった。その勇気が無かった。でも、踏み出す事を決められた。

 

 そんな重大な決断をした生徒の頼みは、真剣に向き合うべきだ。

 

 ホシノの頼みを快諾した先生がやった事は、そのカヤツリが何処の誰なのか調べる事だった。

 

 それは先生の権限を使えば簡単に見つかった。が、それをホシノへ伝えた事は早計だったと先生は後悔している。

 

 

 ──うへぇ、トリニティ? ふぅん……ヒフミちゃんに聞けば良かったよ。それにティーパーティーの補佐。それもホストの補佐ねぇ。まぁ、カヤツリなら出来て不思議じゃないけど……期間が短すぎるね。その時のホストは確か、百合園セイアちゃんだっけ? 随分とカヤツリを私物化してくれちゃってさぁ。そういえば、カヤツリが居なくなった日に電話があったんだっけ。……気を付けておこうかな。それに……違うね……あの時の女じゃない。だとすると、まだいるのかな?

 

 

 ホシノは静かに、その情報を反芻していた。それだけなのに、景色が一瞬歪んだかとすら錯覚した。獲物を捕らえて逃がさない。そんな力場、重量の様なものを感じた。

 

 トリニティに突撃する。そんな想像すらできて、思わず先生は聞かざるを得なかった。

 

 

 ──今からトリニティに行くつもり?

 

 ──嫌だなぁ、先生。流石に、今の私はそんなことしないよぉ。

 

 

 前のホシノならしたの? そんな質問をしないくらいの頭はあった。ホシノの笑顔には、それくらいの圧はあった。

 

 どうにもホシノはカヤツリの事となると正常ではいられないらしい。そう思った先生は、ホシノへ提案をする事にしたのだ。

 

 

 ──私が機会を作るから、待っていてほしい。

 

 

 勿論、ホシノは一も二もなく快諾した。それから、今まで経っている。

 

 

「リンちゃんに、暫くトリニティに行くって言わないとね……」

 

 

 アビドスで遭難しかけた事から、どこに行くか事前に連絡するようにと。そうリンに言いつけられているのだ。

 

 先生は、あの時の自分の無鉄砲さを後悔しつつ、トリニティへの出発の準備をする。

 

 トリニティ迄の経路や、泊まり込みセットの入った鞄を用意。最後に大事なシッテムの箱を手に取る。

 

 そして、カヤツリの事をまとめた資料を画面に出した。

 

 悪い報せといい報せ。先生は良い方から言う事にしている。それは、ホシノの時もそうだ。そして、その判断は正しかった。

 

 

「療養中か……」

 

 

 療養中の為、休学。それがカヤツリの最新の情報だった。けれど、異常な点があった。

 

 何処に入院しているのか。まるで分からない。トリニティ校内から出た形跡がない。それは、とてもおかしい。シロコとノノミの二人から聞いたカヤツリ像とは辻褄が合わない。

 

 

 ──ん。怖いけど優しい人だった。私とノノミに色々、教えてくれた。ずっと守ってくれてた。

 

 ──あの人は、きっと不器用なだけなんですよ……。だって、ずっと柴関を通して、お金を送ってくれたんですから。

 

 

 喧嘩をして出て行った。それほどまでに怒っていた。それは真実かもしれない。でも、その怒りをずっと維持できるだろうか? 唯の喧嘩だ。喧嘩で強い言葉を放ってしまった程度。お互い謝ればそれで終わるだけの話。でも、そうはならなかった。

 

 なぜなら、トリニティへ行ってしまったから。それでも、柴関の大将を通して送金はしていた。つまりは、ホシノと同じような状態だったのではないだろうか。

 

 そして、療養中であるのなら。連絡くらいは送るはずだ。何故なら、送金が止まってしまうから。少なくとも柴関の大将には伝えるべき案件だろう。

 

 それができない状態であるのなら。それこそ病院に居なければおかしい。しかし、シッテムの箱の力をもってしても、居場所が分からない。

 

 だから、今回の件は渡りに船なのだ。堂々とトリニティへ行って調べる事が出来るから。

 

 

「ヒフミだけじゃなくて、もう一度、大将にも話を聞かないと」

 

 

 そろそろ、柴関爆破の傷も癒えて退院する頃だろう。頃合いを見て、尋ねてみるのもいいかもしれない。

 

 そして、先生は鞄を持って立ち上がる。まずはトリニティの生徒会組織、ティーパーティへと向かう手はずだ。補習授業部の事を聞かねばならない。

 

 そこで、先生はいい考えが浮かんだ。

 

 

「カヤツリ君もティーパーティだっけ。少し、聞いてみようかな」

 

 

 □

 

 

「ヒフミ……」

 

「うぅ……」

 

 

 先生の目の前で、ヒフミが縮こまっていた。叱られる子供。いや、正にその場面に相当する。トリニティに来て、ティーパーティから渡された補習授業部の名簿。そこの一番上に見知った名前があったからだ。

 

 

「いや、補習授業部の部長って。一体どうしたの? 確か、成績は平均くらいだったはずだよね。まさか……また?」

 

 

 ヒフミには前科がある。授業をさぼってブラックマーケットに入り浸っていた過去が。

 

 それを先生が指摘すると。ぶんぶんと音が出る勢いでヒフミが首を横へ振った。

 

 

「これはやむを得ない事情があって……ちゃんとテストの日程は把握していたんですよ?」

 

「身体の調子でも崩してしまったとか?」

 

「いえ、ペロロ様のゲリラライブがテストの日程と被ってしまって……そんな冷たい目で見ないで下さい……」

 

 

 とんでもない答えに、先生の頭が一瞬理解を拒んだ。けれど、ヒフミなら仕方が無いのかもしれない。グッズ欲しさにブラックマーケットに入り浸る生徒だ。テストの一つや二つはサボりかねない。

 

 

「それで……ナギサから聞いたんだけど。ヒフミが私のサポートをしてくれるの?」

 

「はい。ナギサ様から、そう説明を受けてます」

 

「ナギサ様……? 友達じゃないの?」

 

 

 先生は、ヒフミの物言いが引っかかった。友達に様付けはおかしいのではないのか。何というか、とても距離を感じる。

 

 

「ナギサ様はティーパーティのホストですから。それに、先輩です。ナギサ様が良くても、周りが良くないんです。それに、先生。あの逃げる時の無線の人の話を覚えていますか?」

 

 

 それは、ブラックマーケットからの逃亡を助けてくれた人間の事だろう。ヒフミに怒っていたのを思い出すと、ヒフミの言いたいことも分かる気がした。

 

 

「周りが許さないってことかい?」

 

「はい。ここは歴史ある学園ですから……」

 

「ああ、ナギサも言ってたね。文武両道を掲げる歴史ある学園って。だから、成績不良者を補習授業部にって」

 

 

 第一回公会議とか、何やら歴史の用語を並び立てていたのを覚えている。脇で、ナギサの幼馴染だというミカと呼ばれた少女が騒いでいたせいで、半分も覚えていないが。

 

 それに、とても規律が厳しそうな雰囲気を受ける。礼儀関係はとても厳しいのかもしれない。アビドスやミレニアムと同じ。そう考えるのは先生のエゴでしかない。トリニティには、トリニティなりのやり方があるのだろう。

 

 

「それで、これからどうしますか?」

 

「補習授業部の残りのメンバーに声を掛けに行こうか。ヒフミを抜けば、あと……四人だね」

 

 

 先生は、ヒフミに補習授業部の名簿を見せる。ヒフミは名前を見て、うわぁと言葉を漏らした。

 

 

「どうしたの?」

 

「いえ、つい先日大騒ぎを起こした方が居たので……」

 

「……何をしたの?」

 

「確か、水着で校内を徘徊したとか。それで正義実現委員会に拘束されているとか……」

 

 

 興味半分、恐怖半分で聞けば、またしても異常な答えが返ってくる。ここは歴史ある学園では無かったのだろうか? 聞けば聞くほど常識を塗り替える事件が出てくることに、先生は眩暈がしてきていた。

 

 

「正義実現委員会……」

 

「なら、案内しますね。先生」

 

「あ、待って。ヒフミ」

 

 

 案内の為に前へと出たヒフミを呼び止める。不思議そうに、ヒフミは振り返った。

 

 

「先生。どうかしたんですか?」

 

「いや、一つ聞きたいことがあるんだ」

 

「なんでしょうか?」

 

 

 未だ不思議そうな顔のヒフミに、先生は小さく言った。

 

 

「兎馬カヤツリ君って知ってる?」

 

「知ってますよ。なにせ、私にブラックマーケットの歩き方を教えてくれたのは、あの人ですから」

 

 

 ヒフミの答えに、先生は言葉が出なかった。その間にも、ヒフミはカヤツリの事を教えてくれた。

 

 

「おおむねは、あの無線の人が言ったのと同じです。セイア様が裏で手を回していたのは知りませんでしたけど」

 

「何で、ブラックマーケットに詳しいんだろう?」

 

「うーん。でも、あの人なら知っていても、おかしくはないと思います。なにせ、一年でティーパーティを昇りつめた人ですから」

 

「どういう事? 仕事ができるってだけじゃ?」

 

 

 大きな声を出すヒフミに、小声で先生は問う。ヒフミは訝し気な顔をしながらも、小声で答えてくれた。

 

 

「あの人は私が一年生の時に転入してきたんです。噂になったんですよ。セイア様が、愛人を連れて来たって」

 

 

 ホシノが聞いたら、どうにかなりそうなセリフが飛び出してきて。先生は自分の選択を心底褒めてやりたくなった。

 

 

「愛人……?」

 

「はい。珍しい男性ですからね。それに、セイア様もゾッコンというか、夢中というか。ほら、あるじゃないですか。こう……」

 

「……ホストに貢ぐみたいな?」

 

「あはは……」

 

 

 先生の例えに苦笑いしながら、ヒフミは頷く。そして、先生はその先の事が不安になった。

 

 

「それじゃあさ。その、セイアさんも結構大変だったんじゃ?」

 

「いえ、大変だったのは、カヤツリさんの方でした」

 

「なんで? だって……連れて来たのはセイアさんなんでしょう?」

 

 

 先生は分からなくなって、ヒフミに聞く。さっきのナギサの呼び方に関する話と噛み合わない。トリニティらしさ。それを乱すのは何より忌避されるはずだ。カヤツリは連れてこられただけで、連れて来たのはセイアなのに。これでは道理が通らない。

 

 

「……こんなことは言いたくないんですが。セイア様の方が偉いんです。実家も力がありますし、今から思えばホストは決まっていたのかもしれません。それに比べて、カヤツリさんには何もないんです」

 

「つまり、後腐れが無い方を……?」

 

 

 ヒフミは答えないが。それが答えのようなものだった。つまり、叩いても殴り返されない方を選んだのだ。何だか、先生は悲しくなってきた。

 

 

「それで、カヤツリ君は療養を? そのストレスで?」

 

「全然違いますよ?」

 

 

 先生の不安とは真逆の表情。ヒフミは、まったく気にしていない。

 

 

「カヤツリさんは、全員を黙らせたんです。多分、やり返したんだと思います。自分がやられたのとは全く違う。私には思いもつかない方法で。それを、カヤツリさんの底知れない所を。セイア様は見抜いていたのかもしれません」

 

「底知れないから、ブラックマーケットに詳しくても違和感がないって?」

 

「はい。私は、そんな人に見えました。まるで、魔法使いみたいな」

 

 

 魔法使いとは、言いえて妙だ。ホシノたちの証言とは微妙に異なる。アビドスでは、そんな風にはしていなかったように思う。最低限の介入しかしていない。

 

 それが、ここトリニティでは真逆だ。魔法使いの如くに、願いを叶えている。

 

 

「分かった。ありがとう。それと、ごめんね。私の事情に付き合わせて」

 

「いえ、そんなことは……あれ?」

 

 

 先生の謝罪に両手を振って恐縮していたヒフミは、何かに気づいたのか。歩き出そうとした足を止めた。

 

 

「先生は、ここに来る前にナギサ様に会ってきたんですよね?」

 

「そうだね。これはティーパーティからの依頼だから」

 

 

 先生は補習授業部の資料をヒフミに見せた。ティーパーティへ訪れた際に貰ったものだ。

 

 

「なら、ナギサ様に聞けばいいんじゃ? それに、ミカ様にも。私なんかよりもよっぽど詳しいと思います。なにせ、セイア様と一緒によく話していましたから」

 

「聞いたんだけどね……」

 

「何かあったんですか?」

 

 

 ヒフミの心配そうな声の通りに、何かはあった。ただ、先生にはそれしか分からなかった。

 

 

「ナギサとミカ。今回の補習授業部について二人と話したんだ。最後に、世間話の体で聞いてみたんだけど……」

 

 

 アレを何と言えばいいのか。先生は頭を捻って、何とか答えを絞り出す。

 

 

「はっきりとは断言できないんだけどね。空気が一瞬張り詰めたんだよ。凍ったとも言えばいいかな? それで、療養中とだけ。だから、ヒフミの話を聞くまでは、仲が悪いのかと思ったんだけど……」

 

 

 仲が悪いなら分かる。二人の間で禁句のようなものになっていて、その言葉が出たから空気が張り詰めた。しかしそうではなく、仲が良かったのだという。そのせいで、もっと分からなくなった。

 

 

「もう一つ噂があるんですけど……聞きますか?」

 

「うん……」

 

 

 そう言うヒフミの顔は、とても微妙だった。呆れている。そう言ってもいいかもしれない。

 

 

「カヤツリさんは療養中です。そして、ホストであるセイア様も。お二人は、ほぼ同時期に療養に入りました」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

「そうなんです」

 

 

 新情報に喜ぶ先生に、ヒフミはまだ微妙な顔のままだ。

 

 

「セイア様は、カヤツリさんにべったりでした。さっきも言ったと思いますが、愛人を連れ込んだという噂がたったくらいですから。そして、カヤツリさんも拒否しなかった」

 

「仲がいいのはいいことだよね」

 

「ええ、そうです。ハッピーエンドは私も好きですが、これは何というか……」

 

 

 何だか、ヒフミの顔が赤くなってきている。目もグルグルと回り始めていた。

 

 

「それでですね……まぁ、なんですか。お二人が、そういうことをして、セイア様は療養せざるを得なくなったんじゃないかと。そういう噂がですね。あるんです」

 

「そういうことって、そういうこと? あの、何。あー……コウノトリ案件?」

 

「これ以上は、私の口からは……………………きゅう」

 

 

 煙を噴き出して、ヒフミは動かなくなってしまう。先生はヒフミを廊下の端へと連れて行きながら、物思いに耽る。

 

 確かに、それならティーパーティの二人の態度も説明がつく。複雑どころの話では無い。友人同士が、そういう事になるなんて。先生ですらどうしたらいいか分からない。

 

 いつかは身体の一部分だって隠せなくなるだろう。それを隠蔽するために一芝居打った。そこを先生に聞かれたら、空気は張り詰めるだろう。

 

 

「ホシノには言えないね……」

 

 

 言った場合のホシノを想像して、先生は身震いする。言ったら最後どうなるか。想像はあまりしたくなかった。

 

 けれど、まだそうだと決まったわけでは無い。そのことは追々調べればいいのだ。まずは、本分である補習授業部のことを優先するべきだろう。

 

 そう決断して、先生は湯気を出しながら目を回しているヒフミを再起動に掛かった。

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