ホシノ同級生相棒概念 作:洞鼬
トリニティ調の建物の侵入は、思ったよりも楽だった。地上階を楽々踏破して、目当ての階に上がることが出来た。目的地まであと少しだと、端末が教えてくれている。
「嫌な予感がする……」
それでも、カヤツリの口からはそんな言葉が零れる。それを耳ざとく聞きつけたのか、王女によってヘッドセットが鳴る。
『嫌な予感とは? これまでに誰とも会っていない事ですか?』
「それもあるけどな。この階の部屋の構造が妙だ」
これまでの経路を、カヤツリは思い出す。内装は外見から想像した通りのトリニティ調で、シスターフッドの教会のような装飾が多用されていた。端的に言えば、ここは教会のようなモノなのだろう。
「教会なら、綺麗なのも、人がいないのも分かる。こんな夜更けにイベントは無いし、内乱であっても、いや内乱だからこそ。象徴としての建物を壊すバカはいない」
『では、どうおかしいと? ここまで隠し部屋などはなさそうに見えますが』
カヤツリに言わずに、王女はしっかり確認していたらしい。それに苦笑しつつも、カヤツリは答えを言った。
「この階に来てから、分かれ道がない。ずっと部屋から部屋へと歩かされている」
通常、フロアは壁によって部屋が区切られていく。しかし囲碁やオセロの様に、部屋だけで区画を埋めては移動がままならない。だから、普通は廊下を作る。
廊下は、各部屋を繋ぐ連絡通路であり。それがあるからこそ、一歩部屋を出るだけで目当ての部屋に行くことが出来る。それが無い場合、今のカヤツリ達の様に途中の部屋を何部屋も跨ぐ必要が出てくる。
部屋は部屋であって、通路ではない。通路代わりに部屋を作るのなら、廊下を作った方が手っ取り早いから、この階の構造は無意味に過ぎる。ただ、一つの目的を除いては。
「こういう構造の建物を一回だけ聞いたことがある」
『それは?』
カヤツリの口調から、何か良くない響きを感じ取ったのか。王女の声は静かで、カヤツリも静かに答えた。
「座敷牢。人を閉じ込めるための構造だよ。これは」
外に出すには都合の悪い人間を閉じ込めておく部屋を、座敷牢と言う。カヤツリは実際に見たことは無いが、存在だけは知っていた。
「座敷牢には廊下が無いんだ。出られたら困るわけで、必ず幾つかの部屋を経由しないと出られないように作られている。基本的には母屋の奥とか」
『その経由しなければならない部屋には見張りが居ると。なら、この先にも?』
「さぁ、どうだろう。オーパーツを持っているのが誰なのかも分からない。見張りが持っているかもしれないし、閉じ込められている人間が持っているかも。そもそも、このフロアが座敷牢でも何でもないかもしれない」
『結局、着くまで分からないと』
王女の言う通り、今あげた物の中に正解があるのか無いのかも分からない。カヤツリが出来るのは、かもしれない運転で行動することだけだ。
だが、それが功を奏したのか。カヤツリは天井の物音に気づくことができた。
『誰か、歩いていますね。上は……』
「最上階。多分、ここの親玉だろう」
王女の言葉の通りに、微かではあるが軋む音がする。古い建物だから、どこかにガタが来ているのだ。そして、バカと煙は何とやら。最上階にいるのは誰か決まっている。
「急ごう」
さっきから窓の無い部屋しかない事に不安を覚えつつ、カヤツリは先を急ぎ扉を開ける。
やはり誰もいない。嫌な予感が段々と膨れ上がるのが止められない。
カヤツリはこの部屋の評価を少し変えた。座敷牢と称したのは変わらないが、規模を少々見誤っていた。
ここまで来るのに、階下を全て経由している。教会だからだと呑気に考えていたが、とんでもない。このフロアの一部屋が座敷牢ではない。このフロア全体が座敷牢なのだ。
上には親玉がいて逃げられず、階下の覗いていない部屋には見張りがいるのだろう。そして窓がないなら逃げられない。ここまでくれば、
祈るような気持ちで扉を開く。そこは殺風景な部屋。広い部屋に幾つかの家具しか置かれていない。壁側にタンスやら、トイレや浴室に繋がるだろう扉があるだけだ。
だが、カヤツリは安堵する。部屋の中心、そこに鎮座するベッドに誰かが眠っている。
それは端末で見たシルエットそっくりで、カヤツリはここがゴールだと確信した。
「ここか。調べてくれ」
『少し掛かります』
それだけを言って、王女は仕事に掛かる。その間に、カヤツリは部屋からの脱出方法を考える事にした。
──窓はない。採光など必要ないとばかりに、頭上で照明が輝いている。
──壁も厚い。コツコツ叩けば鈍い音が返ってくる。もしかしなくても鉄骨入りだろう。
──家具も動かない。止めとばかりに固定されている。座敷牢というカヤツリの予想通りに、脱出口は見当たらなかった。
何かないかと辺りを見回すも。見ないふりをしていたもの以外は残っておらず、仕方なく部屋の中央のベッドに目をやる。
のぞき込めば眠っているのは菫色の髪をした少女らしき人物。顔は何か機械的な仮面で隠れているから、少女かどうかは体つきから判断するしかない。随分と華奢だと思うがそれだけだ。
少女がここに居る理由やら、気になる点は幾つかある。が、分かりはしないし知る必要もない。カヤツリはこれを回収するだけで、寝ている少女の都合には興味が無い。問題は仮面の方だった。
──……仮面。どこかで……
このデザインを、カヤツリは見たことがあるような気がするのだ。それだけなら既視感で流すことが出来たが、何かが引っかかる。
『……妙ですね』
「妙?」
『はい。妙です。何かが引っかかります』
仮面を調べていたであろう王女も、カヤツリと同じようなことを呟き始めていた。納得できないのか、しきりに妙だと何度もつぶやいている。
「そっちもか」
『貴方もだと。なら、貴方は何が気になりますか?』
何か既視感がある。そうカヤツリが思ったことを小声で言うが、王女の反応は芳しくは無かった。期待を裏切られたのか、ため息が聞こえる。
「そっちは?」
『似たようなものですよ。既視感というよりも、勘という方が正しいですが』
王女は引っかかっているものの正体が分からないことが腹立たしいのか、少々早口だ。舌打ちも聞こえる。
『これ、この仮面ですが。確かにオーパーツです。そういった結果が出ました。ですが……』
「納得できないと」
『ええ、そうです。結果は絶対であるはずで、何度も確認しました。けれど、私はこれを私たちの技術の産物とは認めがたいのです』
言いえて妙ではある。王女の走らせたプログラムはそうだと言うが、王女自身の感覚がそれを認めない。理由のつかない疑念は、カヤツリと似た状況だった。とりあえず、王女の言葉の方を信じてみる。そうであれば、この仮面の正体は一言で表せた。
「じゃあ、精巧な偽物ってことか」
『偽物……? それを私が見破れないとでも──!』
「ああ、違う違う。実力を疑っているわけじゃない」
一気に不機嫌そうに変化した王女を、カヤツリは宥める。そういった意味ではないし、寧ろ実力があるからこうなっている。
「オーパーツっていうのは、王女が知っている技術で作られたものなんだろう? その検査の結果は、その有無を判断するのであっている?」
『……ええ、その通りです』
王女の声が不機嫌そうから、不機嫌へと変化していた。下手な答えを言えば許さないと言うような雰囲気を隠しもしないで、カヤツリの答えを待っている。
「じゃあ、検査は合ってる。それに王女の感覚も合っているんだろう」
『だから、精巧な偽物であると? ですから、それがあり得ないんですよ。そうであるなら、誰かが私の知っている技術を使用していることになります。それは絶対にありえないんです。彼らが今出てくることはあり得ない』
目の前で少女が寝ていなかったら、きっと大声で詰め寄っていた。そんな勢いの小声がカヤツリを襲うが、カヤツリは事実ベースで答えるだけだ。
「じゃあ、その彼ら以外が作ったんだろう。だから、王女の知っているものとズレがある。そこが引っかかっているんじゃないのか」
『そうであれば、誰かがこのオーパーツを自力で作り出したことになります。数多のオーパーツを解析し、その共通する理論を導き出したことになる。それほどまでの多量のオーパーツを保持する人間など、あの女がとっくに潰しているはずです』
「……多量のオーパーツ?」
その言葉が、カヤツリの記憶に引っかかった。あの仮面を見たのは、オーパーツの話をしている時ではなかったか。記憶というものは、糸口さえつかめれば後は繋がって出てくるものだ。それはカヤツリとて例外ではなく、なぜこれに既視感があったのか、ようやく思い出した。
「マズイ……」
カヤツリの顔から血の気が引いていく。今、手を出しているのが誰の製作物なのか。それを今更気が付いたからだ。
オーナーだ。この仮面を作ったのはオーナーでしかありえない。カヤツリはそれを知っている。ずっと分からなかった記憶の断片が繋がって、既視感の正体があらわになっていく。
多量のオーパーツはカヤツリが集めている。オーナーは詳細不明の技術を持っている。そしてあの大人の自称は探究者ではなかったか。
あの大人の得体の知れなさは折り紙付きだ。こんなオーパーツの擬きを作れても不思議ではない。カヤツリにくれたあのレールガンだって、似たようなものだったではないか。
ここまで考えたカヤツリの判断は早かった。
「……脱出するぞ」
『何を言ってるんですか!? これはどうするんです!?』
怒っている王女の声など気にもならない。カヤツリは即答する。
「放置だ放置! 一旦、退いて連邦生徒会長に情報共有する」
まだ、オーナーは気づいていない。気づいているなら、とっくに姿を現している。それかもう一つの可能性があるにしても、ここにいればいるだけ危険が増していく。
もう、カヤツリは撤退することしか考えていなかった。王女が耳元でギャーギャーがなり立てているが、無視を決め込む。今は時間が一刻も無駄にできはしないからだ。説明は脱出してから幾らでもできるが、脱出の機会は今を置いて他にない。
『何ですか!? ちゃんと説明して下さい!』
けれど、王女は言うことを聞いてくれない。当たり前の話だ。カヤツリは何も彼女に説明してはいないから。説明も無しに、いきなり撤退すると言われても頷けはしない。だから、カヤツリはどう説明しようか頭を回す。
「状況が変わった。手に負えない」
『……またですか。また、貴方の悪い癖ですか! これは、私たちの初仕事なんですよ!? ちゃんと説明──』
それを聞いて、カヤツリは何も言えなくなる。
「分かった。まずは──イヅッ!?」
何か言おうと、注意を逸らしたカヤツリの耳に何かの音がした。そして何かの熱さも。半分見えなくなった視界でも、何が起こったのかは分かった。
狙撃である。それも壁越しの、何枚の壁を抜いてきたかは分からない。壁の向こう側、もしかしたら外から飛来した弾丸が、カヤツリに命中した。
それも、頭を狙っての、音と威力からして対戦車ライフルでの狙撃。直感に従って頭を傾けなければ、下手をすれば意識が飛んでいた。
「躱しましたか。まぁ、いいでしょう。無傷ではないようです」
いつの間にか部屋の入り口に、赤い女が立っていた。脇をライフルとロケットランチャーを持った生徒二人で固めている。壁向こうの狙撃手も、後ろで起き上がった仮面の少女も、仲間であることは明白。アリウスの人間だ。
「どうやってここを知ったのですか? どこの手の者です? その品のない被り物からして、トリニティではなさそうですが」
赤い女は、頭から流血の止まらないカヤツリを詰問する。威圧感は並ではないが、それだけでカヤツリは安心できた。
オーナーではない。その一点だけで安心できる。
女の姿からして、オーナーの知り合いではあるのだろう。あの仮面、オーナーの作品を持っているのも説明がつく。
ただ、オーナー程ではない。自信があるのか知らないが、カヤツリの前でベラベラと情報を漏らしている。
どこの手の者、トリニティ以外と言ったのは、カヤツリが外から来たと確信しているから。顔もシロコ作のバラクラバで分からないのに、アリウスの反乱分子扱いしない。つまりアリウスの内乱は終結したことが分かる。
そして、カヤツリ達の目的も分かってはいない。そうでなければ、こんな手の込んだ事はしない。ここでカヤツリを捕まえて、拷問でもしようと言うのだろう。脅しのつもりか知らないが、薄い殺意がカヤツリを舐めている。
前には二人、後ろに一人、視界外に一人、合計四人の生徒。部屋は窓もなく、鉄筋入りの壁に四方を囲まれている。それをカヤツリは突破して逃亡しなければならない。
脱出まではどうにでもなる。問題はその先、カタコンベを抜ける方法だった。
『あ……? は? なんで……? そんな、私の、せい……?』
王女は混乱していた。これでは、カタコンベのナビゲートは望むべくもない。
こうなった原因は明白だ。今起こった全ての事が、王女の想定外だからだ。現実を受け止められていないとも言う。
まずあのカタコンベ。あそこには、カヤツリの想定したもの以外の鳴子があったのだろう。それはおそらく、オーナー側の技術の産物だ。
それに王女は、きっと気づこうと思えば気づけたはずだ。だが、王女は舐めていた。アリウスは子供が支配していると思って、あの強大な力故に相手を舐めていたのだ。だから最低限の探査だけで気づかなかった。
それを責める気はない。カヤツリも王女も、このアリウスが子供によって運営されていると思っていた。それがキヴォトスでは普通だから。いきなり殺意全開の奇襲など想像する方が難しい。しかし、現実は大人の、それもオーナーの知り合いの支配下にある。それに端を発した出来事の集大成が目の前のこれだった。
カヤツリは慣れている。想定外などいつもの事だ。だが、王女はそうでない。恐らくこれが初めての失敗で、プライドは粉微塵。経験上、暫くは戻ってこれない。
だが、時と状況は待ってはくれないから、そこはカヤツリの腕の見せ所になる。そして、この状況で一番最初にやることは決まっていた。
「出来損ないの紅ショウガみたいな面のくせに、ギャアギャア五月蠅いんだよ。ガキの後ろに隠れて恥ずかしくないのか? ああ、紅ショウガだからそこに居るのか。随分と慎ましく、身体を張ったギャグだな。あんまり面白くないのが玉に瑕だが」
「…………少々躾が必要なようです。殺す気でやりなさい。スクワッド」
身体的特徴を弄ってやれば、紅ショウガのトサカに来たらしい。脇の生徒の殺気が濃くなった。だが、お陰でカヤツリも切り替わる。
状況は圧倒的に不利。数で負け、位置取りでも負けている。相手は恐らく四方からカヤツリをハチの巣にする想定だろう。既にライフルの弾幕が降り注いで痛い。
だが、その場合に懸念がある。ロケットランチャーを構えている方だ。
部屋の中にはカヤツリと仮面の少女が居る。このままでは仲間である少女を巻き込むだろう。しかし、相手は気にした様子もない。その答えは少女が被る仮面にあるとカヤツリは踏んでいた。
──身体の表面を覆う防壁。
あの仮面は防壁を張るオーパーツだと。確かにそう、王女が言ったはずだ。それがオーナーの作品だとしても、機能は同一のはず。
カヤツリは後ろに身体を捻って、仮面の少女に向き直った。銃を抜く暇はないため振り向きざまに裏拳を振るう。
「フン……」
手ごたえはあるが妙だ。捻りを入れたとはいえ、スピード重視の裏拳。大して威力はないが、鳩尾に拳がめり込めば相応の反応があってしかるべき。であるのに、仮面の少女は気にしたそぶりもなくサブマシンガンを乱射する。
やはり、王女の言う通り。膜の様に防御壁が展開されていると考えるべきだ。なら最初にすべきは強度の確認になる。
「あっ!?」
仮面少女に追撃のジャブ。下がったところを足で引っかけて転倒させる。倒れ込む頭と反対に跳ね上がってきた足を引っ掴んで。カヤツリは少女を吊り下げて、ライフルの盾にした。
雨の如くにカヤツリを襲っていたライフルの弾が遮られる。仮面の少女が傘代わりに受け止めてくれているからだ。帽子とマスクの少女が狼狽えて、弾幕が少し緩む。
「見えてる」
二発目の壁抜き狙撃を少女を盾に防ぐ。こういう手品は種が割れてしまえば対処は簡単。この盾も手に馴染むし、とても振り回しやすい。仮面の少女も手足を振り回して抵抗しているから、オーパーツの効力も上々、強度もまぁ、足りるだろう。カヤツリは仮面の少女の足を強く握った。
──話は変わるが、武器の機能として二番目に大事であるのは何だろうか。
答えは壊れない事。武器に限らず、おおよその道具に求められることはこれだろう。設定された役目が一番で、次は耐久力になる。
これが近接武器になると話は変わる。一番は壊れない事となる。折れず曲がらず壊れないと、言葉にすれば単純ではあるが、案外バカにできない。
カヤツリは全力で武器や拳を振るったことは無い。全力でしようと思っても、身体がセーブする。本当の全力は振るった方のダメージを考えないと言う事だから。
拳は身体がセーブし、武器は本体が耐えられない。そして、現実には形の変わらない物はない。この思考は夢物語の話になる。
だが今は、ここに武器がある。折れず、曲がらず、壊れない。そうかもしれない
振るってみたくはないだろうか。少なくとも、カヤツリはやってみたい。だから今、武器の柄に相当する少女の足を握り込んでいる。
「待ちなさい! ロイヤルブラッドに何をする気です!?」
「素振り、いや……試し打ちかな」
鉄筋入りの固い壁に目をやったカヤツリを見て、その場の全員が何をするか悟ったに違いない。紅ショウガは叫び、脇の少女二人は、部屋に足を踏み入れ叫ぶ。
「姫を離せ!」
「離して!」
勿論、
「ちょっとくすぐったいぞ!」
そんな声と共に、カヤツリは武器を顔面から壁へと叩きつけた。ビタンとも、バシンとも、水の入った袋が地面に落ちた様な、何とも形容しがたい音と共に、壁に罅が入った。
一回目で気絶したのだろう。力が抜けて振りやすくなった武器を再度叩きつけ、用済みになった武器を迫る二人に投げ返した。
短い悲鳴と共に、三人纏めて部屋の隅へと転がっていく。追撃にと、穴の開いた壁を、鉄筋を取手に引きはがして投げつけておく。
「ひぃん!?」
鉄筋が繋がってるせいで、ついでに剥がれた壁の奥。隣の隠し部屋に狙撃手も見えた。誰かを彷彿とさせる姿と声を上げているが、手を出す余裕はない。
「待ちなさい! この高さから、ここから逃げられると思っているのですか!」
紅ショウガがしつこく叫び続けているが、逃げられると思っているからこうしているに決まっている。この高さから落下する。これがカヤツリの唯一の逃走経路だった。
「……無いよりマシか」
投げつけた時に落ちたのだろう仮面を拾って、カヤツリは穴の外、地上から何十メートルもの高さの空中に向かって走り出す。
恐らく無傷では済まない。この仮面のオーパーツがどこまで軽減するかも分からない。だがカヤツリは一人ではない。
それを信じて、カヤツリは闇夜の底へと身を投げた。