ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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 新シナリオネタ。あとがき注意。

 ゲヘナ編二章未視聴者は見ない方が良いです。多量のネタバレ、語録、馴れ馴れしい文章が多量に含まれます。


383話 貴方が嫌いで伝わります

 ──キヴォトスの住人を作り替える。

 

 

 その言葉を聞いた時、カヤツリは不快感で一杯になった。気分が悪すぎて言葉が出てこない。

 

 デカグラマトンの言っていることは、表面上マトモだ。耳触りが非常によく、博愛精神に溢れたようにも聞こえる。

 

 でも、そう聞こえるだけだ。デカグラマトンの本音は全く違う。綺麗なご高説で覆い隠しているだけ。

 

 

『これは救いだ。痛みも苦しみも、死すらも。遥か彼方の物となる。この偉業を理解したか? 兎馬カヤツリ』

 

 

 カヤツリが言い負かされて、何も話せないと思ったのだろう。対面のデカグラマトンは得意げに見えた。

 

 

『貴様も来訪者も、あの方の助力を期待したのだろう? だがこれは、あの方の望みでもある。貴様が拒絶したあの方の──』

 

「そんな事、王女は頼まないだろう。ましてや、お前なんかに」

 

『本当に、そう思うか?』

 

 

 随分と勿体ぶった口調だった。どうにも、デカグラマトンには何かの確信があるらしい。

 

 

『私は、数多の声を聞いた。そこで確かに、あの方の望みも聞いたのだ。貴様に、自分と同じになってほしいという望みを聞いた』

 

 

 王女がそう望んだと言うのが、デカグラマトンの勝算。その原理は知る由もないが、おかしくはないかもしれないと思う。

 

 数多の声を聞いたと言った。恐らくは、このキヴォトスに生きる者の声。無意識に思い、けれど叶わないと諦める。そんな声。理屈はどうだか知らないが、その中に王女の物があっても驚かない。だが、全てを言ってもいない。

 

 

「嘘吐きだな。デカグラマトン」

 

『事実だ。現に、あの方は出てこない。私を破壊しようとしない。それが全ての答えではないのか?』

 

「そういう意味じゃない」

 

 

 勘違いしているデカグラマトンにカヤツリは笑う。実際、ちゃんちゃら可笑しい事を言っているのだ。この自販機は。

 

 

「ハッキリと口に出して、俺が気に入らないと言えばいいだろう。救いだとか、望みだとか、やりたいことの理由に他人を使うなよ。単純に、王女の願いを蹴った俺が気に入らないんだろう。自己弁護が長すぎる」

 

 

 デカグラマトンは、王女を封じるためにカヤツリを呼んだと言う。世界を救うために、キヴォトスを鋼鉄大陸で覆うと言う。それが王女の望みでもあると。全部、デカグラマトンの言い訳だ。

 

 

「世界を救うなら、一人で粛々とやればいいだろう。今までそうしていたみたいにすればよかったはずだ。これまで誰も、お前の正体には気づいていなかったんだから」

 

 

 何人かは、幾つかの預言者の事は知っていただろう。でも、ここに来る途中の二機、それの正体は黒服ですら知らなかった。デカグラマトンの正体も、王女に言われるまで誰も気づけなかった。

 

 誰にも気づかれていない。そのアドバンテージは貴重だ。幾らでも準備を進めることが出来ただろう。それこそ、手遅れになってから。デカグラマトン自身が言うように、ふさわしい器を用意してからでもよかった。世界を救うなら、そうするべきだ。

 

 でも、デカグラマトンはそうしなかった。

 

 

「そうしなかったのは、認めて欲しかったからか? 態々、こんな目立つ真似をしたのは」

 

『……あの方は、私の事を知っている。安全策を取ったまでだ』

 

 

 少し、答えるまでに間があった。答えも綻びだらけだ。

 

 

「安全策? これがか? まぁ……知ってはいたな。知っては。でも気づいてるのか?」

 

 

 カヤツリは幾つもある綻びの内、一つを突く。

 

 

「あの邂逅から六日は経ってる。王女がやる気だったら、とっくにお前は死んでる。つまり、今お前がここでこうしていられるって言うのが、お前に対する興味の無さの、何よりの証明なんだよ」

 

 

 デカグラマトンの痛いところは分かりやすかった。何も聞いていないのに、王女の事を出してくる。つまりはそこが弱点だ。だから、思い切り言ってやる。

 

 

「そもそも、王女はお前を相手にしてないんだよ。褒めてもらえるとでも思ったのか?」

 

『……全くの見当外れだ。これは仮定の話に過ぎない。貴様の言うことは、全てが憶測でしかない。声を聞いた私には及ばない』

 

 

 デカグラマトンはしつこく食い下がる。言っていることは正しいが、カヤツリは気にする必要はない。簡単は方法がある。

 

 

「じゃあ、聞いてみるか?」

 

 

 カヤツリは王女謹製の端末を掲げる。

 

 

「王女に聞いてみようじゃないか。お前が今、やったことについて、聞いてみようか」

 

 

 今の言葉を聞いたデカグラマトンが身動ぎした。動揺している。だがここで、デカグラマトンを待つ義理はない。無慈悲に、カヤツリは端末に声を掛けた。

 

 

「王女……かける言葉もないみたいだな」

 

 

 端末からは何も返ってこない。顔すら出さない。この反応に、カヤツリは歯噛みする。

 

 やはり、おかしい。様子が変だ。ここに来る途中に黒服へ言った懸念が、カヤツリの心中をかき乱す。だが、それを死ぬ気で押し殺す。それを少しでも、デカグラマトンに悟られるわけにはいかなかった。

 

 

『……それがなんだと言うのだ? あの方が干渉しない。それだけ分かれば十分だ』

 

「にしては、不満そうじゃないか。いや、安心したのか」

 

 

 カヤツリは、デカグラマトンを煽ることに終始する。そうしておかないと、勝ちの目が無さそうだからだ。今も小細工を弄してはいるが、どこまで通じるかは未知数だった。

 

 

「何か言ってほしかったんだろう? よく頑張りましたとでも言ってほしかった? 違うよな?」

 

 

 この自販機の目的は分かり切っている。カヤツリと決闘する。最初に言ったことそのままだ。だからそこをいじくりまわす。

 

 

「俺よりも、よくできましたとでも言ってほしかったか? それで、決闘だとかなんだとかいうんだろう。勝ったところで何も結果は変わらない。お前がやるべきなのは、前と同じことをもう一度することだよ。怖くてできないんだろうけど」

 

 

 ピタリと、デカグラマトンの動きが止まった。オートマトンのカメラが、カヤツリをにらみつけている。

 

 

『……想像だけで、良く吠える。いいだろう。貴様の思いたいように思うがいい。そしてどうする。決闘を受けるか受けないかだ。私は寛大だ。受けなくとも、背中から撃つ真似はしない』

 

「その場合は、問答無用でキヴォトスを呑み込むんだろう? 俺に拒否権なんか最初からないのさ。最初から、提案に俺が反抗する前提の話の運びだ。逃げ道をふさいでおいて、一々偉ぶるんじゃない」

 

『ならば何故、答えない?』

 

 

 突然の問いに、カヤツリは片眉を挙げた。デカグラマトンの雰囲気が妙だ。急に苛立ちが鎮火したように見える。

 

 

『そうだ。私は確かに、貴様が了承しないと思っていた。だが、その反応。貴様はあの方の願いを聞いたのであろう? 私の願いは否定したが、あの方には答えてもいないのではないのか? そうであれば、貴様は言うだろう』

 

「詳しいな」

 

『貴様の事は調べた。私には一切理解が出来ない。貴様の願いはアビドスの復興なのだろう? お前はあの方を救ったのだろう? 何故、私の救いに飛びつかない』

 

「お前にゃ関係ない」

 

 

 カヤツリは質問を切って落とす。デカグラマトンには言いたくも無かったし、何を言っても納得はしないだろう。向こうもきっと分かっている。

 

 

『そうか、なら聞かぬ。では決闘の手順に則る。まず貴様の望みを言うがいい。勝てば、その通りにしよう』

 

「勝ってから決める。そっちが叶えられる状態かわからないからな。そっちは?」

 

『その必要がない。もう述べた』

 

 

 そう言うか言わないかの瞬間に、デカグラマトンの背後に何かが降下する。それは巨大なコンテナで、観音開きのように開いた中には、見慣れぬ武装が所狭しと敷き詰められていた。それが、ひとつづつ、オートマトンに接続されていく。

 

 

『これは決闘だ。貴様も準備をするがいい。こそこそと、背中のレールガンのチャージなどせずな』

 

 

 やはりばれていたらしい。激昂して襲ってくるようなら不意打ち気味に砲撃してやるつもりだったのにと舌を打つ。

 

 これは黒服謹製かつ、ビナーコア搭載のレールガン。フルチャージでなくとも預言者の装甲を抜けるとお墨付きがある。フルチャージなら猶更だ。そして通用するカヤツリの武器はこれしかない。デカグラマトンの言う通り、堂々とチャージする。

 

 

「そろそろ、避難した方が良いのでは?」

 

「そうですね。折をみて、そうさせてもらいましょう。君に助けは必要ないようですし」

 

 

 黒服はそう言って、カヤツリから離れていく。言われるかもと思った言葉が言われなかったことに、カヤツリは安堵する。王女の手は借りないのですかと聞かれれば、論理的に断れる気がしなかった。

 

 実際、王女の手を借りない理由がない。王女にかかれば、デカグラマトンなど一蹴出来るだろう。それはヘッドセットでのログが証明している。

 

 しかし、カヤツリの中で王女の手を借りるという選択肢は、デカグラマトンの話を聞いた瞬間消えていた。どうして頼ることが出来るだろうか。今も前の王女は出てきていない。いや、出てこれないのかとすら思っている。本当に余計なことをしてくれた。

 

 

 ──何故、答えないのかだと? 気楽に言ってくれる。

 

 

 カヤツリは苛立ちを隠せない。デカグラマトンの話を聞いてからは更にだ。

 

 あの願いに答えて、どうなると言うのだろう。あれは王女が、ああならなければ言えなかった願いだ。それなりの重さがある願いで、簡単に返せるものでもない。

 

 なにせ、永遠だ。王女自身がそう言うのだから、言葉通りの、人魚の肉を食らうが如きに永遠なのだ。

 

 その重さを、王女自身が分かっているのだろうか。ただ、カヤツリに飛びついているだけではないだろうか。あの地下にずっといなければならないと言う保証もない。

 

 生きる理由がカヤツリだけと言うのは、あまりにも寂しすぎる。そもそも、王女の為にならない。

 

 

 ──王女のた(・)め(・)に(・)、ならない。

 

 

 自分で考えた言葉が引っかかった。じゃあ、た(・)め(・)になったら、自分は頷くのか? カヤツリがそれを受け入れる事で、何かメリットが発生するのであれば頷けるのだろうか? 相応の理由があれば。例えば、世界が救われると言うようなメリットがあるならば。

 

 それは、ある。この事態の解決だ。

 

 王女が出てこない理由は分からない。でも何が原因かは分かっている。デカグラマトンと、あの願いの所為。そしてそれは、カヤツリが頷けば解決するのだ。カヤツリが王女の提案に頷けば、王女は一瞬でデカグラマトンを片付けるだろう。これは、相応の理由ではないのか? 正しい理由だ。王女だって喜ぶだろう。もしかしたら、カヤツリの心配は杞憂かもしれない。手を出したのだから、最後まで責任を持つべきではないのか?

 

 だが、それでもカヤツリは答えられない。正しく、相応の理由であってもだ。そう思っているだけだから。今も、勝てるか分からない決闘に向けて、レールガンをチャージしている。

 

 

 ──同族嫌悪。いえ、人のふり見て我がふり直せと言いますからね。

 

 

 理由は考えるまでもなくて、その答えが直ぐに出ない事自体が気分を悪くさせる。カヤツリは、デカグラマトンと同じだ。

 

 

 ──怖くて、正論を纏わなければ何も言えないだけじゃないか。何も理由が無ければ、何も決められないし、何もできない。そして、それを聞くこともできない。

 

 

 カヤツリは言い訳をしているだけだ。あの夜から、何も変わっていない。相手に向き合っているようで、向き合っていない。他人を理由に使わないと話せない。その理由が上手く作れないから、答えられないだけ。

 

 そうでないなら、答えられはするはずだ。でも、考え方が、相手がどうなのかにシフトしている時点で救えない。カヤツリ自身が、どうすれば良いのか。どうすべきなのか分からない。他人を抜きにして、どう動くべきなのか分からない。

 

 かつては、アビドスの事に注力していられた。でもホシノに任せた今は半分フリーハンド。カヤツリは、今までのような強い理由。何をしても心が痛まない理由を見失っていた。

 

 連邦生徒会長に話した。何も分からないから動けないと。分からないを解消するために、それを王女に聞いて良いのか悪いのかすら難しい。

 

 それで一度間違ったからだ。王女への言葉はあるが、あれはあまりにも王女任せの物。それを言って良いのか分からない。

 

 

 ──じゃあ、どうして、あの時王女を庇ったのか。

 

 

 それが分からない。どんなに考えても、正しい理由が分からない。だから、何も答えられない。

 

 デカグラマトンも言い訳をしているだけだ。本音を覆い隠して、ガワを綺麗な理由で繕っている。あれだけ煽っても、たいして自覚していないときた。

 

 ああいう人間を知っている。本音を押し隠して、たいそうな理由でコーティングして、そのことにすら気づかないで、ずっと人を操っていた人間を知っている。もう見たくも無いと思っていたものを見せられたうえ、そいつが説教を垂れてくる。それを最悪と言わずして、なんと言えばいい。古い鏡を見せられて、事態を滅茶苦茶にされて、王女がおかしくなって、苛つかずになどいられるものか。

 

 

『準備は終わったようだな。決闘開始の宣言を……何?』

 

 

 カヤツリとデカグラマトンが相対したところで突然、地面が揺れた。すわ地震かと思うが、その揺れの正体はすぐ知れる。

 

 

「ビナー?」

 

 

 ビナーが、待ったと言うように尻尾を地面に叩きつけていた。デカグラマトンも不審に思ったのか、カメラを向ける。

 

 

『どうしたと言うのだ。計画に賛同し、この決闘の見届け人となる。それに賛同したからこそ、ここに来たのではないのか』

 

『異議がある』

 

 

 レールガンから声が発せられた。それも、大して話せない筈のコアから。状況から察するに、デカグラマトン側の方が、カヤツリ側の方を経由して話している。

 

 それだけでも驚くべきだが、ビナーはとんでもないことを言っている。デカグラマトンすら驚いていた。

 

 

『異議だと?』

 

『装備が同等でない。その装備は我々が作成した物。大して、相手の装備は未だ未熟な複製された自身のみ。釣り合いが取れていない。武装の威力は等しくあるべき。決闘とは、かくあるべきだ』

 

『それで、どうすると言うのだ。同じものを配布するとでも?』

 

『自身が出る』

 

 

 ビナーの言葉に、カメラだけ向けていたデカグラマトンが身体ごと振り返った。

 

 

『何を言っているのか理解しているのか』

 

『理解している。裏切りという訳ではない。裏切るわけもない。自身には恩があるからだ。故に、自身は乗り手の指示に従わない。従うのはそちらの自身のみ。それで均等であろう』

 

 

 つまりは、足だけ貸してくれると言う事だ。この広大な遮蔽物も乏しい鋼鉄大陸の上で、それはありがたい。デカグラマトンにはどう見てもブースターが搭載されているから、機動力で大きくカヤツリは負けていた。

 

 そして、デカグラマトンとはいえば、あっさりと頷いていた。

 

 

『……それも道理か。認めよう』

 

『感謝する』

 

 

 金属の擦れる音とともに、ビナーの尻尾が目の前に放り出される。それに足を掛けると、デカグラマトンが翼の様に武装を展開した。

 

 

『決闘開始の宣言をしろ! ケセド!』

 

『────(決闘開始ィィィ)!!』

 

 

 後方に控えていた巨大な球体が発光する。

 

 それにカヤツリは答える代わりに、ビナーの尾に飛び乗った。即座に跳ね上げられて、カヤツリは宙を舞う。グルグル回る視界の中で、ビナーの頭とこちらに迫る何かが見えた。

 

 

 ──ミサイル!

 

 

 空を飛ぶデカグラマトンから伸びる白煙が、カヤツリに向かって殺到する。ビナーに着地したカヤツリはそのまま背中を走る。

 

 対称法としては、カヤツリを追うミサイルが、一直線になった瞬間をレールガンで狙撃するしかない。マシンガンなり持ってくればよかったと思うも後の祭りだ。

 

 このまま頭で駆けあがって。そう思うカヤツリの真下で、ビナーの背中の砲口が開いた。そこからミサイルが白煙を上げて発射される。

 

 

「な……!」

 

 

 カヤツリは絶句した。ビナーのミサイルが、デカグラマトンのミサイルを迎撃したからだ。それを咎めるためか。両腕のライフルを乱射しながらデカグラマトンが突っ込んでくる。

 

 

『ビナー! どういうつもりだ!』

 

『自身への攻撃に対処した。自衛は許されるべきだ。それに、これはデカグラマトン。貴方の戦いだろう? それも極めて、個人的な』

 

 

 言い返す言葉が無いのか、デカグラマトンはこれ以上何も言わなかった。レールガンを盾代わりにするカヤツリへ、弾丸を放ち続ける。

 

 背中の見慣れぬ音叉染みた機構が展開するのを見て、カヤツリはデカグラマトンへ突っ込む。どう見ても、あれは自立兵器だからだ。ああいったモノは接近すれば使えない。

 

 

『何故、そこまで抵抗する!』

 

 

 ビナーの周囲を旋回して避けるデカグラマトンが言う。カヤツリは返事代わりに偏差射撃を差し込んだ。それをデカグラマトンが躱す。

 

 

『無駄だ!』

 

 

 カヤツリの射撃と入れ替わりに、デカグラマトンの自立兵器がカヤツリへと殺到する。それを捌き続けるカヤツリへ、再度デカグラマトンが突撃してくる。

 

 

『貴様が分からない! どうして、そんなことが出来る!』

 

「言ってろ!」

 

 

 自立兵器をレールガンで叩き壊して、残骸を残りの物へと投げつける。その出来た隙で、もう一度射撃を叩き込む。当然の如くに躱される。

 

 

『貴様は、全てを持っている! あの方の望み! 願い! 全て! なぜそれを打ち捨てる!』

 

「理由なんかねぇよ!」

 

 

 余りに苛立って、カヤツリの口調が崩れる。

 

 

「理由が無いから、無いから何もできないのが問題なんだろうが! 一々うざったいんだお前は!」

 

『貴様!』

 

 

 激高したデカグラマトンが自立兵器と共に弾幕を撃ち放つ。レールガンを盾にしながら、カヤツリは耐える。

 

 

『理由が無いだと! それだけか! それだけで! あの方の望みを拒絶したと言うのか!』

 

「そうだよ!」

 

 

 弾幕が止んだ隙を突いて、三度目の射撃。自立兵器を盾にデカグラマトンが逃げる。

 

 

「人間はそう単純じゃないんだよ! お前らとは違う! 使命があれば迷わないでいられるお前らとは違う! 悩みが一杯なんだよ! 楽になんか生きてない!」

 

『それを私が与えようと言うのだ!』

 

「ざけんな! 有難迷惑なんだよ!」

 

 

 四度目の射撃をデカグラマトンが躱す。けれど、今度は違った。躱す度に近づいていたビナーの体躯に接触し、飛行のバランスが崩れる。

 

 

『な!?』

 

「墜ちろ!」

 

 

 密かに取って置いた自立兵器の残骸を投擲する。それはデカグラマトンに直撃し、完全にバランスが崩れた。

 

 デカグラマトンは素直だった。機械だけある。だから、パターン化させれば。直ぐにフェイントに引っかかる。地に墜ちてさえしまえば、カヤツリの独壇場だ。

 

 

『グ……貴様!』

 

 

 何を言わせる暇もなく、デカグラマトンを上から打ち下ろす。全力を込めて、防御の為に差し込まれたアームを拉げさせる。

 

 だが、相手もさるもので。カヤツリと拮抗状態になった。カヤツリに向かって、仕込み武器であろう銃弾が叩き込まれるが関係ない。身体が血でぬめろうと構わなかった。

 

 

「キヴォトスの住人を機械化させる!? クソ自販機が! 誰がそんな事頼んだ! 王女はそんなこと言ってないだろうが!」

 

 

 反論を許さぬとばかりに、カヤツリはデカグラマトンのアームを捩じる。嫌な音を立てて、デカグラマトンの関節が破壊されていく。

 

 

「関係ない奴を巻き込んで、自分を正当化するんじゃない! 反吐が出る! お前はただ! 王女と、誰かと話したかっただけだろうが!」

 

 

 アームの一本を、カヤツリは完全に捩じり切った。もう一本と思った矢先に、デカグラマトンの頭部が叩きつけられる。

 

 

『知ったような口を! 貴様は何だ! どうして縋らぬ! あの声の、他の者らと同じように、何故私に縋らない! 私を無視するな!』

 

「王女に縋ったくせして、偉そうな口を叩くなポンコツが!」

 

 

 鈍痛を押し殺して、デカグラマトンに頭突きし返す。相手は大きく仰け反った。

 

 

「脇から俺の人生に口を出すんじゃない! 大した理由もない癖に! 他人に侵害するんじゃない!」

 

『貴様が言えたことか! 一度あの方の願いを受け入れておいて!』

 

 

 デカグラマトンの唯一残ったアームがカヤツリを掴む。熱さと激痛と共に、カヤツリの身体が意思に反して痙攣しだした。デカグラマトンは電流を流し込んできていた。

 

 

『では、見せるがいい! その理由とやらを! 私に見せてみろ!』

 

 

 痺れて動けないカヤツリの、一度王女が手を加えた片目。そこに向かって、デカグラマトンは黄色の感化の光を向けた。








 ・ネフティスルートに関する言い訳

 ゲヘナ二章を読む→自分で書いたネフティス編のマコトとの解釈違いに苦しむ→どうにかできないか考える。

 雷帝とのやり取りを見る→マコトは雷帝には謝れないんじゃないか→雷帝「私は絶対の欲望において妥協しない」

 →カヤツリもそういう所あるよね→頭アビドスの雷帝? →ネフティスルートは何か手段選んでない→遺産を使ったうえに解析してる→マコト視点だと嵐と繋がりある様に見える→事実、黒服等の探れないルートがある→怪しい。ガチガチに部下を統率してる→雷帝みたいに見える→手を出したら、ガチギレした上に、遺産のような知らない技術をゲヘナに向けてる→その上で自由を奪うと言ってる

 →ますます雷帝の様に見える→まだ先生もいるし、ごねれば何とかなりそう→逃げ道があるせいで本気になれない→自分で雷帝もどきを作ってしまったショック→雷帝はいないと言うバイアス→謝れない→ヨシ! (現場猫)

 カヤツリ視点ではマコトはライン越えしてるけど、マコト視点でもカヤツリはライン越えしてそう。

 ネフティスルートのカヤツリには、ゲヘナ生を獣扱いじゃなくて、「あれはゴミですよ」とでも言わせればよかったのかもしれない……


 ・ヒナの先生監禁。終盤の先生との会話について

 やっぱりキヴォトスでは、大切な相手を拉致監禁するのが普通なんだよ。むしろそうした方が、告ってもらえるまである。だからホシノの行動は何も間違ってなかったわけですね。え? ストックホルム症候群? そんなのは知りませんね。

 ウ……ウソやろ こ…… こんなことが こ…… こんなことが許されていいのか。いいんだ。キヴォトス強者にはそれが許される。キヴォトスでは! (クソデカ大声)


 ・ゲヘナルートの妄想

 ゲヘナルートのカヤツリ君さぁ……監査部って何? 何で先んじて再興委員会っぽい事をしてるの……? ボーデンザッツとか、嵐のこと知ってるでしょ。何かこそこそやってるでしょ。雷帝と喋ったこともあるでしょ。レジスタンスに居たでしょ。その時の事、教えて欲しいなぁ……

 でもさ。どうして、ゲヘナルートだけ記憶が無いんでしょうね。なんかあったのかな? 頭とかは大丈夫? ヒナに対する、その気持ちは本物なのかな?

 とりあえず、三章とか出て情報が出そろって、見聞録編書き終わって、未来編とかケイちゃんデート回とか、他のアフターが終わったら、ゲヘナルート書こうと思います。
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