ホシノ同級生相棒概念 作:洞鼬
取引相手との電話から数日。善は急げとばかりに、なんとか時間を空けたカヤは、シャーレビルへと移動していた。
シャーレビルの立地は、連邦生徒会地区から30㎞離れた外縁地区。徒歩では遠すぎるため、護衛のヴァルキューレの部下一名を連れて、装甲車での移動である。
護衛と装甲車が必要なのは、シャーレビル付近は相応に治安が悪いから。以前がそうであったのだから、今はどうなっているか予想は容易い。これでも不安なくらいで、本来であればFOX小隊を連れて行きたいくらいだった。
そんなカヤの心配をよそに、装甲車は今のところは順調に進んでいた。カヤは装甲車に揺られながら、電話口でのアドバイスを思い出していく。
──良いか。ある程度は本音を混ぜるのだぞ。ハナから利用しようとしてはいかん。その意図を欠片も見せるな。言われた以外の物で釣ろうとしてもいかん。あくまで協力という体を崩すな。
相手が言うには、そうしなければ敵対するだろうのこと。てっきり、もっと何かを知っていると思っていたのに、与えられたのは面倒な指示だけだ。
カヤとしては、弱みとか秘密とか、好きなものとか。言うことを聞かせられそうな物を期待していたのだが。これではカヤの強みを活かせないどころか、全くもって不得意な分野に足を踏み入れねばならない。
「チッ……」
自分で言いだしておいてなんだが、もうカヤは嫌になってきていた。取引は相手の望むものを提示する所から始まるが、今のカヤにはそれがない。
今までは権力とそれに付随する物で何とかなっていた。相手の欲しがるものはその範疇のものだけで、カヤも大体相手の欲しがるものは分かる。
だが、カヤツリ相手は話が違う。カヤには、カヤツリの欲しがるものなど、とんと見当がつかないのだから。
──分かりませんね……
そう、何もかもが分からない。いつまでも収束しない状況の解決方法も、七神リンも、兎馬カヤツリも。
いや、分かりたくもないのかもしれない。だから、嫌になって、気に入らないのかもしれない。カヤツリはリンと同じだから。カヤが欲しくてたまらない物を持っていて、それを何とも思っていない。そのくせ、それをカヤにくれもしない。そんな奴らの事など、分かりたくもない。
そんな奴に、頭を下げなくてはいけない。へり下って、私は、ああで、こうして困っているんです。だから助けてください。対価として、あなたの望みは何ですかと聞かねばならない。
取り繕ったものでしかないし、形だけとはいえ、それをするのはどうにも嫌だった。
「着きましたか」
嫌だ嫌だと考えているうちに車が停まる。運転席の護衛に声を掛けると、護衛は首を横に振った。
「瓦礫で、道が塞がれてます」
運転席の方へ首を突っ込むと、護衛の言う通りに道を塞ぐ瓦礫が見えた。不良同士の小競り合いだろうか、近くの建物が爆破されて崩れたらしい。
それで先に進めないと言っている。そう思うよりも前に、カヤは怒りが湧く。ここは天下のD.U.地区だ。例え外縁部にほど近いとはいえ、連邦生徒会の管理する土地なのである。
だというのに、何だこれは。ただでさえ機嫌が悪いところに、爆弾を投下されて、カヤの中の何かが切れた。
「そのまま行きなさい」
「は? いやでも、どう見ても怪しい……」
「何を言ってるんですか。これはヴァルキューレの装甲車ですよ。唯の瓦礫など、大したことはありません」
カヤは構うものかと、車を前進するように言う。移動すらままならないなど、そんな事はあってはならない。
部下は不満そうではあったが、渋々車を走らせ始める。それを見て、カヤは少しだけ溜飲が下がる。カヤの言う事を聞いて動く。漸く当たり前の事象が戻ってきたことが、カヤを安心させてくれた。
「ああ、そうだ。これでいいのかもしれません」
いい事を思いついた。この治安の事を突けばいいのだ。シャーレ近辺の治安を、どうしてカヤへと言わなかったのか聞けばいい。
何かあって言わなかったのならそれでよし。それには何か理由があって、カヤに対する隠し事になるだろう。それは防衛室の、カヤの仕事だとでも言ってもそれでいい。
カヤの側も、理由があってそう出来ないのだと押し出していけばいい。実際、それら全てはカヤの所為ではないから、それを詳らかにするのに恥はない。逆にリンの失策を論うくらいだから気分が良いかもしれない。
それで、協力させればいい。そうしなければ、何もできないと突っぱねればいい。カヤは悪くなくて、悪いのはリンだからだ。カヤの言う事を聞かないリンの所為。
「なんですか。また瓦礫ですか」
再び車が停まり、いい気分に水を差されたカヤは、運転席に声を投げる。
「……何です? 返事くらいできるでしょう?」
返事が無い。運転席には護衛がハンドルを握ったまま、前を見ている。居眠りをしているわけでもない。ただ前を見て固まっていた。いや、震えている? 震えながら何かを呟いている?
「……の狐……!」
「は? 何と……」
何を呟いているのか、それを聞こうとしたカヤは前を見た。見覚えしかない狐の面を確認した瞬間、カヤは大きな揺れと衝撃を感じ、目の前が真っ暗になった。
□
「はっ!」
カヤは意識を取り脅した。地面に転がされていたのか、視界が傾いている。身体もぶつけたのか節々が痛い。
身体を起こせば、そこは見覚えのない建物。どこかのビルの内部。近くには護衛が着の身着のままで転がされている。カヤ同様、縛りすらされておらず、意識を失っていた。
痛む身体をさすりながら、カヤは立ち上がる。
「クソ……狐坂ワカモですか。あんなのがいるなんて、聞いてませんよ……」
装甲車の前に立ちはだかっていたのは七囚人の一人、狐坂ワカモだ。よりにもよって七囚人で一番手が付けられない生徒である。
尋常でないまでの破壊衝動。それによって好き勝手に目的もなく暴れるのが狐坂ワカモだ。ここに居るのも不思議な話ではなく、カヤを恐怖が襲う。
きっと、狐坂ワカモは恨んでいる。カヤは防衛室長でヴァルキューレの親玉だからだ。憂さ晴らしに痛めつけられてもおかしくはない。その為に護衛共々ここに押し込んだのだろう。きっとカヤを甚振るつもりだ。
自分の身体を弄れば拳銃があった。カヤは安堵とともに、それを握りしめる。そしてあたりを見渡すと、妙な違和感に気づいた。
「……随分と、綺麗ですね」
床がきれいだ。ここが狐坂ワカモの拠点だとして、誰かから奪った物になる。少なからず戦闘行為があったにしては、綺麗すぎた。
「目が覚めましたか」
「誰です!?」
急に声を掛けられて、カヤは銃を構えつつ振り返る。そこにいたのは、狐坂ワカモではなかった。
少女だ。長い黒髪、赤い瞳、連邦生徒会の制服を着た見覚えのない少女が居た。
少女は、銃を突きつけられているにも関わらず、呆れた顔でカヤを見ている。
「随分な態度ですね。助けられた者の態度には見えません」
「助けられた?」
カヤは銃を構えたまま聞くと。ええ、と少女は頷いた。
「車で来たんですか? 路上に放り出されている所を回収したんですよ。そうでなかったら、今頃は不良に人質にされていたかもしれません。少なくとも、今そうして元気に銃は構えられなかったでしょうね」
「む……」
カヤは銃を降ろす。そうなら、この場所が綺麗なのも納得がいく。目の前の少女も連邦生徒会の制服を着ているから、カヤを仲間として助けてくれたのだろう。
全身が埃塗れで痛いが、カヤは気にならない。狐坂ワカモのお陰で、カヤツリへ要求がしやすくなった。そう考えれば悪い事でもない。
「ここはどこです? 私はシャーレビルに用があるのですが……」
「なら、手間が省けましたね」
「何を……?」
少女は訳の分からない事を言う。事態が飲み込めないカヤに、少女は告げる。
「ここは、シャーレビルですよ。良かったですね。移動の手間が省けて」
「……そうですか」
普通なら喜ぶところだろうが、素直にカヤは喜べなかった。余りにも都合が良すぎる。
「助けてくれたのは、あなたの上ですか?」
「上……?」
「ここのトップである、兎馬カヤツリかと聞いているんです。それに、私の事を知らないんですか?」
少女の察しの悪さに苛立ちつつも、カヤは言う。でも、少女は首を傾げる。
「……あなたの事は知りませんよ。興味もありません」
一瞬、カヤは何を言われているのか理解が出来なかった。今自分は何をされている? まさか、喧嘩を売られているのだろうか。防衛室長である自分が、こんなヒラの役員相手に?
妙だった。カヤは何故こんなにも自身が怒っているかが分からない。こんなヒラの役員の言うことなど、普段は気にしないのに。やけにこの少女の態度が癪に障った。
怒りで震えるカヤに気づいているのかいないのか。少女は狼狽えもしない。
「ああ、それと、あなたをここまで引き摺ってきたのはカヤツリですよ。そんな態度を向けるべきではないと思いますけど」
カヤツリが自分を助けた。それを聞いて、カヤの頭が回転を始めた。事前に聞いた情報がカヤに囁く。
──これは、カヤツリの策略ではないのか?
どうにもタイミングが良すぎた。カヤが偶々やって来て、そこを襲撃されるなど。そうやって恩を売りつけて優位に立つつもりなのだろうか。相手だって言っていたではないか。カヤツリは動かずに周りを動かすのだと。今回もそうなのではないのか。
そう考えると、全ての辻褄が合う気がする。カヤが一息つくと、先ほどまでの苛立ちは治まっていて、カヤの頭が妙に冴えてきた。
「……ああ、帰ってきましたね」
少女はカヤから目を離して、後ろの扉に目をやると、奥から足音が聞こえた。重い足音が近づいてきて、扉が開く。
「……目が覚めたのか」
「そうですね。今さっきに覚めました。私に銃を向けるくらいには元気一杯のようです」
「は?」
扉を開いたカヤツリは、カヤを一瞥した後、少女の言葉に間の抜けた顔をする。少女を見た後、どうしようもない物を見る目で、カヤを見てくる。
「何だ、犯人と間違われて撃たれたのか?」
「いいえ。何か色々と考えていたようですよ。やっぱり私の言う通りにしておいた方が良かったんですよ」
少し嬉しそうに微笑んだ少女は、カヤの方へ笑みを消しつつ一瞬視線を向けた。
「放っておけばよかったんです。それをわざわざ治安維持がてら拾ってくるなんて、面倒を抱え込むようなモノですよ?」
「防衛室長を放置はできないだろう。それに、ここへ来ることを誰かに言っていたら面倒じゃないか」
「本当に、それだけですか?」
少女はカヤツリへと近づいて、ジロジロと下から顔を観察している。カヤを横目で見ながら、指でカヤツリをグリグリと突く。
「個人的な理由がありそうですが? 私が調べたところでは、誰かさんと、よぉく似ているみたいですし」
「それで防衛室長。ここに何の用です?」
少女の追及を、カヤツリはカヤへ話題を振る事で回避した。それは上手くいったようで、少女は軽い舌打ち一つで口を閉じていた。
だが、当て馬に使われたカヤの気分は最悪だ。だから、こんな言葉が飛び出てしまう。
「私を嵌めたでしょう」
「嵌めた?」
知らない振りをするカヤツリに、カヤは腹が立って、思っていることをぶちまける。
「だから! マッチポンプだと言っているんです! 私は騙されませんよ!」
「……いや、何を言ってる?」
「だから言ったじゃないですか……」
カヤツリは敬語が抜け落ちるほどに困惑し、少女の方はどうしようもないと言うように首を振っている。
「この女は、良からぬことを考えて来たんですよ。だから、こんな訳の分からないことを言うんです。私たちを嵌めようとした。そういうことを考えて来たから、そんな考えが一番に浮かぶんです」
「だって、おかしいじゃないですか。どうしてこんなにタイミングがいいんですか!」
「いや、今ここの治安が悪い事は知っているだろう。防衛室長なんだから」
「だから、装甲車で来たんですよ!!」
知っていたから、カヤは準備をしてきたのに。狐坂ワカモをぶつけてくるなんて卑怯にも程があった。これがマッチポンプでなくて何なのか。憤るカヤに、カヤツリは目を丸くしていた。
「装甲車? そんなんじゃ足りない。その貧弱さじゃ、戦車位は持ってこないとな」
「だから! あなたがこうしたんでしょう! 治安をワザと悪化させたんです! 私の想像以上、狐坂ワカモが跳梁跋扈するほどに!」
そうだ。そうに違いない。そう吹き上がるカヤではあったが、カヤツリは怯まない。と言うよりも信じられないような目でカヤを見ていた。
「……まさかとは思うが防衛室長。キヴォトスの治安をD.U.地区。それも連邦生徒会のある中心街基準で考えているわけじゃないだろうな」
「言い逃れは止めてください。それが何の──」
「そこは一番キヴォトスで治安がいいからだが。そこを基準にされたら困る。見たことが無く、知りもしないから、装甲車で来たわけか……何も、いや。連邦生徒会周囲の事しか知らないんだな」
防衛室長なのにと、カヤツリだけが納得したように呟いていた。困惑しかなかった視線に、どこか憐れみと、懐かしさのようなモノが見えて、カヤの苛立ちが増していく。
「なら、あなたは知っているとでも!?」
「知ってるから、言っている。言うまでもないと思うけども」
カヤは、今更ながら思い出す。それは、そのはずだ。目の前の男はアビドス出身だった。そんな人間にしてみたら、そんな台詞しか出てこないだろう。
だが、カヤにしてみれば知ったことでは無い。知らないなら知らないでいい。知っている奴にやらせればいい。皆そうしている。だから、カヤもそうするのだ。
「なら、私に従いなさい。私の下で、この状況を対処するべきです。よく知っていると、自分で言ったのですから」
「そいつは無理だな。防衛室長」
カヤツリは淡々とカヤの言葉を跳ね除けた。目には面白がるような、探る様な色がある。
「防衛室長とはいえ、そちらに権利はない。幾らここが、連邦生徒会の直属組織でも、会議も無しには無理だ。連邦生徒会長であれば話は別だが、防衛室長はそうじゃない。
甚振る様に、カヤツリはカヤへ正論を突きつける。頭が固い、杓子定規の答えが苛立ちに燃料を追加する。それはリンでお腹いっぱいで、もう聞きたくはない。
「この状況が良くない事は其方も分かっている筈。そして、今の連邦生徒会の状況も。だから、其方はこの状況を放置している」
「さぁ、どうだろう」
「その服の汚れ、自分で対処しているのでは? それを言わないと言う事は、分かっているのでしょう? 今の連邦生徒会にその力が無い事もです」
「分かっていたから、なんだと?」
のらりくらりとカヤツリは答えを濁してくる。それにカヤは噛みつくので精いっぱいだ。それに飽きたのか、カヤツリはため息を吐いた。
「連邦生徒会が動かないから、手順を飛ばして、防衛室の言う事を聞けと言うんだろう? 防衛室側のメリットとして、治安の回復を持ってきたわけだ。じゃあ、此方のメリットは? 俺一人で十分で、俺は困っていない。代行以外へ電話が掛けられないのは困るが、それくらいだ」
「防衛室と縁を繋ぐのは悪くないと思いますが?」
「俺はいらない。言う事を聞く理由が無い。居なくなった連邦生徒会長を別にしてな」
「あんなに嫌っているのにですか?」
一瞬、カヤツリが固まった。唯一の隙らしい隙に、カヤは言葉をねじ込む。
「最初に会った時。連邦生徒会長の悪口を言っていたでしょう。それなのに、今も命令を聞くのは何故ですか? 超じ……連邦生徒会長から見捨てられ、其方は嫌っていたのに」
今のカヤツリの居る組織は、連邦生徒会長直属から、誰とも知れぬ先生と言う人間の管轄に変わっている。いきなり上役が変わるのは大きなことだ。しかも相談も無しにそうなった。それは、見捨てられたのと同義ではないのか。あの自販機でも、連邦生徒会長の悪口を言っていた。
もう、連邦生徒会長はいない。だから、彼女の頼みを律儀に守る必要はない。それなのに、カヤツリはこの組織を守っている。組織系統の話では理屈が合わない。
「……そりゃあ、それ以外の理屈があるからだ。人にものを頼むときは、対価が必要になる。それが何であれ……前に話したな。これ……」
話を止め、同じ話をするのを面倒くさがるように、カヤツリは溜め息を吐いた。
「対価には色々ある。防衛室長が言ったメリットであったり、他にも幾つか。連邦生徒会長の場合は唯の義理でそうしているだけだ」
──義理? 義理と言いましたか? ならどうして、私の提案は断るんですか!
どうにかして、カヤは言葉を飲み込んだ。それなら、義理だと言うのなら。カヤの提案も聞いて良いはずだ。でも、カヤツリはそうは思わないらしく口は止まらない。
「それはある程度の信頼があったからだ。最低限でも確かにあったそれが、其方との間には無い。聞く義理はない」
「なら、それがあれば聞くわけですか?」
腹が立った。カヤの知る世界を否定された気がする。義理や信頼など、そんなものは仕事の邪魔だ。そうであれば、リンはもう少し上手く連邦生徒会を回しているだろう。
カヤの知る世界はそうだった。上と下に人が居て、どうやって下を上手く使うかが全て。上の言う通りに下が動かないから失敗する。そういう世界。
その点で連邦生徒会長は完璧だった。義理や信頼などは関係なく、誰もが彼女を慕い、誰もが言う通りに動いた。それは彼女が超人だったからだ。カヤは、ああなりたかった。
それなのに、このカヤツリと言う男は連邦生徒会長を嫌い、連邦生徒会長の理論で動かない。カヤよりも連邦生徒会長の真似ができるかもしれないのに、そうしない。
本当に気に入らない。その上、黙ったままになったカヤに向かって言うのだ。
「聞くだけはする。やるかどうかは分からないが」
「……そうですか。私と護衛を回収したことは礼を言っておきますよ」
苛立ちで頭がおかしくなりそうなのを堪えて、カヤは護衛を叩き起こそうと踵を返す。
割合、上々だったのではないかと、自分を慰める。醜態を晒したが、今の連邦生徒会を憂慮しているという姿勢は崩さずに済んだ。新連邦生徒会長になるとか、カイザーとのつながりまではバレてはいない。
「ちょっと待ってほしい」
「……なんですか」
もううんざりだと振り返れば、カヤツリが呼んだ姿勢でいる。傍に居た少女は扉を開けて居なくなるところだった。
「そのまま帰るつもりかと言うのが一つ。そしてもう少しで来客がある。話があるなら、その人間とするべきじゃないか? その来客と一緒に帰ればいい」
「こんなところに誰が来ると言うんですか? 何の用事で?」
「そうだな。これを取りに、とか」
カヤツリが何かを胸の前に掲げる。それは薄い板のようなモノで、タブレットに見える。その正体を、カヤはよく知っていた。
「もうすぐ先生がここへ来る。言いたいことがあるなら、先生に言えばいいんじゃないか?」
シッテムの箱を掲げたカヤツリは、そうカヤへと告げた。
Hoshino takanashi checker Start!!
Pink hair…ok!
Long hair…ok!
Idiot hair…ok!
body-build…ok!
extremeness……ok!
obsession……ok!
Stubbonness……ok!
hard on myself……ok!
This is Hoshino takanashi!!