ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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64話 思惑

 風紀委員会との戦闘が始まった。

 

 風紀員会は盾持ちを前面に押し出して、後方から射撃してくる陣形で攻め立ててくる。便利屋と対策委員たちは、近くの遮蔽物に身を隠す。さっきまでいたところに銃弾の雨が降り注いだ。

 

 先生としては戦闘になるかもしれないとは思っていたが、ここまで暴力に訴えてくるのは予想外だった。そのせいで対策委員への指示が遅れる。

 

 便利屋はともかく対策委員たちは迷っていた。カヤツリの所に行くか、前線をカヤツリ一人に任せるか。それを見たアルは先生に向かって叫ぶ。

 

 

「先生! 私たちは自分で動くわ! 先生は対策委員に注力して!」

 

 

 アルはそう言って、便利屋に号令をかけた。

 

 

「いつものようにいくわよ!」

 

 

 ハルカが前衛を張り、ムツキとアルがカヨコの指示に従い、後方から狙撃と爆弾を繰り出す。盾持ちに防がれて攻撃は後方まで届いていないが、先生が背中のイオリを下ろして対策委員を集めるくらいの時間は稼げそうだった。

 

 

「カヤツリ先輩は……」

 

 

 シロコが心配そうにカヤツリがいる方向を見やる。カヤツリはもう動き出していて、正面の盾持ちを盾の上から蹴りを入れて崩した後、盾を奪い取っていた。そのまま盾と警棒を振り回し陣形を食い破ろうとしている。

 

 あそこに援護に入ったところで邪魔にしかならない。それならカヤツリを狙うであろう他の所を牽制した方が良い。先生含め対策委員は、カヤツリの様子がおかしいことに気がついていた。けれど、今カヤツリに声を掛けたところで反応はしてくれないだろう。

 

 

「……今は、風紀委員会に集中しよう。カヤツリを援護してあの陣形を崩さなきゃ。皆、それでいいかい」

 

 

 対策委員は頷いて、各々の銃を構えて攻撃を開始した。

 

 

 □

 

 

『アコ行政官。このままで大丈夫なんですか?』

 

 

 ホログラム越しに前線のチナツが後方にいるアコに向かって、訝しむように問いかける。

 

 大丈夫なわけがない。これは時間との勝負なのだから。時間を掛ければ掛けるほどにリスクが上がる。

 

 アコは焦りを悟らせないように、視線を向けず平然とした態度を崩さないよう細心の注意を払って返答した。

 

 

「問題ありません。この場所はグレーゾーンですし、この第二陣が突破されても、まだ第三陣の部隊が残っています。幾ら一人一人の地力がこちらを上回っているのだとしても、数で押せばいい。無限に戦い続けられる者など居ませんから」

 

『……そういうことではなく。あそこにいるのはシャーレの先生ですよ』

 

 

 納得しないのかチナツが食い下がる。いよいよ無視できなくなったアコはチナツの方に目を向けた。シャーレなど後でどうとでもなる。余計な質問で時間を無駄にしないでほしかった。それが態度に出たのか、少し口調がきつくなる。

 

 

「……それが? 風紀委員を人質に取って、要求をしているのは向こうですよ? 我々、風紀委員会は仲間を助けるために”仕方なく”応戦している。それでいいじゃないですか。別に先生を害しようという訳ではありません。戦闘が終わってから、ゲヘナで先生とこれからの事について話せばいいでしょう?」

 

『……わかりました』

 

 

 これ以上は平行線だと悟ったのか、チナツは戦闘支援に集中するようだった。それに、アコも安心して戦場の把握に戻って唖然とした。

 

 

「嘘でしょう? もう崩されるなんて……」

 

 

 壁として配置した盾持ち。それがもう食い破られていた。穴が開いたところから崩れ始めていて、部隊の壊滅も時間の問題だった。便利屋やアビドスを相手にするために対爆・対貫通仕様の盾を用意した意味がない。アコの想定外の事態が起こっている。アコは誰かに教えてもらわなくとも、それが何なのか分かっていた。

 

 

「本当に嫌らしい戦い方をしますねぇ!」

 

 

 前線で暴れているアレのせいだ。そのせいで前線がズタズタだ。本当に禁じ手を使ってくれる。

 

 アレがイオリを倒してから、ここに来るまでの戦いをアコとチナツは見ていた。やられたイオリは気づいていないようだったが、チナツとアコは、そこまでやるのかとも思ったのだ。

 

 強くて、ある意味単純なイオリは良い。けれど、他の風紀委員や後方支援組はあの戦い方を見てどう思うだろうか。

 

 答えは”戦いたくない”だ。

 

 もちろん、風紀委員の誰もが戦いを忌避しているわけではない。銃で撃たれるのは良い。風紀委員会では日常茶飯事だからだ。当たり所が悪くても気絶するくらいで大きな怪我もない。

 

 けれど、あれは違う。あの戦い方は戦闘不能にするというより、心を折る戦い方だった。誰が自分の身体を破壊されたいと思うだろうか。目の前で他の仲間の腕や足が折られたり、腹を踏みつぶされたり、頭を思い切り蹴り飛ばされているのだ。

 

 戦えば、次にそれをされるのは自分たちだ。腰が引けるだろう。攻め手も緩む。実際にやられたら反撃してやろうなんて気持ちもわかないだろう。反撃したらもっとひどい目に合うからだ。見ているだけのアコでさえそう思うのだから、今戦っている部隊の士気はもうズタズタだった。敵前逃亡していないだけまだマシだ。

 

 

「いや。本当にマズいですね。今度は時間が足りない……!」

 

 

 思ったよりも第二陣の崩壊具合が酷い。今から急いでも第三陣が間に合うか微妙なラインだ。そんな、焦るアコに天からの助けが下りてきた。

 

 

『ねぇ、アコ。今回の遠征はあんたの独断じゃないの?』

 

「カヨコさん。どうして、そう思うんです?」

 

 

 便利屋のカヨコだ。幾ら勝利目前とはいえ、戦闘中の敵に話しかけるのは不自然だ。カヨコは、今回のアコの思惑に当たりをつけようと、探りを入れてきているに違いなかった。

 

 都合がいい。

 

 アコの今回の目的を知られたところで、勝てば幾らでも誤魔化しがきく。カヨコが得意げに語っている間に部隊の展開が終わるまで時間を稼ぐ。

 

 

『ヒナのやり方じゃないよね。こんな非効率なやり方は。姿も見えないし、ここには居ないんでしょ』

 

「ええ。ヒナ委員長は居ませんね。委員長はお忙しいので」

 

 

 むしろ居られたら困る。普段なら一日中傍にいて欲しいくらいなのだが、今だけは委員長にバレるわけにはいかない。事後報告でも怒られないか怪しいくらいだ。けれどアコにとって、ゲヘナ情報部が仕入れてきた情報は無視できるものではなかった。

 

 あれが本当なら”条約”がらみで委員長に不利なことが起こるかもしれない。

 

 委員長が何より大切なアコにとって、それは看過できない事象だった。

 

 

『あんたの目的はシャーレの先生じゃないの? 私たちの捕縛なんて建前で、アビドスに赴任している先生をゲヘナに連れていく。そうでしょ』

 

『……私?』

 

 

 少し驚いた。正解だ。先生は驚いているようだが、彼は自身の価値をよくわかっていないらしい。

 

 

「ええ。それで合っています。正解したサービスに教えてあげますよ」

 

 

 アコは、もう少し時間を稼ぎたくて、長話をすることにした。便利屋と対策委員会も聞き入っている。前線で暴れていたアレもだ。

 

 

「きっかけはティーパーティでした。彼女たちがシャーレの先生の報告書を握っているという情報をウチの情報部が掴みまして」

 

 

 それは大問題だった。万魔殿の狸どもは気にした様子もないのが最悪だった。きっと条約推進派の委員長の足を引っ張りたくて、無視しているのだ。……案外素で忘れているかもしれないが、アコにとっては捨て置けない可能性である。

 

 

「シャーレ。失踪した連邦生徒会長肝いりの新組織。その顧問は外からやってきた大人。あらゆる学園の垣根を越えて、あらゆる争いに介入する権利を持つ超法規的機関。その報告書をトリニティのティーパーティだけが持っている? トリニティと組まれるのは困ります。それはわかるでしょう?」

 

 

 そんな個人に付与するには危険な権力を持っている大人の情報をゲヘナだけが持っていない。怪しいどころの話では無く、非常に危険だった。だから、アコは強硬手段にでたのだ。

 

 

「”条約”の件もありますし、調印式が終わるまでは先生にはゲヘナで”休暇”でも取ってもらおうかと」

 

『そこまでやるの? そんなに大事? ”エデン条約”は』

 

「いえ? 私の大事なものは委員長だけですから。委員長が関わっていなければ、あんな条約に関わりたくもありませんね」

 

 

 第三陣の部隊の展開が終わった。時間稼ぎが上手くいってアコは口が吊り上がるのを感じる。機嫌よく先生含めた彼女たちに告げた。

 

 

「私の長い話に付き合って下さってありがとうございます。おかげで部隊の展開も終わったので、続きと行きましょうか」

 

 

 現れた第三陣を見て表情が曇る彼女たちにアコの溜飲が下がる。後は、このまますり潰せば終わるはずで、委員長の障害を取り除けたことにアコは一安心した。

 

 通信端末に連絡が入る。余韻をぶち壊されたことにアコはイラついたが、連絡先を見て飛び上がった。

 

 

「なんですか良いところなのに……。え? ヒナ委員長!?」

 

『アコ』

 

 

 ホログラム上に風紀委員長──空崎ヒナの姿が現れる。相変わらずのかわいらしさで、アコのテンションが上がる。

 

 

『アコ。今何してるの。外にいるみたいだけど』

 

 

 それはマズイ。さっきまで上がっていたテンションが急降下する。委員長に怒られるのは良い。ただ、まだ早い。今は全力で誤魔化さなければならなかった。

 

 

「えーっとですね……。今立て込んでて……そう! パトロール中に便利屋を見つけまして……それで……」

 

『便利屋? 便利屋68?』

 

「ええ! ええ! そうです! もう少しで終わりますので、ヒナ委員長は自分の仕事に戻っていただいて……」

 

 

 このまま押し切ればなんとか……。そんな願いを込めてアコは言葉を紡ぐ。委員長は少し黙った後に呟く。

 

 

『そう。立て込んでるって? 何か大変なこと?』

 

「ええ、大丈夫です。ヒナ委員長の手を煩わせる程の大事じゃありません」

 

 

 嘘だ。後で幾らでも怒ってくれていいから、この場は誤魔化されてほしかった。けれどその願いは届かない。

 

 

『『他の学園の自治区で委員会のメンバーを独断で運用しなければいけない程なのに?』』

 

「え?」

 

 

 委員長の声が二重に聞こえる。自分の端末と前線との連絡用の端末から。これが意味することは、委員長が前線にいるということで、バレているということだ。つまるところ詰みだった。

 

 

「ひ、ヒナ委員長……。いつからそこに?」

 

『ついさっきよ。アコ。貴方の長い話が終わったくらいから』

 

「は、はは……」

 

 

 声はいつも通りだが、映像でこちらを睨みつける委員長の顔は憤怒に染まっていた。

 

 

『アコ。この状況を最初から、一から十まで、しっかりと説明してくれる?』

 

 

 □

 

 

 突然の風紀委員長の登場で戦闘は中断していた。風紀委員もどちらかの指示に従うのか分からないようだった。

 

 

「状況がどう転ぶか分からないけど、あまり良くないね」

 

 

 カヨコが冷や汗を垂らしながら、状況を見守っている。アルやハルカの顔色もよくない。

 

 

「ヒナの対応によっては……まず無いとは思うけど、私たちと敵対するかもしれない。そしたら終わり」

 

「そんなに? そんなに強いの?」

 

 

 カヨコの言葉にセリカが食いついた。確かに先生の目から見ても、あまり強いようには見えない。長い銀の髪でホシノくらいの小さな少女。服と雰囲気は威厳があるように見えるが、どうなのだろう。

 

 先生の感想にカヨコは乾いた笑いをあげる。

 

 

「そうならどれだけいいか。風紀委員会の強さの殆どをヒナが担っているの。さっきの部隊だって、ヒナなら片手間に殲滅できるだろうね。風紀委員会の長は伊達じゃないよ」

 

『どうしましょう。誰が風紀委員長に対応しますか? ホシノ先輩はまだですし……。カヤツリ先輩は……』

 

 

 アヤネが不安そうに呟いた。アビドス側の誰かが必要だ。先生はシャーレの顧問としてとしか動けない。これはゲヘナとアビドスとシャーレ間の問題だからだ。

 

 いつもは最高学年のホシノかカヤツリが対応する。けれど、今ホシノはいないし、カヤツリは平常かどうかわからない。

 

 

「お兄さんでいいんじゃない?」

 

「その方がいいと思う。それが最善だよ」

 

 

 ムツキとカヨコはカヤツリを推している。彼女たちは妙に自信があるようだった。

 

 

「アヤネでもいいんじゃないかい? マズそうなら私がフォローするから……」

 

 

 逆に先生は自信がなかった。シッテムの箱の表示は元に戻っていたが、カヤツリはこちらを向きもしないからだ。

 

 カヤツリは風紀委員長と向かいあって黙ったままだ。風紀委員長は、アコからこれまでの経緯を絞り上げているようだった。青いホログラム上でも、青の濃淡でアコの顔が青いのが分かる。

 

 ヒナと呼ばれる少女の性格を先生は良く知らない。風紀委員長をやっているくらいだから、まともな人物ではあると思う。ただ不安定かどうかも分からないカヤツリに任せるのは悩ましかった。

 

 そんな風に悩む先生にムツキは、当然のように言い放つ。

 

 

「いや、お兄さん。風紀委員長と知り合いでしょ?」

 

『「「「「え?」」」」』

 

 

 先生含め、対策委員の全員が間抜けな声を出す。

 

 確かにそれなら問題ない。むしろ適任だろう。問題は対策委員の誰もそれを知らない事だ。むしろ何故、便利屋が知っているのかが謎だった。

 

 

「仲良さそうというより、気安かったけど? そうよね?」

 

「はい。アル様。あの電話ですよね」

 

「ヒナは、あの電話で、ここに来たのかもね」

 

 

 思い思いに、便利屋たちが自分たちの憶測を話す。どうやらヒナとカヤツリの電話があって、それを聞いていたらしい。

 

 

「でも、なんで、私たちに言ってくれなかったんでしょう……」

 

「個人的な付き合いなら、私でも自分からは言わないよ。聞かれたら答えるけどね」

 

 

 残念そうにするノノミから、先生はカヤツリを庇う。

 

 仲間だからといって、何でもかんでも、言うのは違うと思う。それは、信用していないのと同じだと先生は思うのだ。信じているのなら、理由があるのだと思うべきなのだ。決して信用されていないからとか、疚しいことがあるとか、秘密主義だからとか、そういった理由を第一に持ってくるべきではない。むしろ、隠し事がない方がおかしいのだから。知りたいのなら言葉を尽くすのが正しいやり方だと、先生は信じていた。

 

 

「あ、思い出した」

 

 

 さっきから黙り込んでいたシロコが、バッと顔をあげた。ずっと黙り込んでいたのは考え事をしていたせいだったらしい。引っかかりが取れたようで、満足そうにシロコは頷いている。ノノミは興味深そうに尋ねた。

 

 

「何を思い出したんですか? シロコちゃん」

 

「前に、カヤツリ先輩が話してた人だ。服装は違うけど。ほら、ホシノ先輩がすごい怒ってた」

 

「ああ、あれは怖かったですねぇ」

 

「へぇ。あの娘なんだ。カヤツリは相変わらずだね」

 

「うん。ホシノ先輩……え?」

 

 

 気がつけば、いなかったホシノが、いつの間にか会話に交じっていた。いつ来たのか誰にも分からなかった。そんな全員を置いてけぼりにして、ホシノはいつもの気の抜けた顔でシロコに尋ねる。

 

 

「それで? 連絡が沢山あったから急いで来たわけなんだけど……。どういう状況?」

 

「ホシノ先輩こそ、どこで何してたの……。カヤツリ先輩が大変だったのに」

 

 

 シロコは質問に答えずに、ホシノに向かって疑念と心配が交じり合ったような表情で聞く。

 

 

「え~? いつものお昼寝だよ。最近寝不足でさ。今の今まで気がつかなかったんだよ。とりあえずカヤツリは無事みたいだし、後で謝るからさ。シロコちゃんも皆もごめんね。心配かけたみたい」

 

「昼寝……? とりあえず……?」

 

 

 信じられない。そんな顔でシロコはホシノを見ているようだったが、ホシノはどこ吹く風で気にしていない。アヤネから状況を聞くと、そのまま先生に向かって謝罪する。

 

 

「先生もごめんね。私がいない間にカヤツリが迷惑かけたみたいで。代わりと言っては何だけど、私も出るよ。カヤツリがやらかすようなら、私が止めるから」

 

 

 どうやら、ホシノがストッパーとしてついてきてくれるようだ。

 

 無意識かもしれないがホシノの一人称が変わっている。それをホシノが向けるのはカヤツリや、対策委員だけだと知っていたから。やっと認めてくれたようで、先生は少し嬉しかった。

 

 先生はホシノと二人で、カヤツリとヒナの方に近づいていく。

 

 二人の会話が聞こえてくる。

 

 

「電話で気がついたのか」

 

「ええ、便利屋の声がしたから。迷惑だった?」

 

「いや、助かったよ。伝言の件といい、手間を取らせて悪い」

 

「気にしないで。アコの暴走を止められたから。それに列車の件もあるし」

 

「調印式が終わってからの話だろうに。まだ場所も分からない。ああ、あと最近の襲撃にもカイザーが絡んでいるのが分かった。そっちにも何かするかもしれないから、後で共有する」

 

「分かった。あの人経由で送っておいて」

 

 

 便利屋の言う通り、随分と気安い。阿吽の呼吸で会話している。たぶん、こういったやり取りは初めてではないのだろう。

 

 ホシノはどうだろうかと、様子を見ると何か落ち込んでいるようだった。少しショックを受けているような。

 

 近づいてくる気配に気がついたのか、二人が振り返った。

 

 

「ああ。先生。迷惑を掛けました。すいません」

 

 

 いつものカヤツリだった。さっきのような気配はどこにもない。それに安心しつつ、ヒナの方を見ると少し驚いたような顔をしている。

 

 

「小鳥遊ホシノ?」

 

「……おじさんに何か用? おじさんは君の事を知らないんだけど。それともカヤツリから何か聞いてるの?」

 

「いえ、小鳥遊ホシノ。彼からはあなたの事は何も聞いていない。私が勝手に知っているだけ。……ああ、そう言う事。だからまだ……

 

 

 ヒナはホシノを見て何かに納得したようだった。そして、すぐさま先生である自分の方を見る。

 

 

「あなたがシャーレの先生? 私は空崎ヒナ。ゲヘナの風紀委員長。この騒動についての話をしたいのだけど」

 

「もちろん」

 

 

 ここからが正念場だ。

 

 先生は気を引き締めた。

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