ホシノ同級生相棒概念   作:洞鼬

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72話 二人の望み

「……何でここにいるの。先に帰ったはずだよね」

 

 

 ホシノは目の前に立つカヤツリに尋ねる。カヤツリは先生とシロコの会話を知らないはずだからだ。こうならないように、細心の注意を払ったのに。先生もシロコちゃんも誤魔化したのに。会えば決意が鈍ってしまうのに。

 

「先生がな。辺りの監視カメラ映像を全部調べたんだよ。俺も少し手伝ったけど。黒服のビルに行っただろう? 先生から話も聞いたよ。だから、ここで待ってた」

 

「……私の考えてる事なんかお見通しだったってわけ?」

 

 

 ホシノはそう言いつつ、怒りが沸き上がってきた。カヤツリは最後にホシノが校舎に寄ることを分かっていたのだ。ここまで自分の行動が読めるなら、どうして自分の気持ちを分かってくれないのだろう。ただ一つだけでいいのに。ただ頼ってくれるだけでいいのに。それだけでよかったのに。

 

 

「それなら、私を止めないでよ。これはカヤツリや皆のためなんだよ。だから邪魔しないで」

 

「……どこが皆のためなんだ? 黒服の取引に乗ろうっていうんだろ。ホシノなら落ち着いて考えれば分かるだろう?」

 

「分かんないよ。もう何も分かんないんだよ!」

 

 

 ホシノは怒りのままに叫ぶ。そんなホシノを見てもカヤツリは悲しそうな顔をするだけだ。

 

 ただただ、腹が立つ。

 

 なんでホシノだけこんな思いをしているのだろう。どうせ、カヤツリには分からないのだ。何でもできるカヤツリには分からない。ホシノの気持ちなんてわかりはしないのだ。

 

 

「じゃあ私はどうすれば良かったの? ふざけないでよ! 私の気持ちなんか知りもしないんでしょ!」

 

 

 怒りのままに叫び散らす。もう我慢が出来なかった。カヤツリを見ているだけでイライラする。

 

 どうせ、また”そこに居るだけで良い”とでもいうのだ。

 

 

「カヤツリには分からないんだよ! 居るだけでいいって何! 私はまた見ているだけなの!? そんなのはもう嫌なんだよ!」

 

 

 そうだ。そんなのはもう嫌だった。

 

 一年や二年の時はそれでもよかったのかもしれない。カヤツリの傍に居るだけで幸せだった。先輩が居なくなってしまった寂しさも罪悪感も忘れることが出来た。

 

 毎日が楽しかった。ノノミちゃんが来てシロコちゃんが現れて。セリカちゃんやアヤネちゃんもやってきた。一人が二人に、二人が三人になって、今では六人だ。

 

 でも、それでは一年の頃と変わりはしないのだ。

 

 何も知らない所で、何も知らない内に、大事な誰かがいなくなるなど。ユメ先輩のようなことはもう嫌なのだ。カヤツリがいなくなったら、もう無理だ。

 

 

「私にも何かさせてよ! 無駄かもしれないけど、邪魔かもしれないけど! 何もできないのは、全部が終わった後に、何かできたかもしれないって思うのは嫌なんだよ!」

 

 

 そうだ。あの理事や黒服の言う通りに、ホシノは何もしなかった。そのせいで何かしたくとも何も思いつかない。自分にできることが何か分からない。あの日以来、失敗したことがないから。後悔ばかりで、前を見なかったから、どうすれば良いのか分からない。

 

 だから、もうこれしかないのだ。カヤツリも、後輩たちもアビドスも、ユメ先輩の願いも全てを守る方法は、教えられたこれしかないのだ。

 

 カヤツリを見れば、どこか動揺しているように見えた。そんな後悔したような表情のカヤツリにホシノは銃を突きつける。

 

 

「私を止めようって言うなら。好きにしなよ。でも私は見ているだけは嫌だから。全力で抗うよ」

 

 

 どうか、どうか止めないでほしい。

 

 ホシノはそんな思いを込めてカヤツリをみつめる。カヤツリを傷つけたいわけでは無いのだ。ただ、カヤツリの隣に立ちたいだけなのに。恥ずかしくない自分でいたいだけなのに。

 

 もう何も知らないのは嫌だ。このままではカヤツリが潰れてしまう。カヤツリを潰そうとするものを、ホシノも背負いたかった。ただそうしてあげたいのに。

 

 

 ──なんで、どうして、分かってくれないんだろう。

 

 

 カヤツリがホシノを見た。

 

 さっきまでの悲しそうな顔でもなく、動揺した顔でもなく、後悔した顔でもなかった。なにか決意を固めた顔だった。その顔にホシノは嫌な気分になる。

 

 戦う気だ。カヤツリは戦う気なのだ。

 

 

 ──無理だって分かってるくせに。

 

 

 自慢ではないが、ホシノは一対一で負けたことがない。カヤツリなら準備をすれば行けるかもしれないが、今は無理だろう。

 

 でも、カヤツリは言うのだ。

 

 

「分かった。じゃあ喧嘩しようか。ホシノ」

 

 

 □

 

 

 校庭で二人は向かい合って立っていた。

 

 ホシノは本気の装備だ。防弾ベストにいつものショットガン、ハンドガン、グレネード各種。最後に背中の先輩の盾。

 

 対してカヤツリは、予備の盾にハンドガン、背中にライフルという、あの風紀委員会の時の格好だった。

 

 

「そんな装備で大丈夫?そんなんじゃ私に勝てないよ」

 

 

 苛立ち交じりにホシノは言う。

 

 確かに、あの装備のカヤツリは強い。それは風紀委員会を一蹴した事で証明されている。

 

 昔、模擬戦の時に見た閉所での、狙撃ができない時の戦い方。確かに室内なら厳しい。ただここは校庭だ。それなら、距離を置いてからの狙撃の方がまだ鬱陶しい。向かい合っての戦闘など、ホシノに有利な条件だ。ハンデに距離を置くくらいは認めても良かった。

 

 

「喧嘩っていうのは、面と向かってするものだよ。離れてちゃ、言い分が聞こえないからな」

 

「……余裕そうだね。私なんかその程度ってこと?」

 

 

 カヤツリの表情で、そんなつもりが無いことは分かっている。ただ我儘を言っている子供を窘めるような構図が癪に触る。

 

 だから、分かって貰う。

 

 ホシノが、本気だと言うことを。

 

 本気で何かがしたい。現実逃避かもしれないけど、ただ立ち止まっているだけなのは嫌だということを。

 

 それで初めて、ホシノはカヤツリの隣に立てるのだ。自信が持てる。それにカヤツリを助ける事ができる。

 

「じゃあ、始めるよ」

 

 

 そう言って、ホシノは懐から硬貨を一枚取り出す。

 

 模擬戦の始まりの合図だ。上へと弾いて、地面に落ちたら戦闘開始。いつものやり方だ。

 

 頷くカヤツリの目の前で硬貨を弾く。硬貨が上へと飛んでいく。

 

 地面に落ちた音が聞こえた瞬間にホシノはショットガンを発砲した。予想通りに盾で弾かれる。そのまま、カヤツリがホシノの方へ突っ込んでくる。

 

 ホシノとカヤツリでは体格が違う。だから、格闘や打撃の威力自体はカヤツリの方が上だ。流石のホシノも盾越しに蹴りが入れば、盾では受けきれず飛ばされる。

 

 だが、ここまでは織り込み済みだ。

 

 

「じゃあ、これは?」

 

 

 だから、ショットガンを連射する。これも防がれるが、これでいい。

 

 

「弾けないね。弾いたら二射目が当たっちゃうもんね」

 

 

 射撃の間隔が短すぎてカヤツリは弾けない。一発目を弾けば、二発目が直撃するからだ。だから受けるしかない。距離を詰められない。

 

 カヤツリは上手く弾くのではなく逸らしてはいる。盾でダメージは入らないが、スタミナや精神力は削れる筈だ。それにホシノの盾とは違って、いつか壊れるだろう。もし弾が切れても、機動力はこちらが上だ。

 

 付かず離れずの距離を保って撃ち続ければいい。お互い近距離だが、同じ近距離でもハンドガンのカヤツリより、ショットガンのホシノの方が射程が長く、威力も高い。

 

 

 ──このまま削りきってやる。

 

 

 固められているカヤツリに、目くらましと装填の隙潰しにスモークグレネードを投げた。

 

 ホシノとカヤツリの戦闘における相性は両極端だ。今のように近距離から中距離の対面であればホシノの有利。逆に遠距離ならカヤツリの独壇場だ。だから、この対面の時点でカヤツリは手加減しているに等しい。

 

 腹が立つ。ホシノは本気なのに。相手にされていないみたいで。

 

 今はスモークでカヤツリは見えていない。だがそれは、カヤツリも一緒だ。フェイントを入れて、盾の無い側面から撃てば終わりだ。

 

 弾倉への弾の装填はすぐ終わり、持ち前のスピードで、カヤツリの側面に回り込み、連射する。

 

 

「……防いだ?」

 

 

 フェイントを入れたのに対応された。

 

 もう一度試しにやってみるが、結果は同じだ。むしろ距離を詰められてきている。またグレネードを投げるが、途中で撃ち落とされる。

 

 

 ──おかしい。何かがおかしい。

 

 

 ショットガンの銃撃を弾くようになっている。いくら何でも対応が早すぎる。ホシノとて馬鹿ではない。単発、二連射、三連射をランダムに切り替えている。いくらカヤツリでも、こんなすぐには無理だ。

 

 まるで、盤面を覗いている誰かが、攻撃のタイミングを教えているような……

 

 まさか。

 

 

「二対一は卑怯じゃないかな」

 

「まあ、流石にバレるか」

 

 

 カヤツリの返答で確信した。

 

 先生だ。先生がカヤツリを指揮している。

 

 ホシノは焦る。だとしたらカヤツリに勝てない。決して負けはしないが勝てもしない。先生の指揮があるなら、カヤツリは全部防ぎ切るだろう。それだけのことを先生の指揮は可能にする。今はまだいいが、このままでは弾が無くなる。

 

 弾がなくなれば、カヤツリに対して有効打が打てない。実質ホシノの負けだ。

 

 負けたら全部終わってしまう。負けたら、あの頃の自分のままだ。負けたら、カヤツリがいなくなる。

 

 

「──ッ」

 

 

 舌打ちと共に、ホシノは防御を捨てる。歯を食いしばって、もう自分が何のために戦っているかも分からないまま、カヤツリを倒すために、目の前の戦闘に没頭していった。

 

 

 □

 

 

「チッ」

 

 

 カヤツリはグレネードの爆風とショットガンの波状攻撃を盾で凌ぐ。

 

 カヤツリの左手の盾が遂に限界を迎えて役目を終えた。騙し騙し使ってきたが、今のホシノの攻撃で壊れてしまった。

 

 先生の指揮は何かのトラブルか随分前に切れている。そのせいで、攻撃を防ぎきれなくなっていた。

 

 ホシノは、今のでショットガンとグレネードの類を使い切ったようで、拳銃に持ち替えている。

 

 盾が壊れなければ、このまま持久戦で勝ちだったのだが、そううまくは行かないようだった。

 

 ホシノを見れば必死の形相でこちらを見ている。どうせ頭の中では自分をどう倒すかしか考えていないのだろう。こっちの気も知らないで。

 

 本当はただ話をしたいだけだったのに。話せばわかってくれると思っていたのに。ホシノは追い詰められて、もう何も耳に入らないようだった。

 

 だって、もう行動が滅茶苦茶だ。

 

 邪魔しないでとホシノは言うが、邪魔されたくないのなら走って逃げればいいのだ。カヤツリの足では追いつけない。かといって、たぶん心の中では黒服の提案に乗るのも間違っていると分かっているのだ。だから、もうどうしようもなくなっている。ホシノはもう止まれないのだ。

 

 上手くいかない現実に、さっきから苛立ちが収まらない。

 

「ああ、クソッ」

 

 

 背中の盾を左手に構えて、ハンドガンを右手に持ったホシノが突っ込んできた。弾が切れたハンドガンを放り捨てて、背中の対物ライフルを展開。槍代わりに振り回して、ホシノを牽制する。

 

 戦闘を続けながらカヤツリは思う。自分がここまでホシノを追い詰めた。でもどうすれば良かったのだろう。

 

 言えばよかったのだろうか。俺はお前の為にこんなことをしているんだよって? やりたくもないことを、人を踏みつけにするようなことを、人を騙して傷つけて、かつてのホシノが嫌った、悪い大人のような。先輩の目指したアビドスとは真逆の事をしているんだよって? お前の為に俺はここまでしているんだよって?

 

 自分がいたこんな世界を知ってほしくは無かった。こちら側に来ないでほしかった。何とか守った楽園にいてほしかった。綺麗なままでいてほしかったのだ。汚い自分はそこには入れない。先輩に頼まれたことが全て終わって初めて償える。そうでもしないと、そこへ行く資格がない。ホシノと同じ世界には居られない。

 

 さっきから無性に腹が立つ。何時だってホシノは、こちらの気持ちなど知りもしないのだ。

 

 いいじゃないか。なんの理由もなく、そこに居られるのだから。自分はそれが出来なかったから捨てられたのに。自分は初めからそこには行けなかったのに。ただただ黙って救われていてくれればよかったのに。まだ立ち直れるような状態でもないくせに。それを見ていた自分の気持ちなんか分かってもくれないくせに!

 

 好きな娘が、傷つくのを見て平気な者なんていやしないのだ。ホシノの場合、自分で自分を否定しているから性質が悪い。

 

 ホシノが無意識がどうかは知らないが、先輩の後追いをする度に責められているような気がした。どんどん昔のホシノが消えていくようで、お前のせいだと言われているようで。何時、カヤツリが先輩の方がいいなんて言っただろうか。ふざけないでほしかった。それで出来上がるのは先輩のもどきに過ぎない。ホシノはホシノのままでよかったのに。

 

 無理なんかしないでいいのだ。自分はただ、傍にいて、元気でいてくれれば、それでよかったのに。あの頃のままでいられれば、それでよかった。どうして自分から傷つきに行こうとするのだろうか。

 

 でも、それは、きっと自分と同じなのだろう。さっきホシノが言ったとおりに。

 

 何もできずに、ただ見ているだけ。それが辛いことなのはカヤツリは良く知っている。だって、先輩が居なくなった時のカヤツリがそうだったからだ。だから、情報を隠していた。あれだけ聞かれても言わなかった。

 

 知らなければ、教えなかった者のせいにできる。自分は悪くないのだと言い訳ができる。逃げ道ができる。でも、ホシノは逃げてはくれないのだ。そのくせ今回のような最悪の方向へ逃げる。それがカヤツリには分かっていたのに。

 

 

 ──なんで、どうして、分かってくれないんだろう。

 

 

 そんな苛立ちを乗せて、ライフルを振り回す。

 

 振り回しを嫌ったのか、ホシノが距離を取った。そこを狙って対物ライフルでホシノの盾の上から、弾丸を叩き込む。衝撃に耐えられなくなったのか、ホシノの手から盾が離れて飛んで行く。

 

 お返しにと、ホシノが対物ライフルに向かってハンドガンを連射してきた。本体やスコープに直撃して使い物にならなくなる。もうただの棒としてしか使えない。もう武器がないカヤツリを見て好機と思ったのか、ホシノがハンドガン片手に突っ込んできた。

 

 何か武器が必要だった。そうでなければ、ホシノを止められない。止められなくなったら自分の負けだ。

 

 負ければすべてが終わる。負けたら、約束を守れない。負けたら、ホシノが行ってしまう。

 

 何かないかと、記憶をひっくり返すカヤツリの頭に浮かんだものがあった。銃はある。今持っている。

 

 カヤツリは懐から、ハンドガンを取り出して、向かってくるホシノに突き付けた。その銃を見たホシノの顔が引きつる。

 

 それも当然だろう。だってこれは先輩の銃だ。ホシノが昔押し付けてきて、返すこともできずに、ずっと持ち歩いていた先輩の銃。

 

 突っ込んでくるホシノは銃など警戒もしていなかった筈だ。だから、撃てば当たるだろう。弾倉一つ分も叩き込めば、幾らホシノとはいえ止まるはずだった。

 

 荒事が嫌いな先輩が、この銃を使ったところをカヤツリは一度も見たことはない。けれど今回ばかりは許してほしかった。カヤツリはホシノを力づくで止めねばならない。両足を潰してでも、いつかホシノが自分にやったように。

 

 

 ──あの時のホシノもこんな気持ちだったのかな。

 

 

 そう自嘲してホシノを止めるために、アビドスの未来を守るために、カヤツリはホシノに向かって引き金を引いた。

 

 一発目は、ホシノの手からハンドガンを弾き飛ばした。ホシノの表情が絶望に歪むのが見える。

 

 カヤツリは二発目をホシノに撃ち込むために引き金を再度引く。

 

 ガチリと音がしたものの、弾は出なかった。引き金を幾ら引いても出やしない。遂には引き金も動かなくなった。

 

 

「何で……」

 

 

 思わず声が漏れた。存在を今まで忘れていたとはいえ、時々整備はしていた。弾倉に弾も残っている。出ないはずがない。

 

 弾詰まりだ。最悪だった。これではホシノを止められない。

 

 茫然とするカヤツリの耳に、ぼそりとホシノの呟く声が聞こえる。

 

 

「……ユメ先輩」

 

 

 気づけば、ホシノも茫然として、カヤツリの持つ銃を見ていた。先ほどとは違って落ち着いているようだった。

 

 何となく理由は分かった。カヤツリもたぶん同じ表情をしている。

 

 だって、弾が出なかった。ホシノを止めるだけで、まるでホシノを撃つことを拒否するように。銃が動かなかったのだ。

 

 先輩に怒られたみたいだった。昔、まだ三人だった頃に喧嘩をしたホシノとカヤツリを止める時みたいに。

 

 

 ──ダメだよ! 二人とも! そんなことしちゃ!

 

 

 そう先輩が大声をあげたみたいで。二人ともすっかり頭が冷えていた。でもお互い、何を言うべきなのか分からない。二人の間に長い沈黙が下りる。

 

 

「……今、ホシノはどうしたい。黒服の所に行くか? 俺は行ってほしくない。俺は嫌だよ」

 

 

 いつものように、先輩に怒られたあの時のように、カヤツリから口を開いた。先輩に怒られたときはいつもそうだったからだ。

 

 初めに言うべきだった言葉を口に出す。今のカヤツリの望みはこれだけだ。

 

 ホシノも遅れて口を開く。

 

 

「……行かない。行かないよ。ごめんね。カヤツリ。私……私」

 

 

 そう言って、ホシノは泣き崩れる。何かを言おうとしても、言葉にならない様子で、泣きじゃくる。

 

 カヤツリはそんなホシノに近づいて、抱きしめてやる事しかできなかった。

 

 でも、それでいいのだというように、ホシノはカヤツリの胸で泣きじゃくっていた。

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