アレーヌ市街戦   作:曽結

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訂正
うちの大隊は二十人程度まで減った

うちの大隊は十人程度まで減った

12/16 文章間隔の調整を行いました。
2/25 文章表現の修正を行いました。


第三話 キャンプにて

 かくして、ロジェたちはマルヌム・キャンプへ送られることとなった。

 五体満足な者は、ロンス駅に降り立つや否や、そのままトラックへと積み込まれ、瞬く間にキャンプへと到着した。

 自力で歩けぬ者たちは、ロンスの病院へ運ばれるか、そのまま鉄道でパリースィイへと送られていった。

 キャンプに着いてからの数日は、特に変わったこともなく過ぎた。まず最初に行われたのは、『悪魔』の部隊に関する聞き取りだった。それは襲撃直後にもあったが、今回の質問の多くは以前と重複しており、確認の意味合いが強いものだとロジェは感じた。

 それが終わると、ようやく兵営に向かうことを許され、何か月ぶりかのまともなベッドと風呂を存分に堪能した。

 

 

 

 翌日は訓練もなく休みだったが、外出は禁止されていた。

 そうなると、できることは限られる。ロジェは朝食後、郵便が届いているとジラール大尉から知らされ、キャンプ内の郵便局へ向かった。郵便を受け取ると、局員に頼んで便箋を四枚追加で受け取った。返信用の便箋に加え、小隊の戦死した部下の家族と、負傷した部下二人の家族に宛てるためのものだ。後者の二人も、前線復帰は難しいだろう。

 部下の家族宛ての手紙はすでに書き終えていたので、その場で封をし、郵便を出した。負傷した部下の家族には、彼らがすでに命の危険を脱したこと、また、彼ら自身が語れないこともあるかもしれないが、どうか優しく接してほしいと記した。戦死した部下の家族には、戦死の通知とは別に、故人の人となりや性格に触れた手紙を送った。それが遺族の慰めになることをロジェは知っていたからだ。

 

 その後、自分宛ての手紙を確認すると、それは両親からのものだった。ロジェはそれをコートのポケットに突っ込み、アンリを探しに兵営へ戻ろうとした。両親からの手紙は、いつもアンリと一緒に読むことにしている。

 まずは広い場所から探そうと食堂へ向かう途中、ズワーヴ連隊が訓練している練兵場の前を横切った。

 ロジェが実際にズワーヴ連隊を目にするのは初めてだった。かつては植民地兵で構成されていたため、ターバンを巻くのが伝統になっているらしい。しかし、今目にする限りでは、本国出身者のほうが多いように思えた。

 彼らのターバンは、この寒さの中でも保温の役に立つのだろうか。ズワーヴ連隊の兵士たちは機敏に動いていたが、それがターバンのおかげなのかはわからなかった。

 

 しばらく訓練の様子を眺めた後、ロジェは再び歩き出した。食堂に向かう途中、誰にも会わなかった。寒さのせいもあるだろうが、おそらくこのキャンプには、自分たちとズワーヴ連隊しかいないのだろう。

 前線に近いキャンプならば、もっと大きな練兵場があり、規模も広大で、十以上の部隊が駐屯していることも珍しくない。しかし、ここはそもそも小規模なキャンプだった。

 そこまで考え、ロジェは納得した。――うちの大隊は、もはや十人程度まで減っている。だからこそ、このキャンプに来ても、たいして場所を取らないと判断されたのだろう。

 

 そんなことを考えているうちに、ロジェは食堂の入口にたどり着いた。

 大きな窓から差し込む日差しを背に受け、アンリが木製の長机に向かって座り、手紙を書いているのが見えた。食堂には、ロジェとアンリのほかに誰もいなかった。

 ロジェは静かに近づき、アンリの正面に腰を下ろした。その気配に気づいたのか、アンリが顔を上げ、焦げ茶色の瞳でこちらを見た。

 手紙の邪魔をしただろうか、とロジェは思い、尋ねた。

 

 「邪魔したか?」

 「いや、ちょうど書き終えたところだよ。部下の家族宛の手紙を書くのは初めてで、なかなか難しかった。確認してくれないか。」

 「いいとも。」

 

 ロジェは手紙を受け取り、目を通した。それは、アンリの小隊の負傷した兵士の家族へ宛てたものだった。特に問題のある表現もなく、礼を欠くような点も見当たらない。

 読み終えると、ロジェは頷いた。

 

「いいんじゃないか。特におかしな点はない。」

 

 その言葉を聞くと、アンリはほっとした表情を浮かべ、「ありがとう。」と礼を言った。

 

 そして、続けた。

 

「ところで、ロジェは何しに来たの?」

「両親から手紙が来た。」

 

 それを聞いたアンリは軽く頷き、

 

「ああ、じゃあ読もうか。ただ、ここだと人が来るかもしれないし、君の部屋で読まないか?」

 

 ロジェは「そうだな。」と同意し、さらに続けた。

 

「だけど、そろそろ昼食の時間だろう。一度食事をしてから部屋に行こう。」

 

 アンリもそれに同意し、二人は食事を終えると、揃ってロジェの部屋へと向かった。

 

 

 ロジェに割り当てられた部屋は、下士官用の個室だった。

 窓があり、ベッドと机、コート掛け、そして煙突が外につながったストーブが置かれた、簡素な四角い部屋。狭いが、兵卒に比べれば破格の待遇だった。

 アンリは部屋に入るなりコートを脱ぎ、それをロジェに放り投げると、ベッドに寝転がった。キャンプに着いた後、全員ズボンを履き替えていたので、土埃で汚れる心配はない。

 ロジェは自分とアンリのコートを掛けると、ストーブの扉を開け、火かき棒で灰を掻き出した。バケツから石炭を取り出し、炉の中に放り込む。

 その後、コートのポケットから手紙の入った便箋を取り出し、アンリが寝転がる横に座って開封し、読み始めた。

 手紙を読み終わるころには、部屋はすっかり暖まり、二人とも上着を脱いでいた。

 ロジェは机に座って返信を書き始め、アンリは再び手紙を読み返した。

 

 内容は、家族の近況とこちらの様子を尋ねるものだった。

 レガドニア協商連合が降伏して三か月。帝国海軍の活動が活発化し、その影響で以前より手に入りにくい物資が出てきているらしい。

 そして、いつものように書かれている――ロジェとアンリは無理をしていないか、傷を負っていないか、危険な戦場に送られていないか。答えようのない問いには、今回も「生きていて、五体満足だ」とだけ記した。

 両親はアンリのことをよく知っていた。ロジェが小学校の頃からの付き合いであり、さらに以前、中隊の休暇でジラール大尉とヴィクトルを紹介したため、彼らのことも気にかけているようだった。ロジェは手紙の返信に、彼らの様子も書き加えた。

 そして、前日にアンリと話したことを思い出す。

 

 ――おそらく、このキャンプに長く留まることになる。

 

 少し希望も込めて、近いうちに会えるといい、と書き添えた。

 返信を書き終えると、もう夕食の時間が近かった。

 ロジェは便箋に手紙を入れ、封をすると、それを手に持ち、いつの間にか眠っていたアンリを起こした。




次話かその次くらいからアレーヌに向けて話が動いていく予定です。
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