「……つまり、突然背後から襲われそちらの少年が囚われたので、個性を使用して撃退、拘束したと」キュッ
「ウス」「です」「踏ん張りました」
「uuum……」
3人が拘束していた敵を持っていたペットボトルに詰めながら状況を出久達から聞いたオールマイトは、若干自慢げにしている若者たちに難しい表情をした後、諭すように語りかけた。
「よく聞きなさい…と言いたい所だがまずは謝罪をさせてくれ。私の不始末で君たちを危険な目に合わせて済まなかった」
「……そして、それを棚上げした上で君たちに伝えさせてくれ。君たちは道路や建物に一切被害を出さずに敵を取り押さえた!これは本当に凄いことだ、ヒーロー志望なら将来が楽しみだと私がお墨付きを与えるほどだ」HAHAHAHA
オールマイトは笑いながら3人の手際の良さを褒めると、一息置いてから表情を引き締め口を開いた。
「だがね少年たち、如何なる理由があってもヒーロー免許を持たない状態での個性の使用は許されないんだよ」
「「「……」」」
先程とは打って変わって個性の無断使用については自覚があるのかバツが悪そうに俯く3人の様子を見てオールマイトは間に合わなかった私が言える口では無いんだけどね!と付け足してから再び笑顔を浮かべた。
「今回は間に合わなかったこちらに非があるし口頭での注意のみにするが、今後は気をつけたまえよ!」HAHAHAHA
「では私はこれにて失礼するよ。こいつを警察に届けなくてはいけないからね!」
「あっ…待ってくださいオールマイト!僕、あなたに直接っ聞きたいことがっ」ガシッ
「おいコラ出久っ」
「待て勝己、オールマイトには悪いが出久の好きにさせてやろうぜ」
「…わぁったよ、今回だけだからな」ケッ
出久を止めようとした勝己だったが空牙に止められ、思うところもあり大人しく空牙と並んで1歩下がった。
「待たない!液晶越しにまた会おう!!……って力強!?よく見たら君凄い筋肉だね!?増強型の『個性』かな!?」グググ
「んぎぎぎ……!自前…です!僕は……『無個性』です…!」グググ
「『無個性』!?……どうやらサインが欲しいとかそういった話じゃ無さそうだね「いえサインも欲しいです」いや欲しいんかい!サインは後でみんなに書いてあげるから!…先に君の話を聞かせてくれないか、マッチョ少年」
掴んできていた出久の馬鹿力に驚きつつも改めて飛び立つ準備をしていたオールマイトだったが、出久の告白に思うところがあったのか出久のほうに振り返り、話を促した。
「ありがとうございますオールマイト……僕はかっちゃんとくうちゃん…そこにいる2人のお陰で『無個性』でもヒーローになることを、あなたみたいなヒーローになることを諦めずにこれまで鍛えてこれました」
「トレーニングはもちろん、戦闘向けじゃない『個性』を持ったヒーローの戦い方を見て身体の使い方を覚えたり、褒められることではないですけど『個性』を使って悪さする他校の生徒をシバキ倒したりしてきました」
「シバキたおしたり」
予想していなかった発言にオウム返しをするオールマイトをスルーして出久は続けた。
「僕なりに出来ることは全てしてきたつもりです。最初はできっこないと笑っていた周りの人も少しずつ変わってきて、今ではほとんどの人が応援してくれる様になりました」
「今更誰にどう言われても僕は変わらないし夢を諦めることもありません。でもオールマイト、貴方にだけは直接聞きたかったんです。貴方への憧れが、僕の始まりだったから」
「……」
「オールマイト」
「『無個性』の僕が…オールマイトを、『平和の象徴』を目指し、越えようとすることは無謀な事ですか?冗談だと笑われることが当たり前だと思いますか?」
「…………」
オールマイトside
きっと何年も何年も血を吐くほどの努力をし続けてその力を手にしたであろう少年の一世一代の問い掛けに、私は言葉を失ってしまった。
……『無個性』、『平和の象徴』…お師匠やグラントリノが彼を見たらきっと私と並べて苦笑いするのだろう。
「……笑うものか、無理だなどと言うものか!君の想いは、決意は、決して笑われるような物でも、否定されるような物でもない。それを無理だと言ってしまうと私は
「オールマイト…?」
私の独白に首を傾げる目の前の少年は……『無個性』でも『平和の象徴』になることを貪欲に求めているこの少年は、お師匠達に出会った頃の、若き日の私そのものだ。
チラリと1歩引いて私達のやり取りを見守っている2人に目を向ける。この2人もしっかりと身体を鍛えている。きっと目の前の少年と3人で切磋琢磨し続けて来たのだろう。
「……少年たちよ、君たちの名前を教えてくれるかな?」
「えっ!?み、緑谷出久です!」「爆豪勝己」「駆藤空牙っす」
「緑谷少年、爆豪少年、駆藤少年だね…爆豪少年、駆藤少年、君たちも緑谷少年のように
私の問いかけに、2人は待ってましたと言わんばかりに目をギラつかながら吠えた。
「少し違ぇな!俺はアンタを超えるヒーローに、誰にも負けないナンバーワンヒーローになるんだ!」
「俺も勝己に近いな。俺もオールマイト、アンタを超えてアンタよりも何処へでも駆けつけることが出来るヒーローになりたいんだ!」
「……そうか」
『
だからこそ……
「少年たち、すまないが警察に敵を引き渡してくるので待っていてくれないかな!?私からも聞きたいことが出来たんだ」ドヒュゥン
「うわっ!?」「っ!」「はっや…!」
そして30秒後
「私が!戻ってきた!!」
「「「はっや!」」」
少年たちの返事を聞かずに飛び出し、近くにいた警察に敵を引き渡してからすぐさま戻ってくると少年たちは目を輝かせながら驚いていた…HAHAHAHA、そういう年齢通りの反応もいいね!
「HAHAHAHA、こういう事後処理を手早く済ませるのもプロの技だよ!……さて、本題に入る前に君たちに見せなきゃいけないものがあるんだ」
爆豪少年と駆藤少年、そして
sideOUT
「……は?」
最初に声を上げたのは誰だったか、突然オールマイトの身体から蒸気が出てきたかと思えば、そこにいたのはオールマイトとは背丈と髪の色しか一致しない痩せこけた男性だった。
「あの…もしかして、オールマイト、ですか…?」
「!?」
「……ああ、私がオールマイトだ」
「マジかよ…!?」
出久の途切れ途切れの質問にその男性、オールマイトは応え、服を捲り胸下辺りの痛々しい傷跡を見せながら話し始めた。
「「「っ!?」」」
「5年前に敵にやられてしまってね「5年前と言うと毒々チェーンソーですか?」いや違うよ?てか君、私が戦ってきた敵年単位で覚えてるの!?…まぁ置いておこうか。その際に呼吸器官半壊胃袋全摘、度重なる手術と後遺症で弱ってしまっていてね、私のヒーローとしての活動限界は今や1日約3時間程なのさ」
「そんな…」「オールマイトっ…!」「嘘だろっ!?」
「ぶっちゃけ言うと私が『平和の象徴』でいられるのも時間の問題だ……だが今日、私を超えるために努力し続けてきた君たちを!『無個性』でも『
「オールマイト!?」
「あ大丈夫大丈夫、いつものことだからね」フキフキ
「絶対大丈夫じゃねぇだろそれ…」
「見ててヒヤヒヤするわ」
血を吐き出したオールマイトとコントのようなやり取りをしながらも話を進めていき、オールマイトはついに本題に入った。
「君たちの中の誰かに!私の『個性』を継いでもらいたいんだ!!」
「『個性』の」「引き継ぎ」「だとぉ!?」
「さっきから思ってたけど息ピッタリだね君たち……私の『個性』は、聖火の如く引き継がれてきたものなんだ」
「「「……」」」
オールマイトの声色が真面目なものに変わったのを聞き、3人も表情を引き締めた。
「力を譲渡する『個性』…それが私の託された『個性』!冠された名は」
「OFA……」
「…そう、かつて巨悪と対峙した者が次代へ、そのまた次代へと託してきた義勇の結晶だ」
スケールの大き過ぎる話に3人は固まっているが、オールマイトは構わず続けた。
「余りにも強大な力だ、本来ならもっと経験を積んだプロに託す方が『平和の象徴』としては正しい選択なのだろう」
「だが!私は君たちにならこの『
「…勝己」
「たりめぇだろ」
「え?…うわっ!?」
そう言って微笑むオールマイトを見て、爆豪と駆藤は目を合わせたあと、緑谷の背中を押しオールマイトに突き出した。
「かっちゃん!?くうちゃん!?」
「その『個性』は出久が受け取るべきだ。オールマイトには悪いが俺は俺の力だけでトップになってやる」
「お前の努力が報われる時が来たんだ、出久…
「かっちゃん…くうちゃん…!うん!……オールマイト!かっちゃんとくうちゃんに比べると頼りなく見えるかもしれないですけど、僕が次の『
「…あぁ!期待してるぜ!未来のNo.1ヒーロー!!」
「おい待て出久No.1は譲らねぇぞぉ!!」
「俺もそこまで譲る気はねぇからなぁ!!」
(……君が『
「いい友達を持ったね緑谷少年…さて、本来なら先に器となる身体を鍛えてから受け継ぐ物なのだが君なら何の心配もいらないね……………………食え」
「えっ」