空牙side
「ほらよ出久、これで飲み込みな」
「ウップ…あ、ありがとうくうちゃん」
「ご、ごめんね緑谷少年…!つい勢いで飲み込めるかと!」アセアセ
「アホかこいつら」
「言ってやんな勝己」
オールマイトの『個性』を出久が引き継ぐと決まるなり突然自分の髪をひと房むしり取り「食え」と出久に差し出したオールマイトも、気が動転していたのか言われるがままにそれを口に放り込んですぐに喉に詰まらせ蹲った出久も正直勝己の言う通りアホなんじゃないかと内心で思いつつも、近くにあった自販機で水を買い蹲る出久に渡してやる。
…オールマイトの弱体化、ひたすら本人が誤魔化していた『個性』の正体、その継承……ツッコミ所しかねぇが、俺たちにとって一番重要なのはこれだ。
ずっとそれを目標に努力してきた。『平和の象徴』は俺たちがヒーローとして活動出来るようになるまで不動であると疑っていなかった……が、現実はそうもいかないらしい。
俺が渡した水で髪を流し込んでいる出久はともかく勝己の方を見る。同じ夢を見てきた
「勝己」
俺は……
「変わんねぇ」
……!
「『
俺が見ているのに気づいていたのか勝己は未だにわたわたしている出久とオールマイトから目を離さずにそう応えた。……はは、流石だな勝己!
「言ってくれるじゃねぇか勝己ィ。心配して損したぜ……あでも、No.1は俺だから、出久とNo.2争い頑張ってくれよな」
「いらん心配すんなやぶっ飛ばすぞ!?テメェこそ出久と2位争いでもしてやがれや!!」
にしてもNo.4以下が、か…自分がNo.1なら俺と出久がNo.2、No.3になるって疑ってないんだな、素直じゃねぇ奴だ。
「ふっ」「ケッ」
sideOUT/出久side
「…ぷはっ、全部飲み込めました、オールマイト……その…これで僕に『
『無個性』だった僕にはどうすれば『個性』を使えるのか等当然わからず、受け継いだと言う実感がイマイチ感じられないままにオールマイトに問いかけてみたが流石にそれはオールマイトも予想していたようだ。
「もうしばらくすれば身体に馴染んで使えるようになってくるだろう…3人とも、場所を移そうか」
オールマイトに言われるまま15分ほど歩き着いた先はゴミに埋もれた海浜公園だった。
……何度か不良が逃げ込んでたから見かけてはいたけど相変わらず汚いなぁ。かっちゃんとくうちゃんも同じことを思ってるのか眉間にシワが寄っていた。
オールマイト(マッスルフォーム)も似たような顔をして唸ってるぞ…正直めっちゃレアな表情だ…!
「……浜辺で海に向かって『個性』を使えばいいだろうと思って来てみたのだが…最近の
「少年達よ!今日は緑谷少年が無事に『個性』を使えるかの確認だが!明日からは私監修の元特訓がてらここのゴミ掃除といこうじゃないか!!」
「「「!!?」」」
「お、オールマイトが僕たちの特訓を見てくれるんですか!?」
「当然さ!」
「俺達も」「いいんすか!?」
「何を当たり前な!緑谷少年だけを特別扱いするつもりは無いぞ!!全員同じ土壌で鍛え!同じ土俵に上がることが君たちにとって1番いい方法だろうからね!!」HAHAHAHA
「「オールマイト…!」」キラキラ
僕達の驚きながらの質問にオールマイトは笑顔でサムズアップしてくれた……!オールマイト監修のトレーニング!なんて贅沢な毎日なんだ……!!
かっちゃんとくうちゃんも珍しく子供のように目を輝かせて喜んでる……本当に珍しいな!?!?
「HAHAHAHA……さて緑谷少年。そろそろ『個性』が身体に定着してきた頃だろう…………使い方は簡単だ!ケツの穴グッと引き締めて、海に向かって全力でSMASH!!してみるんだ!!」
……ん?
「全力で?」
「YES!!」グッ!
いやグッ!じゃなくて
「つい先程までオールマイトが使っていた『個性』を、全力でですか?」
「……それって」
「出久の奴耐えれるんか」
「あれ……そういうもんじゃないの…?」
「……」「……」「……」
もしかしてオールマイト……
「なぁオールマイト、あんたも誰かからこの『個性』を引き継いでるんだよな?あんたが引き継いだ時は最初どうしてたんだ?」
絶句している僕を見かねてかっちゃんが僕たちが気になっていたことを聞いてくれた。ありがとうかっちゃん、今度激辛焼きそば奢るね。……それに対してのオールマイトの返答は、正直最も聞きたくない物だった……
「え?私の時は最初から100%を使いこなせてたよ?今言った通りケツの穴にグッて力込めて」
…………流石ナチュラルボーンヒーロー、スケールが違いすぎたよ
「……オールマイト、アンタから見て出久の身体なら『オールマイト』の何%分まで使いこなせると思う?」
「え!?uuum……緑谷少年は本当に鍛えこんでくれてるからね…自損無しなら55%、ありなら85%ぐらいかなぁ」
「アンタそれわかってて100%ブッパ推奨したんか…」
「いやぁつい……」HAHA…
「ついで僕の身体ぶっ壊れかけてたの!?!?」
聞いてくれてありがとうくうちゃん!!それにしてもオールマイト基準でもそんなに高いんだ…
「もし緑谷少年が身体を鍛えていなかったら満足に使える力は5%にも満たなかっただろうね!最高だぜ!その筋肉」ムキッ
「ありがとうございますっ!」
流れは酷いけどオールマイトに褒められるのはどうしても喜んでしまう…!!
「話が脱線しちまったが、出久…そう言うことなら50%で撃ってみろよ。それなら丁度半分だしイメージもしやすいだろ」
「う、うん…!」
くうちゃんのアドバイスを受け海の方を向き、目を閉じ深呼吸をしてからケツの…はオールマイトには悪いけどなんか嫌だったから心臓に意識を向けてみた。
……心臓で
大丈夫、僕なりの解釈で、この『個性』を使いこなすんだ……!!
バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ
「「「!!!!」」」
……!!出来た!!循環しきれない分は全身から緑色の雷のようになって吹き出してるけど……ちゃんと全身満遍なく行き届いてる!!
「かっちゃんくうちゃん!……オールマイト!!行きます!!」
後は海に向かって…………
(あの⬛︎はっ……まさか……!っ!!)
……!!?誰か話しかけてきた!?でも今は気にしちゃいられない!!僕は
SMASH!!!!
sideOUT
「……やべぇな」
拳を海に向けて突き出した出久と、徐々に戻りつつあるが一直線に引き裂かれた海を見ながら、勝己が呆然と呟いた。
出久のイメージが余程噛み合ったのか、本当に50%なのかと疑うレベルの破壊力を見せつけられ、勝己も空牙も目を見開いて驚いていた。
「こりゃ俺らもうかうかしてらんねぇな、明日からは特訓しっかりしてくださいよオールマイト」
「……オールマイト?」
「…………」
空牙がオールマイトに呼びかけても反応が無く、改めてオールマイトの方を見てみるとなにやら深刻な表情をして考え込んでいた……が、やがて口を開いた。
「爆豪少年、駆藤少年……緑谷少年は、本当に『無個性』なのかい?」
「……は?」
「何言ってんだよオールマイト!?出久は間違い無く『無個性』だったぞ!?もう何年も前だけど一緒に診察受けたし間違いねぇ!」
「空牙の言う通りだオールマイト……出久は間違い無く『無個性』だ。それに嘘はねェ」
「…………」
2人が否定するとオールマイトはまたも考え込み、自らが目にしたおかしな現象を口にした。
「緑谷少年が拳を振り抜く時にね、そのタイミングでだけ緑谷少年の身体が不自然に加速していたんだよ……私が思っていた速度の3倍程だったかな」
「マジか!?……勝己、お前気づいてたか?」
「……気付かんかったわクソが」
「uuum……」
3人がどういう事かと考えているそばで、出久は自身に起こった不思議な現象の原因と対峙していた。
出久side
……今、なんだか身体がめちゃくちゃ速く動いたような…それに声も……
よくわからない事が起こったけどこれも『OFA』の力なのかな、そう思っていると
(…………緑谷出久)
「……ん?くうちゃん呼んだ?」
「急にどした出久?呼んだりはしてねぇけど」
……え?
今確かにくうちゃんにフルネームで呼ばれた気がしたんだけどなぁ…そう思いながら内心首を傾げていると先程の声がまた聞こえてきた。
(『OFA継承者9代目』緑谷出久……そう呼べば伝わるか)
「……!?」
オールマイトとかっちゃんくうちゃんは誰も喋ってないはずなのに頭に直接声が…!というかこの声、
でも声の出処は分かった。僕の呼ばれ方も考えると自然と答えは頭に浮かんできた。
(……『OFA歴代継承者』の誰か…!)
(…頭の回転は速い方だな。正解だ、名前は伏せるが俺は『OFA継承者』のうちの1人だ)
この人が後世に『OFA』を託してくれた人の中の1人…!……あ、でもそうだとしたらこの人はもう……
そんな僕の考えが伝わっているのか、今度は先程のような威厳のある声じゃなくて苦笑が混じったような声が頭に響いてきた。
(俺は『OFA』に残った残留思念のような物だ、気にすることじゃない……それに、今回は俺の不手際の謝罪に来ただけだ)
……不手際?謝罪?
(…お前の中で『OFA』が覚醒した時、となる事情で俺の意識まで覚醒して俺の『個性』が暴発してしまったんだ。すまなかった)
(…いえいえいえとんでもない!気にしないでください!ほんの少しだけ身体が痛みますけどそれだけですし!)
(すまないな…話を戻そう。さっきの説明で理解出来たと思うがイレギュラーがあったとはいえ
……!この人はさっき僕のことを9代目と呼んだ。そしてこの人の『個性』が僕の身体で発現された、という事は…
(………あと7つ、僕には『個性』が発現する可能性があるってこと……ですよね?)
(……本当に頭の回転が速いな…その通りだ。厳密にはあと5つだが…今後間違いなくそれらが目覚める時が来る)
あと5つ…!継承者の数とは合わないけどそれでも多過ぎる!
(何もすぐに発現する訳じゃないから焦るな。俺の『個性』が今発現したのだって相当のイレギュラーなんだ……どういう『個性』か説明する。1度しか言わないからしっかり覚えておけ)
(…!はい!!)
(俺の『個性』は『
(……はい!ありがとうございます!)
凄い『個性』だ!この『変速』と『OFA』を組み合わせるだけでも凄まじい破壊力になるぞ…
(…そばにいる奴らに負けないようにな)
『変速』使い方や応用等を考えていると先程より優しい声色でそう告げられ、そのまま声は聞こえなくなった。
それなりに長い時間話していた気がしたがオールマイト達もなにか考え込んでいるみたいで、僕の様子については気になっていない様だった。
……とにかく、今起こったことは全部話しておくべきだろう。
「あの、オールマイト…今あった事なんですけど……」
きっとオールマイトにも同じ経験が……
「え……なにそれ知らん怖……」
は?
少し中途半端ですがこれ以上は長いかなと思いここまでに。これからものんびりと投稿していこうと思ってます。