『デク』がいないヒーローアカデミア   作:ふじはる

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オリキャラ視点だけじゃないのでオリ主タグ外してオリキャラに変更するべきかと迷ってます。


飯テロ(物理)回

 

 

「明日から特訓しようとは言われたがそういや時間までは聞いてなかったな」

 

「仕方ないよ、オールマイトは全国駆け回ってるから時間を決めてても来れるかは怪しいと思うし。先に掃除だけ始めちゃおうよ」

 

「オールマイトの監督抜きっつうことは個性は使わずにってか。とりあえず簡単に集めれる空き缶とかから始めるか」

 

「そしたら俺が燃えるゴミ集めるわ。出久と勝己で空き缶やペットボトル、ビンとか頼むわ」

 

「あ、それなら僕にビンとか重くなるのを集めさせてよ。『OFA』の下地作りを優先させて欲しいんだ」

 

「おぉ、んじゃさっさと片付け尽くすぞ」

 

様々なことが一気に起こった翌日、学校も休みで午前中からゴミ溜めとなった海浜公園に集まることができた出久、勝己、空牙の3人はオールマイトの不在により個性が使えないからと、軍手とごみ袋を装備しそれぞれの回収するゴミの種類を確認してからテキパキとゴミ掃除を始めた。

 

休憩を挟みつつ掃除を続けること3時間、ちょうど昼飯時になったところで3人はゴミ溜めから離れ近場のベンチで一服していた。

ちょうど自分たちが掃除していた場所も見える場所で、そこを見ながら空牙がため息混じりに言葉を零した。

 

「結構片付けたと思ったけどこうして見ると全っ然減ってるように見えねぇな」

 

「まぁ浜辺一帯がゴミまみれだしね…それに大きいゴミはまだ処理出来てないし」ノビー

 

「俺の『爆破』でデケェゴミ粉微塵にしてから回収出来りゃ楽なんだがなぁ」ダラッ

 

「お前だとなんかに引火するかもしれねぇし出久の『OFA』で潰してった方が良さそうだな」グデー

 

「色んなゴミを最低限の力で潰すの力の調整に凄くいい訓練になりそうだなぁ……後でオールマイトが来たら言ってみよう」

 

三者三様にダラけながら楽な掃除の仕方を模索していると、やがて勝己が立ち上がった。

 

「腹減った」

 

「コンビニで済ませるかどっか店入るか……」

 

「ここからだとコンビニすぐ近くにはないんだね…お店で食べよっか」

 

「店行くなら中華だな。こっからすぐのとこにあるみてぇだしさっさと行くぞぉ!」

 

「即決かよ」「言うと思ったよ」

 

店で食べようと決まるなり即決した勝己に苦笑はしつつも、2人は異議なしと勝己が起動したナビを頼りに並んで店へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご注文がお決まりになりましたらこちらのボタンを押してください」

 

そう言って3人分の水を置いて足早に他のテーブルへと向かっていった従業員を見送ってから、空牙がメニューを開き出久と勝己がそれを覗き込んだ。

 

「久しぶりの外食だしがっつり行くべきか……いやでも午後からは個性使って動き回るかもしれねぇしなぁ、迷うわ」

 

「別に食っても吐くほどヤワじゃねぇだろテメェはよ…俺は決まった、あとお前らが決めたら店員呼ぶぞ」

 

「かっちゃん早いなぁ…僕は天津飯と餃子にしようかな。くうちゃんは?」

 

「んん〜………決めた!ラーメンとチャーハン、それとエビチリにするわ!」

 

「いったねくうちゃん」「たまには贅沢してもバチは当たらんでしょうよ」

 

「よっしゃ決まったな」ピンポーン

 

さらば野口たち...と変なことを言っている空牙をスルーして勝己がボタンを押すと、10秒程で先程の従業員が3人のテーブルにやってきたのでそれぞれの注文を口にした。

 

「俺は醤油ラーメンとチャーハン、それとエビチリで!」

 

「僕は天津飯と餃子!」

 

「四川風麻婆豆腐とチャーハン大盛り」

 

「はい、繰り返させていただきますね。醤油ラーメン、チャーハン、エビチリ、天津飯、餃子に四川風麻婆豆腐とチャーハン大盛りですね……四川風麻婆豆腐の辛さが選べますがどれにされますか?」

 

「なにぃ…?」

 

「ほらよ…お、ほんとだ、結構細かく分けられてんだなー。1番上は……赫灼熱拳??」

 

「No.2ヒーロー、エンデヴァーの必殺技だね」

 

「流石に俺でも知ってる」

 

そう従業員に言われメニューを見てみると、確かに麻婆豆腐のイメージの右下に10段階程の段階を表す表記が載せられており、辛さ控えめの1から辛いであろう9までは見ての通り数字で表されているのに、何故か1番上だけプロヒーローの必殺技が暑苦しいフォントで書かれていた。

 

「面白ェ…!赫灼熱拳で頼むわ」

 

「かしこまりました。それでは料理が届くまで今しばらくお待ちくださいませ」ペコリ

 

礼儀正しくお辞儀をして従業員が去っていったが、3人の興味は完全に赫灼熱拳という謎の辛さ表記に集められていた。

 

「辛いよりも熱いの方がイメージされんだけど……俺石の器をコンロとかで加熱したまま来るのにジュース1本ずつ」

 

「うーん……エンデヴァーの必殺技を名前に使うぐらいだから麻婆豆腐そのものが炎上してるんじゃないかなぁ、油に引火させてる感じでさ。僕はそれにジュースね」

 

「どんなもんが来ようが完食しきったるわ!...唐辛子そのままで山になってるのにジュース賭けたるわ」

 

どんなものが来るのかを予想して賭けているうちに餃子、ラーメン、天津飯、空牙と勝己のチャーハン、そしてエビチリと料理が運ばれてきて、残るは勝己の四川風麻婆豆腐・赫灼熱拳のみとなった。

餃子やエビチリをシェアしながら待っていると、やがて四川風麻婆豆腐が運ばれてきた……2人ががりで。

 

「お待たせいたしました。四川風麻婆豆腐・赫灼熱拳でございます」

 

ボオオオオオォォォォォォォ

 

「こちら大変、大っ変熱く、そして辛くなっておりますので本当にお気をつけくださいませ」

 

「うわぁ…」

 

「お前これ本当に麻婆豆腐か???」

 

そう言って去っていった2人の従業員が置いていったのは、カセットコンロによって現在進行形で熱されている石の器の中で、油が引火しているのか火柱を立てて燃えている唐辛子の山だった。豆腐は唐辛子に埋もれているのか確認が出来ない。

 

「石の器に炎上してる本体に唐辛子の山……俺らの予想全部盛りじゃねぇか賭けになんねぇよ」

 

「拷問とかで使えそうだね。人によっては一口で自供すら出来なくなりそうだけど」

 

ご丁寧に炎対策の特別製の長いレンゲまで用意されており、他のテーブルからの注目を独り占めにしてしまっている麻婆豆腐(地獄そのもの)を前にして、勝己は過去最高にキマり切った表情をしてレンゲを手に取った。

 

「空牙、出久、俺は決めたぜ……俺がヒーローになったらこれを全国どこでも食えるようにこの店に投資しまくる!!」

 

「テロかよ」

 

「テロだよかっちゃん」

 

「うるせぇ!!俺はやるっつったら必ず実行する男だ!!これを全国へ知らしめてやらぁ!!!!」ガッガッガッ

 

(((思いっきりいったぁ!?!?)))

 

口を揃えてテロだと言う2人を黙らせ、勝己はレンゲいっぱいに乗せた唐辛子を口に放り込み、すぐに二口目、三口目と同じように唐辛子の山をかき込んでいった。

 

「っ!っ!…これだっ、これこそが俺が求める最高の味っ!たまんねぇ、たまんねぇほど美味ぇぞ!!!!」ハグッハグッ

 

(((はあああああああ!?!?この子の感覚どうなってんの!?!?)))

 

滝のように汗を流しながら人生で一番の美食に出会えたと言わんばかりに絶賛しつつ麻婆豆腐(唐辛子の山)をかき込む勝己に周りの客がドン引きする中、出久は真顔で勝己の心配をし空牙はスマホを録画モードにして勝己の食事シーン(凶行)を撮っていた。

 

「かっちゃん1回病院行こ?多分個性『爆破』じゃないよ、味覚か痛覚がバカになる個性だよきっと」

 

「なぁ出久、これ食い始めるとこから撮ってんだけどさ、これ光己おばさんに見せたらどんなリアクションすると思う?」

 

「え?うーん...勝さんも辛いの好きで光己さんその辺理解あるしなぁ……かっちゃんが珍しく手放しに褒めながら美味しそうに食べてるからほっこりするんじゃないかなぁ」

 

「出久もそう思う???お、豆腐出てきた。遂に唐辛子以外の具材が出てきたぞ」

 

「え?うわほんとだ…かっちゃんもうあの唐辛子食べきったの??15センチ以上の山だったよね???」

 

(唐辛子と香辛料の辛さの中にあるこの熱さが気にならねぇ程の旨み…!!この店は本物だ!!この芸当、間違いなく俺と同等の辛党がプロデュースしてるに違いねぇ!!!!)ハグッハグッ

 

出久と空牙のやり取りに目もくれず一心不乱に麻婆豆腐を食べ続ける勝己は、本当に珍しく顔も知らないこの料理の発案者(とんでもない大馬鹿野郎)のことも絶賛していた。

 

「……勝己がこんなんなるってことはここの麻婆豆腐マジで美味ぇんだろうな。これは無理だけど

 

「ね。かっちゃんこれで凄いグルメだし本当に美味しいんだろうね、僕も次来たら麻婆豆腐食べようかな。絶対にこれは頼まないけど

 

その後も勝己はペースを落とすことなく食べ続け、多くの観客が見守る中レンゲを器用に使い汁すら残さずに完食したのだった。

 

「……ごちそう、さまでした……っ!!!!」パァン!

 

勢いよく手を合わせてありったけの感謝を込めたごちそうさまでしたを披露した勝己に、1人のエプロンを付けた大男が近付いてきた。

 

「まさかあの赫灼熱拳を平らげる者が私以外にも現れようとは……少年、名はなんと言う?」

 

「っ!爆豪、勝己っす…アンタが、この料理を?」

 

「料理??」「劇薬の間違いじゃない?」

 

勝己がそう問いかけると、この店のオーナーらしき大男は首を縦に振ることで応えた。

 

「如何にも。私も辛いものが好物でね、一般向けの料理の開発の傍ら自身の趣味に走ったメニューも試験的に導入していたのだが名前のインパクトが強過ぎるのか頼んでくれる者がいなくてね、まさか初回の注文で完食までして貰えるのは予想外過ぎて思わず声をかけてしまったのだよ」

 

そう言って感慨深そうに目を閉じる大男に対して、勝己は立ち上がって頭を下げた。

 

「マジで美味かったっス。辛みの奥にある旨み…俺が求めていた味そのものでした……また、食いに来てもいいスか」

 

「……あぁ、何度でも食しに来るといい……余りこういうことを大っぴらにするのは良くないのだろうが、今日の君たちの代金は全て私が支払おう。初めての同好の士への餞別だ」

 

大男の発言に周りの客たちも『あれ』を食ってここまで言えるなら文句は無いと言わんばかりに頷いている中、空牙と出久はまさか自分たちまでとは思っておらず驚愕を口にした。

 

「え!?俺たちまで!?」

 

「それは流石に悪いですよ!僕たちはそれ食べてませんし…!」

 

慌てて断ろうとする2人に、大男は威厳のある笑みを浮かべた。

 

「気にする事は無い、私の初の同好の士の友なのだ、遠慮せず受け入れたまえ」

 

「で、でも……」

 

「それでも気にすると言うのなら、彼と共にまたこの店に来るといい。次は確り代金を頂くことを約束しよう」

 

「…そういう事なら、ありがとうございます!」ペコッ

 

「絶対また来ます!ごちそうさまです!」バッ

 

「あざっス!!」ガバッ

 

「あぁ、気をつけて帰りなさい……またメニューを考えなければな…今以上の辛さとのバランスとなると…フフ、これもまた愉悦か…

 

立ち上がり並んで頭を下げる3人を見て大男は満足そうに頷いたあと、誰にも聞こえないような声量で何かを呟きながら厨房に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

後にヒーローとなった勝己が本気で投資し、彼と共に開発した料理によってヒーロー(推し)の出した料理だからと日本全国でそれを食べてしまったファンたちが悶絶、気絶を繰り返す事でそこそこ大きなニュースになってしまうのだが、それはまだ先の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大男のイメージは例の外道神父です。
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