舞い上がってすぐに書いてしまいました。お疲れ様です!
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ヒースノーランド様、前回の誤字報告の件は誠にありがとうございました!
翌日、ビッチ姉さんは殺せんせーを必ず殺す為に再び作戦を練り始めた。勿論だが受け持ちの授業は自習にして、怒りと復讐心のままにタブレットを操作している。
「(必ず殺してやるわあのタコ!プロの仕事があの程度でネタ切れなんて思わないでよね。プランを変更する以上、あの3人じゃ役不足。私の人脈から最適の手先を選び直すわ。もう一度機材も一から調達しなきゃ…ってああもう!何でWi-Fi入らないのよこのボロ校舎!!)」
「必死だね、ビッチ姉さん。あんなことされちゃ、プライドズタズタだろうね。」
軽口を叩くカルマに反応し、ビッチ姉さんはカルマを睨む。そして昨日からいつまで経っても自習から進まない授業に皆が痺れを切らそうとしており、代表した磯貝がついに口を開く。
「あの、先生。」
「…何よ?」
「授業してくれないなら、殺せんせーと交代してくれませんか?俺ら今年受験なんで…」
前にも話したが俺たちE組は椚ヶ丘高校に無試験で内部進学する事が出来ない。理由は簡単、E組だから。その為今年の高校受験に備えて勉強しなければならないのだ。
だがそんな皆の意見を代表する磯貝の抗議をビッチ姉さんは馬鹿にするかのように鼻で笑った。
「ハッ!あの凶悪生物に教わりたいとか、地球の危機と受験を比べられるなんて、ガキは平和で良いわね〜。」
「それに、聞けばアンタたちE組って、この学校の落ちこぼれだそうじゃない?勉強なんて今更しても意味無いでしょ?」
「「「「「「…!!」」」」」」
その言葉は俺たちの怒りの琴線に触れた。
確かに俺たちはこの学校の勉強や制度についていけなかった脱落組ではある。しかしやって来てまだ2日目に、しかも外国語担当だと言っておきながらまともに授業もしてくれない教師から言われる筋合いは有るのだろうか?
そんな物、有るわけがない。ましてや肉体的にも精神的にも多感かつ未熟な中学生にはこの様な言葉は耐えられなかった。そんな怒りを気にも留めずこの『ビッチ』は高らかに話を続ける。
「そうだ。じゃあこうしましょう?私が暗殺に成功したら1人につき500万円分けてあげる。無駄な勉強するよりずっと有益でしょ?だから、黙って私に従…」
言葉を言い終わる前に誰かがこう言って黒板に向けて消しゴムを投げつけた。
「出てけよ。」
声色と距離からして前原だろうか?生徒からの怒りの目線が自身に向けられていることに気づいたビッチ姉さんは辺りを見回すが、時すでに遅し。
これを皮切りに、堪忍袋の緒が切れた全員が怒りを爆発させた。
「出てけクソビッチ!!」
「殺せんせーと代わってよ!」
「そうだそうだ!出てけぇ!」
「ちょっと美人だからって調子乗んな!」
「この傲慢ビッチ!!」
罵声が飛ぶ。怒号が飛ぶ。消しゴムが飛ぶ。シャーペンが飛ぶ。ペンケースが飛ぶ。丸められた要らないプリントが飛ぶ。飲み終わった空のペットボトルが飛ぶ。といったように完全に学級崩壊が起こった。だがビッチ姉さんは多少萎縮しながらも威嚇する。
因みに今の教室がどれだけ荒れているかと言うと、精神的に大人な千葉や普段から冷静で感情的にならなさそうな速水までもが立ち上がって怒鳴っている有様だ。
「なっ、何よアンタ達その態度!殺すわよ!?」
「上等だよ!やってみろコラァ!」
「誰もが金で釣られると思うなよボケが!!」
「あんまり俺らを舐めてんじゃねぇぞ!!」
菅谷に引き続き俺も自分の思っていた事を怒りに任せて吐く。
「この!スマホで名称を毎回変えるの大変なんだからね!!」
「不破さんは何言ってるの!?」
「100億に対して1人500万とか、分け前が少な過ぎんだろ!」
「そうだそうだ!巨乳なんて要らない!!」
「(そこ!?)」
この中では数少ない、怒りに身を任せてキレていない渚が茅野に対して
『脱!!巨乳!!』
というプラカードを掲げていることに困惑している。
茅野はこんな物を何処から出したのか、ましてやいつの間に作っていたのか。茅野が巨乳に憎しみを理由はなんなのか。家族か友の仇なのか。果てはただの羨望なのか。この先、桃花にも向けられるものではないのか。
いや、今はそんな事を考えても仕方ない。俺はそんな思考を捨て、引き続き皆と一緒に学級崩壊した。怒声と物が飛び交うこの教室に流石に堪らずビッチ姉さんも逃げた。
ーーーーー
数分後、攻撃対象がいなくなり少々怒りが収まった俺たちは持て余したこの時間をどうやって過ごすのか考えた。
「で、どうするよ?この時間。」
「自習って言っても昨日も何もしなかったしなー。」
「何かする?昨日みたいに自習で碌なことせず座ってるより良いだろ。」
「じゃあレクは?」
「良いんじゃない?皆もガス抜きになりそうだし。」
「だったら暗殺バドミントンでもするか?」
「良いね!楽しいし、訓練にもなるし。」
「じゃあ倉庫から物用意して、やるか!」
「やるって子はグラウンドに来てねー!」
磯貝と片岡の2人の学級委員が俺達を程よくまとめ上げてくれる。
「チッ、俺はテキトーなとこでテキトーに過ごしてるわ。」
「寺坂…わかった。気が向いたら来てくれな!」
「俺らはやるわ。あれ結構楽しいし。」
「私は本でも読んでるわ。」
寺坂組は参加するかしないかで綺麗に分かれた。寺坂の浮き具合は他と比べても明白である。参加するメンツ以外はおのおの自由に過ごすらしい。
俺も余った時間で鍛錬をするために対先生刀を待って外に出ようかと思っていると、桃花が俺に話しかけてきた。
「私と陽菜ちゃんはやるけど、威武樹はどうするの?」
「俺はちょっとだけ別の事してから参加するわ。」
「もしかして、また剣術?」
「そう。でも燕返しだけやるから10分くらいで終わるわ。」
「ホント好きだね、頑張ってね!」
「ありがと。」
「勝田って筋金入りのバカ剣士だよな。」
「うるせぇよ、この取り返しのつかない野球バカ。」
「あ、言ったな!この!」
「やめろって!ハハ!」
軽口を叩き合った杉野と戯れる。野球暗殺の時以降、こんな普通の友達のやり取りをする事が増えてきた。
「勝田、終わったらグラウンドまで来てくれな!」
「多分勝田君が素振り終わってからもやってると思うから。」
磯貝と片岡が俺にこうやって声をかけてくれるのは彼らの人徳の高さからくるものなのだろう、だから学級委員にも選ばれたわけだもんな。
ーーーーー
◇三人称視点ー
「何なのよあのガキども!こんな良い女と同じ空間にいられるのよ?有り難いと思わないわけ!?」
「有り難くないから、軽く学級崩壊してるんだろうが。」
教員室にてイリーナは怒りに顔を歪ませ、烏間に対して愚痴を吐いていた。しかし烏間はその様子を先程廊下で頭を抱えながら見ていた為それに共感も同情もする事なく、イリーナに対して生徒に謝るように諫める。
「いいから彼らにちゃんと謝ってこい。このままここで暗殺を続けたいのならな。」
「なんで!?私は先生なんて経験ないのよ!?暗殺だけに集中させてよ!!」
このイリーナの言い分には理解出来る部分もある。元々は超生物の暗殺を前提に日本はやってきたのだ。それを未経験の教師の仕事をやれとなど、納得出来るものではない。しかし彼女はそんな子供じみた言い分はすぐに言えなくなる物を見せつけられる事になる。
「………仕方ない。ついて来い。」
そう言って烏間は席を立ち、校舎裏まであるものを見せにイリーナを案内した。
「あれを見てみろ。」
「?」
烏間から指を指された方向を見ると、殺せんせーがチェアに腰掛けてマッハで小テストを作っていた。ぶどうジュースを飲みながら。
「何してんのよ?」
「テスト問題を作っている。どうやら水曜6時間目の恒例らしい。」
「…何だかやけに時間がかかっているわね。マッハ20なんだから問題作りくらいすぐ終わるでしょうに。」
「一人一人問題が違うんだ。」
「…えっ?」
「苦手教科や得意教科に合わせて、クラス全員の全問題を作り分けている。」
これは以前、現に烏間が数人の生徒から問題を見せてもらった時に驚かざるを得なかった物である。
「千葉君は空間図形の理解が早いですね。少し高度な引っかけ問題を出してみましょうか。」
「高度な知能とスピードを持ち、地球を滅ぼす危険生物。そんな奴の教師としての仕事は完璧に近い。」
その光景を見たイリーナは自分が知っていた昨日のデレデレと腑抜けた姿とはまるで違うものを目の当たりにし。衝撃を受けた。そして烏間は引き続きグラウンドにイリーナを案内し、暗殺バドミントンをしている生徒たちの姿を見せる。
「生徒たちも見てみろ。」
「…?遊んでるだけじゃないの。」
「動く目標に正確にナイフを当てるトレーニング。俺が教えた『暗殺バドミントン』だ。
「はぁ?」
「暗殺など経験も無く、約1名を除いてその様な訓練もしたことのない彼らだが、もちろん賞金目当てとは言え勉強の合間を縫って熱心に腕を磨いてくれている。」
「それっ!」
杉野がボールを刺突で着弾させ、3点が入った。直前に連携していたであろう矢田とハイタッチ。
「「イェイ!」」
「ターゲットと教師。暗殺者と生徒。あの怪物のせいで生まれたこの奇妙な教室では…誰もが二つの立場を両立している。」
「おまえはプロであることを強調するが…もし暗殺者と教師を両立できないなら、ここではプロとして最も劣るということだ。ここに留まって奴を暗殺したいのなら、見下した目で生徒を見るな。生徒たちがいるからこそこの暗殺教室は存続している。生徒としても暗殺者としても対等に接しろ!!それが出来ないのなら、''殺せるだけの殺し屋の代わり''など他にいくらでもいる。大人しく順番待ちの最後尾に並び直してもらうぞ。」
「因みに言っておくが、彼らは暗殺者であると同時に本業はあくまでも中学生だ。もしまた彼らに危害を加える旨の脅しをするようなら、俺が絶対に許さない。よく覚えておけ。」
烏間は最後、去り際に怒気を孕んだ声でイリーナに警告した。
「……………」
イリーナに向けられたのは烏間からの厳しい言葉であったが、それは全てにおいて正しかった。そして自分が如何に一つのことしか出来ていない、この場でプロとして誰よりも劣っている現実を突きつけるには充分に痛感できるものであったのだ。
「(反省したわよ。ここまで差を見せつけられたら流石に…あの子たちに謝らなくちゃいけないわよね…)」
ーーーーー
◇威武樹視点
数分前ー
俺は剣の鍛錬を終え、クラスメイトたちの暗殺バドミントンに合流した。
「おーい!終わったから入れてくれよ!」
「勝田!お疲れ!」
「悪いけど次の回からで良い?」
「おっけ!じゃあちょっとこの回は見てるわ。」
そうして今の回は見送りということになったので外野で見ておくと、千葉が打ち返したボールに桃花が少し怯んで点を取られていた。軽くでも心配出来るカルマのイケメンムーブよ。
「よっと!」
「うわ!」
「ハハっ、大丈夫?」
「もう!」
俺はボールを拾いサーブを打とうとしている桃花のやる気を焚き付けようと思い声をあげる。
「頑張れ!元テニス部の本領、発揮しちゃえよ!」
「任せて!舐めないでよねっ!」
そうしてこの回は終わり、次の回のチーム分けをしようとした時だった。
「なぁみんな、頼みがあるんだ。」
「どうした勝田?」
「2分間だけ俺に時間くれない?」
「良いけど、何するの?」
「みんなでローテーションしながら俺にアタックし続けて欲しい。俺はその度にこれで打ち返す。」
そう言って俺は演練用の刀を取り出した。これは暗殺バドミントンで使っているナイフの刀版であり、烏間先生に頼んで最近支給してもらった物だ。
「つまり、ひたすら勝田君がディフェンスに徹するってこと?」
「そういうこと!」
「なんかノック練習みたいだな!」
杉野がわかりやすい例えで説明してくれると、すぐに俺以外の皆が反対側のコートに移ってくれた。俺も周りに人がいないことを確認し、刀を正眼に構える。
「それじゃ、よろしく頼むぜ!」
「因みに、威武りんが負けると何かあったりするの〜?」
「そうだな…って何で罰ゲームみたいの付与しようとするの!?」
「だってそっちの方が面白そうじゃ〜ん?」
倉橋さんが何やら聞きだし、カルマがそれに乗っかってくる。
「確かに多少の緊張感が有った方が、威武樹も本気出せるんじゃない?」
「カルマはカルマでこういうの乗っかるの本当好きだよな。」
「あ、もしかして勝つ自信が無いんだ?」
「は!?」
カルマは俺に対して舌を出しながら挑発してくる。コイツ、この表情してやがる時ホント腹立つな…
あの時の殺せんせーの気持ちが今なら誰よりも理解出来る。
そしてそれを合図に他の皆も互いを見て笑みを浮かべながら頷き、同じようにしようと意思を合わせる。そんな俺に対して最初に口を開いたのは桃花だった。
「なんだ威武樹、ビビってるんだったら最初っからそう言えばいいのに。全く『意気地なし』なんだから。」
「桃花!?」
ここ最近気になり始めている女の子からこんなことを言われるのは流石に少し心にくる。だがそんな事お構いなしに、益々俺を挑発する声は増すばかりだ。
「打ち返す自信が無いなんて、思ったよりヘナチョコなんだな。」
「おいおい椚ヶ丘のサムライとは名ばっかりかよ!」
「しゃーねぇべ?俺たちに勝てねえって言ってるようなもんだからよ。」
「このヘタレ剣士!」
「ま、私たちに勝つ自信が無いならこの程度なんじゃない?」
「ビビる剣士なんて、さぞ弱い剣士なんだろうしね。」
全員が俺を舐めた様に煽りまくる。無論、思ってもいない事なのだがここまで言われまくっては俺は我慢の限界が来て爆発した。
「だああああああっ!!上等じゃねぇか!!2分と言わずに5分、いや時間いっぱいまで全員打ち返してやらぁ!!」
そんな俺をよそに皆は「作戦成功!」と言わんばかりにお互いを見合っている。
・ルール
1.威武樹は基本的にディフェンスのみ。
2.打ち返した際に点を取られた場合はその人は一回休み。
3.打ち返せなかった場合は威武樹から点を取った人にジュース一本奢り。
4.刺突得点の場合は1回でクリア。斬撃得点の場合は2回でクリア。
5.オフェンス側は何度でも挑戦出来る。
6.時間切れで全員から防衛成功の場合は威武樹の勝利。
7.威武樹が勝ってもオフェンス側にペナルティは無し。
………という俺の方が明らかに不利なルールとなった。異議を唱えたくなったが唱えた瞬間また煽られるので黙って俺はこの条件を飲んだ。そして俺は気を引き締めて刀を構える。
「よっしゃ来い!!」
「行くぜ!」
最初にサーブで仕掛けてきたのは木村だったが、俺はそれを横一文字で難なく弾き返す。
「おぉ〜!流石だな!」
「当然だろ!活きが良いの頼むぜ!!」
「活きが良いのって魚かよ…」
「まぁ殺せんせーもほぼタコだし間違いじゃねーかもな。」
ーーーーー
その後、俺は時間が過ぎ去るが毎に向かってくるボールを弾き返しまくった。そして残り時間が10秒となったところで…
「ハァ…ハァ…(流石に息が切れてきたな…)」
今のところは誰も俺に得点を取れていない。磯貝や前原に岡野、片岡さん、杉野といったナイフ術上位辺りのアタックの時は少し危なかったが。
「じゃ、最後は俺が〆よっかな!」
そう言って最後にアタックを仕掛けてきたのはカルマだった。繰り出された刺突は中々に鋭く精度のあるものだったが…
「ヤアッ!」
俺は逆袈裟で弾き飛ばした。これで漸く最後で、今回は俺の勝利だ。
流石に疲れて息を吐くとすぐに皆が俺のことを労ってくれる。
「ふぅ、終わったな…」
「「「「「「お疲れ(様)!!」」」」」」
勝ったのは俺なのにこうも言ってくれるのは俺は本当に良い仲間に恵まれているのだろう。
「やっぱすげぇな、勝田。」
「負ける気とか無かったの?」
「私たち皆本気で行ったよ?」
「確かに危ない時はあったし、ナイフなら下手して何人かに負けたと思う、でも剣で負けるのだけは避けたかったんだ。」
「剣士だね〜」
「威武樹、はい!」
桃花が俺にタオルとお茶を持ってきてくれた。
「お、サンキュー桃花。」
「ううん。さっきはごめんね。」
「何が?」
「冗談とはいえ『意気地なし』なんて言っちゃって。」
「いいよ。気にしてないし。」
「ありがとう。私は知ってるからね、威武樹は誰より勇敢だってこと。」
「何か、ありがとな。」
こんな風に褒められるのは少し照れくさいので俺は照れ隠しに手渡されたお茶を飲んで気を紛らわす。
「ん!?威武樹待って!!」
と言われたがもう遅かった。俺は口をつけて先ほど渡されたお茶を飲んでいたのですぐに口から外したのだが………
「それ…私がさっき飲んでたやつだった…」
「って事は…………まじかよ…」
そう。
間接キスである。
こんな事も昔はザラにあったのだが小学校に入って少し経った頃にはお互いが男女のなんとやらを意識するので無くなっていたものだ。
しかし俺は今、おそらく10年ぶりに桃花と間接キスをした。中学3年生なんていうお互いに思春期真っ只中の年頃でこれをしてしまうのは相当な恥ずかしさが襲い掛かってくる。
「ご、ごめん!俺が口つけたところ、直ぐに拭くから待ってて…」
「いいよ!それ、そのまま威武樹にあげるから…///」
「あ、ありがとな…」
「うん…(待って私も今になって間接キスするって思わなかったって…うぅ…)」カァァァ
俺たち2人の様子を見て女子はニヤニヤし、男子はしている者に加えて約1名なんとも言えない表情をしている者がいる。
「…さ!これくらいで終わって皆で片付けようか!」
まとめてくれる片岡さんナイス。そうして俺たちはコートの片付けを終え、教室に戻って次の授業までテキトーに駄弁っていた時だった。
ビッチ姉さんが戻って来て無言で黒板に何やら文字を書いている。見ると英文だがこれは…?
「You are incredible in bed! repeat!」
全員がポカーンとしてしまっている。いきなり何?といった具合に。
「ホラ!!」
「「「…ユ、ユーアーインクレディブルインベッド。」」」
するとビッチ姉さんは何やら自身の体験談を語り出す。
「アメリカでとあるVIPを暗殺した時よ。まずそいつのボディーガードに、色仕掛けで接近したわ。その時彼が私に言った言葉よ。意味は『ベッドでの君はスゴイよ…♡』」
「(中学生になんて文章読ませんだよ!!)」
思春期ゴリゴリに来てる年頃の中学3年生舐めてんじゃねぇぞってくらいの言葉を全員に言わせやがった。辺りを見渡すと皆が顔を赤らめている。特に顕著に表れているのは渚だった。
「外国語を短い時間で習得するには、その国の恋人を作るのが手っ取り早いとよく言われるわ。相手の気持ちをよく知りたいと、必死で言葉を理解しようとするのよね。私は仕事上必要な時、そのヤリ方で新たな言語を身につけてきた。だから私の授業では…外人の口説き方を教えてあげる。」
この人がヤリ方っていうと別のコトに聞こえてきてしまうよ!?
何やらビッチ姉さんの黒板に書き出している世界地図によると
日本にシンジ、北米にハワード、南米にアンデルソン、中国にチソン、イギリスにデビッド、中央アフリカにエリック、東ヨーロッパにネマニャ、西ヨーロッパにクリスティアーノといった知り合いがいるらしい。
……いや多いな!?
「プロの暗殺者直伝の仲良くなる会話のコツ。身につければ実際に外国人と会った時には、必ず役に立つわ。」
「「((外国人…!?))」」
一部は何やら有名どころを想像しているな。デップな奴やジョリーな奴、クルーズな奴にメリッサな奴とだって、仮に会えればの話だがこの話術を使えば仲良くなれると言っているようなものなの…か…?
「受験に必要な勉強なんてあのタコに教わりなさい。私が教えられるのはあくまでも実践的な会話術だけ。もし…それでもアンタ達が私を先生と思えなかったら、その時は暗殺を諦めて出ていくわ。」
「…そ、それなら文句ないでしょ?…あと、悪かったわよ…色々と…」
ちょっと前までの傲慢で思い上がった態度はどこへ行ったのか、と思ってしまうくらいにビッチ姉さんは素直に、でも少し恥ずかしがりながら俺たちに謝った。まるであまり謝ることに慣れていない子供のように。
それを見た俺たちは少しの間だけ沈黙した後で全員で笑い飛ばした。
「「「「「「アハハハハハハ!!」」」」」」
「何ビクビクしてんのさ、さっきまで殺すとか言ってたクセに。」
「なんか、普通に先生になっちゃったな。」
「もうビッチ姉さんなんて呼べないね。」
「…!アンタ達…わかってくれたのね…!!」
それを見て何やら心にくるものがあったのか、感極まって目に涙を浮かべるイリーナ先生。
「考えてみれば私たち、先生に向かって失礼な呼び方だったよね。」
「うんうん。呼び方変えないとね。」
「じゃあビッチ先生で。」
「!?」
先生呼びになったとしても、結局ビッチ呼びは変わらないんだね。
「え、えーっと…ねぇ、ビッチから離れてみない?ホラ!気安くファーストネームで呼んでくれて構わないのよ?」
「でもなー、すっかりビッチで固定されちゃったし。」
「えっ」
「イリーナ先生より、ビッチ先生の方がしっくりくるよ。」
これは最初にイリーナ先生と呼ばれた時に叱りつけてしまったので自業自得なのか、それとも先ほどの英文によるものなのか。あっさり前原と岡野にそう呼ばれてしまい、ビッチ先生呼びに決まってしまった。倉橋さんが改めての挨拶をし、授業することを岡島と俺が促す。
「そんなわけでよろしく〜!ビッチ先生!」
「さっそく、授業始めようぜ!ビッチ先生!」
「姉さんから先生になったんだからさ!」
「「「ビッチ!ビッチ!ビッチ!」」」
クラス全員からビッチコール。下手したらクラス絡みの嫌がらせと捉えかねない物だ。この人がもし日本人だったら、ヤ○マン先生って言われてるようなもんだしな。
徐々に怒りに顔を歪ませ、堪忍袋の緒が切れたイリーナ先生がこう叫ぶ。
「キーーーッ!!やっぱり嫌いよアンタ達!!」
「「「ははははは!」」」
「私のことバカにして〜!!」
「バカになんかしてないって!」
「プロ舐めてんじゃないわよ!このクソガキども!!」
すっかりキレ芸とキレのいいツッコミで馴染んでいるし、明日にはもう慣れてるんだろうな。
ーーーーー
◇烏間視点
イリーナが生徒たちに謝罪しに行くと聞いて、また騒ぎを起こさないか少し心配になりその様子をコイツと一緒に見ていたのだが………
イリーナは謝ったし、生徒たちは楽しそうに笑っている。
…………その後でイリーナはまたキレていたが。
「すっかり馴染んでますねぇ。」
「…一応は、な。」
俺は背を向けたヤツに発砲しようと銃を抜こうとした瞬間まるで見抜かれていたように話しかけられる。
「ありがとうございます。烏間先生。やはり生徒には生の外国人と会話をさせてあげたい。さしずめ、世界中を渡り歩いた殺し屋など最適ですねぇ。」
……コイツ、ここまで全て見通した上で!?コイツは、E組の教師になったことを頑なに語らない。だが、暗殺のための環境を整えれば整えるほど、学ぶために理想的な環境に誘導されてしまっている。みんなが踊らされているようだな。このモンスターの触手の上で。
少し敵わないな、という部分もあると思いつつ、俺は笑みを浮かべながら銃を懐にしまった。
ーーーーー
◇放課後ー
烏間先生との放課後訓練が終わり、俺は体操服から着替えようとしていた時だった。教員室前の廊下でイリーナ先生を見たので駆け寄って声を掛ける。
「あ!イリーナ先生!」
「?勝田じゃない。どうしたの?」
「その…ごめんなさい。俺も怒ってたとはいえ、先生に『誰もが金で釣られると思うなよ!ボケが!!』なんて言っちゃって。」
「ふぅん…ま、あの時は私もアンタ達の事見下してたからね。おあいこよ。てかワザワザ謝りに来るなんて、アンタって律儀なのね。」
「まぁ、剣士なんで。」
「あと、『イリーナ先生』って呼んでくれるのは?」
「俺ってちょっと叱られたり失敗したくらいじゃ良くも悪くもめげなくて。あとはファーストネームで呼んでくれて良いって言ってくれたけど、周囲から浮くのがなんかヤだったなーって思って。」
「なるほど、良い子ね。ご褒美に濃密ディープキスをしてあげるわ♡」
「(……………まじかよ。)」
嬉しそうにそう言って俺を抱き寄せたイリーナ先生は昨日の渚と同じく、流れるように俺の唇を奪い去った。てかめっちゃ巨乳が押し付けられてくる。
「!?むぐうぅぅぅぅぅ!?」
もうみんな帰っている時間帯の廊下だったので良かったが、帰りの会が終わってすぐとかだったら俺のおかしな声が皆んなに聞かれてしまうところだった。その後はおそらく、カルマや中村あたりが俺がディープキスされている場面を動画で撮ってイジりまくってくるはずだ。
まさしく不幸中の幸い、というものなのであろう。
数分後、意識が飛びかけたところでイリーナ先生が漸く唇を離してくれた。しかし人生初の上手すぎるディープキスは変な感想しか出てこない。
「しゅ、しゅごおぉぉい……」
「…あら、案外やるじゃない?渚は昨日、これでダウンしちゃったのに。(30HITっていったところかしらね。)」
渚もこれを喰らったのか。良かったな仲間が出来たぞ、俺だけど。しかしこんなものを経験ない男子が喰らって無事で済むはずがなく、俺は持っていたナイフと刀を落とし、膝をついて意気消沈してしまった。
そんなへたり込んだ俺を見つけた烏間先生が俺に駆け寄り、揺さぶりながら声をかけてくれる。
「勝田君!?何があったんだ、おい勝田君!?」
「世界最高峰の…ディープなキッスを経験しまちた〜♪ビーッチのキースは〜、雪のようなくち〜どけ〜♪」
「は!?大丈夫か勝田君!?」
その後、落ち着いた俺から全てを聞いた烏間先生は眉間に皺を寄せながら頭を抱えていた。
本当にお疲れ様でございます…俺は烏間先生の今後の苦労を思いながら、自宅までの帰路についた。
ご覧いただきありがとうございました!
はい。威武樹も唇を奪われてしまいましたね。(他人事)
桃花ちゃんと間接キスからのビッチ先生とのディープキスって、
最早これ大人の時間じゃなくてキスの時間だったんじゃ………
「俺の、俺のファーストキス……」
「い、威武樹君!僕もアレは外国人なんかが他人との挨拶の時よくやってるもんだって思うことにしたし、威武樹君もノーカンにしよ!ね!?」
「渚きゅうううん………」
次回は毒の時間なのですが、その後でまたオリジナル回を挟むかもしれません。(またかよ)
威武樹の家族紹介
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欲しい!
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いらない