3年E組の剣豪   作:ファヴキール

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お疲れ様です!最近になって創作意欲が湧きまくります。まさしく創作の秋。

UAが13,000件突破、お気に入り登録が120件突破!

これも皆様のおかげです。いつもご愛読ありがとうございます!
どうか私のしがない妄想にまだまだお付き合い下さい。

今回は全校集会です。大体前回の予告通りのことに加え、それ以外のことも起こりますので普段よりも相当長めです。


それではどうぞ!!


集会の時間

 

今、俺は山道を歩いている。今日は月に一度の全校集会…なのだが俺たちE組は隔離校舎にいるために昼休みを返上して体育館に集合しなければいけない。そして遅れたら遅れたで罰則がある。

 

 

「急げ!遅れたらまた、どんな嫌がらせされるか分からないぞ。」

 

「前は本校舎の花壇掃除だったっけ?」

 

「アレはきつかった。花壇が広すぎんだよ。」

 

「お前はほとんどサボってただろ!」

 

「ハハハッ!そうだっけ?」

 

「そういうポジの奴はカルマだけで十分なんだよ。」

 

「いや急にメタいな。」

 

 

俺の少し前を歩く磯貝、岡野、前原の3人が会話をしている。直後として聞こえるのはE組の扱いが嫌になった、とばかりに岡野の悲痛な叫び。

 

「もう!何で私たちばっかり、こんな思いしなきゃいけないの〜!?」

 

 

「……E組だから。で片付けられるんだろうな、きっと。」

 

 

ーーーーー

 

\いきなり!おしえて!くぬどん!/

 

 

え、急になんか始まったんだけど?

 

 

「やぁみんな!くぬどんだよ!」

 

「「「「「くぬど〜ん!!」」」」」

 

またなんか幼児向けの教育テレビに出てきそうな声のマスコットが出てきた。

 

現に、コイツはこの椚ヶ丘学園のマスコットキャラクターのくぬどん。

そんなくぬどんが知らない人のために紙芝居のようなイラストを用いてこの山下りの概要について教えてくれる。

 

 

「成績不振のE組は、他の生徒に悪影響を与えないために本校舎から離れた特別校舎を使っているんだ。」

 

「「「「え〜!?すごいや!!」」」」

 

 

何もすごくねぇよ!ただの隔離だよこんなの!!

 

 

「普段は本校舎への立ち入りは禁止なんだけど、全校集会のある日だけは、山を降りて移動するんだ。昼休みを返上してね!!」

 

 

そしてすごろくの様な山下りが始まった。

先ずは岡島、三村、千葉一行。川を渡ろうとしたが橋が崩れる。

 

「「うわあぁぁ!?橋がぁぁ!?」」

 

「誰だよ!こっちが近道だって言ったやつ!?」

 

 

「ああああぁぁぁぁ!?」

 

「岡島ぁぁぁぁ!!」

 

三村が川に落ちてグロッキーになってしまった千葉を何とか救出するが岡島だけは間に合わなかったようで、そのまま川に流されてしまった。回りながら。

 

 

 

「クズのE組は、規律を守るために他のクラスよりも先に体育館に整列していなければいけない決まりなんだ!」

 

「「「「「頑張れ〜!!」」」」」

 

見た目と声に反して口悪いなこのマスコット!!

 

 

 

場所は変わって桃花、原さん、不破さん一行。蛇の大群に遭遇。

 

「「「キャー!!蛇ー!?」」」

 

 

「「「お、岡島君!?」」」

 

何とか激流から抜け出した岡島、今度は蛇の大群に襲われる。何故か彼が蛇の攻撃対象になったおかげで女子3名は危機を脱したが、''蛇''という大抵の女子は忌み嫌うであろう生き物に触れることは3人とも出来なかった。

 

 

 

          \バンッ!!/

 

 

「ちゃっちゃと走れゴミども!答えは『イエス、サー!』だ!」

 

 

「「「「サー、イエス、サー!わーい!!」」」」

 

 

『わーい!!』じゃねぇよ!今度はサングラスかけて竹刀持ちながらよくわからん鬼教官みたいなノリになりやがって。絶対そんなキャラだと絵本とか作られないぞ、お前。

 

 

場所は移り、山の中腹辺りにいるであろう寺坂組。そこに冒険映画かゲームのダンジョンくらいでしか転がってきなさそうな如何にもという丸い大岩が転がってきた。

 

 

「「「「ギャー!?落石だ!!」」」」

 

「「「「お、岡島ぁぁぁ!!」」」」

 

岡島、先ほど払いきれなかった数匹の蛇に巻きつかれながらも何とか落石から逃げ切る。寺坂、村松、吉田、狭間の全員が名前を叫ぶも、矢張り岡島を助ける事はできなかった。

 

 

 

渚、杉野、菅谷、茅野、神崎さん、奥田さん一行。何故か興奮した蜂の大群に襲われる。

 

「「「ギャー!!」」」

 

「誰だよ!蜂の巣刺激したの!?」

 

ついさっき紙一重で落石から逃れた岡島、今度は蜂の大群に追い回される。

 

「「「「「「お、岡島ぁぁ!!」」」」」」

 

 

「た、助けてくれぇぇぇ!!」

 

 

「…アイツ、なんか凄いことになってたけど、大丈夫かな?」

 

「うん…」

 

 

杉野と渚が彼の安否を心配するが、彼の身に降りかかる災難はまだまだ続く。

 

「いやもう…蜂とか勘弁して…」

 

「でも岡島が大半を受け持ってくれたな…」

 

「大丈夫か?」

 

「烏間先生!」

 

「焦ることはない。このペースなら十分間に合う。」

 

烏間先生が心配はないことを伝える。

 

「ちょっと〜!アンタたち〜!!」

 

「あっ、ビッチ先生。」

 

「ハァ…ハァ…休憩時間から移動するなんて、聞いてないわよ…?」

 

「だらしねーなービッチ先生。」

 

「ヒールで走ると倍疲れるのよ!!」

 

「烏間先生。殺せんせーは?」

 

「あんな姿を生徒たちの前に姿を見せるわけにはいかないからな。旧校舎に待機させている。」

 

 

◇旧校舎

「先生だけ1人除け者…ぼっち先生…」

 

「さぁ、本校舎までもう少しだ。行くぞ。」

 

「「「「「「はーい。」」」」」」

 

ーーーーー

 

 

 

場所は変わって地面が平らになってきた辺り。

 

「うわぁぁぁ!?地割れだ!」

 

「何なんだよこの山!」

 

 

「「「お、岡島ぁぁ!?」」」

 

 

岡島、地面がひび割れるごとに追い回されるように逃げる。

 

 

「きゅ、急に天候が荒れてきた!?」

 

「なんで雷まで鳴ってるんだよ!」

 

 

「「「「お、岡島ぁぁぁ!?」」」」

 

 

岡島、木に落ちてくる雷に何とか当たることなく紙一重で逃げ切る。

 

 

 

俺たちは本校舎まで残りわずかと言ったところで………

 

「「「「く、熊だぁぁぁ!?」」」」

 

なんと野生のクマに遭遇。何なんだこの魔境!?今日に限ってクマがこんな人里に降りてくるなんてヤバすぎるだろ!

そんな矢先に岡島が走り抜けて行った。勿論、熊に追われながら。

 

「「「「岡島ぁぁぁ!?」」」」

 

「誰でもいい、誰か俺を助けてくれぇぇぇぇ!!」

 

「ねぇ、岡島ちょっとヤバそうじゃない?」

 

「…あぁ。でも多分大丈夫だろ。」

 

「どっから来る信頼!?」

 

 

 

しかし俺たち4人は少し早く出ていたのもあって漸く、本校舎に辿り着くことができた。俺はみんなより早く

 

 

          \\\ゴール///

 

 

 

「やったぜ1番乗り!」

 

「子供ねー」

 

「こうやって少しでもテンション上げないと気が滅入るからな。」

 

「こんな日にテンション上げようと思えるの、すげぇよ…」

 

到着後、暫くの間待っているとぞろぞろと何人とやってきて、磯貝が確認するとカルマ以外は全員いるな、となったが辿り着いた皆は揃いも揃ってすっかり疲弊してしまっている。そして岡島が無事生還したのは何より良かったが、アレで大丈夫だったことに驚きである。

 

 

「ひ、酷い目にあった…」

 

酷い目ってレベルじゃないだろ…と思いつつも、まだ身体に蛇が何匹か絡みついているので、蛇を掴んで取ってやる。巻きついているのが毒ヘビでは無さそうなので良かった。俺は害のない虫や蛇くらいでビビってしまうようなヘタレではない。

 

「大丈夫か?岡島。」

 

「ああ。ありがとよ勝田…」

 

前原と磯貝が全員間に合ったことを確認しつつ、俺たちに集合を促す。

 

「間に合ったな…」

 

「何とかな。ほら皆!急いで整列しようぜ!」

 

「「「「「「はーい。」」」」」」

 

ーーーーー

 

体育館にどのクラスよりも早く到着した俺たちは、どのクラスよりも先に整列した。先程くぬどん''様''が教えてくれた通りである。するとそんな矢先に態々渚に絡んでくる2人組。雑魚キャラ筆頭、D組の田中と高田だ。

 

「渚く〜ん」

 

「お疲れ〜」

 

「わざわざ山の上から本校舎に来るの大変でしょ〜」

 

「「ぎゃははは!」」

 

「そうなんだよ大変なんだよ。」

 

「「うわっ!?勝田!?」」

 

俺は敢えて2人の間に割って入る。

 

「さっきクマを見たから下手したら集会中に乱入してくるかもしれないよ?田中と高田ならどっちの方が美味そうに見えるのかな?」

 

 

正直言ってどっちも不味そうだけど。

 

 

「怖ぇよ!」

 

「てかクマ見たとか嘘だろ!?流石に!」

 

「いやそれがマジで(グイ

 

「はいはい勝田君はこっち来て。」

 

「あ〜れ〜」

 

片岡さんに襟首を掴まれて俺は元の位置に戻されることになった。

そして今、物凄い圧をかけられながら。

 

「………勝田君。頼むから今日は''大人しく''しててね?」

 

「はーい。」

 

先月の全校集会中にも騒ぎを起こしてしまったので、今日の片岡さんは普段よりちょっと怖い。ま、多分やるんだけど。

 

俺たちE組にとって、この全校集会は憂鬱になるイベントである。

 

ここでも差別や軽蔑されるのは変わらない。

 

 

「ハハハ!」

 

「クスクス」

 

「…ケッ!」

 

寺坂たちも嫌になっていそうなので俺は敢えて顔芸でもして気を紛らわせる。

 

「寺坂寺坂!」

 

「あァん?」

 

「鬼瓦!」

 

「「「ブフッ!」」」

 

 

「ねぇ、勝田君?私…さっきなんて言ったっけ?」

 

 

「………はい、大人しくしてます。ごめんなさい。」

 

何人かは吹き出して笑ってくれたが直後、片岡さんに怒られた俺は分からないようにペコちゃんの顔真似をする。こうすれば好奇の目で見られたり後ろ指を刺されたりといったことは無くなる。のだが…

 

 

 

「勝田のやつ、何だあの変顔!?」

 

「…マジで何なんだアイツ。」

 

「頭の中バグってんだろ。」

 

「剣の振り過ぎで脳みそまでシェイクされたんじゃね?」

 

「放っておこうぜ、あんなイカれザムライ。」

 

 

 

イカれ野郎のレッテルを貼られる。まぁ俺は変に絡まれたり近寄ってこられたりしないからこれの方がいいんだけど。何はともあれ全校集会は始まった。

 

 

因みに今何かのスピーチを話しているこのバーコードハゲ…じゃなかった。男性が校長である。

 

 

『…えー、要するに君達は、日本全国から選りすぐられたエリートです。この校長が保証します。…が、慢心は大敵です。油断してると…どうしようもない誰かさんみたいになっちゃいますよ。』

 

「「「「あはははははははは!!!!」」」」

 

『こら君たち笑いすぎ!校長先生も言い過ぎました。』

 

軽蔑の言葉を聞いて爆笑する程度の低い連中。

意図して言ったくせに何が''言い過ぎた''だ、このすだれハゲ。

カッパか落武者にするぞ。

 

 

「渚。そーいやカルマ居ないけど、アイツは?」

 

「サボり。集会フケて罰喰らっても痛くも痒くも無いってさ。カルマ君みたいに成績良くて素行不良って、こういう時は羨ましいよ。」

 

カルマは罰なんか喰らってもその罰ですらサボりそうだもんな。きっと今も裏山のどこかでゆっくり過ごしているんだろう。でも正直言うと、カルマにはこの場に居てくれた方が良かったし、心強かった。

 

 

『続いて生徒会からの発表です。生徒会は準備を始めてください。』

 

その放送が聞こえると同時に扉から烏間先生が入って来た。黒いスーツ姿の烏間先生は醜い顔つきばかりの本校舎の教師の前だと一層際立って見える。女子たちからは憧憬のような声が聞こえる。

 

 

「誰だあの先生!?」

 

「シュッとしててかっこいい〜」

 

「E組の(表向き)担任の烏間です。別校舎なのでこの場を借りてご挨拶をと。」

 

「あ…はい。よろしく。」

 

 

さっきまでハゲの話で笑ってたくせに、男前に近寄られて秒で頬赤らめてやがんだよ、あのオバハン。

 

そんな烏間先生を見て倉橋さんと中村が声を掛ける。デコったナイフの鞘を見せながら。下手したらこの2人に俺の刀の鞘もデコられてしまうかもしれない。そして''それ''を見た烏間先生は焦った顔で2人に歩み寄り、小声で注意する。

 

 

「あ、烏間先生。」

 

「ナイフケース、デコってみたんだ〜」

 

「ふふっ。可愛いっしょ?」

 

「可愛いのはいいが、''ここでは''出すな!他のクラスには秘密なんだぞ!?暗殺のことは!」

 

「は、はーい…」

 

 

 

「何だ、アイツ?」

 

「E組の担任?」

 

「なんか仲良さそー」

 

「良いなー。ウチのクラス、先生も男子もブサメンしかいないのに。」

 

「「「「「……………」」」」」

 

 

こんなかっこいい先生と仲良いの、羨ましいだろ?ねぇみんなも来ない?E組に!!と思っていた直後、まるでレッドカーペットの上でも歩いているかのようにイリーナ先生がやって来た。

 

金髪巨乳美女なんて思春期の男子中学生にはかなり刺激が強いと思うし、生徒はおろか教師ですら釘付けにしているのは流石だ。

 

 

「ちょ、何なんだあの凄い身体の外国人!?」

 

「ハリウッド女優みてぇ…」

 

 

 

「ビッチ先生。さっきまであんなにへばってたのにな。」

 

「本当に見栄っ張りだなぁ。」

 

「ま、あれでこそ俺らのビッチ先生だろ。」

 

 

 

「アイツもE組の先生なの?」

 

「カッコいい〜…」

 

「へへへへへ…」

 

E組の教師2人に対する周囲の羨望の声。普段が普段なだけにコイツらが俺たちを羨ましがっていると思うと聞いていて気持ちが良い。だがコイツらがイリーナ先生を見る顔はキモい。

気持ち良いんだか悪いんだか分からなくなってきた。

 

 

「……何しに来た。」

 

「何じゃないわよ。私もここの先生よ?」

 

「お前にもその自覚はあるんだな。」

 

「他の生徒の様子も見てみたかったしね。…ふーん。どいつもこいつもパッとしないわね。これならうちのクラスの方が粒揃いだわ。あぁ、そうだ。」

 

「?」

 

「渚!あのタコがいないから丁度良いわ。アンタさぁ、あのタコの弱点全部手帳に記してたらしいじゃない?アイツが居ない今がチャンスだわ。その手帳、お姉さんに渡しなさいよ。」

 

「えぇ?役立つ弱点はもう全部話したよ。威武樹君と一緒に行ったあの時に。」

 

「そんな事言って、肝心なとこ誤魔化す気でしょ?アンタって子はもう〜」

 

「いやだから…」

 

「いーから出せってばこのガキ、おっぱいで窒息させるわよ!!」

 

ムギュウウウウ!!

 

「ちょ、苦しっ…///胸はやめてよビッチ先生!!///」

 

問い詰め続けても答えない渚に痺れを切らしたのか、自身の巨乳に渚を押し付けるビッチ先生。慌てふためく渚と、それを後ろからスンゲェ白い目で睨みつける茅野。

 

 

「(う、羨ましい…///)」

 

「(あの人、''ビッチ''なんだぁ…///)」

 

 

何だか男子から渚は羨ましがられてそう。

唐突に繰り広げられたおねショタ展開と、それを止める気配の無いビッチ先生に怒った烏間先生がビッチ先生を掴んで締め上げて引きずっていった。

 

「何なんだよ。アイツら…」

 

「エンドのE組の分際で、男子も女子も良い思いしやがって。」

 

 

他のクラスはプリントを配られているようで、既に全員行き渡ったようであるがE組分のプリントだけが配られていない。生徒会員で放送部長の荒木がプリントの内容について話しているのだが。

 

『はい。今皆さんに配ったプリントが、生徒会行事の詳細です。』

 

 

「え?」

 

「…無い?俺たちの分は?」

 

「一枚も無い!?」

 

「すいません!E組の分、全員無いんですが!?」

 

磯貝が無い事を申し立てると荒木の野郎が返したのはこうだった。

 

『…あっれぇ?おかしいな…ごめんなさーい。3-Eの分のプリント忘れたみたい。すいませんけど全部記憶して帰って下さーい。ホラ、E組の人は成績悪いし、記憶力も鍛えた方が良いと思うし?』

 

「「「「ハハハハハハハハ!!!!」」」」

 

「………!!」

 

「…何よコレ。揃いも揃って陰湿ねぇ。」

 

 

程度の低い爆笑が体育館に響く。少し前まで先生2人と話して明るかったクラスの皆の顔が嫌そうな、悔しそうな表情に変わる。

烏間先生とイリーナ先生も不快感を露わにする。

 

 

手元に刀が有れば、間違い無く壇上に上がり込んで元凶の荒木を斬り殺しているだろう。というばかりに俺の心の中の目の前が怒りで真っ赤に染まる。

壇上の1人がE組を晒し者にし、全校生徒がそれに大爆笑する。最早これは学校ぐるみのいじめだ。俺は湧き上がる怒りの感情を抑えることが出来ず、大声を上げながら荒木を指差してこう言った。

 

 

 

「ハッ!記憶力を鍛えねぇといけないのは、一クラス全員分のプリント刷り忘れるくらい記憶力の無いお前じゃねぇの!?」

 

『なっ!?』

 

「1枚や2枚足りないならまだしも、27人全員分だろ!?お前まさか、その歳で認知症にでもなってんのか?病院行けよ病院!脳神経外科へ行ってこいよ!!」

 

 

『何だと勝田貴様!』

 

「あ!でも良いじゃん!お前ら生徒会役員どもの無能ぶりをE組の新しい先生2人に知ってもらえて!おまけに、集会中にバカ騒ぎするなんてイマドキの小学生でもやらなそうな事をする、なんて正に烏合の衆としか言えない俺たちE組以外のクラス!程度の低い奴には、程度の低い奴らしか付いてこないってことを証明してるよな!!」

 

 

 

「「おい!勝田をつまみ出せ!」」

 

「あのバカを生徒指導室に連れて行け!!」

 

「は、はいっ!只今!」

 

 

ざわめく全校生徒。キレて俺を指差し大声を出す荒木。そして慌てて俺を確保しようとする本校舎教師陣。

 

 

「勝田!またお前か!」

 

「一度ならず二度までも騒ぎを起こしおって………来い!!」

 

「は〜い。あ〜れ〜」

 

 

「何なんだアイツ…」

 

「マジでイカれてるだろ。」

 

「病院行った方がいいの、アイツじゃねぇのか?」

 

 

ちょっと暴れ過ぎたか?片岡さんに注意されたにも関わらず、また騒ぎを起こしてしまった。

先月もこの様な過剰なE組いじめに腹が立って今回のように生徒会員相手に暴言を吐いた。俺はどこかの先生たち何人かにまるで凶悪犯の如く両腕を掴まれると、生徒指導室に連行された。

暴れるかもしれないと思われたからか、大の大人が3人がかりで。

 

 

逃げた方が良かったかな?連行されている道中、他クラスの女子たちが何かを話しているように聞こえた。

 

 

 

「…そう言えばE組の矢田さんって、勝田の幼馴染らしいよ。」

 

「うっわ、マジで?!想像しただけでヤになっちゃいそう。」

 

「えっ?勝田が幼馴染とか、私なら絶対嫌なんだけど。」

 

「''顔だけなら''、本校舎の男子達よりはまだ少しは良いんだけどね。」

 

「E組に加えてあんなのと昔から友達とか。最早ちょっと可哀そう…」

 

「頭のネジ飛んでる奴なんて友達どころか知り合いですらいたくないよね…」

 

「私ならとっくに絶交してるわ…」

 

 

ーーーーー

 

◇3人称視点

 

 

「(何も知らないくせに…私と威武樹の仲の良さも、威武樹が本校舎のどんな男子より強くて優しい男の子だって事も、何も知らないくせに…!)」

 

「矢田、元気出せよ。」

 

「そーだぜ?勝田がブチかましてくれて、俺たちもスカッとしたからよ。」

 

「しょげないで矢田さん!」

 

「皆…うん。ありがとう!元気出たよ。」

 

「やってくれた!って感じだったよね。」

 

「まさかあんなヤベーことするとは予想つかなかったわ。」

 

「面白かったけどな!」

 

「ハンっ、結構おもしれーことするじゃねーか。」

 

「ホント、スッキリしたよね!」

 

「カルマと組み合わせたらどうなっちまうんだろうな?」

 

「混ぜるな危険。」

 

「速水さんの言う通りだと思う…」

 

「メグ、勝田の今回のやらかしについては?」

 

「お説教…は今回はちょっとしたくないなぁ…」

 

「…来月もアレ、やんのかな?」

 

「勝田だけ集会出禁になるんじゃね?」

 

 

E組の面々は威武樹の暴走とも取れる行動を称賛する声が多く、本校舎の女子たちが威武樹を酷評するのを聞いて悲しそうににしていた桃花も元気が出たようだ。

 

 

ーーーーー

 

 

今度は急に突風が吹いたかと思うと全員分のプリントが右側に舞っている。殺せんせーが手書きで全員分コピーしてくれたのだ。しかも雑な変装してるし。

 

 

 

「磯貝君。問題ありませんねぇ。''手書きの''コピーが全員分あるようですし。勝田君には後で君から渡してあげてください。」

 

「…はい。あ、プリントあるんで続けてくださーい。」

 

『え?あ…うそ、何で!?誰だよ!さっきの勝田に続き笑いどころ潰した奴!…あ、いやゴホン。では続けます。」

 

 

体育館を出される間際に聞こえたのは荒木のこんな声。それを聞いた俺に有ったのはやってやった気持ちと、殺せんせーへの感謝の気持ちだった。

 

 

 

「来るなと言ったろう!お前の存在自体国家機密なんだぞ!?」(小声)

 

「いいじゃないですか。変装も完璧だしバレません。」(小声)

 

「ハァ…知っているとは思うが、勝田君だけいないのはたった今生徒指導室に連れて行かれたからだ。彼の意見は正しいが、その発言の中には暴言もあった。俺も指導するが、後で勝田君には少しお前の方からも言っておけ。」

 

「えぇ。少々口が過ぎていたかもしれませんからね。」

 

「え〜?私ならアイツの行動を褒めちぎるわよ?『よくやったわ!』って。」

 

ーーーーー

 

 

「…あれ、さっきまであんな先生いたか?」

 

「妙にデカくないか?間接曖昧だぞ。」

 

「なんか横の女の先生にちょっかいかけられてるぞ。」

 

「ちょっかいってか…刺してね?」

 

 

「あっ!痛いって!烏間!」

 

「女の先生が連れて行かれたぞ?」

 

「……ワケわからん?」

 

 

「ハハハッ!しょうがねーなビッチ先生は。」

 

「「「「「あははははは!」」」」」

 

ーーーーー

 

今、俺は連行先の生徒指導室にて''ありがたい''お説教を受けている。延々と「お前が悪い。」「反省しろ。」「問題児が!」という同じような言葉ばかりなのでもう何も聞かずに、放課後何をするかを考えている。

だがもう全校集会も終わった頃だろう。これ以上右から左に聞き流すのも嫌になってきたのでそろそろ解放してもらいたい。

 

「…すいません。次の授業あるんで、この辺で勘弁して貰えませんか?」

 

「…チッ、わかった。行け。」

 

「失礼しやした〜」

 

そうして廊下を歩き玄関に向かって歩いていると「おい、威武樹。」と俺を呼び止める声が聞こえる。この声は…

 

「いたか。ちょっと生徒会室まで来い。」

 

「またかよ…手短に頼むぜ。」

 

一難去ってまた一難。

 

俺を見つけて連れて行くのは生徒会長の浅野学秀。理事長の浅野学峯の一人息子であり、全国模試一位なんていう如何にもな強キャラだ。しかし俺はコイツと過去に剣の稽古で切磋琢磨した仲であり、ここ3年程度はうちに来ていないが、昔から繋がりがある。俺は5人についていき、生徒会室に入ると五英傑に問い詰められる事となったが毅然と振る舞った。

 

 

「何だ?集会で騒ぎを起こしたことか?」

 

「そうだ。」

 

「さっきも言ったけど、1枚や2枚ならまだしも一クラス全員分忘れるなんてどう考えても可笑しいだろ。もしかしたらプリントには保護者も見なきゃいけない大事な事だって書いてあるかも知れないし?それを忘れる生徒会とそんな事で爆笑するアイツらの低脳さが際立ったと思うんだが。」

 

「何だと!?」

 

「俺たちは常に成績上位に入っているんだ!ビリかケツから2番目程度のお前に低脳呼ばわりされる筋合いは無い!」

 

 

「ハァ?現にお前、俺より成績良くてもE組全員分用意してなかった事には変わりないだろ。それを急に立場が危うくなれば勉強だけの成績を盾にしだして…お前みたいのがメディアに入って、この誇り高き日本を凋落させるんじゃねぇのか?」

 

「!言わせておけば!!」

 

「待て荒木。ここは俺が行く。」

 

そう言って怒りで顔を歪ませる荒木。普段言ってばっかりのお前がこうも言われるのは、一体どんな気分なんだ?良いだろ?たまには言われる側になってみるのも。

 

そうして俺に掴みかかって来そうな荒木を一旦静止し。次に俺に絡んでくるのは瀬尾。コイツは五英傑の中で最も口が悪く、喧嘩っ早い性格をしているイキり担当。流石に大勢の前で晒し者にする荒木ほど陰湿では無いのだが、どんぐりの背比べレベルである。あ、違った。

 

 

 

 

''くぬどんの背比べ''か。

 

 

 

「おい、イカれザムライの勝田。」

 

「次はテメェか…何だ瀬尾。」

 

「忘れたのか?この学校は成績が全てで、成績が下の奴には殆どの権利が無えってことをよ。だからテメェみたいなド底辺の奴には人権が無えんだよ!」

 

「いや人権はあるだろ。様々な権利が無いのは学校だけのことであって、ここは日本なんだからあるよ。そんなのも知らないのか?わからないなら日本から出ていけよ。現に昔、LAに居たんだろ?」

 

「…!上等だ表出ろ!!」

 

「良いぜ?」(ん?待って喧嘩?)

 

「校内新聞で君の醜態を晒してあげるよ!」

 

「面白そーじゃねぇか。ギシャシャ!」

 

何だよコイツ。そう思わせるのは五英傑の小山。絵に描いたキモメン。

だが五英傑の肩書きのお陰で校内ではそれなりにモテてるらしい。すげぇな五英傑の肩書き。

 

てか何だよその『ギシャシャ』っていう気持ち悪い見た目の虫みたいな笑い声。ONE PIECEのキャラによくある特徴的な笑い方かよ。

 

 

俺にキレた瀬尾が俺の胸ぐらを掴み廊下に出そうとする。荒木と小山もついてる辺りタイマンじゃねぇのかよ。矢張り、こういう本当は弱い奴等ってのは1人で勝てないのでよく群れる。

 

3対1。っしゃあ久々に暴れるか…と思ったが、桃花ともう喧嘩はしないと約束しているから喧嘩は出来ない。

だが、今の状況で暴力以外を使い、コイツらを伸す方法は有るのか?と思った矢先に声を上げて止めたのは浅野だった。

 

「やめろ!!」

 

という一声で全員が落ち着き、静まり返る。所詮は金魚の糞だな。

 

 

「確かにお前の言う通りだという所もある。プリントを配らなくてその上一クラスを全員で笑い物にするなんてのはE組イジりを通り越して最早イジメだな。重要事項が書いてある可能性もあるし、次からは配布物についてはキチンと配らせる。」

 

「おい浅野!?」

 

「まさか君、E組の味方をする気かい!?」

 

「僕が味方をしているのはE組ではなく、生徒会長として生徒の味方をしているまでだ。プリントくらい人数分配ってやれ。」

 

「わ、わかったよ…」

 

バツが悪そうに返事をする荒木。まぁ、あの時大義名分は俺にあったんだから当然だろ。俺の勝ちだなと思ったのだが浅野は次は俺の方を向いた。

 

 

「だが威武樹、お前にも口が過ぎていたという落ち度がある。先月も集会中に騒ぎを起こしていたな。あの陰湿なE組弄りが原因とはいえ、お前はE組の生徒なんだ。少しは自分の立場を自覚しろ。」

 

「…わーったよ。口が過ぎた、これからは気をつける。もう行っていいか?」

 

「あぁ。時間を取らせたな。」

 

「じゃあな。」

 

 

「…浅野、お前とアイツってどういう関係なんだよ?」

 

「ただの旧知の中だ。」

 

「浅野君は彼と昔から知り合いらしいね。」

 

五英傑の榊原。コイツは五英傑の中では珍しく、E組を見下したり先程のような嫌がらせをしない比較的良識のある人間。

 

………………前原よりも女癖が悪いのが玉に瑕なのだが。

 

 

おっと、こんな会話聞いていても仕方ないな。

すぐにドアを閉めてそそくさと帰る。こんな空気の悪いとこに長居できるかよ。

 

外に出て来た俺は帰ろうと思った矢先、校舎裏の自販機近くで渚が田中と高田の二人組に絡まれているのを見た。コイツら2人にE組を見下す資格は無いと思う。

 

そしてこの手の奴らは自分より弱そうな奴にだけ強気で接するが、渚を弱い奴と見るのならば矢張りコイツらには人を見る目がないな。

 

 

「なぁ渚。お前らさ、なんか調子乗ってない?」

 

「え…?」

 

「集会中に騒いだりして周りの迷惑考えろよ。」

 

「さっきの勝田といい、お前ら目障りなんだよ。」

 

「E組はE組らしく下向いて歩いとけよ。どうせもう人生詰んでんだからよ。」

 

「…………」

 

「おい。何だその不満そうな目。」

 

「何とか言えよE組!!殺すぞ!!」

 

そう言って渚の胸ぐらを掴み大声を上げる田中。しかしその言葉でスイッチが入ったように微笑み、渚はこう言った。

 

 

 

「フフッ、殺そうとした事なんて、無いくせに。」

 

 

 

「「うわあっ!?(何だ今の…殺気!?))」」

 

 

 

放たれた殺気。それにビビり散らかして距離を取った2人。弱い犬ほどよく吠えるといった諺って本当なんだよな。渚を助けようとした烏間先生とそれを止めた殺せんせーも近くにいて、渚の姿に驚愕している。

 

「ね、言った通りでしょう。私の生徒たちは殺る気が違いますからねぇ。」

 

「………ん、勝田君か。」

 

「お疲れ様です。烏間先生。」

 

「ああ、お疲れ様。先ほどの集会中に君が暴れた件だが、腹が立ったのはわかる。俺も嫌悪感を示したが君も少し発言に留意しろ。口が過ぎていたぞ。」

 

「そうですねぇ。クラスの皆さんを思っていたのは良いことですが、あれほどまでの暴言は流石に先生も良しとは言いませんよ?」

 

 

顔に×印を浮かべた殺せんせーと烏間先生にあの発言の件で叱られる事になってしまった。確かにやり過ぎたし言い過ぎたとも思う。流石に反省だな……

 

 

「はい…すみませんでした。」

 

「…わかればいい。正直、君の考えには、言葉を除けば俺も賛同は出来る物だった。」

 

「ヌルフフフフ、自分じゃない誰かのために動ける君の志は本当に立派です。ですが、言葉には気を付けましょうね?また先生と一緒にその事でも勉強しましょう。」

 

「…ありがとうございます!先戻っています。」

 

「あぁ。俺は少ししてから戻る。先程の件でな…」

 

「……すみません。本当に申し訳ございません。」

 

烏間先生は俺の暴走の件で行かなければならない場所があるらしい。おそらくは理事長室だろう。俺は烏間先生に今後、頭が上がらなさそうだ。

 

「では先生は先に旧校舎へ戻っています。気をつけて上がってきてくださいね。」

 

「すみません。それでは。」

 

「あぁ。」

 

そういうと殺せんせーはマッハで帰っていった。俺も烏間先生に軽くお辞儀をして旧校舎までの道のりを歩き始めた。また行きの岡島みたいな厄災が降りかかってこなければいいが…と思っていたが何ともなさそうだ。

 

 

 

暫く歩いていたところで俺は何人かが集まっているのを見つける。うち一人は桃花のようだが、足を痛めているのか蹲っている。

 

「どうしたんだ?桃花。」

 

「威武樹。私が足を挫いちゃって…」

 

「それでどうしようって考えてたとこなの。」

 

「助けを呼ぼうにもここ電波環境が悪いし、おぶって行くにも矢田さん私たちより背高いし…」

 

「それで、2人が肩貸して少しずつ行こうとしてたわけね。」

 

「うん。でも足が腫れてて痛いから中々進まなくて…」

 

それを聞いて倉橋さんと不破さんに先に旧校舎まで戻って伝えてもらい、俺が旧校舎まで桃花をおぶって行くことに決めた。

 

 

「2人は先に旧校舎まで旧校舎まで帰って治療の準備とかしといて貰える?」

 

「威武りんは?」

 

「俺が桃花をおぶって行く。だから俺に任せて、先に行ってて。」

 

「…うん!矢田さんの事任せたよ、勝田君!」

 

「桃花ちゃんのこと、よろしくね!」

 

「あぁ。大船、いや戦艦大和に乗ったつもりで任せてくれ。」

 

「それ最後は沈んじゃうよね!?」

 

「そうだな。兎に角、先に頼む!」

 

「「わかったよ!任せて!」」

 

 

2人が先に行ってくれたので、桃花の足から靴下を脱がせると矢張り腫れている。俺は自分の持っていた大きめのハンカチで腫れている足を覆い、結びつけて少し固定してやった。

 

「大丈夫か?すぐ治るからな。」

 

「うん、ありがとう…///(こういう優しいところ、昔と変わってないなぁ。)」

 

 

こうして桃花の足の応急処置を終えた。俺はアウトドアが好きだから、応急処置に関してもこれくらいの知識ならあるのだ。

 

「どう?お姫様抱っこの方が良かったりする?」

 

「ま、まだ今日はおんぶでいいよっ!///」

 

冗談混じりにこんなことを言うとおんぶでいいと帰ってきた。ん?''まだ今日は''ってどういう事だ?なんか桃花少し赤くなってるけど、まあいいや。

 

 

「さぁ、乗ってくれ。」

 

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて。」

 

俺は「おんぶしてやるよ。」というまるで物語で歩けなくなったヒロインに対して主人公がするようなポーズを取ると、桃花は俺の背中に乗っかってきた。

 

 

「んしょっと…」ムニュ

 

 

「!?」

 

 

桃花の胸に実っている2つの柔らかい果実を俺の背中に押し当てて。おんぶなのだから相手の正面がおんぶをする人の背中に押し当てられるのは当然ではある。

 

気になり始めてる女の子がπを押し当ててくれているのは思春期真っ只中の俺にとって超嬉しいのと同時に刺激が強い。いや、強過ぎる。

 

 

落ちつくんだ…素数を数えて落ちつくんだ……1と自分の数以外で割り切れない孤独な数字………と思ったが桃花の双丘が気になり過ぎて、7以降の数字が全く頭に浮かび上がってこない。

 

 

数字…数字……π………じゃねえよっ!!何考えてんだ俺ッ!!!!

 

変態終末期まっしぐらじゃねぇか!!と考えた結果心を無にする事を思いつき、数十秒完全にフリーズした俺に桃花が話しかけてくる。

 

 

 

いや''無に''だ!"ムニュ''じゃねぇ!!

 

 

 

「ご、ごめんね?私重かった?」

 

「……………」ボー

 

「威武樹、ねぇ大丈夫?聞こえてる!?威武樹!?」

 

「ハッ!い、いや?大丈夫!」

 

「どっち!?」

 

「大丈夫!!任せろ桃花!!」

 

「本当に?もし私が重かったら、下ろしてね?」

 

「重いなんて思うわけないだろ。桃花は軽いし、何も背負ってない時と大差ないぞ。」

 

「あ、ありがとう…///」

 

 

本当は背中に元気が出るものが押し当てられてて、そういう意味では大差ありまくるんだけどな。

 

…って今は煩悩を捨て去れ!!邪心を捨て去れ!!

 

俺は気を取り直し、旧校舎に向かって山道を歩き始めた。

 

 

「行くぞ。しっかり掴まっててな。」

 

「うん。お願い。」

 

 

ーーーーー

 

 

◇桃花視点

 

 

ずっと昔の思い出話。私が足を怪我してしまって動けなくなった時も、来てくれたのは威武樹だった。

 

「いたい…いたいよぉ…ううっ…グスッ…」

 

「とーかちゃん!もう泣かないでって!ぼくがおんぶしていってあげるから!」

 

「うううっ…ありがとう、いぶくん…」

 

 

 

幼稚園の頃に私を助けてくれた、私の大切な思い出。威武樹はこの事を覚えているのかな?私はどうしても気になったので、聞いてみよう。覚えてると良いなぁ…

 

 

「ねぇ、威武樹。幼稚園の時のこと覚えてる?」

 

「桃花が足を怪我した時のことだろ?覚えてるよ。」

 

「覚えててくれたんだ。嬉しいなぁ。」

 

「忘れるわけないだろ。俺にとって大事な思い出なんだからよ。」

 

「ありがとう…!!」

 

私にとって大切な思い出を、威武樹も大切な思い出だと言ってくれた事が凄く嬉しい。あの時と同じような状況だけど、昔おぶってもらった時よりも、ずっと広くて大きい、頼りになる成長した背中。

 

「ふふっ。」

 

「どうしたんだよ?」

 

「別に?ただ威武樹が大きくなったんだなぁって。」

 

「そりゃ10年も経ってればな。」

 

「子供の頃は私の方が背が大きくて、威武樹は意外と泣き虫だったのにね。」

 

「恥ずかしいな。改めてそれ言われると。」

 

「いつの間にか逆転しちゃったんだって思うと、ちょっと悔しいなって思っちゃうもん。」

 

「まぁな。男子ってのはこの歳くらいになると、大抵の女子よりデカくなるんだよ。勿論例外もいるけど。」

 

「例外…かあ。うちのクラスで言うならメグとか渚君とか?」

 

「まぁその辺だな。渚だって今は小さくても、2年後には成長期来て俺よりデカくなってる可能性もあるぞ?」

 

「男の子の成長って凄いよね〜。威武樹だって小6辺りからタケノコみたいに身長伸びていったじゃん。」

 

「元々背は高い方だったけどな。だけど背が伸びるってことは地獄の成長痛に悩まされんだぜ?」

 

「膝辺りに出てたやつだよね。そんなに痛かったの?」

 

「痛い。めっちゃ痛いよ。マジで激痛。歩くどころか立ってるだけで痛い。」

 

「そうなんだ…また桃哉にも教えてあげなきゃ!」

 

「桃哉か…最近どうだ?元気なのか?」

 

「うん。昔よりは身体も強くなったし、体調が良い時は学校にも行けてるんだ。」

 

「それは良かった。また桃哉が遊びがってたら言ってくれな。」

 

「ありがとう。『いぶき兄ちゃんとまた遊びたい!』って言ってたからきっと喜ぶよ。」

 

「…また予定空いてる時とかあるか?」

 

「多分あるけど、どうかした?」

 

「折角だし遊びに行こうぜ。その後で家に行くわ、久々に桃哉とも遊びたいし。」

 

 

 

……………えっ!?

 

 

これってもしかしてだけど、威武樹が私にデートしようって誘われてる!?いや、どう考えても誘われてるよね!?嬉しいけど、取り敢えず返事しなきゃ。

 

 

「良いよ。私、楽しみにしてるね///」

 

「ありがとう。あと、中間テスト近づいてきてるからそれ終わってからにしような。」

 

威武樹に言われた事で気付いたけど、そういえばそうだった。暗殺ばかりに身が入るっていたのですっかり忘れてしまっていたけど明日からテスト期間。憂鬱だなぁ………

 

「そうだね…なんかもう憂鬱になってきちゃった。」

 

「元々は俺より成績良かっただろ?俺みたいに補習の常連でも無かったし、頑張れば50位以内にも入れるんじゃないのか。」

 

「私はもう勉強はそこそこで良いかなって。なんせ殺せんせー暗殺出来たら賞金百億だし、その後の人生薔薇色でしょ。」

 

「………昔はそんなんじゃなかったのにな、桃花。」ボソッ

 

「ん?何か言った?」

 

 

威武樹が小さな声で何かを呟いたように聞こえたけど、私にはよく聞こえなかった。

 

 

「何も。それはさておき、テスト勉強しなきゃいけないよな。俺だって気乗りしないけど。良い点数取れりゃアイツらを少しは見返せれるかもしれない。」

 

「アイツらって?」

 

「五英傑の奴らだよ。生徒指導室に連行されてから、生徒会室でアイツらにも絡まれたんだよ。」

 

「集会中に大爆発してたよね、威武樹。最早あれは暴走だったもん。」

 

「あんなモンを許せるかよ。その後で指導室からの五英傑に絡まれても俺は屈さなかったからな。」

 

「まさかとは思うけど、喧嘩はしてないよね?」

 

「してない!五英傑のうち3人が喧嘩ふっかけて来やがったけど、本当に俺は喧嘩してないからね?この前に2人で約束しただろ。」

 

「約束、守ってくれてありがとう。」

 

元々は私が半ば一方的にした約束なのにも関わらずに、威武樹はあの約束を本当に守ってくれる。嬉しいなぁ…

 

 

「約束破ったらきっとお前が悲しむだろ。でも今回は運が良かったんだよ。」

 

「運が良かったって?」

 

「俺が瀬尾の野郎といざおっ始めるかってなった時、学秀が声を上げてアイツらを宥めてくれたんだよ。だから半分は学秀に感謝だな。」

 

「そんな事があったんだね。」

 

浅野君は元々、威武樹の家の道場に剣術を習いにきていたらしく、威武樹とは剣の稽古で切磋琢磨していた仲らしい。まぁ私が通っていた時とは違うからその時は会った事ないんだけどね。

 

「中々波乱万丈な1時間だったよ。」

 

「その時間を過ごすことになった原因は威武樹自身じゃん…」

 

「はは、そうだな。でもな桃花」

 

「どうしたの?」

 

「瀬尾みたいな奴が今日と同じように絡んでくる可能性はこれからも無いとは言えない。渚だって本校舎の奴に絡まれているのを見たし。こういう場合に無抵抗だと下手したらずっと痛い思いをしかねないんだけど、その時はどうすれば良いんだと思う?喧嘩しない約束してるから、俺は最近考えるんだよ。」

 

「うーん…喧嘩しないで自分や誰かの身を守る方法か…話し合うとか逃げるとか?」

 

「確かに逃げるのが一番だけど、それが出来ない時だと?本校舎には話したり謝ったって、殴ったり蹴ったりしてくるやつとか絶対に居ると思うんだよな。」

 

「うわ、いそう。それだと抵抗するしかなくなってくるよね…」

 

 

威武樹は喧嘩をしないで解決しようとする方法を考えているらしいけど、今回だって浅野君が止めてくれなかったら無抵抗のまま怪我をしていたかもしれない。

 

威武樹が喧嘩して誰かを傷つけるのは見たくないけど一方的にやられて傷ついてるのは、もっと見たくない。我儘に思うかもしれないけど、私はどっちも嫌。でも防御なら自分や誰かの身を守る為に、してもいいと思う。

 

 

「…防御なら、してもいいよ。放課後になったら烏間先生に教えてもらってるんでしょ?避けたり防いだりするの。」

 

「防御はいいの!?」

 

「うん。でもその流れで相手を殴ったり蹴ったりして攻撃するのは、今まで通りダメだよ。わかった?」

 

「へいへーい。」

 

「『はい。』でしょ?ちゃんと言って。」

 

「はーい。」

 

「ふふっ、よく言えました。」ナデナデ

 

「ちょ!頭撫でんなよ恥ずかしいだろ!」

 

「えぇ〜?もしかして照れるの?可愛いやつだなこのこの〜♪」

 

「俺よりお前の方がずっと可愛いだろ。」

 

「え、ちょっとバカ!何言ってるの!?///」

 

急に可愛いとか言ってくるもんだから、つい私は反射的に威武樹の頭を叩いてしまう。

 

「痛って!今度は叩くのかよ!?」

 

「あっごめん!痛かったねよしよし〜♪」ナデナデ

 

「…………いったい俺って桃花の何なの?」

 

「大切な幼馴染だよ?」

 

「っ…///いやそういうのじゃなくて、扱いとかの話。」

 

「もう1人の弟。みたいな感じかな?」

 

「桃哉と同じ扱いなのかよ…」

 

「いっつも私に心配かけてるような子は、桃哉と同じですよーっだ!」

 

「ハハッ、そりゃどうも。」

 

 

そんな返事をする威武樹。もうすぐ旧校舎には着くけど、私はもう少しだけこの背中に背負われていたいと思った。

 

 

ーーーーー

 

◇3人称視点

 

 

こうして威武樹は桃花をおぶったまま歩いて行き、旧校舎前まですぐと行ったところまで辿り着いた。

 

 

「おっ、そろそろ着くな。」

 

「本当だね。ここ通り抜けたらすぐだよ。」

 

「じゃあ降りるか?俺におぶられてるなんて恥ずかしいだろ。」

 

「…いや。」

 

「え?」

 

「いや。このまま威武樹におんぶされたままがいい。」

 

「……わかった。桃花のお願いなら聞いてやらないとな。」

 

「ありがとう…!」

 

「(本当はどんな我儘でも聞いてやるんだけど)」

 

 

 

そして辿り着いた2人を待っていたのは

 

 

 

 

 

「お帰りなさいお二人とも!!」

 

「怪我したヒロインにおんぶなんて主人公がするべき行動の王道じゃないですか!今回もネタ提供ありがとうございます!!」

 

「おおおっ!!この姿は全方位から撮り、写真にも動画にも納めなくてはなりません!!」

 

「矢田さんが怪我をしたことは倉橋さんと不破さんから聞きましたが、道中には何があったのですか!?」

 

「威桃は矢張りこのクラス随一の王道カップリングです!!」

 

 

ある姿は2人を迎え、ある姿はカメラを持ち、ある姿は一心不乱に何かを書きまくる殺せんせーの姿だった。

 

 

 

「何だよ威桃って!!それよりちょっと2人で保健室行くんで、次の授業もしかしたら少し遅れるかもしれないです。」

 

「もしや、このまま勝田君と矢田さんのお2人は保健室で''お楽しみ''ですか?でしたら是非ごゆっくり。」ニヤニヤ

 

「ピンクになって何て事考えてんだ先生!!」

 

「仲の良い男女が2人きりで保健室にいるなんて想像が膨らみまくるじゃないですよ!!」

 

「殺せんせーも一回その考えから離れてよ!」

 

「この不純異性交遊推進派が!」

 

「さ、さ、2人仲良くアヴァンチュールを楽しんで下さい!」

 

「斬り殺すぞこのタコ!!」

 

 

その後

 

保健室で治療を終えてから戻った2人がクラス中からイジられる事になったのは、最早語るまでもない。





甘くて甘くて甘酸っぱいお話が書きたいよぉぉぉ………


ご覧いただきありがとうございました!

普段より圧倒的に長かったですね。ナンデダローナー


威武樹の声については櫻井孝宏さん
(イメージキャラ:純情ロマンチカの高橋美咲でよろしくお願いします。)


威武樹は自分の大切なものを馬鹿にされたりすると怒りで口が悪くなっていきます。全校集会で暴走するのは生徒個人の危険度でいえばカルマより上かもしれないので、本校舎教師陣からマークされます。

荒木相手に爆発した威武樹の言葉遣いは、自分でも何だか「言い過ぎてるか?いや言い過ぎること前提で書いててるんだから、これぐらい行くっきゃねぇ!!」なんて思いながら書いていました。
荒木はやってる事が極めて陰湿なので、これくらい言われて当然ですし、何だったらまだ足りないくらいです。(辛辣)


感想、評価等していただくと大変励みになりモチベーションアップに繋がりますのでお待ちしています!!

次回は今週中に書ければ良いなと思っています。

今回もありがとうございました!!

威武樹の家族紹介

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