3年E組の剣豪   作:ファヴキール

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はい。修学旅行回ですので何話か続きます。


旅行の時間1時間目

 

いよいよ待ちに待った修学旅行が近づいてきた。今年の行き先は京都なのだが自分でもわかる程テンションが上がっている。そう。何を隠そうこの俺、勝田威武樹は、京都へ行けるのがとても楽しみなのだ。

 

 

「マジで楽しみだよ今年の修学旅行!」

 

「いつになくウキウキしてんな勝田」

 

「俺、どうしても行きたかったとこがあるんだよ!」

 

「どこなんだよ?」

 

「まぁその辺は後の話し合いで話すわ」

 

「急に落ち着いたなおい」

 

磯貝と前原のイケメンコンビと話していると何だか俺って…ってなる。

 

「E組の大野くんと杉山くんだもんねー」

 

「不破さん?」

 

ーーーーー

 

「渚、班決め終わった?」

 

「片岡さん」

 

「決まったら学級委員の私か磯貝君に教えてね」

 

「班…?なんの?」

 

「忘れたの?来週の修学旅行のよ♪」

 

渚はどうやら忘却の彼方に置いてきてしまっていたらしく、茅野にそんな事を気付かされている。まぁ、近頃は暗殺だったり中間テストだったりで結構立て込んでたからな。忘れるのも無理もない。

 

「全く…新学期も始まったばかりなのに修学旅行とは片腹痛い。先生あまり気乗りしません」

 

「「「「「ウキウキじゃねーか!!」」」」」

 

「たかだか修学旅行に荷物デカすぎ!!」

 

「明らかに必要のないもの入ってるし!!」

 

皆がツッコミせざるを得ない程に超デカいリュックからはみ出しているのはゲームのコントローラーにタミヤのプラモデル、ラジコン、けん玉、ミニ四駆、おたま、野菜、こんにゃく、ロールケーキ、殺せんせー危機一髪といった多過ぎる品々。2泊3日なのに、絶対遊びきれないだろ!!

 

「バレましたか、実は先生、君達と旅行に行けるのが楽しみで仕方ないのです」

 

楽しみだからって舞い上がりすぎ!!俺でもここまでは行かないぞ。

 

ーーーーー

 

 

「よし、次!」

 

「やっぱ強え烏間先生!」

 

「最早当てれるのか怪しくなってきたな」

 

体育の時間。烏間先生が今日もいつものように訓練をしてくれている。先ほど挑戦していた磯貝と前原のペアがあと一歩のところで防御されて時間切れとなり次の挑戦者を待つ烏間先生。俺はナイフを構え、1人で挑むことにした。

 

「お願いします!」

 

「勝田君か、良いだろう。好きなタイミングで来るといい」

 

「おっ、勝田が挑戦か」

 

「ちょっと見てみるかー」

 

「どんな感じで行くんだろうな」

 

自分でも1人で行くのは無謀だとは思う。だがそれが今、烏間先生に挑まないことの理由にはならない。更に強くなるためにも、俺は烏間先生に胸を貸してもらう!

 

「参ります!」

 

そうして繰り出したのは刺突。だが大きく空を切り、易々と避けられてしまった、だが一度の刺突で終わる俺ではない。

 

「ヤァッ!!」

 

再び刺突を放つ。今度は避ける方向を見越してナイフの軌道を右にズラすが避けられる。だと思いもう一発放った。

 

そう、剣術の三段突きを基盤に応用したナイフでの三段突きだ。

 

「…!ほう、中々やるな。勝田君」

 

「まだまだいきますよ!」

 

今度はナイフを上段に振り上げた状態で飛び上がり、唐竹割りを放つ。しかしこの技は振りが大きいので隙の無い烏間先生相手には大きく空を切った。

 

「当てるまでえぇぇぇぇ!!」

 

だが俺は返す刀でそのままナイフの刃を反転させ、烏間先生の腹部をめがけて斬り上げる。

 

これは燕返しだ。しかし烏間先生はこれも予期していたようであり、同じようにこれも躱わされてしまう。

 

「なんか勝田のナイフ術って」

 

「あぁ、わかる」

 

「俺も思ってたよ」

 

「日本刀みたいな振り方だな」

 

 

 

「いい太刀筋だが、まだまだ甘いぞ!」

 

「では、こんなのはどうでしょう!?」

 

次に俺が繰り出したのは刺突と打突の連打。右手に武器、左手は握り拳や暗器を握っている状態の時にやるものだが、暗器を今は持っていないので握り拳のパンチをひたすら打ちまくる。

 

「オラァァァァ!!」

 

「フッ!ハッ!」

 

これですら烏間先生に全て回避されるか捌かれてしまう。そしてこれは強烈な無酸素運動なので長くは持たない。そう判断した俺は距離を取り烏間先生から離れ、とっておきの技を繰り出す事にした。

 

俺が我流剣術を編み出して以来磨き続けた技であり、まさか今日この場でお披露目する事になるとは思いもしなかった。まだこの技が通じるかどうかはわからないが、全力でぶつからせてもらいます、烏間先生!!

 

姿勢を低くして突進し、烏間先生に向かって行く!!

 

 

その時聞こえたのはある一声。

 

「頑張って、威武樹!」

 

桃花から発された俺への応援。こんな物を貰ってしまっては俺としてもその期待に応えるしかない。…周りの人間がニヤニヤしていたり羨ましがっているのが気になるのだが。しかしそのお陰で俺は殺る気がブーストされている。烏間先生へと繰り出したのは袈裟斬りであり、爺ちゃんが見たら褒めてくれるに違いない程の渾身の一撃。

 

「チェリャァァァァ!!」

 

右から左下へ目掛けて斬り下ろしたその一撃はまたしても空を切る…………はずだった。

 

 

「なにっ!?」

 

訓練において初めて烏間先生の顔色が変わった。そりゃそうだろう。急にナイフの軌道が変わった(・・・・・・・・・・)のだから。

 

そのままの勢いで放たれた一文字の斬撃は烏間先生の屈強な脇腹に喰らいつき、柔らかいゴムで出来たナイフはひしゃげた。

 

「ハァ…ハァ…やった…のか…」

 

「見事だ。勝田君」

 

まだ実力の半分も出していないのだろうが、烏間先生にこう言われるととても嬉しい。そしてみんなの中に戻っていくと同時に俺を迎え入れたのはクラスからの賞賛の声。

 

「やったな勝田!」

 

「お前マジでスゲェよ!」

 

「なんだよあのナイフ!」

 

「軌道変わるのとかどうやったの!?」

 

「教えて教えて!」

 

「うわ、俺って聖徳太子!?」

 

まるでアイドルやヒーローの様に俺に寄ってくるクラスメイト達。皆が俺を褒めてくれるのは嬉しいことなのだが今はすぐにでも桃花に一言礼を言いたい。ありがとう。と

 

桃花の近くまで歩いてきた俺は面と向かってこう言う。

 

「威武樹?」

 

「桃花、あのとき応援してくれてありがとう。あの応援があったからこそ俺は烏間先生相手に一撃を入れられたんだと思う、本当にありがとうな」

 

「う、うん。どういたしまして…///」

 

俺も桃花もお互いに気恥ずかしくなり赤くなる。ニヤつく者、温かい眼で俺たちを見る者と様々な目で見られる。すると烏間先生から伝達事項があるようで集合をかけられる。

 

「全員前に集合!」

 

「知っての通り、来週から京都2泊3日の修学旅行だ。君らの楽しみを極力邪魔するつもりはないが、これも任務だ」

 

「…てことは、あっちでも暗殺?」

 

「その通り。京都の街は学校内とは段違いに広く複雑。しかも、君たちは回るコースを班ごとに決め、奴はそれに付き添う予定だ。スナイパーを配置にするには絶好のロケーション。既に国は狙撃のプロを手配したそうだ。成功した場合は貢献度に応じて百億円の中から分配される。暗殺向けのコース選びをよろしく頼む」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

ーーーーー

 

そして学活の時間。コースについての話し合いの時間になった。1班は俺、磯貝、前原、木村、片岡さん、岡野、倉橋、桃花の全部で8名なので結構人数が多い。机をつなげて話し合いをしているところに手招きして俺を誘導してくれる。いや、見ればわかんだけどね?

 

「威武樹!こっちだよ!」

 

「はいはーいっと」

 

「よっしゃ!どこを回るのか決めようぜ!」

 

「んじゃ、話し合いますか」

 

「勝田行きたいとこあるって言ってたよな?」

 

「どこ行きたいの?映画村とか?」

 

磯貝からそう聞かれると同時にパンフレットを取り出し、今から1班へと俺のプレゼンが始まった。

 

「霊山歴史館に行きたいんだ、俺!」

 

「「「「「「「霊山歴史館?」」」」」」」

 

「東山にある歴史博物館なんだけど、ここに展示してある物が俺はどうしても見てみたいんだ」

 

「何が展示してあるの?」

 

「近藤勇や土方歳三が使っていたとされる刀が展示してあるんだ」

 

「おっ!刀か!」

 

「ちょっと興味はあるな」

 

そう言い食いつく木村と前原。刀は男子にはウケる、これは昔から万国共通だ。

 

「本当好きね、あんたも」

 

「他にも新撰組が使っていたとされる物品がたくさん展示してあって…あとは、あの坂本龍馬を斬ったと伝えられる刀が展示してある!」

 

「え、マジかよ」

 

「本当に人を斬った刀か…」

 

「ちょっとおどろおどろしいよね」

 

「そういうのちょっと苦手かな、私」

 

「なんか怖いなぁ…」

 

しまった、言うんじゃなかった。俺は何とかして取り繕う為に先人の名言を言い放つ。

 

「…賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ。ビスマルクが残した名言だ」

 

「急にどうしたの?」

 

「つまりこの博物館は行けば暗殺の歴史についても学べるってことだし、二つの意味で今後の暗殺の為にもなるってことだよ!」

 

「それは一理あるかもね」

 

「まぁ一応候補に入れとこうな」

 

「話のわかる奴は好きだぜ磯貝!」

 

「あと、あの約束も忘れないように頼むな?」ヒソヒソ

 

「勿論だぜ〜?」

 

「…絶対何かに釣られてるね、磯貝君」

 

俺は事前に磯貝を味方につける為に先週の日曜日に爺ちゃんと釣った大漁のイカを磯貝家に何杯も持って行ってあげる代わりに、修学旅行で俺が行きたい所については俺の味方をするようにと頼んである。

 

海老で鯛を釣る、ならぬイカで磯貝(イケメン)を釣っているわけだ。

 

「フン、皆はしゃいじゃってガキねぇ。世界中を飛び回った私には…旅行なんてもの今更だわ」

 

「じゃ留守番しててよビッチ先生」

 

「え」

 

「花壇に水やっといて〜」

 

相変わらずお高く止まっているビッチ先生に対して目も合わせる事なく無情に言い放つ前原と岡野。それに目を丸くして呆然と突っ立っているビッチ先生。

 

「ねー、2日目はどこ行く?」

 

「やっぱり東山からじゃない?」

 

片岡さんナイス。霊山歴史館も東山にあるのでそこから行ってくれるのはありがたい。しかし俺にだって他にも祇園や河原町など、行きたいところはたくさんあるのだ。駅からすぐ見える京都タワーにだって上がってみたいしな。

 

「暗殺との兼ね合いを考えるとだな…」

 

「でもこっちの方が楽しそ〜」

 

「烏丸のこの辺は市バス出てるから動きやすそうだな」

 

仲間外れにされていると思っているのか、ムズムズしていたビッチ先生がキレて拳銃を出した。危ねぇよ!?弾入ってるかわからないけど。

ホントは行きたいんだろうに強がっちゃって、素直じゃないなこの人。

 

「何よ!!私抜きで楽しそうな話してんじゃないわよ!!」

 

「あーもう!!行きたいのか行きたくないのかどっちなんだよ!!」

 

「うるさい!仕方ないから行ってあげるわよ!」

 

「別に来て欲しいって頼んでないよ?」

 

「何ですって!!」

 

「じょ、冗談だって!」

 

俺がそう言うとそれに反応して食ってかかってくるビッチ先生。すると彼女に懐いており、慕っている桃花と倉橋に宥められて結局ビッチ先生も交えてこの話し合いをすることになった。

 

教室のドアが開き殺せんせーが何か辞書のような冊子を持って入ってきた。それはどうやらしおりらしく、マッハで俺たちに渡してくる。物凄く重く、それに対して前原がつっこむ。

 

「1人一冊です」

 

「何ですかそれ?」

 

「修学旅行のしおりです」

 

「重っ!?」

 

「辞書だろこれ!」

 

「イラスト解説の全観光スポット、お土産人気トップ100、旅の護身術、入門から応用まで昨日徹夜で作りました。初回特典は組み立て紙工作金閣寺です」

 

「どんだけテンション上がってんだ!?」

 

「揃いも揃ってうちの先生は!」

 

片やテンションを上げまくり張り切り過ぎる、片や大人ぶって素直にならず怒る。まともに先生してるのが烏間先生だけじゃねぇか!!

 

「大体さぁ、殺せんせーなら京都まで一分で行けるっしょ?」

 

「もちろんです。ですが移動と旅行は違います。皆で楽しみ、皆でハプニングに遭う。先生はね、君たちと一緒に旅できるのが嬉しくて仕方ないのです」

 

楽しみなのは殺せんせーだけではない。全員だ。現に俺も、皆とこうやって旅行に行けるのが本当に楽しみだしな。

 

「スナイパーは何処に配置する?」

 

「まぁ茂みか高所か…ビッチ先生はどう思う?」

 

「え、私?そうね私なら…」

 

ただ計画するだけでも本当に楽しい。この盛り沢山になりそうな修学旅行には誰もがテンションを上げ、胸を高鳴らせている。

 

こうして俺たちの古都への旅が始まった。





ご覧いただきありがとうございました!!

感想、評価等大変励みになりますので良ければお願いします。

R-18スピンオフ、見たい人が多かったので時が来たら書きます。

威武樹の家族紹介

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