3年E組の剣豪   作:ファヴキール

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なんとか走れてこれました。ありがとうございます!

最近中々書けなくてすみません…(>人<;)その分普段より長めです。

途中下ネタ有〼。


旅行の時間4時間目

 

霊山歴史館を見学し終わった俺たち一班は清水寺に向かう事になり、全員で向かっていた。道中俺の荷物が気付かれたようで声をかけられる。

 

「何持ってるの?」

 

「さっき木刀買ってきたんだ。あんま長くないけど、名前彫ってもらったんだぞ?」

 

そう言いながら鍔元に威武樹と彫られた木刀を一同に見せるが反応はあまり良くないものだった。

 

「勝田マジで買って来たぞ?」

 

「本当だったんだね、あれ」

 

「過剰しおりの読み通りだったな」

 

「???」

 

豆鉄砲を喰らったような顔をした俺に見せられたのはしおりの内の1ページだった。

 

お土産で木刀を買おうとした時「お気持ちはわかりますがよく考えてください。買うのはきっと勝田君くらいですよ?彼も彼で帰ったらお母さんに何か言われることがあるかもしれません、胸に手を当ててもう一度考えてみましょう?」

 

 

こんな事が書いてある始末だ。ほっとけ!!!!

いいだろ俺は剣術で実際に使うんだから!!

 

「威武樹また無駄遣いして」

 

「…使うから許してくれ」

 

「矢田さんはしっかり勝田君のこと見ててあげて」

 

「まっかせて!」

 

俺は幼児か。そう思った矢先に話しかけてきたのは岡野。

 

「勝田、その…さっきはごめん。あんな風に言っちゃって」

 

「気にしてないぞ。俺も刀に取り憑かれ過ぎてると自分でも思い始めてるから」

 

「それはそれでヤバいだろ…」

 

「良かったら何だけどさっきの小太刀?みたいなの持たせてくれない?」

 

「いいぞ、ほら」

 

俺から脇差を受け取った岡野は鞘から刀を抜き、少し振ってみたりして何やらイメトレをしているように見える。

 

「勝田が普段振ってる長い刀よりは使いやすいかもだけど…やっぱりちょっと私には長いかな…?」

 

「ドちんちくりんだもんな」

 

例によっていらん事を言った前原が岡野に蹴りを入れられる。この辺はいつもの事だ。しかし昔の日本人の平均身長は成人男性でも岡野と同じくらいだった場合が結構ある。とすると剣術の道もあるかもしれない。丁度鴨川の河原あたりに来たので俺は少し目立たないところで先ほどの自分の木刀を出し、こう伝える。

 

「岡野、一回それを振り上げて俺に斬りかかってみろ」

 

「え!?」

 

「今は人もそんなにいない。お前が直ぐに刀の道も開けるかどうか見がてら、折角だしこの地で手合わせしてみないか?」

 

「いいじゃん。やって貰えば?」

 

「確かに人もいないし、ひなたのお手並み拝見したいしね」

 

「それじゃ…いくよ」

 

そう言って岡野は刀を正眼に構えた。

 

「ああ。遠慮なく来い」

 

「威武樹、ちょっと…」

 

俺も同じように構え、いざ手合いといった時に桃花に手招きされながら呼ばれた俺はその位置まで行く。

 

「なんだ?」

 

「元気で活発に見えてもひなたちゃんは女の子なんだし、手加減してあげてね?」

 

「わかってるよ」

 

寸止めには慣れてるし、間違ってもぶっ叩いたりしないから安心しろって。

 

そうして向かい合って振り上げてきた岡野。元気いっぱいといわんばかりに声を上げながら俺に斬撃を落とす。

 

「やあぁっ!」

 

「良い剣速だ」

 

俺は僅かに身を引き皮一枚で躱す。空振った刀、その隙をつき逆手に持った刀を首筋に寸止めで当てる

 

「…」

 

「次は違う太刀筋でもう一回やってみろ」

 

再び位置につき直すと繰り出したのは横薙ぎの一閃。それを体の間に刀を入れ防ぐ。そのまま左手で岡野の手首を掴み体制を崩したら同じやり方で首に刀を寸止めする。

 

「敵との間に距離が近すぎるとこうなる」

 

「うん…」

 

「小太刀でやってみるか?」

 

「そうする、長いし」

 

小太刀を持たせると先程と打って変わったように飛んでくる刺突と斬撃の連打。やはり短い得物の方が合っているようだ。

 

「私にはこれの方が良いかも!」

 

「凄まじい手数だなおい!」

 

俺は唐竹割りを上段受けで止めたと同時に受け流し、そのまま同じように首筋に刃を寸止めして終わりとする。

 

「………参ったわ」

 

「こんなもんでいいか?」

 

「ありがとう。しっかしアンタには参ったわ本当に。強いのね」

 

「ずっと学んでは鍛錬しての繰り返しだからな」

 

「だからどっちも使えたわけね。でも私、刀なら短いほうがいいかな」

 

「小太刀なら向いてる可能性はあるな」

 

「にしてもナイフやエアガンなら兎も角、刀まで態々持ってきてるなんて殺る気満々だな」

 

「俺がE組という環境で自身の経験を存分に発揮出来ているのは防衛省、ひいては烏間先生のご厚情…この刀はその恩義に報いる為に持っている」

 

「武士かよ」

 

そう話しながら清水寺に着き、各人好きなところを見て楽しむ事になった。俺は桃花と一緒に本堂を見る事になり、一か八かの時は清水の舞台から飛び降りたつもりで、なんて言うけどこんな所から飛び降りたら間違いなく八だろ。八確定だってこんなとこ。絶景をそんなことを考えながら堪能し、桃花と2人で並んで話している。

 

「凄い良い景色!だけど…うわぁ…高いね…」

 

「一か八かでこんなとこから飛び降りたら本当にバチしかないよな。下見ると怖過ぎだろ」

 

「威武樹でも怖がるって改めて怖い事が伝わるね」

 

「桃花さんよ、貴女は俺を何だと思っている?」

 

「怖いもの知らずの幼馴染?」

 

「心外だな、俺にだって怖いものはあるんだぞ」

 

「え、何が怖いの!?」

 

「そんな食いつく!?…まぁやっぱ理事長とか?」

 

「やっぱり怖いんだ」

 

「すげぇ怖えよ。なんか得体が知れなくて」

 

「あ、それわかる!風格も声も凄いラスボス感漂ってるよね…」

 

「だろ?」

 

そんなこんなで集合時間が近くなり、正門の前に集合しようかとした矢先に折角なので写真を撮ろうと言われたので

 

「行く前にさ、威武樹…写真撮ろ?」

 

「おっけ」

 

即決。

 

「自撮りするか?」

 

「あそこにいる人に頼んでくるね」

 

そう言ってあっさり承諾を得てこちらへやって来る桃花。こういうの上手だよな。可愛い女の子にお願いされて断る奴中々いないだろうし。まぁ俺への視線が痛くなるんだけど。

 

「あそこにお土産見に行かない?」

 

「良いな、行こうぜ」

 

そうして売店で2人でお土産を見ていると

 

「桃哉にあげるなら何が良いと思う?」

 

「ん〜〜〜………」

 

ここは悩むところだ。よく観光地に男子小学生が喜びそうなドラゴンが巻きついている剣のキーホルダーが売られているが、折角京都へ旅行へ行った姉がこれを買ってきたら正直言って反応に困る。自分で買うならまだしも姉からのお土産がこれだとなぁ…と思いかねない。ならば京都らしい、和を感じられる物の方が良いだろう。

 

「この阿闍梨餅なんかどうだ?」

 

「食べたことないなぁ…美味しいのかな?」

 

「丁度試食出来るみたいだぞ」

 

人によっては好みが分かれ、予測変換であらぬ文字が出る時もある阿闍梨餅を口に運んだ結果

 

「「美味しい!」」

 

揃って舌鼓を打ってすぐ買うことに。

 

「じゃあ買ってくるね!」

 

「あとほら、これ」

 

そう言って俺が渡したのは刀の形をしたペーパーナイフであり、京都限定のお土産だ。こういう物が男子は幾つになっても好きである。

 

「これ俺から桃哉に」

 

「え、いいの?ありがとう!きっと喜ぶよ!」

 

お土産を買った俺たちは売店から出て門前に向かうのだが、すごい人の量。平日とはいえここまで多いとはな。日本屈指の観光名所を舐め過ぎていたらしい。

 

「離れないようにしないとな」

 

「……………ねぇ威武樹」

 

「どうした?」

 

「……手、繋がない?」

 

 

俺は一瞬脳細胞が何かの変異を起こしたかのような衝撃が頭からつま先に走った。そのせいで慌てふためいてしまう。

 

 

「え、ちょ!?俺らってそういう関係じゃなk」

 

「……ダメ?それとも、嫌………?」

 

そう言って少し目を潤わせる桃花。

 

嫌なわけない!!!!寧ろ嬉しくてこの場で喜びの舞を踊りたいくらいだ。俺は兎も角、桃花がクラスの誰かに勘違いされたりしたら嫌だなって!!確かに昔は2人並んで手を繋いだこともあったけど………一応確認しておく。念には念を入れて。

 

「その……桃花はさ、嫌じゃないのか?俺とって」

 

「ううん。嫌なんて思わないし、他の男子の誰かじゃなくて威武樹だから手を繋ぎたいなって思ったから」

 

それに対し返ってきたのは、この嬉しすぎる返事。流石にこれには応えないと男が廃るというものだろう。俺は左手を桃花に差し出してこう言う。

 

「…ありがとう。繋ぐか」

 

「うん!ありがとう!」

 

そうして俺の固くて少しゴツい手と桃花の白魚のような手が繋がれる。

めっっっっっっちゃ暖かくて柔らかい…………………

 

…………って変なことは考えるな俺!!!!ただ懐かしめ!!!!

 

「(威武樹の手、大きくてゴツゴツしてる。やっぱり男の子だなぁ…)」

 

「……………行くか、こっちだな」

 

「うん。威武樹、手大きくなったね」

 

「まぁ俺も成長してるし、剣術の鍛錬で人より固い手の皮になったからな」

 

「手も体も大きくなったけど、2人で手を繋いで歩くとなんか懐かしいね」

 

「…………そうだな。昔はこうやって2人で手を繋いで、駄菓子屋に行ったり公園に遊びにいったりしたよな」

 

「……また遊びに行きたいね」

 

「行こうぜ、俺で良ければまたどっかに」

 

「楽しみにしてるね♪」

 

「…………///俺も」

 

そう話しているうちに門の前まで着き、磯貝や片岡さんがいたので2人でその位置まで行って無事合流を果たした。

 

「…なんかさ、勝田と矢田ってマジで仲良いけど何にも無いのかよ?」

 

「どうした前原」

 

「いやここまで仲の良さ見せつけて付き合ってねぇの!?」

 

「つ、付き合ってないよ…?威武樹とは別にまだ…」

 

「お!まだ!?って事はまさか矢田って!?」

 

「岡野、コイツ(前原)頼む」

 

「オッケー」

 

次の瞬間しばかれて何処かに引きずって行かれる前原。

 

「行こう、磯貝。旅館へ帰ろう」

 

「あ、ああ…でも2人で手繋いでなかったか?」

 

「…うん」

 

揶揄われながらもこうして旅館に戻ってきた俺たち一班。明日には帰るので荷物の整理をしたり買ってきた和菓子を食べたりしている者と様々だ。

 

ーーーーー

 

◇男湯

 

 

さて、男子が風呂の時間でやる事といったらあれだ。

 

"見せ合いっこ"

 

こういうものは岡島のような奴が主体となって行うので大抵クラス全員が見せ合うことになる。このクラスは男子全員がなんだかんだでノリが良いので大抵乗ってくれる。女子はこんな事やりそうに無いけどな。

 

「あれ?カルマ、渚は?」

 

「ちょっと遅れてから来るって」

 

「ふ〜〜ん」

 

「よし、じゃあお前らやるぞ!先ずは俺から、とくとご覧あれ!」

 

「いや岡島…」

 

「お前…」

 

「「「「エロキャラに反してめっちゃ小っちぇじゃねぇか!!」」」」

 

普通こういう奴はデカいと思いがちだがな。

 

「ケッ、くだらねーな。ガキじゃねーんだから俺らもう上がるわ」

 

「ひょっとして寺坂は岡島より小さいから恥ずかしいんだ?」

 

「アァ!?」

 

カルマの挑発に簡単に乗ってくれる寺坂。

 

「証明したいなら見せるしかないよね?」

 

「……しっかり見ろやテメェら!」

 

「おぉ〜立派じゃん」

 

というより寺坂マジで筋肉あるな。あんまり真面目に訓練してる印象なかったけど、もしかしたら家で体鍛えたりしてんのかな。そんなこんなで次は俺の番。

 

「エントリーNo.3!クラスの剣豪、勝田威武樹!果たして彼が股間に携えているのは名刀なのか!?ナマクラなのか!?」

 

「何だよこの解説」

 

風呂場だから反響して地味に良い感じになってるし。

 

「勝田、早くタオル取って見せろよ〜?」

 

「ほらよ」

 

「お、おおぉ…」

 

「で、でけぇ…」

 

「こりゃ相当な業物だぜ…」

 

「あんまり他人と比べた事ないけどな」

 

「MAX何センチだよ?」

 

「測った事ない」

 

何人も同じように見せ合いを続ける事数分。ふと浴場の扉が開き、遅れてやってきた渚が入ってきたと思ったら…

 

「ごめん遅れちゃった」

 

「おお来たか渚…………!?」

 

「「「「うわぁっ!?」」」」

 

目の前に青い髪の美少女と思わしき渚が立っていた。髪を下ろしているのもあってか普段の渚とは違う別人に見えてしまい、突然の事に一同が同じ反応をした。

 

「え、何皆んな!?」

 

「な、なんだ渚か…」

 

「女子入ってきたのかと思ったぜ…」

 

「男子だよ!」

 

「渚君本当に付いてる?」

 

「ちゃんと立派なの付いてるよ!!」

 

ーーーーー

 

そうして見せ合いっこも終わり殆どのクラスメイトが上がった頃、俺は1人だけ湯船に使っていた。

 

「威武樹君まだ入ってるんだ?」

 

「長風呂好きだからな。でももう上がるわ」

 

「のぼせちゃったら冷やしてあげるよ〜?」

 

「カルマに冷やされたら物凄い冷やされた方するだろうし上がるわ」

 

「いつも俺に冷やかされてるけどね」

 

「やかましいわ」

 

「しかしこんな経験、普通の修学旅行じゃ絶対出来ないよね」

 

「うん、まさかあのしおりが役に立つとは俺も思わなかったよ」

 

広辞苑か百科事典みたいな過剰しおりの事だよな?アレが役に立つって一体何をしたんだろう?

 

「何があったんだよ?」

 

「実は…」

 

ーーーーー

ーーー

ーー

 

「神崎さんと茅野が拉致られてた!?」

 

「うん…高校生の不良グループに」

 

「それで2人には何も無かったのか?」

 

「無事だったよ。怪我も特に無かったし」

 

「怪我はなくても心に傷を負ってたりしないか?特に神崎さん、色々と悩んでる事があったりしたみたいだからな」

 

「うん。殺せんせーがしっかりメンタルケアもしてたからきっと大丈夫」

 

「それは良かった」

 

「ていうかさ…威武樹って和服似合うよね」

 

「確かに、刀とか持ったらもっと似合いそう」

 

「そうか?部屋戻ったら持ってみるか」

 

「持ってきてるんだ…」

 

ーーーーー

 

◇女湯

 

「さて始まりました!修学旅行で女子がやる事といったらこれっしょ?」

 

「何がですか?」

 

「第一回、E組女子揉み合い合戦〜!」

 

前言撤回。どうやら女子も同じような事をしているらしい。

 

「また始まったね」

 

「やると思った」

 

「莉桜ってこう言う時誰よりも活き活きしてるよね」

 

「男子の岡島、女子の中村」

 

 

ーーーーー

 

 

風呂上がり、茅野から事の顛末を聞いた俺は衝撃を受けた。不良に新幹線の車内で手帳を拾われた時に学校と行き先、本名、そして何処かのゲーセンで神崎さんが過去に遊んでいた頃から目をつけられていた事がわかった。

 

「そんな事が!?」

 

「うん、あの不良達が言うにはね」

 

「新幹線で近くに俺がいたってのに…すまない、茅野」

 

俺は一端の責任を感じ、茅野に頭を下げる。

 

「そんないいって!勝田のせいじゃないんだし、責任感じる事ないよ」

 

「しかし何なんだその台無しの伝道師ってのは」

 

「最っ低だよね。サラリーマンに痴漢冤罪着せたり、女性の心と体に消えない傷つけたりとかしてたんだって」

 

「…その外道共に生きる価値などない。ダルマにするか、ピザみたいに八等分に斬り分けても罪は償えん」

 

「「怖いよ!!?」」

 

 

卓球をしたりゲームをしたりする者とそれぞれの時間を楽しんでいた。中でも仰天したのは神崎さんのゲームの腕前。

 

「うおぉ!」

 

「どーやって避けてんのかまるでわからん!!」

 

「恥ずかしいな。なんだか」

「お淑やかに微笑みながらも手つきはプロだ!」

 

「すごい意外です。神崎さんがこんなにゲーム得意だったなんて」

 

「…黙ってたの。遊びが出来ても進学校(うち)じゃ白い目で見られるだけだし。でも、周りの目を気にしすぎてたのかも。服も趣味も肩書きも…逃げたり流されたりして身につけてたから自信がなかった。殺せんせーに言われて気付いたの。大切なのは仲間の自分が前を向いて頑張る事だって」

 

拉致られたと聞いて心配であったが憑き物が取れたかのように軽い雰囲気であり、気負う様な事にもなっていなさそうで良かった。

 

「色々あったんだな、神崎さんも」

 

「…うん。うちは父親が厳しくてね、良い学歴良い職業って言ったように良い肩書きだけ求めてくるの。肩書き生活が嫌になって、見た目を変えて誰も来なさそうな場所で遊んでたの。気付いたら家にも学校にも居場所がなくなって…バカな事してたなぁ…私」

 

俺の家はこういうのは無いが、周囲からの目や声が非常に煩わしいと感じる事がよくあった。古流剣術の家元の息子、次期当主、勝田一族の麒麟児、長男だからとか優秀な姉と比較されるなんてザラだ。今でもある。

だが神崎さんはそこから立ち上がって前に進もうとしている、立派じゃないか。そんな人が自分を卑下する事なんてない。

 

「…君はバカなんかじゃない。恐怖も迷いも全て乗り越え、立ち上がって前に進める素晴らしい女性だ」

 

「えっ」

 

「雲外蒼天。神崎さん、試練や困難があっても努力して乗り越えれば必ず明るい未来が望める。だから自分を卑下しないで、胸を張って前を見て進んでいって」

 

「ありがとう、勝田君。友達からそんな風に言って貰えたなんて初めて…嬉しい…///」

 

「結構良い事いうよね、勝田って」

 

「四字熟語ハマってるのかな…って杉野!?」

 

「か、神崎さんが勝田に………!?」

 

灰のような色で口から魂が出かけている杉野。

 

ーーーーー

 

その後、落ち着いた俺たちは部屋に戻る途中旅館のボロさに愚痴を叩いていた。

 

「しっかしボロい旅館だよなぁ。寝室も男女大部屋2部屋だし、E組以外は個室だそーだぜ」

 

「いーじゃん、賑やかで」

 

「風情もあるし、上げ膳据え膳ほど贅沢な物は無いって言うしな」

 

「何処で覚えてきてんだよそんな言葉…ん?」

 

前を見ると男湯の前を彷徨く中村と不破さんの姿が。

 

「何してんの?」

 

「そこ男湯だぞ?」

 

「しっ!!決まってんでしょ?覗きよ」

 

「覗きィ?それは俺ら男子の仕事(ジョブ)だろ!?」

 

仕事(ジョブ)ではないよね」

 

岡島よ、それを仕事(ジョブ)にしてしまうとマジで取り返しのつかない領域に行ってしまいかねないからな?

 

「アレを見てもそれが言える?」

 

指を指された方向を見るとハンガーに掛かっている殺せんせーの服が。

 

「あの服が掛けてあって服の持ち主は風呂場にいる。もう言いたいことわかるよね?今なら見れるわ、殺せんせーの服の中身。首から下は触手だけか胴体あんのか、暗殺的にも知っておいて損は無いわ」

 

確かに興味はあるな。服の下がどんな姿なのかは気になるし。

 

「………この世にこんな色気ない除きがあったとは」

 

息を殺し、風呂場のドアを開けた瞬間殺せんせーは…!?

 

泡風呂に入っていた。

 

「「「女子か!!」」」

 

「おや皆さん」

 

「なんで泡風呂入ってんだよ。入浴剤禁止じゃなかったっけ?」

 

「これ先生の粘液です。泡立ち良い上にミクロの汚れも浮かせて落とすんです」

 

「ホント便利な体だな!」

 

「フフフ…でも甘いわ。出口は私達が塞いでるし、浴槽から出る時必ず私達の前を通るよね。殺すことはできなくても裸ぐらいは見せてもらうわ」

 

「殺せんせーの服の裏側、見せてくださいや」

 

ナイフを抜きながらじりじりと迫る中村。俺も刀を抜き、退路を防ごうと前に出ると殺せんせーはゼリーのように固まったお湯ごと立ち上がり、そのまま窓から出ていってしまった。

 

「そうはいきません」

 

「煮凝りかっ!!」

 

「しかも窓から逃げた!」

 

「つるんと出ていったな」

 

「なぁ中村…この覗き虚しいぞ…」

 

「…………」

 

「………大部屋戻って駄弁ろう」

 

「だね」

 

俺も刀を鞘に納め、渚達と一緒に部屋に戻ることにした。

 

ーーーーー

 

◇男子部屋

 

大部屋では修学旅行恒例の行事、恋バナのような物が開催された。

 

気になる女子ランキングといった紙には可愛らしいイラストとその女子のポイント的な部分が書かれている。現時点でのランキングはこちらの通りで、人間性や容姿といった部分でアピールポイントが付いた。

 

神崎 ・性格が良さそう・顔がダントツ可愛い!!

 

矢田 ・ポニーテール・胸が大きい!

 

倉橋 ・いやし系・みわく的なポーズ

 

茅野 ・小さい・元気をもらえる

 

片岡 ・頼りになる・ぱっつんヘアー

 

といった感じだった。

 

「やっぱ1位は神崎さんか」

 

「まぁ嫌いなやついないわな」

 

「で、上手く班に引き込んだ杉野はどーだったん?」

 

「いやそれがさー、なんか色々トラブルあって、まともに話す事も出来なかったわ」

 

「あー…なんか大変だったらしいな」

 

少し楽しみにしながら結果を杉野に聞いた前原だったが、どうも良くない結果で終わったと聞いて少し渋い反応をした。

 

「気になるのは、誰が誰に入れたかだよなー」

 

「俺は1人に決められないんだよ〜!!」

 

「岡島はいいから」

 

ヒトリダケナンテエラベナイヨー!な状態の岡島に返されたのは勝手にやっててと言わんばかりの三村。

 

「渚、お前は誰に入れたんだよ?」

 

「え?僕は…」

 

渚に誰に入れたか聞いた前原を逆に聞き返す杉野。うん、お前ほんまええ奴っちゃ〜

 

「そう言う前原こそ、誰に入れたんだよ?」

 

「ああ俺?そいつは言えねーな☆」

 

「腹立つ!お前みたいな奴がモテてると思うとまた腹立つ!!」

 

確かに腹立つ。

女子ウケしそうな決めポーズも腹立つ!

自分から聞いといて言わないとこも腹立つ!!

普段から桃花の件でダル絡みされてるから余計腹立つ!!!

 

「何なら俺が一回斬ろうか?」

 

「「「「「怖えよ!?」」」」」

 

「散々ダル絡みされてるからな」

 

「………てか勝田と矢田の関係ってマジで何なん?」

 

「幼馴染」

 

「今日2人で手繋いでたよな!?」

 

「幼馴染なら普通だぞ」

 

……というか好きって何なんだろうな。

その子に自分が好かれたいって思う事?

その子を他の子と比べても誰より可愛いって思う事?

仲良くなりたいって事?

 

ただ女の子なら誰でも好きって思うだけなら岡島なんて生きていけるか分からないレベルだし。そもそもこういうタイプは意外と恋愛に関しては弱かったりする。

 

そんな事を考えていると襖が開き、ジュースを飲みながらやって来たのはカルマ。

 

「お、面白そうな事してんじゃん?」

 

「カルマ!良いとこきたな」

 

「お前クラスで気になる娘いる?」

 

「皆言ってんだ。逃げらんねーぞ」

 

そいつは言えねーな☆なんて言ってた奴が何を言う。と、言いたいところだが確かにこれは気になる。

カルマとは実家で飯を食った事もある仲だから尚更な。あの時は話さなかったが、カルマの女性の好み…というか気になってる女の子は実に興味深い。

 

「んー………奥田さん、かな?」

 

「お、これまた意外。なんで?」

 

「だって彼女、怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそーだし。俺のイタズラの幅が広がるじゃん?」

 

「…………絶対にくっつかせたくない2人だな」

 

逃げて奥田、超逃げて。

 

しっかし何という組み合わせだ。悪魔と魔女を組み合わせたら良くない事が起こり得るのは想像に難くない。

 

………いや、魔女なら適任者(狭間さん)が別に居るのだが。

 

「皆、この結果は男子だけの秘密な?知られたくないやつが大半だろーし、女子や先生には絶対に…」

 

何か気配がし、ふと障子の後ろ側を見るとピンク色のタコがこちらをにやけながら見ていた。そしてこちらの視線に気づいたソイツは、メモを取ると一目散に逃げていった。

 

「メモって逃げやがった!!」

 

「殺せ!!」

 

「あんのタコ!」

 

「生徒のプライバシーを侵害しやがって!!」

 

全員ガンやナイフを抜いて下世話担任を追う。俺も刀を持って皆と同じように追いかけていく。

 

「ヌルフフフフ、先生の超スピードはこういう情報を知るためにあるんですよ」

 

「最悪だ!斬り殺してタコぶつにしてやる!!」

 

「めっちゃキレてねぇか勝田!?」

 

かつてないスピードを出しながら殺せんせーを先頭に立ち追いかける。

そりゃ誰に入れたってところを直に見られたんだ。気になってる人を確定で知られてるんだよ!!!!皆んなそうだぞ!?

 

 

ーーーーー

 

◇女子部屋

 

「え?好きな男子?」

 

「そうよ。こういうのはそういう話で盛り上がるものでしょ?」

 

「はいはい!私は烏間先生!」

 

「はいはい。そんなのは皆そうでしょ?クラスの男子ならって事よ?」

 

「えぇ〜…」

 

「うちのクラスでマシなのは…磯貝と前原?」

 

「でも前原はタラシだしね〜…」

 

「顔なら、カルマ君もかっこいいよね」

 

「でも素行がね〜…」

 

「意外と怖くないですよ?」

 

「普段は結構大人しいし」

 

「野生動物か」

 

カルマを野生動物と評価する速水。

 

「あとは勝田は?男前な顔してるよね」

 

「話してみると良いやつだしね」

 

「た、確かにお侍さんみたいな人だと思います」

 

「全校集会で暴走したのは引くよりスカッとしたかな」

 

「武人肌なところはかっこいいと思う」

 

「矢田さん、幼馴染なんでしょ?」

 

「うん。威武樹は喧嘩したり子供っぽいところもあるけど、優しいところは昔から変わってないかな」

 

「威武りんと桃花ちゃん、仲良いよね〜」

 

「あと、剣術頑張ってる姿がかっこいいよ」

 

「刀使うって唯一無二だよね」

 

「私も今日教えてもらったけど、勝田って人に教えるの上手だよね」

 

「神崎さんは?」

 

「私は…気になってる子…っていうんじゃ無いんだけど、勝田君が今日私を励ましてくれたんだ。E組に来る前から色々とあった事なんかも全部聞いて、その上で私を否定しないでいてくれて…」

 

「へぇ〜、勝田ってバファリン系男子だね」

 

「「「「バファリン系男子?」」」」

 

「ほら、痛いところを和らげてくれる的な?」

 

「あ!なんかそれ分かる!」

 

「こ〜んな風にさ〜?」

 

「うりうりうり〜」

 

「結局神崎ちゃんが気になる男の子は気にしてるぞ〜?」

 

「い、いないって本当だってば…あはははは!」

 

どうやらくすぐったがりらしい神崎を押し倒してくすぐる茅野と中村。そうして少しばかり女子がじゃれ合いをしている中入ってきたのはイリーナ。

 

「おーい。ガキども、もうすぐ就寝時間だって一応伝えにきたわよ」

 

「一応って…」

 

「どうせ夜更かししてお喋りするんでしょ?あんまり騒ぐんじゃないわよー」

 

「先生だけお酒飲んでずるい!」

 

「当たり前でしょ?大人なんだから」

 

「そうだ!ビッチ先生の大人の話聞かせてよ!」

 

「普段の授業よりタメになりそう〜!」

 

「何ですって!?」

 

「いいからいいから〜」

 

ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

「「「ええっ!?ビッチ先生まだ20歳(ハタチ)!?」」」

 

「経験豊富だからもっと歳上かと思ってた…」

 

「ねー。毒蛾みたいなキャラのくせに」

 

「そ、濃い人生が作り出す毒蛾の様な色気が…って誰だ今毒蛾って言ったの!?」

 

毒蛾って言ったのは岡野…なんだけど、よくそんな言葉知ってるなおい。

 

「ツッコミが遅いよ?」

 

 

「いい?女の賞味期限は短いのよ?アンタたちは私と違って危険と程遠い国に生まれたんだから…感謝して全力で女を磨きなさい」

 

「「「…………」」」

 

「ビッチ先生がまともなこと言ってる…」

 

「なんか生意気ー」

 

「舐めんなガキども!」

 

「じゃあさじゃあさ!ビッチ先生が落としてきた、男の話聞かせてよ!」

 

「あ!興味ある〜!」

 

「フン。良いわよ?子供には刺激が強いから覚悟しなさい?」

 

さりげなく場に紛れるピンク色のタコ。しかし話を真剣に聞く女子達は気づく事がない。

 

「例えばあれは17の頃…っておいそこ!さりげなく紛れ込むな女の園に!」

 

「「うわっ!?」」

 

「良いじゃないですかぁ〜、私もその色恋の話聞きたいですよ」

 

「そういう殺せんせーはどーなのよ?自分のプライベートはちっとも見せないくせに、うちらの話ばっかり聞こうってこと?」

 

「そーだよ!人のばっかずるい!」

 

「先生は恋バナとか無いわけ?」

 

「そうだよ!巨乳好きだし、片想いくらい絶対あるでしょ!?」

 

中村の一言を機に始まった女子達からの質問攻め。巨乳好きだと片想いするという確かにしてそうだと思うような指摘。答えられず居づらくなった殺せんせーは超スピードで逃げた。

 

「にゅ〜〜〜………にゅやっ!!」

 

〈ドヒュン!!〉

 

「逃げやがった!捕らえて吐かせて殺すのよ!」

 

殿様のようなイリーナの掛け声と同時に女子たちも全員が武器を抜き、殺せんせーを追いかける。部屋から出たと同時に俺たち男子も殺せんせーを見つけ、襲い掛かる。

 

 

「居たぞ!あそこだ!」

 

「叩っ斬ってやる!」

 

「こっちに居るわよ!」

 

 

「しまった!挟み撃ち!?」

 

「チェェェェリャァァァァ!!」

 

刀を振り上げ、凄まじい掛け声と共に俺が繰り出したのは袈裟斬り。外したと同時に他の男子女子がそれに繋がる攻撃を繰り出す。

 

「何だかんだで、結局は暗殺になるんだね」

 

「うん…」

 

離れたところで他より少し落ち着いた様子を見せるカルマと渚。他は皆逃げながらいつの間にか身柄を躱した殺せんせーを探すのに必死になった。

 

「どこ行きやがった!?」

 

「まだ近くにいる!意地でも探すぞ!」

 

「勝田君、そっちは何があったの?」

 

「片岡さん!………殺せんせーが男子の極秘情報を盗み見した後、メモって逃げたんだ」

 

「極秘情報って?」

 

「………俺の口からは言えない」

 

ーーーーー

 

その後、結局E組を撒いた殺せんせーを見つけられなかった俺たちは自動的に解散して俺も寝床についた。しかし消灯後も夜更かしして色々とするのが修学旅行の醍醐味というもの。

 

 

 

………のはずなのだが

 

 

「おい勝田、お前の結局気になってる娘は矢田で合って…………勝田?」

 

「ん…んぁぁ何て?」

 

「寝てただろ?」

 

いつの間にか寝ていた。しかしこうして布団の中で修学旅行のことを思い返していると色々と考え込んでしまう。もう来年の今頃には地球が終わっているかもしれない、と思うと一年が過ぎるのは思ったより早いものかな。





ご覧いただきありがとうございました!

岡島の岡島が小さいのは公式です。

威武樹の性格なのですが、実は結構なナルシストでちょっと嫌な奴の予定でした。しかし想像する中で他のキャラを見下したりする感じがしたので今の性格になったと言う経緯があります。

今と大違いですね。ナルなんて嫌われるに決まってんじゃん。

感想、評価等大変励みになります。よろしければお待ちしております!!

威武樹の家族紹介

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