今回の話は1話と2話の間の話です。
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ハピエンすこすこ侍さん、誤字報告ありがとうございました!
寺坂による渚の自爆特攻事件から翌日。俺は昼休みになった時を見計らって校庭にある木の下に来ていた。烏間さんに用があるためだ。勿論食事の邪魔をしないために丁度こちらに戻ろうとしてきたタイミングで声を掛ける。
「すいません、烏間さん。」
「勝田君か、どうした?」
「暗殺のことで相談があって、よろしいでしょうか?」
「わかった。俺で良ければ聞こう。」
「対先生ナイフと同じ素材で長い武器を作っていただくことはできますか?」
「出来るが、長い武器というと刀か。君は刀が得意なのか?」
烏間さんは俺に聞いてきた。俺は待っていましたとばかりに答える。
「はい、僕はまだまだ修行中ではありますが剣術を習得しています。何よりも僕の得意な武器があればきっと暗殺の役に立てると思いました。」
「わかった。部下に伝達しておく。後日にはなるが物が完成し次第支給しよう。」
「ありがとうございます。」
「因みに勝田君、流派は?」
「勝田剛心流です。ここの始祖の末裔なので。」
「成程、俺は君と同門だったのか。」
それを聞いて俺は驚いた。というよりびっくりした。まさか烏間さんが俺の兄弟子だったのだから。
「ん?同門!?ということは烏間さんは…もしかして!?」
「過去に俺も剣術を習っていた事があってな。俺はこの流派の免許皆伝を成し遂げたんだ。」
「本当ですか!もしかして僕が小さい頃に出会ったのは烏間さんかもしれないですね。かなり昔だったので名前は聞けなかったんですけど、過去に勝田一門始まって以来の史上最速で免許皆伝を成し遂げた方が2名居たんです。」
「おそらくだがそれが俺だ。」
「えっ!?」
今度は素っ頓狂な声が出た、昔に憧れた人が目の前にいるのだから。今頃俺は目が飛び出てるかもしれない。
「君のお祖父さんにはその時よく世話になった。」
「うちの祖父に…」
まぁ師範代はうちの爺ちゃんだしな。現在もそうだし、俺の剣術の師匠は爺ちゃんだ。
「良ければ少し、君の腕前を見せてくれるか?」
そう言って烏間さんは手頃な近くに落ちていた手頃な木の棒を俺に渡してきた。これを振るって見せてくれという事なのだろう。
「わかりました。ではこの辺りに殺せんせーがいるという想定で見ていてください。」
俺は棒を受け取るとそれを正眼に構えた。目を閉じ気持ちを落ち着かせて袈裟斬りを振るう。シュッ!という風切音が鳴り、小さな風が吹いた。
ふと目を横に向けると烏間さんは腕を組んだまま俺を見続けいた。まるで「もっと見せてくれ。」と言っているかの様に。
続いて助走をつけて逆袈裟、唐竹割、体制を立て直して一文字斬りを放つ。
「(いい太刀筋だ。剣速、剣圧共に凄まじい。当たれば両断だな。)」
最後に納刀からの居合を放った。無論、鞘は無いので鞘の部分についてはある定での空動作だ。最後にもう一度納刀し、軽く会釈する。
「…終わりました。まだ技はあるのですが今日全てを見せるのは種明かしになりかねないのでやめておいてもよろしいでしょうか。」
「ああ、構わない。いい物を見せてくれてありがとう。」
「いえ!これからも精進してクラスの皆の力になれるように頑張ります!」
「フッ、君の力に期待している。」
その言葉が俺は嬉しかった。憧れの人にそう言ってもらえたのだから。そして褒められたことで同時に照れ臭かった。
「あ、ありがとうございます…もう一つ、暗殺技術の向上をしたいので良ければ休み時間や放課後に個別に訓練して貰ってもよろしいですか?」
「わかった。空き時間等で俺の都合が合った時は付き合おう。」
「ありがとうございます!」
こうして俺はクラスで最初に烏間さんに弟子入りすることになった。
「「「お疲れ様、勝田(君)!」」」
「カッコよかったぜ!勝田!」
「威武樹流石だね!」
「威武りんやっぱりすごいんだね!」
「へへっ、ありがと。」
磯貝、前原、木村、片岡、岡野、倉橋、桃花のクラスでも暗殺に積極的なメンツが駆け寄ってきた。ここまで褒められるとなんだか照れくさいな。
「流石かつて"椚ヶ丘のサムライ''と呼ばれただけはあるな。」
木村の言うこれは入学当初の俺の二つ名みたいなものだ。
「やめてくれよそのあだ名…恥ずかしい…」
そういうのは爺さんになってから「俺も若い頃は〜」なんて言いながら自分の孫なんかに語りたいと思っているのにな。
…そもそもそんな何十年先より来年ですら地球があるか分からないが。
「そういえば勝田って部活とか何入ってたの?」
まだあまり関わりのない岡野が聞いてきた。
「剣道部に入っていたな。1ヶ月だけ。」
「1ヶ月?なんでそんなすぐ辞めちゃったの?もしかしてE組行きが原因?」
「それは違うな。剣術と剣道は似て非なる物でな、俺は古流剣術で"斬られる前に斬れ!"という戦場の剣なんだ。一方の剣道はこれらを基盤に行いやすい武道として、スポーツとして発展したものだから俺にはあまり向いてなかったんだ。」
「ふーん、じゃあE組落ちが理由ってわけじゃないんだ。」
「そういうこと。そもそも入ってたのも一年の時だったし。」
「私は苦手教科拗らせちゃってE組行きで、部活も辞めざるを得なかったからなー。」
「私も!部活なんかしないで勉強に集中しろって理由だよね…」
というか今いるこのメンバー運動部出身多いな。生物部だった倉橋を除けば磯貝と桃花はテニス部、片岡は水泳部、岡野は体操部、木村は陸上部、前原はサッカー部だ。倉橋も倉橋で山歩きやフィールドワーク等で運動慣れしているしこのクラスの女子の中では身体能力は高い部類に入るだろう。
「なんか良い感じに打ち解けれてるし、今いる俺らでこのまま修学旅行の班組まないか?」
「良いかもね、皆の得意な事とかも知ることが出来そうだし。」
磯貝がこんな提案をし、片岡がそれに賛同した。こうして修学旅行一班が編成された。
「勝田君って昔からずっと剣術をやっていたの?」
「そうだな、物心ついた時には既に剣を振っていたなぁ。」
「もう10年くらいになるよね、威武樹が剣術を始めてから。」
「そうだな、でも一時期は桃花もやってたろ?」
「えっ、矢田っちもやってたんだ!めっちゃ意外…」
「桃花ちゃんかっこいい〜♪」
岡野と倉橋だけでなくみんな意外に思っていそうだ。
「うん。まぁ私は他にもやってた習い事あったからあまり続かなかったけどね。」
「めっちゃ沢山習い事やってたよな桃花って。えっとダンス、ピアノ、お琴、舞踊、華道、水泳、これ週何だよ!」
「ふふっ。威武樹がやってたのって剣術以外だと水泳とバスケだよね。」
「俺はこの2つが両方とも長く続かなかったけどな。」
「なあ、気になってたんだけど勝田と矢田ってお互い下の名前で呼び合ってるよな。前から知り合いなのか?」
桃花と2人で昔話をしていると木村がこんなことを聞いてきた。
そうだ他のメンバーと違ってコイツは知らなかったんだな。
「俺と桃花は幼馴染なんだよ、それも15年来のな。」
「そ!私たち幼稚園小学校中学校と全部一緒で家もご近所さんなんだよ!」
「全く他でもない矢田と幼馴染なんて羨ましい奴だぜ…痛って!」
前原が岡野に叩かれているが無視して話を続けよう。
「何なら生まれた病院まで一緒だぞ。桃花が8月で俺が10月だから、流石に誕生日までは違うけど。」
「そうだったのか…なんかここまで一緒だと凄いな。俺と前原も小学校からの仲だけど。」
「はは、よく昔は茶化されたり噂されたりしたもんだよ。ガキの頃なんか『また2人で帰ってる、夫婦だ夫婦!』とか『やーい、威武樹のお嫁さん桃花!』なんていう風に(痛え!」
こんな事言ってると桃花に頭を叩かれた。なんか赤くなってるしもしかして桃花照れてる?いやそれより痛い。
「ちょっとやめてよ威武樹!///」
「痛えよ!言ったの俺じゃねえよ!俺だって恥ずかしかったし!!」
「言ってたじゃん!夫婦とか私がお嫁さんとか!」
「いや昔に揶揄ってきたバカの真似だって!」
「でも言ったじゃん!そういうのやめてよ恥ずかしいよ!」
こんな言い合いをしていると6人が微笑みながら言ってきた
「「「「「「2人って息ぴったりで本当に仲良いんだな(ね)」」」」」」
「「どこが!?」」
「「「「「「いや、そういうとこ!!」」」」」」
どうやら俺達の仲が良いことは間違いないらしい。生まれた時からどこに遊びに行くにもずっと一緒だったもんな。
ーーーーー
私の名前は矢田桃花。幼馴染の男の子の事が気になり出してる3年E組の女子生徒だよ。
知っての通り私と、この勝田威武樹は幼馴染で15年来の仲。
威武樹は昔から優しくて、小学生の時に私がいじめられた時は守ってくれたし、弟の看病で欠席や定期テストに出られなくてE組行きになった時も私に寄り添って励ましてくれた。事あるごとに困った時や悲しい時は絶対に私を助けに来てくれた。
最近だと先月2人でレストランに行って同級生に絡まれて私が悲しい思いをした時も私を助けてくれた時に私はまるで体が熱くなって、心臓が締まるような感覚になった。この感情はなんなんだろうと思っていたら、過去にメグのことを本気で好きになりそうだった時と同じ気持ちだったんだ。
違うって!私''そっち''系じゃないから!!なりかけたけど!!
…話を戻すよ?私は自分でもまだ完全に気付けないけど、威武樹のことが気になっているし、好きになりかけてるんだと思う。
威武樹はなんだか子供っぽくて、喧嘩っぱやくて目の離せない世話の焼ける子だけど、どんな時も自分じゃない誰かの為に動ける。誰かを助ける為に自分が危ない目に遭った事もある。この前の渚君の一件なんかまさにそうだ。あの時、威武樹が大怪我をしていたらと思うと落ち着いていられなかったし本当に心配した。
授業も終わり家に帰って来てくつろいでいた時、お母さんからこんな事を言われた。
「桃花、最近少し変よ?あっ!もしかして好きな男の子でも出来たの?」
「えっ!?///いや好きなっていうより気になってる男の子っていうか…その…///」
「あら赤くなってるわよ?うふふ…どうやら図星みたいね。」
「うぅ…///」
お母さんってすごい。なんでわかっちゃったんだろう…
「お姉ちゃん好きな人出来たの?」
こんな話をしていると弟の桃哉が2階の部屋から下がってきた。
「桃哉!?いやお姉ちゃんまだその人のこと好きってわけじゃ…」
「ふ〜ん?言ってる割にお姉ちゃん顔真っ赤だよ?」
「…もう!桃哉!」
「あっ!お姉ちゃんもっと真っ赤になった!」
まるでいたずらっ子のようにニヤニヤしながら聞いてくる桃哉。
するとお母さんが私の目の前にやってきてこう言った。
「桃花、貴女は可愛くて優しくて気立も良い、おまけにスタイルは抜群なんていう女の子としてこれ以上は無いわ。若い頃のお母さんにそっくり。」
うん。最後の一言は聞かなかった事にしよう。
「そんな貴女が好意を抱いた男なんて、この世で一番の幸せ者よ?でも貴女の事を容姿だけで見る男はごまんといる。私の大切な可愛い娘を、そんな輩に指一本触れさせてやるものですか。」
うわー、やっぱり私のお母さんだ。娘を愛する心もだけどそれ以上に独占欲が強い!お母さんはそのまま私の後ろに立って、そのままの形で抱き締める。
「でも私は誰よりも知っている、桃花が外見だけの男に引っかかるような見る目のない女の子じゃないって事ぐらいね。」
「うん、ありがとう。因みに同じクラスの男の子なんだ。」
「あ!もしかしてその男の子ってのは威武君?」
「えぇっ!?///」
私はまた顔が真っ赤になった。待って、なんで私のお母さんってこんなに勘が良いの!?因みに威武君とは矢田家における威武樹の昔からの呼び名。
「どうやら図星のようね。」
「お姉ちゃん、威武樹兄ちゃんの事好きなんだ?」
桃哉まで乗っかってきた。待って…待って…
「いや、それはね、えっと…」
しどろもどろになっちゃってる。あ、バレてるんだ。私…
「威武君なら優しいし強いし、それに男前だから一発合格よ!私は良いと思うわよ?あの子。」
「お姉ちゃんの彼氏が威武樹兄ちゃんなら僕も嬉しいな!」
うちの家族の威武樹推しがすごい件について。
私、恥ずかしくて顔真っ赤になってると思う。恥ずかしくて流石にこれ以上この部屋にいれる気がしない…
「……………ッッッッ〜〜〜〜!!!!///」
「わかりやすいわよね、あの子って。」
「お姉ちゃんってバレバレなんだよなぁ。」
私は耐えられる気がしなくて2階の部屋へと逃げる様に入った。ベッドに横になって頭を落ち着かせる。枕に顔を埋めていると、ふと無意識にこんな言葉が出た。
「…やっぱり…威武樹のことが好きになってるのかなぁ…」
その答えはまだすぐに出ないかもしれない。でも仮に、威武樹が私のことを好きだと言ってくれたらとても嬉しいことだけはわかった。
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威武樹と桃花が付き合うまで、あと何日?
ご覧いただきありがとうございます!
刀というより剣術が出てきましたね。
因みにこの2人はこれからどうなっていくかは現状構想ができています。
威武樹の家族紹介
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欲しい!
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いらない