3年E組の剣豪   作:ファヴキール

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お疲れ様です!今回はご存知の通り杉野のメイン回です。

そしていつの間にか通算UAが5,000を、お気に入り登録が60件を超えていました、恐縮です…ありがたやありがたや…

ご愛読いただきありがとうございます!これからもエタらないようにモチベーション保って頑張ります!!

威武樹「モチベーションは保てよ!?頼むからエタるなよ!?」


野球の時間

 

俺の名前は杉野友人。自分の投球で殺せんせーを殺れるかどうか試そうとしている、元野球部のE組生徒だ。

 

「アメリカの新聞も月の話ばかり、もっと楽しい一面記事を読みたいところですねぇ。」

 

渚からの情報通り殺せんせーは校舎裏で英字新聞を読みながらHR前にくつろぐのが日課で間違いない。

 

「お前の情報通りだ、サンキュー渚。」

 

俺は対先生弾を埋め込んだボールを不意打ちで投げ仕留めるつもり…だったのだが…

 

「おはようございます。渚君、杉野君。」

 

「「………!!」」

 

「はい挨拶は大きな声で!」

 

「おはようございます。殺せんせー。」

 

「え!?」

 

俺は我が目を疑った。つい先程まで椅子で寛ぎながら新聞を読んでいた殺せんせーがグローブをはめて俺のボールを受け止めていたのだから。

 

「対先生弾をボールに埋め込むとは良い発想です。これならエアガンと違い発砲音も無い、ですが先生に届くまで暇だったので用具室までグローブを取りに行ってました。」

 

俺たち2人は愕然としてしまった、今の一瞬で!?とばかりに。

 

「殺せるといいですねぇ。卒業までに。さ、HRの時間ですよ。」

 

「…はい。」

 

俺は自信を無くしてしまった。コレならいける!と思っていたから、有田選手を真似して豪速球を投げれると思っていたから、そして何より自分を信じていたから。

 

ーーーーー

 

◇威武樹視点

 

翌日の昼休み、俺はナイフの素振りをしようと校庭に出ると、土手でため息をついている杉野を見た。彼が元気がないのは珍しい、普段は壁当てや素振り、キャッチボールだのをしている姿をよく見るから。

 

「珍しく元気ないな杉野、何かあったのか?」

 

「あぁ勝田か、実は今昨日の朝、不意打ちして暗殺しようと思ったんだけど失敗してよ…」

 

「不意打ち?エアガンでなら何人も失敗してるし、一度や二度くらい気に病むことはないぜ。」

 

「いやエアガンじゃなくてな…ボールに弾を埋め込んでそれを当てようとしたんだけどいとも簡単にキャッチされて…」

 

「ボール…なぁ…それって野球ボールか?」

 

「ああ、昨日の俺のストレートでの全力投球だ。」

 

「磨いておきましたよ、杉野君。」

 

何かを食べている殺せんせーがボールを杉野に手渡しした。

 

「殺せんせー…何食ってんの?」

 

「昨日ハワイで買ってきたヤシの実です。食べますか?」

 

「飲むだろフツー。」

 

杉野に全力で同意だ、ヤシの実を皮ごと食べるなんて聞いたことない。

 

「俺たちはヤシガニじゃねぇよ。」

 

俺も最近、倉橋オススメで知った自然ドキュメンタリー番組で見た生物を元にツッコミを入れる。

 

「昨日の暗殺は良い球でしたね。」

 

「よくゆーぜ、考えてみりゃ俺の球速でマッハ20の先生に当たるはずねー。」

 

その話を聞いていて杉野の球速が気になったと同時に、自分の剣速がどれだけ殺せんせーに通じるのか気になった。試してみたい。早く刀が届かないか待ち遠しい。そう言えば杉野は確か元野球部だったな。

 

「君は野球部に?」

 

「前はね。」

 

「前は?」

 

「部活禁止なんだよ、この隔離校舎のE組じゃ。成績悪くてE組に落ちたんだから…とにかく勉強に集中しろってさ。」

 

「それはまた随分な差別ですねぇ。」

 

俺のように自分から部活動を退部した人間はともかく、杉野のように熱中出来る部活があった人間にとっては酷い話だ。

 

「でも、もういいんだ。昨日見ただろ?遅いんだよ俺の球。遅いからバカスカ打たれて、レギュラー降ろされて、それから勉強にもやる気無くして今じゃエンドのE組さ。」

 

そう語る杉野の表情は何かを諦めているような顔だった。

 

「杉野君、先生からアドバイスをあげましょう。」

 

次の瞬間俺はまさかこれを現実で、しかも女の子ではなく男で見る日が来るとは思いもしなかった。そう、杉野は殺せんせーの触手でがんじがらめになっていたのだから。

 

殺せんせーに課題を提出にきた渚が仰天している。

 

「暗殺のことを根に持って絡まれてるじゃと思ってはいたけど…思ったより絡まれてる!」

 

「マジかよ、まさか触手責めを生で、しかも男で見る日が来るとは思いもしなかったな。」

 

「言ってないで助けようよ、威武樹君!」

 

光景があまりにも非現実的過ぎて一周回って何故か冷静になれてしまっている。

 

「何やってんだよ殺せんせー!生徒に危害加えないって契約じゃ無かったの!?」

 

「杉野君、君の昨日のクセのある投球フォームはメジャーの有田投手を真似していますね。」

 

「…!!」

 

どうやら正解だな。

 

「でもね、触手は正直なんです。彼と比べると君は肩の筋肉の配列が悪い。マネをしても彼のような豪速球は投げれませんねぇ。」

 

「なんでそんなこと先生にわかるんだよ…?」

 

「昨日、直接本人に会って確かめましたから。」

 

新聞には有田選手が地面から伸びた触手で先ほどの杉野同様、がんじがらめになっている写真が貼ってあった。

 

「「「確かめたんじゃしょうがない!!」」」

 

そして殺せんせーは涙を流しながら『ふざけんな触手!!!有田』と書かれたサイン色紙を持っていた。それでも名前は書いてくれた有田選手。

 

「やっぱり才能が…」

 

「一方で、肘や手首の柔らかさは君の方が素晴らしい。鍛え上げれば彼を大きく上回るでしょう。才能の種類は一つじゃない、君の才能に合った暗殺を探してください。」

 

殺せんせーは生徒一人一人に合ったアドバイスをしてくれる。杉野もすっかり自信を取り戻したようだ。去っていく殺せんせーに渚が話しかける。

 

「殺せんせー!まさか…杉野にアドバイスをするためにニューヨークへ?」

 

「もちろん、先生ですから。」

 

「その一言で済ませられることじゃないぞおい。」

 

「普通の先生はそこまでしてくれないよ。ましてやこれから地球を滅ぼすであろう殺せんせーが。」

 

殺せんせーは何かを思い出しているかのように空を見上げる。

 

「……先生はね、渚君。ある人との約束を守るために先生になりました。私は地球を滅ぼす超生物ですが…その前に君達の先生です。君達と真摯に向き合う事は…地球の終わりよりも重要なのです。」

 

そういうと殺せんせーは渚の課題の採点を文字通り秒で終わらせた。

 

「そんな訳で、君達も生徒と暗殺を真摯に楽しんで下さい。ま、暗殺の方は無理と決まっていますがねぇ。」

 

そしてボールペンとバリバリと食べながら言う。本当に何でも食うな、おそらくだが飢え死にはしなさそうだ。

 

ーーーーー

 

◇杉野視点

 

その後俺はまた渚とキャッチボールをした時、かなりの精度の変化球を投げることができた。

 

「うわっすごいよ杉野!消えたみたいに変化した!」

 

「肘と手首をフルに活かした変化球を習得中だ!遅いストレートもこいつと2択で早く見せれる。もちろんアイツにとっちゃあくびが出るよーな遅い球だろうけど、俺続けるよ。野球も、暗殺も。」

 

俺は決心することが出来た。やっぱり野球は続けていくって。

 

「変化球は早いより見切るの難しいとかありそうだもんな。」

 

「勝田!さっきはありがとな、話聞いてくれて。」

 

「いいよ、俺ああいう話するの好きだし。」

 

人の話を同じ目線になって聞いてくれるあたり、勝田は本当に良い奴だと思う。そして俺は採点中の殺せんせーにもう一度挑戦する。

 

「殺せんせー!ちょっと殺したいんだけど来てくんない?」

 

「ヌルフフフフフフ、懲りませんねぇ。」

 

「また舐めてやがるよまったく。」

 

俺たちの殺る気を上げてくれるこの教室は楽しいと心から思えた。





ご覧いただきありがとうございます!

次回はカルマの初登場回ですが、少々長いので何話かに分けます。

威武樹の家族紹介

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