【完結】俳優、女子中学生になる~殺された天才役者が名家の令嬢に憑依して芸能界に返り咲く!~   作:朱音ゆうひ

23 / 241
23、アクアプリンセス号、プール

葉室王司お嬢様を応援するスレ!part27

  

225:名無しのファン

お別れ会で泣いてる王司ちゃんにキュンとしました

今日からスレ住人になります  

 

226:名無しのファン

>>225

お別れ会の王司めちゃ泣いてたよな

江良ファンだったんだな 

 

227:西園寺麗華

江良様のファンじゃない奴は非国民だし

 

228:名無しのファン 

頑張ってる王司ちゃんのシリーズ見てるけど段々パパな気分になってきた

俺が産んだのかもしれん

 

229:名無しのファン

>>227はなんでコテハンなの?

本物なの偽物なの?

ファンなのアンチなの?

バカな麗華なの?

 

230:名無しのファン 

古参の俺が新参者に教えてやろう

バカな麗華なんだ

 

231:228

スルーしないで

誰か俺につっこんで

 

232:名無しのファン 

アッーーーー

 

=========

  

葉室王司お嬢様を応援するスレ!part32

 

538:名無しのファン 

葉室王司に告白されたって言ってる女子いるけど百合かな?

 

539:名無しのファン 

普通に考えて嘘でしょ

 

540:名無しのファン 

カナミまた嘘ついてる

 

541:名無しのファン

カナミって誰だよ? 

 

542:名無しのファン 

カナミは隣のクラスの女子生徒だけど

 

543:名無しのファン 

お嬢様は二俣グループの御曹司と噂になってるよ  

 

544:名無しのファン 

二俣グループは一途じゃないです 

二俣グループは不倫します

 

545:名無しのファン 

3か月前も若かったんだよ!

 

546:名無しのファン 

不倫くらい許せよ!

 

547:名無しのファン 

駄犬を許すな

 

548:名無しのファン 

親は選べないんだよなあ

王司ちゃん可哀想

 

549:名無しのファン

駄犬最新の迷言「俺は絶対謝らない」

 

550:名無しのファン 

>>549

これは駄犬ですわ 

 

=========

  

火臣(ひおみ)打犬(だけん)駄犬(だけん)と呼ばれるようになってるのか。わざとテロップの字間違えてみたくなるな」

「だめですよ佐久間さん」

 

ドッキリ制作班の編集作業部屋で編集者と打ち合わせしていた佐久間は「わかってるよ」と言いながらテロップの文字を書き換えた。

 

火臣(ひおみ)駄犬(だけん)の2人の子、初会話!』 

「うっかりミスは誰にでもあるよな」

「あんっ。もう、絶対だめですって。ちゃんと自分で元通りにしてくださいね――それにしても、加地(かじ)監督の暴言ぶりはヤバくないですか?」

 

 編集担当が「ピー音入れます?」と聞いてくるが、佐久間は首を横に振った。

   

「『監督がめちゃくちゃ煽ってきたらキレる? キレない?』って内容のドッキリだったことにしたら?」

「それはこっちの番組が非難されますよ。絶対ダメです」

「そうか。じゃあ、元の声が聞き取れるギリギリのピー音を被せて『偶然監督の暴言が撮れてしまい、スタッフ困惑(汗)打ち合わせなしなのでこんなこともあります(笑)』で行こう」

 

 それにしても、いい映像が撮れている。

 カットする場面選びに困るほどだ。大漁、大漁。

 

 

   ◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆

 

 

 ――【王司視点】

 

 出かける日、夏空は曇り模様だった。

  

 私は昼前にママとセバスチャンと一緒に家を出た。

 服装は、ゆったりと腰まで隠れる黒トレーナーに、白のショートパンツコーデだ。

 前世では家族で夏休みに出かけたりしなかったので、新鮮。

 

 アリサちゃんを迎えに行く車の中で、潤羽(うるは)ママはタブレットでネットの記事を見ていた。

 『高槻(たかつき)家、一家で夏休み旅行!』というタイトルだが、一家の写真にアリサちゃんはいなかった。

 

「王司ちゃんのお母様、初めまして。高槻アリサです。今日はお世話になります」

「アリサちゃんおはよう。初めまして。いつも娘と仲良くしてくれてありがとう」

    

 アリサちゃんは黒髪をふわっとした緩めのおさげに結んでいて、白いシャツにミニ丈のジャンパースカートを合わせた可愛いコーデだ。

 荷物を重そうに持っていて、セバスチャンが引き受けると礼儀正しくお辞儀をしてお礼を言った。

 

「王司ちゃんのサマーバッグ可愛いね」

「アリサちゃんのバッグも可愛い。準備大変だったよね、急にごめんね」

「全然大変じゃなかったよ! あ、海見えた~!」

  

 車で移動すること20分。

 

 頭上には青空が広がっていて、海が日差しを反射してきらきらしている。

 

 船乗り場で見上げる白い船は、大きかった。

 アクアプリンセス号という船名だ。

 海面下フロアが1階まで、海面上のフロアは3階まである。

 

「わぁ~、おっきいね!」

「立派な船だね」

 

 私たち以外のお客さんもいっぱいいる。

 

 みんなが明るい顔をして、特別な時間を楽しむためにどんどん中に入っていく。

 

 私たちも写真を撮ってから中に入った。

 

 船内は、広々としている。

 

 天上や壁はクリームホワイト、手すりとか窓枠の一部はマホガニーの木材が使われていて、ツヤツヤ。

 足元の絨毯はスマルトブルーで、上品で爽やかな雰囲気だ。

 

 案内係のお姉さんが、慣れた様子で説明してくれる。

 

「4階は空と海の絶景が楽しめる展望デッキで、船首側にビアガーデン会場、船尾側にプール・スパ施設もございます。3階は操舵室とバーラウンジと客室がございます。2階にはビジネス用会議室と客室、1階には各種ショップも揃っています。夕食レストラン会場は地下フロアにあり、和食会場と洋食会場が……」

 

 客室は、ベッドが3台あるトリプルルームだった。

 バルコニー付きで、海を眺めたり潮風に当たって過ごせる。

 洗面所、ウォシュレットトイレルーム、バスルームも完備されている。 

 コネクティングルームもあって、隣に繋がっている部屋はセバスチャン用となっていた。 

 

「ベッドに座ってテレビが見れるよ」

 

 試しにテレビをつけると、政治家が討論していた。

 仲が悪くていつも喧嘩してる、とネタにされている二人だ。

 片方はドラマのスポンサー企業の役員でもある。

 現場を見学に来て挨拶した人だ。

 ……つまり、江良を殺害した男の父親ということでもある。

 

「あ、円城寺(えんじょうじ)(ほまれ)様のお父様だね」

「えっ」

 

 アリサちゃんが恐ろしいことを言った。

 待って。

 ということは、江良を殺害したスポンサー令息って同級生の円城寺誉の兄なんだ? 

 

 ひえー、世間は狭い。偶然って怖い。

 ゾワゾワと肌が粟立って腕をさすっていると、ママがこの後の予定を教えてくれた。

     

「王司、昼食は洋食レストランよ」

 

 潤羽ママに連れられてレストランに行くと、テーブルには葉室家のおじいさまの他にスーツ姿の男性が一緒にいた。男性は自己紹介で秘書だと名乗ってくれた。

 

 おじいさまは、グレーの5分袖サマーカーディガンに白の半袖Tシャツと黒チノパン姿で、若々しくて活動的に見える。

 

 ところで、この祖父と孫の関係はどんな温度感だったのだろうか?

 

 王司はおじいさまに会うのが初めてではないはずだ。

 なので、「初めまして」という挨拶は違うだろう。

 

「おじいさま、王司です。お会いできて嬉しいです。こっちは、お友だちの高槻アリサちゃんです」

「大きくなったな。お友達と楽しんでいきなさい」

「はい」

 

 お友だち同伴というのもあってか、おじいさまは怖くなかった。

 

 潤羽ママと近況を語りながら、時折、孫とその友達にぎこちなく「追加で何か注文するか?」とか「これは口に合うか?」とか聞いて来る。

 

「今日は海が落ち着いているな」

「はい、おじいさま」

「風が穏やかだな」

「でもこの風、泣いています」

 

 腫れ物に触るみたいなコミュニケーションだ。

 ……あまり会わないから何を話したらいいかわからないのかもしれない?

 

 食事は洋風のコース料理で、大きなトマトが入っているスープカレーが美味しかった。

 アリサちゃんは貝がゴロゴロ入っているミートパスタが気に入ったようで、パスタの中に埋まっていた貝を見つけるたびに「また貝が隠れてた」と嬉しそうにしていた。可愛い。

 

 昼食が終わると、アリサちゃんとプールに行った。

 

 プールはドーナツ型になっていて、流れがある。

 保護者として付いてきたセバスチャンが支えてくれるので、白い貝柄(シェル)型のフロート・ボートに乗って写真を撮ったりしていると、誰かが投げたビーチボールが飛んできた。

 キャッチすると、「すいませーん」と聞き覚えのある声がする。

 

「弟が投げちゃって。キャッチしてくれてありがとうございます! あれっ……」 

「…………あっ」

 

 浮き輪でぷかぷかしている小さい男の子を引っ張るようにしてビーチボールを取りに来たのは、学校の隣のクラスの女子――王司になったばかりの頃に「告白された!」とか「ほらカナミー!」とか騒いでいた子だ。

 金に近い明るい茶髪で、あか抜けてて可愛い子だ。

 名前はカナミちゃんだな。間違いない。

 

「カナミちゃん、こんにちは。偶然だね」

  

 知り合いにあったら挨拶するよね。

 

「こ……こんにちは、葉室さん。あたし、違うよ」

「え、違うって、なにが?」

「ストーカーとかじゃないよ。偶然だよ。っていうか、ストーカーは海賊部の人たちだと思う」

「あ、うん。偶然だね。海賊部って何?」

「え、えっと、もう行かなきゃ。じゃあね!」

 

 カナミちゃんはおろおろした様子で挨拶してから、弟を引っ張って逃げて行った。

 

 遠くの方から聞き覚えのある男子のはしゃいだ声も聞こえてくるから、もしかして学校の子たち、結構いるのかもしれない。

 

 ところで、海賊部ってなに? 

 

 謎がまた増えてしまったが、プールは楽しかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。